配送中に交通事故を起こしてしまった場合、まずは負傷者の救護や警察への通報など、適切な対応が必要です。
また、一般的な交通事故とは異なり、配送会社への報告や荷物の取り扱いなどにも注意しなければなりません。
特に、配送中の荷物が破損したり、配送車両が壊れたりした場合、ドライバー自身がどこまで費用を負担しなければならないのか、不安に感じる人も多いでしょう。
本記事では、配送中に交通事故を起こした場合の対応をはじめ、ドライバーや配送会社の責任、自己負担する可能性のある費用などについて解説します。
・配送中に交通事故を起こしたときの対応は、負傷者の救護と安全確保を行う、警察に通報する、事故現場の状況や証拠を記録する、連絡先を交換する、配送会社に事故を報告して今後の指示を受ける
・配送中の交通事故でドライバーが自己負担する可能性のある費用は、相手方への損害賠償金、配送車両の修理費、破損した荷物の損害賠償金、交通違反による反則金・罰金
・配送中の交通事故で弁護士に相談したほうがよい場合は、会社から高額な損害賠償を請求された、任意保険が使えない、刑事責任を問われる可能性がある
配送中に交通事故を起こしたときの対応
配送中に交通事故を起こした場合は、通常の交通事故と同様に、負傷者の救護や警察への通報などを優先する必要があります。
配送中に交通事故を起こした場合の対応を解説します。
- 車両を停止して負傷者の救護と安全確保を行う
- 警察に通報する
- 事故現場の状況や証拠を記録する
- 相手方と連絡先を交換する
- 荷物の破損状況を確認する
- 配送会社に事故を報告して今後の指示を受ける
- 保険会社に事故を報告する
車両を停止して負傷者の救護と安全確保を行う
配送中に交通事故を起こした場合は、直ちに車両を停止し、負傷者の救護と周囲の安全確保を行いましょう。
まずは事故の相手や同乗者にけががないか確認し、負傷者がいる場合は119番へ通報して救急車を要請してください。
必要に応じて、救急車が到着するまで応急手当を行います。
また、後続車による二次事故を防ぐため、ハザードランプの点灯や停止表示器材の設置など、安全確保のための措置も必要です。
車両が通行の妨げになっている場合は、安全を確認したうえで移動させましょう。
道路交通法第72条では、負傷者の救護や安全確保が義務付けられており、これらを怠ると法律違反になります。
警察に通報する
負傷者の救護と安全確保を行ったら、110番に通報して交通事故が発生したことを警察に報告しましょう。
通報時は、事故の発生場所や負傷者の有無、車両の状況などを伝え、警察官の指示に従ってください。
道路交通法第72条では、交通事故が発生した場合に警察への報告が義務付けられています。
そのため、けが人がいない物損事故でも通報が必要です。
また、警察に届け出ていないと交通事故証明書を取得できず、保険金の請求に支障が生じるおそれがあります。
関連記事:交通事故の報告(通報)義務とは?必要なケースや違反の点数・リスクを解説
事故現場の状況や証拠を記録する
警察が到着するまでの間に、事故現場の状況を記録しておくことが望ましいでしょう。
具体的には、車両の停止位置や衝突した箇所、道路の状況、信号機や標識などをスマートフォンで撮影しておきます。
また、ドライブレコーダーの映像が残っている場合は、上書きされないように保存してください。
事故現場の記録は、後から事故の状況を確認したり、相手方との過失割合を判断したりする際の重要な証拠となるため、必ず残しておきましょう。
関連記事:交通事故を起こしたらやること|事故直後から示談までの流れをわかりやすく解説
相手方と連絡先を交換する
交通事故の相手方とは、氏名・住所・電話番号などの連絡先を交換しましょう。
また、相手の車両のナンバーや加入している保険会社も確認しておきます。
相手が業務中のドライバーであれば、勤務先の会社名や連絡先も聞いておくとよいでしょう。
確認した情報は、保険会社に事故を報告する際や、事故後に相手方と連絡を取る必要が生じた際に使用します。
そのため、聞き間違いや記録漏れがないよう、正確に控えておくことが大切です。
関連記事:交通事故で連絡先の交換は必要?交換する情報や教えたくないときの対処法を解説
荷物の破損状況を確認する
事故現場での対応が済んだら、配送中の荷物に破損がないか確認しましょう。
具体的には、荷物の外箱がつぶれていないか、中身が飛び出していないか、液体が漏れていないかなどを確認します。
破損が見つかった場合は、スマートフォンで写真を撮影し、状態を記録しておくことが大切です。
なお、梱包されている荷物を勝手に開封せず、外観から確認できる範囲にとどめてください。
荷物の破損状況を確認できない場合や、確認に時間がかかる場合は、無理に作業を続けず、配送会社に報告して指示を受けましょう。
配送会社に事故を報告して今後の指示を受ける
荷物の確認が済んだら、配送会社に連絡して事故の状況を報告しましょう。
具体的には、事故の発生場所や負傷者の有無、車両の損傷状況、荷物の破損状況などを伝えます。
その際、配送を継続してよいか、代わりの車両やドライバーを手配する必要があるか、配送先への連絡を誰が行うかなど、今後の対応について指示を受けてください。
自己判断で配送を再開したり、配送先に納期の変更を約束したりせず、会社の指示に従って対応することが大切です。
保険会社に事故を報告する
配送会社への報告が済んだら、加入している任意保険の保険会社にも事故の発生を連絡しましょう。
ただし、配送会社が保険会社への連絡を担当することもあるため、会社の指示に従って対応してください。
保険会社に連絡する際は、事故の発生日時や場所、相手方の連絡先、車両の損傷状況などを伝えます。
必要に応じて、事故現場の写真やドライブレコーダーの映像も提出しましょう。
保険会社への報告が遅れると、事故状況の調査や相手方への対応に支障が生じるおそれがあるため、速やかに連絡することが大切です。
配送中の交通事故における責任
配送中に交通事故を起こした場合、責任を負うのは運転していたドライバーだけとは限りません。
事故の原因や状況、雇用関係などによっては、配送会社や車両の所有者、荷主などにも責任が生じる場合があります。
配送中の交通事故について、誰がどのような責任を負うのかを解説します。
- 配送ドライバーの責任
- 配送会社の責任
- 配送車両の所有者・運行供用者の責任
- 荷主の責任
- 事故の相手方の責任
配送ドライバーの責任
配送中に交通事故を起こしたドライバーは、事故の状況によって民事・刑事・行政の3つの責任を負う可能性があります。
| 責任の種類 | 内容 |
|---|---|
| 民事責任 | 相手方の治療費や車両の修理費、慰謝料などの損害を賠償する責任 |
| 刑事責任 | 過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などにより、拘禁刑や罰金などの刑罰を受ける責任 |
| 行政責任 | 交通違反や人身事故によって違反点数が付加され、免許停止や免許取消しなどの処分を受ける責任 |
このうち、民事責任については配送会社も責任を負う場合があるため、ドライバーが必ずしも損害賠償金の全額を自己負担するわけではありません。
一方、刑事責任や行政責任は、基本的に事故を起こしたドライバー本人が負うものです。
配送会社に雇用されている場合でも、会社が代わりに刑罰や免許停止などの処分を受けることはできません。
配送会社の責任
民法第715条では、従業員が業務中に第三者へ損害を与えた場合、使用者である会社も賠償責任を負うと定められています。
これを使用者責任といいます。
そのため、ドライバーの不注意によって事故が発生した場合でも、被害者は配送会社に対して治療費や車両の修理費などの請求が可能です。
ただし、配送会社が賠償責任を負うからといって、ドライバー本人の責任がなくなるわけではありません。
会社とドライバーの間で最終的にどちらがどの程度の費用を負担するかは、事故の状況や過失の程度などによって異なります。
なお、業務委託のドライバーについては、会社との指揮監督関係などの実態によって、使用者責任が成立するかどうかが判断されます。
関連記事:会社の車で交通事故を起こした場合は自己負担?会社の責任や処分を解説
配送車両の所有者・運行供用者の責任
自動車損害賠償保障法第3条では、自動車の運行によって他人を死傷させた場合、運行供用者が損害賠償責任を負うと定めています。
運行供用者とは、車両の運行を管理・支配し、その運行によって利益を得る立場にある人や会社のことです。
車両の所有者が運行供用者に該当する場合がありますが、所有しているだけで必ず責任を負うわけではありません。
また、配送会社が車両の運行供用者に該当する場合、前述した使用者責任と運行供用者責任の両方を負うこともあります。
なお、運行供用者責任の対象は人身事故による損害に限られ、車両の修理費などの物損には適用されません。
関連記事:社用車で事故を起こしたらどうする?対応の流れや責任、会社への報告について
荷主の責任
配送中の交通事故では、基本的に荷主が責任を負うことは少ないでしょう。
荷主は荷物の配送を依頼する立場であり、通常はドライバーの運転や配送車両の管理に直接関わっていないためです。
ただし、荷主が過積載を指示したり、危険な積載方法を指定したりして、それが事故の原因となった場合には、損害賠償責任を負う可能性があります。
荷主が責任を負うかどうかは、事故につながる指示や行為があったか、その行為が事故の発生にどの程度影響したかなどをもとに判断されます。
事故の相手方の責任
配送中に交通事故を起こした場合でも、相手方に過失があれば、相手方も事故の責任を負うことになります。
例えば、相手方が信号無視や一時停止違反をしていた場合、その違反行為が事故の原因として考慮されます。
双方に過失がある場合は、事故の状況に応じて過失割合が決まり、それぞれの損害賠償額に反映される仕組みです。
また、相手方に100%の過失が認められた場合、配送ドライバーは基本的に損害賠償責任を負いません。
配送中の交通事故でドライバーが自己負担する可能性のある費用
配送中の交通事故でドライバーが自己負担する可能性のある費用について解説します。
- 相手方への損害賠償金
- 配送車両の修理費
- 破損した荷物の損害賠償金
- 保険の免責金額・補償対象外の費用
- 交通違反による反則金・罰金
相手方への損害賠償金
配送中に交通事故を起こした場合、ドライバーは相手方への損害賠償責任を負う可能性があります。
損害賠償の対象となるのは、相手方の車両の修理費や治療費、慰謝料、休業損害などです。
一般的には、配送会社が加入している任意保険から賠償金が支払われるため、ドライバーが自分のお金で全額を賠償するわけではありません。
ただし、保険が使えない場合や、配送会社が支払った賠償金の一部をドライバーに請求する場合には、自己負担が生じる可能性があります。
なお、会社がドライバーに損害賠償を請求する場合でも、必ずしも全額の支払いに応じる必要はありません。
事故の状況や過失の程度、会社の管理体制などを考慮して、負担する範囲が判断されます。
配送車両の修理費
配送中の交通事故でトラックや軽バンなどの配送車両が破損した場合、ドライバーが修理費を負担する可能性があります。
会社が所有する配送車両であれば、基本的には配送会社が修理費を負担します。
また、車両保険に加入していれば、保険金で修理費が補償される場合もあるでしょう。
ただし、ドライバーの不注意によって事故が発生した場合、会社から修理費の一部を請求される可能性があります。
もっとも、業務中の事故であれば、必ずしも修理費の全額を負担する必要はありません。
一方、個人事業主が自分の車両を使って配送している場合は、原則として自分で修理費を負担することになります。
破損した荷物の損害賠償金
配送中の交通事故で荷物が破損した場合、配送会社は荷主から商品代金相当額などの損害賠償を請求されることがあります。
基本的には配送会社が荷主への賠償に対応し、貨物保険に加入していれば、保険金で損害を補償できるでしょう。
ただし、配送会社が荷主に賠償した金額を、ドライバーに負担させようとすることもあります。
会社に雇用されているドライバーの場合、事故の原因や過失の程度、会社の管理体制などを踏まえて負担範囲が判断されるため、会社から請求された金額をそのまま支払う必要があるとは限りません。
一方、業務委託のドライバーは、荷物の破損に関する賠償責任が契約で定められていることもあります。
どのような場合に自己負担が生じるのか、委託契約の内容を確認しておくことが重要です。
保険の免責金額・補償対象外の費用
配送会社が任意保険に加入していても、事故による費用がすべて補償されるとは限りません。
例えば、車両保険に免責金額5万円が設定されている場合、修理費のうち5万円は保険金から差し引かれます。
また、保険金額の上限を超えた損害や、契約上の補償対象に含まれない損害についても、保険金が支払われないことがあります。
こうした費用は、基本的に保険を契約している配送会社が負担するため、ドライバーが自分のお金で支払う必要はありません。
ただし、会社から免責金額や補償対象外の費用を請求されることもあります。
その場合は、請求された金額をそのまま支払わず、自分に負担する義務があるのか慎重に判断しましょう。
交通違反による反則金・罰金
配送中に交通事故を起こし、信号無視や一時停止違反などが認められた場合、反則金や罰金の支払いが必要になることがあります。
反則金は比較的軽微な交通違反に対して納付するもので、罰金は刑事手続を経て科される刑罰です。
反則金や罰金は、基本的に違反したドライバー本人が負担します。
配送会社に雇用されている場合でも、会社が代わりに支払う義務はなく、任意保険による補償の対象にもなりません。
配送中の交通事故で利用できる保険の種類
配送中に交通事故を起こした場合、加入している保険を利用することで、損害賠償金や車両の修理費などの負担を軽減できる可能性があります。
配送中の交通事故で利用できる主な保険の種類と、それぞれの補償内容について解説します。
- 自賠責保険で補償されるのは人身事故の損害
- 配送会社の任意保険で補償される範囲
- ドライバー個人の自動車保険が使える条件
- 荷物の破損に適用される貨物保険
- 配送中のケガに適用される労災保険
自賠責保険で補償されるのは人身事故の損害
自賠責保険は、すべての自動車に加入が義務付けられている保険で、トラックや軽バンなどの配送車両も対象です。
配送中の交通事故で相手方を死傷させた場合、被害者の治療費や休業損害、慰謝料などが補償されます。
ただし、補償額には上限があり、被害者1人あたりの支払限度額は以下のとおりです。
| 損害の種類 | 支払限度額 |
|---|---|
| 傷害 | 120万円 |
| 後遺障害 | 75万〜4,000万円 |
| 死亡 | 3,000万円 |
自賠責保険は人身事故による損害のみが対象であり、相手方の車両の修理費や荷物の破損などの物損は補償されません。
配送会社の任意保険で補償される範囲
配送会社が加入している任意保険により、配送中の交通事故による損害賠償金や車両の修理費などが補償されます。
主な保険の種類と補償内容は以下のとおりです。
| 保険の種類 | 主な補償内容 |
|---|---|
| 対人賠償保険 | 相手方の治療費や慰謝料など、自賠責保険の支払限度額を超える損害 |
| 対物賠償保険 | 相手方の車両の修理費や建物・設備などの損害 |
| 車両保険 | 事故によって破損した配送車両の修理費 |
| 人身傷害保険 | ドライバー自身のけがによる治療費や休業損害など |
ただし、保険の種類によっては契約に含まれていないこともあり、補償の上限額や適用条件も異なります。
ドライバー個人の自動車保険が使える条件
配送中の交通事故では、ドライバー個人が加入している自動車保険を利用できる場合があります。
例えば、自分の車両を使って配送している場合は、その車両が配送業務に対応した自動車保険に加入していれば、事故による損害が補償されます。
ただし、日常生活で使用する自家用車向けの保険では、有償で荷物を運ぶ配送業務が補償の対象外になることがあります。
特に、黒ナンバーの軽貨物車両などを使用する場合は、事業用車両に対応した保険への加入が必要です。
一方、会社が所有するトラックなどを業務中に運転して事故を起こした場合は、基本的にドライバー個人の自動車保険は使えません。
他車運転特約に加入していても、勤務先の車両を業務で運転している間の事故は補償対象外となります。
荷物の破損に適用される貨物保険
貨物保険は、配送会社が預かった荷物に損害が生じた際、荷主などに対する損害賠償金を補償する保険です。
交通事故による荷物の破損だけでなく、契約内容によっては輸送中の盗難や水濡れ、火災などによる損害も補償の対象になります。
配送会社が貨物保険に加入していれば、荷物が破損した際の賠償金を保険金でまかなえるため、ドライバーの自己負担を抑えられる可能性があります。
ただし、補償の対象となる荷物の種類や事故の内容、支払限度額などは契約によって異なりますので、注意しましょう。
配送中のケガに適用される労災保険
労災保険は、業務中や通勤中の事故によるけがなどを補償する制度です。
配送会社に雇用されているドライバーであれば、正社員だけでなく、契約社員やアルバイトなども対象です。
労災保険では、主に以下の費用や損害が補償されます。
- 治療費や入院費などの療養に必要な費用
- けがによって仕事を休んだ場合の休業補償
- 後遺障害が残った場合の障害補償
- 死亡した場合の遺族補償や葬祭料
労災保険は、ドライバー自身の不注意によって事故を起こした場合でも、原則として利用できます。
一方、業務委託のドライバーは原則として労災保険の対象外ですが、特別加入制度を利用していれば補償を受けられる場合があります。
関連記事:交通事故で労災申請を行う流れ|適用条件や給付内容、会社が嫌がるときの対処法
配送中に交通事故を起こした場合に会社から受ける処分
配送中に交通事故を起こした場合、配送会社から注意や指導を受けたり、懲戒処分を受けたりする可能性があります。
具体的には、以下のような対応が考えられるでしょう。
| 処分・対応の種類 | 内容 |
|---|---|
| 注意・指導 | 事故原因の確認や再発防止に向けた運転指導など |
| 配置転換 | 配送業務から内勤など、別の業務への変更 |
| 懲戒処分 | 戒告・減給・出勤停止など、就業規則に基づく処分 |
| 解雇 | 雇用契約の終了。重大な交通違反や悪質な事故などで検討される場合がある |
どのような処分を受けるかは、事故の重大性やドライバーの過失の程度、過去の事故歴、会社の就業規則などによって異なります。
ただし、交通事故を起こしたという理由だけで、会社が自由に懲戒処分や解雇を行えるわけではありません。
労働契約法第15条・第16条では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない懲戒処分や解雇は無効になると定められています。
そのため、軽微な事故にもかかわらず、会社から突然解雇を言い渡された場合などは、処分が適切か確認する必要があります。
配送中の交通事故で弁護士に相談したほうがよい場合
配送中の交通事故で弁護士に相談したほうがよい場面と、依頼するメリットについて解説します。
- 会社から高額な損害賠償を請求された
- 任意保険が使えない
- 刑事責任を問われる可能性がある
会社から高額な損害賠償を請求された
配送中の交通事故で会社から高額な損害賠償を請求された場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
会社に雇用されているドライバーは、事故によって損害が生じた場合でも、必ずしも全額を賠償する必要はありません。
実際に、過去の裁判では、ドライバーの過失や会社の管理体制、保険への加入状況などを考慮し、会社からの損害賠償請求を制限した事例があります。
弁護士に相談すれば、会社からの請求に法的な根拠があるか、賠償額が適切かを判断してもらえます。
また、過大な請求がされている場合は、会社との減額交渉を任せることも可能です。
任意保険が使えない
配送中に交通事故を起こした場合、一般的には保険会社が相手方との示談交渉を進めます。
しかし、任意保険が使えない場合は、保険会社に示談交渉を任せることができません。
配送会社が相手方への対応を行う場合もありますが、ドライバー自身が交渉しなければならないこともあります。
交通事故に関する専門知識がない状態で、過失割合や損害賠償額について相手方と交渉するのは、大きな負担になるでしょう。
弁護士に依頼すれば、適切な過失割合や損害賠償額を判断してもらえるほか、相手方との示談交渉も任せられます。
交通事故の専門知識や交渉経験を持つ弁護士に対応してもらうことで、不利な条件で示談してしまうリスクを抑えられるため、自分で対応する必要がある場合は弁護士への依頼を検討しましょう。
刑事責任を問われる可能性がある
配送中の交通事故で相手方を死傷させた場合、過失運転致死傷罪などに問われる可能性があります。
特に、飲酒運転や危険な運転によって重大な事故を起こした場合は、重い刑事処分を受けることもあるでしょう。
刑事責任は、配送会社や保険会社が代わりに負うことはできず、ドライバー本人が警察の取調べなどに対応する必要があります。
弁護士に相談すれば、取調べでの適切な対応や今後の刑事手続きについて助言を受けられます。
また、弁護士に依頼することで、被害者との示談交渉や被害弁償など、刑事処分を軽くするための対応も任せられることがメリットです。
配送中の交通事故に関するよくある質問
配送中の交通事故に関するよくある質問を紹介します。
- 配送中の交通事故では労災保険を使わないほうがいい?
- 会社のトラックで事故を起こした場合、自分の保険は使える?
- 会社のトラックを壊したら全額弁償しなければならない?
- 配送中に事故を起こしたら運送会社を辞めることになる?
- 配送ドライバーが死亡事故を起こしたらどうなる?
配送中の交通事故では労災保険を使わないほうがいい?
配送中の交通事故でけがをした場合、相手方に過失がなければ、労災保険を利用したほうがよいでしょう。
労災保険では、ドライバー自身の不注意による事故でも、原則として治療費や休業補償などを受けられます。
一方、相手方にも過失がある場合は、相手方の自賠責保険や任意保険から補償を受けることも可能です。
労災保険と相手方の保険のどちらを先に利用するかは選択できますが、同じ損害について二重に補償を受けることはできません。
そのため、事故の状況や補償内容を比較し、どちらの保険を優先するか検討しましょう。
会社のトラックで事故を起こした場合、自分の保険は使える?
会社のトラックを運転中に交通事故を起こした場合、基本的にドライバー個人が加入している自動車保険は使えません。
自動車保険には、他人の車を運転中の事故を補償する他車運転特約がありますが、勤務先の車両を業務で運転している際の事故は補償対象外です。
会社のトラックを壊したら全額弁償しなければならない?
配送中の交通事故で会社のトラックを壊した場合でも、必ずしも修理費の全額を弁償する必要はありません。
会社に雇用されているドライバーの場合、事故の原因や過失の程度、会社の管理体制などを考慮して、自己負担する範囲が判断されます。
配送中に事故を起こしたら運送会社を辞めることになる?
配送中に交通事故を起こしたからといって、必ずしも運送会社を辞める必要はありません。
軽微な事故であれば、注意や運転指導などで済むこともあります。
一方、飲酒運転などの悪質な違反や重大な事故を起こした場合は、懲戒処分や解雇の対象となる可能性があります。
なお、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要なため、処分に納得できない場合は弁護士に相談しましょう。
配送ドライバーが死亡事故を起こしたらどうなる?
配送中に死亡事故を起こした場合、ドライバーは民事・刑事・行政の3つの責任を問われる可能性があります。
運転上の過失によって相手を死亡させた場合は、過失運転致死罪に問われ、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、事故の状況によっては、免許停止や免許取消しの処分を受けることもあるでしょう。
民事責任については、遺族から死亡慰謝料や逸失利益、葬儀費用などの損害賠償を請求されます。
まとめ
配送中に交通事故を起こした場合は、負傷者の救護や警察への通報を優先し、配送会社に事故の状況を報告しましょう。
配送中の事故では、ドライバーだけでなく配送会社なども責任を負う場合があります。
そのため、車両の修理費や荷物の損害賠償金などを、必ずしもドライバーが全額負担するわけではありません。
会社から高額な損害賠償を請求された場合や、任意保険が使えない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
適切な賠償額の判断や示談交渉を任せることで、事故後の負担を軽減できます。
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