衝突事故で車に積んでいた商品や仕事道具、私物などが壊れた場合、「車の修理費だけでなく、積載物の損害も賠償してもらえるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
交通事故では、車両だけでなく積載物の破損についても損害賠償の対象になります。
ただし、実際に賠償を認めてもらうには、事故当時に積載していた事実や、事故によって破損した事実などを証明しなければなりません。
また、賠償額は新品の購入価格とは限らず、修理費や事故当時の時価額などをもとに判断されます。
そのため、適切な損害賠償を受けるには、賠償額の決まり方を理解し、必要な証拠をそろえて請求することが大切です。
本記事では、衝突事故で積載物の損害賠償が認められる条件や賠償額の決まり方、実際の裁判例などを解説します。
損害賠償を請求するために必要な証拠や手続きの流れ、保険会社が賠償を認めない場合の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
・衝突事故で積載物の損害賠償が認められる条件は、積載物として該当すること、事故当時に積載物を車両に積んでいたことが確認できる、破損したことを証明できる
・衝突事故で破損した積載物の損害賠償額の決まり方は、修理費を基準にする、事故当時の時価額を基準にする、商品の価値をもとに算定する
・衝突事故で破損した積載物の損害賠償を請求する流れは、相手方の保険会社に積載物の破損を伝える、必要な資料を提出する、提示された賠償額を確認・交渉する
衝突事故で積載物の損害賠償が認められる条件
積載物の損害賠償を請求する際は、破損した物の種類だけでなく、事故当時の積載状況や破損の原因、損害額などが重要になります。
具体的にどのような条件を満たす必要があるのか解説します。
- 積載物として該当すること
- 事故当時に積載物を車両に積んでいたことが確認できる
- 衝突事故によって積載物が破損したことを証明できる
- 請求する損害賠償額が妥当であること
積載物として該当すること
積載物とは、車内やトランク、荷台などに積んでいた荷物を指します。
具体的には、以下のようなものが該当します。
- 配送中の商品や資材
- 仕事で使用する工具や機材
- 旅行かばんやスーツケース
- 楽器やスポーツ用品
- 車内に置いていたパソコンやカメラ
一方、車に固定されたカーナビやETC車載器などは、一般的に車両の付属品として扱われるため、積載物とは区別されます。
また、事故当時に身につけていた時計や衣服なども、積載物ではなく携行品・着衣として扱われます。
ただし、積載物に該当しないからといって、損害賠償を請求できないわけではありません。
車両の付属品や携行品なども、事故による損害と認められれば賠償の対象になります。
事故当時に積載物を車両に積んでいたことが確認できる
積載物の損害賠償を認めてもらうには、事故が発生した時点で、破損した荷物を実際に車両へ積んでいた事実を証明する必要があります。
荷物を所有していたというだけでは、事故当時に車両へ積んでいた証明にはなりません。
配送用の商品を大量に保有していても、事故車両に積んでいた商品の種類や数量が特定できなければ、賠償対象となる範囲を判断できないためです。
そのため、積載していた品物の名称や数量、車内のどこに置いていたかなどを明確にしておきましょう。
事故後に荷物を降ろしたり別の場所へ移したりすると確認が難しくなるため、事故直後の積載状況を記録しておくことが大切です。
衝突事故によって積載物が破損したことを証明できる
事故当時に積載していた荷物が壊れていても、その原因が衝突事故であると証明できなければ損害賠償は認められません。
事故前から故障していた物や、事故後の積み降ろし作業中に破損した物は、原則として賠償の対象外です。
事故との因果関係を証明するには、事故直後の破損状況や車両の損傷箇所、衝突の程度などを確認する必要があります。
また、事故前の写真がなくても、正常に使用していた記録や修理業者の調査報告書、関係者の証言などが証拠になります。
特に精密機器などは、外見から破損の有無を判断できないため、事故後は速やかに点検を依頼し、故障の状態や原因を記録してもらいましょう。
請求する損害賠償額が妥当であること
積載物が事故によって破損したと認められても、請求した金額がそのまま賠償されるわけではありません。
例えば、修理費として10万円を請求したとしても、5万円の修理で十分に元の状態へ戻せると判断されれば、差額の5万円は賠償の対象外となります。
また、長年使用していた物が破損した場合、新品への買い替え費用を請求しても、全額が認められるとは限りません。
損害賠償では、事故によって実際に生じた損害に対して、合理的な範囲の金額が認められます。
そのため、修理費用や事故当時の価値などを踏まえ、請求額が妥当であると示す必要があるのです。
衝突事故で破損した積載物の損害賠償額の決まり方
積載物の損害賠償額は、破損した物の種類や状態、修理の可否などによって算定方法が異なります。
修理できる場合とできない場合、配送商品が破損した場合などに分けて、損害賠償額の決まり方を解説します。
- 修理できる積載物は修理費を基準にする
- 修理できない積載物は事故当時の時価額を基準にする
- 配送商品などは商品の価値をもとに算定する
- 修理費や商品代金以外の費用も請求できる場合がある
修理できる積載物は修理費を基準にする
衝突事故で破損した積載物を修理できる場合は、原則として修理費をもとに損害賠償額が算定されます。
ただし、前述のとおり、請求した金額がそのまま認められるわけではなく、修理費が妥当かどうかが重要です。
一部の部品交換で元の状態に戻せるにもかかわらず、本体ごと交換した場合、必要以上にかかった費用は賠償の対象外となり、自己負担になるおそれがあります。
そのため、修理を依頼する前に相手方の保険会社へ見積書を提出し、修理内容や費用を確認しておくとよいでしょう。
なお、修理費が事故当時の時価額を上回る場合は、原則として時価額を基準に賠償額が判断されます。
修理できない積載物は事故当時の時価額を基準にする
衝突事故によって積載物が修理できないほど破損した場合は、原則として事故当時の時価額をもとに損害賠償額が算定されます。
時価額とは、事故が発生した時点で、その積載物と同程度の中古品を購入するために必要な金額です。
例えば、10万円で購入したノートパソコンでも、事故当時に同じ型式・使用状態の中古品が3万円で販売されていたなら、その3万円が賠償額の目安になります。
時価額は、同じ製品の中古市場での取引価格などを参考に判断するのが基本です。
中古市場で価格を確認できない場合は、購入時期や購入価格、使用年数、事故前の状態などを踏まえて算定します。
そのため、購入時の価格が高額だったとしても、新品の購入費用がそのまま賠償されるわけではない点に注意しましょう。
配送商品などは商品の価値をもとに算定する
配送中の商品や販売用の在庫が衝突事故によって破損した場合は、商品としての経済的な価値をもとに損害賠償額が算定されます。
例えば、1箱3,000円相当の商品が20箱破損し、販売できなくなった場合は、6万円が損害額の目安です。
ただし、商品の価値は必ずしも店頭での販売価格と一致するわけではありません。
仕入価格や卸売価格、実際の取引状況などを踏まえ、事故によって失われた商品価値が判断されます。
また、箱の中身が壊れていなくても、外箱の破損や汚損によって販売できなくなった場合は、商品価値の喪失が損害として認められることもあります。
一方、破損した商品を値引き販売できるなど、事故後も商品に価値が残っている場合は、その分を考慮して損害額が算定されるでしょう。
修理費や商品代金以外の費用も請求できる場合がある
衝突事故で積載物が破損した場合、修理費や商品そのものの損害だけでなく、事故への対応に伴って発生した費用も賠償の対象になります。
破損した商品の廃棄処分費用や、別の車両への積み替え・再配送にかかった費用、商品の安全性を確認するための検査費用などです。
これらの費用は、事故への対応として必要であり、金額も合理的だと認められれば損害賠償を請求できます。
また、事故によって予定していた納品ができず、本来得られるはずだった利益を失った場合は、営業上の損害についても賠償を求められる余地があります。
ただし、実際に支出した費用や失った利益が、すべて賠償の対象になるわけではありません。
事故との因果関係や金額の妥当性を示す必要があるため、領収書や請求書、取引記録などを保管しておきましょう。
衝突事故による積載物の損害賠償が争われた事例
積載物の損害賠償をめぐる裁判では、事故との因果関係や損害の範囲、請求額の妥当性などが争点になります。
実際の裁判例を3つ紹介し、どのような理由で損害賠償が認められたのか、あるいは認められなかったのかを解説します。
- 積載していたカップ麺1,344ケースすべての賠償が認められた事例
- 積載していたトランペットの破損について賠償が認められなかった事例
- 積載していたドラムセットの新品買い替え費用が認められなかった事例
積載していたカップ麺1,344ケースすべての賠償が認められた事例
最初に紹介するのは、追突事故で貨物車に積載していたカップ麺1,344ケースすべての損害賠償が認められた事例です。
【事故の概要】
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【事故の結果】
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この事例のポイントは、外見上の破損が確認できない商品についても、損害賠償が認められたことです。
食品の場合、外箱が無傷でも衝撃によって中身が損傷しているおそれがあり、安全性を確認できなければ販売に支障が生じます。
裁判所は、こうした食品特有の事情や流通上の制約を踏まえ、全商品の廃棄が合理的だと判断しました。
積載していたトランペットの破損について賠償が認められなかった事例
次に紹介するのは、衝突事故の衝撃で後部座席からトランペットが落下して破損したと主張したものの、損害賠償が認められなかった事例です。
【事故の概要】
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【事故の結果】
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この事例のポイントは、事故当時に積載していた事実だけでは、事故による破損を証明したことにはならないことです。
裁判所は、トランペットが破損したことを示す客観的な証拠がないことに加え、事故の衝撃や落下状況から破損が生じたと判断できるかも検討しました。
その結果、事故以外の原因で破損した可能性を排除できず、損害賠償を認めなかったのです。
積載物の損害賠償を請求する際は、破損した事実だけでなく、その破損が事故によって生じたと説明できる証拠が重要になります。
積載していたドラムセットの新品買い替え費用が認められなかった事例
最後に紹介するのは、追突事故によってドラムセットが破損し、新品への買い替え費用を請求したものの、全額の賠償が認められなかった事例です。
【事故の概要】
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【事故の結果】
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この事例のポイントは、修理できない積載物でも、新品への買い替え費用が全額認められるとは限らないことです。
裁判所は、ドラムセットの破損自体を否定したわけではありません。
問題となったのは、事故当時のドラムセットにどれだけの経済的価値があったのかということです。
たとえ中古市場が形成されていなくても、購入時の価格や所有者の思い入れだけで賠償額が決まるわけではありません。
新品を購入する必要があっても、損害賠償額は事故当時の客観的な価値をもとに判断されるため、請求額の根拠を示すことが重要です。
衝突事故で積載物の損害賠償を請求するために必要な証拠
積載物の損害賠償を請求する際は、単に事故で荷物が壊れたと主張するだけでなく、客観的な証拠をもとに説明する必要があります。
事故当時の積載状況や破損の事実、損害額を裏付けるために役立つ証拠を紹介します。
- 事故当時に積載していたことがわかる資料
- 積載物の破損状況がわかる写真や点検記録
- 積載物の価値や修理費がわかる購入履歴・見積書
事故当時に積載していたことがわかる資料
事故当時の積載状況を証明するうえで、特に役立つのが事故直後に撮影した写真です。
車内やトランク、荷台に荷物が積まれている様子を撮影しておけば、どのような荷物を積んでいたのかを客観的に示せます。
また、配送中の商品であれば、送り状や納品書、積荷明細書なども証拠として有効です。
一方、自家用車に積んでいた私物の場合は、こうした書類がないのが一般的でしょう。
その場合は、同乗者の証言やドライブレコーダーの映像など、事故当時の状況を裏付ける資料を探してみてください。
なお、事故前に荷物の写真を撮っていなくても問題ありません。
事故後は安全確保を優先しつつ、荷物を車外へ移動させる前に積載状況を記録しておくとよいでしょう。
積載物の破損状況がわかる写真や点検記録
積載物が破損した場合は、壊れた部分だけでなく、荷物全体の状態も写真に残しておきましょう。
例えば、パソコンの画面が割れた場合は、画面の破損部分に加えて、パソコン全体や周辺に散らばった破片なども撮影しておくと、損傷の程度や事故当時の状況を伝える資料になります。
一方、精密機器や楽器などは、外見だけでは故障の有無を判断できないケースも少なくありません。
そのような場合は、専門業者に点検を依頼し、故障している箇所や不具合の内容を記載した点検報告書を作成してもらうとよいでしょう。
また、事故から時間が経過すると、事故以外の原因で破損したのではないかと疑われるおそれがあります。
そのため、破損に気づいた段階で速やかに記録を残し、必要に応じて専門業者による点検を受けることが重要です。
積載物の価値や修理費がわかる購入履歴・見積書
積載物の損害賠償額を算定する際は、購入時期や購入価格、事故当時の価値などを確認できる資料が必要です。
具体的には、購入時の領収書やレシート、ネット通販の注文履歴、保証書などが証拠として役立ちます。
購入履歴が残っていない場合は、商品のメーカー名や型番を調べ、同じ商品や類似商品の中古販売価格などを確認しておくとよいでしょう。
また、修理できる積載物については、専門業者に修理見積書を作成してもらい、修理内容と費用の内訳を明確にしておくことが大切です。
ただし、購入価格や修理見積書に記載された金額が、そのまま損害賠償額として認められるわけではありません。
購入後の経過年数や修理費の妥当性なども考慮されるため、請求額の根拠を説明できるように資料をそろえておきましょう。
衝突事故で破損した積載物の損害賠償を請求する流れ
必要な証拠をそろえたら、相手方に積載物の損害賠償を請求します。
相手方が任意保険に加入している場合は、保険会社の担当者とやり取りを進めるのが一般的です。
損害賠償の請求から示談成立、賠償金の受け取りまでの流れを解説します。
- 1.相手方の保険会社に積載物の破損を伝える
- 2.損害賠償請求に必要な資料を提出する
- 3.相手方の保険会社が提示した賠償額を確認する
- 4.損害賠償額について交渉する
- 5.示談を成立させて賠償金を受け取る
1.相手方の保険会社に積載物の破損を伝える
交通事故の相手方が任意保険に加入している場合は、通常、相手方の保険会社から事故後の対応について連絡があります。
その際、車両の損傷だけでなく、積載物にも被害が生じている旨を伝えましょう。
具体的には、破損した積載物の名称や数量、車内に置いていた場所、損傷の程度などを説明します。
保険会社が積載物の破損を把握していなければ、車両の修理費だけを対象に損害額の確認が進んでしまうおそれがあるためです。
また、事故直後には気づかなかった故障や破損が後から見つかった場合も、速やかに担当者へ連絡してください。
事故から時間が経過するほど、破損と事故との因果関係を証明するのが難しくなるため、早めの申告が重要です。
2.損害賠償請求に必要な資料を提出する
積載物の破損を申告したら、保険会社の案内に従って損害賠償請求に必要な資料を提出します。
具体的にどのような資料が必要になるかは、破損した積載物の種類や損傷の程度によって異なるため、事前に担当者へ確認しておきましょう。
提出した資料をもとに、保険会社は事故との因果関係や損害額の妥当性などを調査します。
なお、資料だけでは損傷の程度を判断できず、破損した積載物の現物確認を求められるケースもあります。
保険会社による確認が終わる前に積載物を修理・処分すると、損害の証明が難しくなるおそれがあるため、必ず担当者に確認してから対応しましょう。
3.相手方の保険会社が提示した賠償額を確認する
保険会社による調査が終わると、積載物の損害について算定された賠償額が提示されます。
まずは、提示された金額が自分の請求額や希望額に達しているか、妥当な金額なのかを確認しましょう。
金額だけでなく、請求した積載物がすべて賠償対象に含まれているか、修理費や時価額が適切に算定されているかも重要な確認事項です。
また、過失割合によって賠償額が減額されている場合は、その割合が適切なのかも確かめる必要があります。
特に、請求額と提示額に差がある場合は、どの項目がいくら減額されたのか、その理由まで把握しておくことが大切です。
4.損害賠償額について交渉する
保険会社から提示された賠償額に納得できない場合は、増額に向けて交渉を進めましょう。
交渉では、保険会社がどのような理由で賠償額を算定したのかを踏まえ、金額の見直しを求めます。
ただし、単に「金額が低すぎる」「もっと高くしてほしい」と主張するだけでは、保険会社の判断を変えるのは難しいでしょう。
希望する賠償額が妥当であると示せるよう、客観的な証拠や具体的な根拠を提示することが重要です。
また、交渉の経緯を後から確認できるよう、保険会社とのやり取りはメールなどで記録を残しておくとよいでしょう。
なお、自分で交渉しても話がまとまらない場合は、弁護士への相談も検討してみてください。
5.示談を成立させて賠償金を受け取る
保険会社との交渉によって双方が損害賠償額に合意すれば、示談成立となります。
示談がまとまると、一般的には保険会社から示談書や免責証書などが送られてくるため、内容を確認したうえで署名・返送しましょう。
その後、保険会社による手続きが完了すると、指定した銀行口座に賠償金が振り込まれます。
なお、賠償金が振り込まれるまでの期間は保険会社や手続きの状況によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
また、一度示談が成立すると、原則として後から追加の損害賠償を請求するのは難しくなります。
そのため、積載物の損害がすべて賠償対象に含まれているか、金額や支払い条件に問題がないかを十分に確認してから示談に応じましょう。
積載物の損害賠償を認めてもらえない場合は弁護士に相談しよう
保険会社に損害賠償を認めてもらえなかったとしても、必ずしも請求を諦める必要はありません。
弁護士に依頼すれば、法律や過去の裁判例を踏まえて保険会社の判断が妥当かを検討し、適正な賠償を受けるための対応を進めてもらえます。
積載物の損害賠償について弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
- 事故によって積載物が破損したことを主張してもらえる
- 損害賠償額の増額が期待できる
- 保険会社との交渉を任せることで負担を軽減できる
- 示談がまとまらない場合は裁判による解決も目指せる
- 相談するときは弁護士費用特約を利用できるか確認しよう
事故によって積載物が破損したことを主張してもらえる
保険会社から「事故の衝撃で壊れたとは考えられない」「以前から故障していたのではないか」などと指摘され、積載物の損害を認めてもらえないケースがあります。
このような状況では、単に事故後に壊れていたと主張するだけでは、保険会社を納得させるのは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、車両の損傷状況や積載物を置いていた場所、事故前後の使用状況などを整理し、事故と破損の因果関係を法的な観点から検討してもらえます。
さらに、必要に応じて専門業者の点検結果なども活用し、保険会社の判断に反論するための根拠を示してもらえるのがメリットです。
特に、外見から故障原因を判断しにくい精密機器や楽器などは、専門的な知識をもとに主張を組み立ててもらう意義が大きいでしょう。
損害賠償額の増額が期待できる
交通事故による損害賠償は、保険会社が提示した金額が必ずしも適正とは限りません。
積載物の破損については、修理費や事故当時の時価額などをもとに損害賠償額が算定されます。
弁護士に依頼すれば、保険会社の算定内容を確認し、実際の損害よりも低く評価されている部分について、適正な賠償額を主張してもらえます。
さらに、同じ事故でけがをした場合は、積載物の損害とは別に慰謝料なども請求の対象です。
特に慰謝料には、過去の裁判例をもとにした弁護士基準があり、保険会社の提示額よりも高い金額で算定されるケースも少なくありません。
このように、弁護士に依頼すれば、積載物の損害だけでなく、交通事故によって生じた損害全体を法的な観点から検討し、適正な賠償額を目指してもらえるのがメリットです。
保険会社との交渉を任せることで負担を軽減できる
積載物の損害賠償を請求する際は、相手方の保険会社との連絡や資料の提出、賠償額についての話し合いなど、さまざまな対応が必要です。
特に、保険会社と意見が対立すると交渉が長期化し、仕事や日常生活に支障が出るおそれもあります。
また、自分に過失がない事故では、原則として自分が加入している保険会社に示談交渉を代行してもらえないため、被害者自身が相手方と交渉しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、保険会社との連絡や賠償額の交渉などを代理人として任せられます。
保険会社の担当者と直接やり取りする必要がなくなるため、交渉にかかる時間や精神的な負担を軽減できるのがメリットです。
関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説
示談がまとまらない場合は裁判による解決も目指せる
保険会社が積載物の損害を認めなかったり、賠償額について双方の意見が対立したりすると、示談交渉だけでは解決できないケースもあります。
そのような場合は、裁判を起こして損害賠償を請求する方法も選択肢の一つです。
弁護士に依頼すれば、証拠の内容や過去の裁判例などを踏まえ、裁判で賠償が認められる見込みを検討してもらえます。
実際に裁判へ進む場合も、訴状や証拠書類の作成・提出、相手方の主張に対する反論などを任せられるのがメリットです。
ただし、裁判には時間や費用がかかるため、請求する賠償額に見合うかどうかを慎重に判断する必要があります。
弁護士と相談しながら、示談交渉を続けるか、裁判による解決を目指すかを検討するとよいでしょう。
相談するときは弁護士費用特約を利用できるか確認しよう
積載物の損害賠償を弁護士に依頼する際は、費用がどのくらいかかるのかも気になるところでしょう。
特に、積載物の損害額が少ない場合は、弁護士費用が賠償金を上回ってしまうおそれもあります。
そこで確認しておきたいのが、自動車保険に付帯する「弁護士費用特約」です。
弁護士費用特約を利用すれば、法律相談料や示談交渉・裁判にかかる弁護士費用を、契約で定められた限度額まで保険会社に負担してもらえます。
物損事故も補償対象となる契約であれば、けがをしておらず、積載物だけが破損した場合でも利用可能です。
また、自分の保険に特約が付いていなくても、家族が加入している自動車保険などの特約を利用できるケースもあります。
ただし、補償範囲や上限額、利用に必要な手続きは契約によって異なるため、弁護士に依頼する前に保険会社へ確認しておきましょう。
関連記事:弁護士費用特約の使い方・利用の流れ|使うべきケースと弁護士の選び方を紹介
衝突事故で積載物が破損した場合のよくある質問
衝突事故で積載物が破損した場合のよくある質問を紹介します。
- 交通事故で積載物が破損した場合は警察への報告が必要?
- 損害物等申告書に嘘を書いたらどうなる?
- 物損事故で積載物以外に請求できるものは?
- 交通事故で車内の荷物や身につけていた持ち物が破損したら賠償してもらえる?
- 物損事故で警察を呼ばなかった場合も損害賠償を請求できる?
交通事故で積載物が破損した場合は警察への報告が必要?
交通事故で積載物が破損した場合も、警察への報告が必要です。
道路交通法第72条では、交通事故の運転者に対し、事故の発生日時や場所、損壊した物とその程度、車両の積載物などを警察へ報告する義務が定められています。
車両の損傷が軽微で、けが人がいない物損事故でも、警察への報告義務は変わりません。
また、警察に事故を届け出ていない場合は「交通事故証明書」が発行されず、保険会社への損害賠償請求に支障が生じます。
損害物等申告書に嘘を書いたらどうなる?
損害物等申告書に、事故で壊れていない物を記載したり、破損状況や購入価格を偽ったりしてはいけません。
虚偽の内容をもとに損害賠償を請求すると、賠償金の支払いを拒否されたり、すでに受け取ったお金の返還を求められたりするおそれがあります。
さらに、故意に損害を偽って賠償金をだまし取った場合は、詐欺罪に問われる可能性もあります。
ただし、単なる記入ミスと、金銭をだまし取る目的で虚偽の申告をする行為は別です。
積載物の破損状況や金額が正確にわからない場合は、推測で記載せず、確認できた事実だけを申告しましょう。
物損事故で積載物以外に請求できるものは?
物損事故では、破損した積載物だけでなく、事故によって生じた車両関係の損害なども賠償請求の対象です。
具体的には、以下のような費用が挙げられます。
- 車両の修理費用(全損の場合は事故当時の時価額など)
- 車両の買い替えに伴う登録費用など
- レッカー移動費用や車両の保管費用
- 修理・買い替えまでの代車費用
- 修理後も車両の価値が下がった場合の評価損
- 営業車を使用できなかった期間の休車損害
ただし、これらの費用がすべて無条件に認められるわけではありません。
交通事故で車内の荷物や身につけていた持ち物が破損したら賠償してもらえる?
車内に置いていた荷物だけでなく、身につけていた腕時計や眼鏡、衣服なども、交通事故で破損した場合は損害賠償の対象です。
一般的に、車内やトランクに積んでいた物は「積載物」、身につけていた物は「携行品」と区別されます。
物損事故で警察を呼ばなかった場合も損害賠償を請求できる?
物損事故で警察を呼ばなかった場合でも、損害賠償を請求する権利がなくなるわけではありません。
ただし、警察への報告は道路交通法で義務付けられており、事故を届け出ていない場合は交通事故証明書が発行されないため、損害賠償請求に支障が生じます。
また、事故の発生状況や積載物が破損した原因を客観的に証明するのが難しくなり、保険会社との交渉で不利になるおそれもあるでしょう。
まとめ
衝突事故で積載物が破損した場合は、車両の損害だけでなく、積載物についても損害賠償を請求できます。
ただし、請求した金額が必ずしも全額認められるわけではなく、事故との因果関係や損害額の妥当性を証明する必要があります。
弁護士に依頼すれば、事故との因果関係や損害額について法的な根拠を示して主張してもらえるほか、保険会社との交渉も可能です。
積載物の損害賠償でトラブルになった際は、弁護士費用特約の有無も確認し、早めに弁護士へ相談してみてください。