交通事故で証拠隠滅されたらどうする?過失割合や慰謝料への影響も解説

交通事故で証拠隠滅されたらどうする?過失割合や慰謝料への影響も解説
交通事故で証拠隠滅されたらどうする?過失割合や慰謝料への影響も解説

交通事故では、加害者が自分に不利な状況になるのを避けるために、ドラレコの映像を削除したり、事故車を修理したりして証拠隠滅を図る場合があります。

証拠を消されると、事故状況を確認しにくくなり、過失割合や損害賠償の交渉で不利になることもあるでしょう。

一方で、証拠を故意に消した行為そのものが、相手の主張の信用性や悪質性を判断する材料になる場合もあります。

証拠隠滅を疑う事情があるなら、残された証拠を集めながら、相手の行為についても適切に主張していくことが重要です。

本記事では、交通事故で証拠隠滅にあたる代表的な行為、過失割合や慰謝料への影響、証拠を消された場合の対処法、実際の事例について解説します。

本記事の結論

・交通事故で証拠隠滅にあたる代表的な行為は、ドラレコなどのデータを削除する、事故車を修理・廃車する、運転者を身代わりにする、飲酒運転の発覚を免れるため現場から離れる

・交通事故で相手に証拠を隠滅された場合の影響は、事故状況や自分に有利な事実を証明しにくくなる、過失割合の交渉で不利になる可能性がある、相手の主張の信用性を疑う材料になる、証拠隠滅の悪質性が慰謝料の増額につながる

・交通事故で相手に証拠を隠滅された場合の対処法は、手元に残っている証拠をもとに事故状況を主張する、新たな証拠を探す、交通事故鑑定に分析してもらう、弁護士に相談する

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目次

交通事故で証拠を隠滅すると犯罪になる?

交通事故で証拠隠滅が行われた場合、誰が証拠を消したのか、どのような目的で行ったのかによって法的な扱いが異なります。

加害者本人や家族・知人が証拠を隠滅した場合の扱いや、刑事処分・損害賠償への影響について解説します。

  • 加害者本人が自分の事故の証拠を消しても原則として証拠隠滅罪にはならない
  • 家族や知人が証拠隠滅に協力すると罪に問われる可能性がある
  • 証拠隠滅罪にならなくても刑事処分や損害賠償に影響する

加害者本人が自分の事故の証拠を消しても原則として証拠隠滅罪にはならない

交通事故の加害者本人が、自分に不利なドラレコ映像を削除したり、事故の痕跡を消したりしても、原則として刑法上の証拠隠滅罪にはなりません。

刑法第104条の証拠隠滅罪は、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・偽造・変造する行為などを対象としているためです。

違反した場合は、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。

つまり、自分が起こした交通事故について、自分の処罰を免れるために証拠を消したとしても、それだけで証拠隠滅罪が成立するわけではありません。

ただし、証拠を消しても何の問題もないという意味ではありません。

証拠隠滅を図った行為は、捜査や刑事処分などで不利に評価される可能性があります。

関連記事:ドラレコの証拠隠滅は罪になる?提出を拒否・削除した場合のリスクを解説

家族や知人が証拠隠滅に協力すると罪に問われる可能性がある

加害者本人ではなく、家族や知人などが事故の証拠を消した場合は、証拠隠滅罪に問われる可能性があります。

刑法第104条は、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・偽造・変造した場合などを処罰の対象としています。

そのため、加害者の家族がドラレコ映像を削除したり、知人が事故車を処分したりするなど、本人の刑事責任を免れさせる目的で証拠を消した場合は、証拠隠滅罪が成立するでしょう。

ただし、親族については刑法第105条に特例があり、犯人または逃走した者の親族が本人の利益のために証拠隠滅などをした場合は、刑を免除できるとされています。

そのため、家族や知人が加害者に頼まれて証拠隠滅に協力した場合でも、誰が何をしたのか、どのような関係にあるのかによって法的な扱いが変わります。

証拠隠滅罪にならなくても刑事処分や損害賠償に影響する

加害者本人による証拠隠滅が刑法上の証拠隠滅罪にあたらなくても、何の影響もないわけではありません。

刑事事件では、事故後に証拠を消した行為が犯行後の態度として考慮され、処分や量刑に不利に働きます。

実際に交通事故後に車両を洗車して証拠を消そうとした事案では、裁判所が罪証隠滅行為について犯行後の情状が悪いと評価しています。

また、民事上の損害賠償でも、証拠を故意に消すことは信用性を悪化させる行為です。

そのため、証拠隠滅罪が成立しないからといって、証拠を消した行為まで問題にならないわけではありません。

刑事・民事の両面で加害者に不利な事情として扱われるでしょう。

交通事故で証拠隠滅にあたる代表的な行為

交通事故で証拠隠滅にあたる代表的な行為を紹介します。

なお、ここでいう証拠隠滅とは、証拠を消したり隠したりする行為全般を指しており、必ずしも刑法上の証拠隠滅罪が成立するという意味ではありません。

  • ドラレコやSDカードなどのデータを削除・改ざんする
  • 事故車を修理・廃車して事故の痕跡を消す
  • 家族や同乗者などを運転者として身代わりにする
  • 同乗者や関係者と口裏を合わせる
  • 飲酒運転の発覚を免れるため現場から離れる

ドラレコやSDカードなどのデータを削除・改ざんする

ドライブレコーダーの映像は、事故当時の状況を確認するための有力な証拠です。

事故の様子が映像として残るため、信号の色や双方の動き、速度、衝突までの経緯などを確認する材料になります。

そのため、相手に不利な映像が残っていれば、過失割合や事故状況を争う際の重要な証拠として利用できます。

一方、加害者側から見れば、自分の信号無視や速度超過などが記録された映像は不利な材料です。

そこで、自分に不利な映像だけを削除したり、SDカードを処分したりして証拠を残さないようにする行為が問題になります。

ただし、ドラレコの映像は保存容量を超えると古いデータから自動的に上書きされるのが一般的です。

事故後に意図して削除したのではなく、通常の使用によって映像が消えたのであれば、証拠隠滅と同じように扱うのは適切ではありません。

関連記事:ドライブレコーダーは事故の証拠になる?役立つ場面や事例を解説

事故車を修理・廃車して事故の痕跡を消す

事故車両の損傷状態も、事故当時の状況を確認するための重要な証拠です。

へこみや傷の位置、塗料の付着状況などを調べると、衝突した位置や角度、双方の車両の動きなどを推測できます。

事故後に警察へ通報して事故処理をしてもらえば、事故の発生や現場・車両の状況などが警察資料に記録されます。

当事者自身でも事故直後の車両を撮影しておけば、その後に修理しても事故当時の状態を確認することが可能です。

一方、当て逃げやひき逃げで現場から離れた後、事故を起こした事実を隠すために車両の傷やへこみを修理したり、相手車両の塗料を落としたり、車両そのものを廃車にしたりする行為は証拠隠滅にあたります。

家族や同乗者などを運転者として身代わりにする

交通事故を起こした本人ではなく、家族や同乗者などが運転していたことにして、本当の運転者を隠す行為も証拠隠滅の一つです。

特に、無免許運転や飲酒運転などが発覚すると重い処分を受ける可能性がある場合、自分の代わりに同乗者などを運転者として警察へ申告させることがあります。

このような場合、身代わりになった人だけでなく、身代わりを依頼した実際の運転者も刑事責任を問われることになるでしょう。

実際の運転者が第三者に自分をかばうよう依頼し、その人が警察に虚偽の申告をした場合は、犯人隠避教唆罪が成立することがあります。

そのため、別人を運転者として申告させれば責任を逃れられるわけではなく、かえって新たな犯罪に問われるおそれがあります。

同乗者や関係者と口裏を合わせる

事故状況について同乗者や関係者と口裏を合わせ、実際とは異なる説明をそろえる行為も証拠隠滅の一つです。

運転者だけが信号は青だったと主張するよりも、複数の同乗者が同じ説明をすれば、自分の主張が信用されると考えて口裏を合わせる場合があります。

また、物損事故で衝突に気づいていたにもかかわらず、車内にいた全員で気づかなかったと虚偽の説明をするなど、事故後の対応について話を合わせる場合も考えられます。

ただし、同じ内容を証言する人が多いからといって、その主張がそのまま信用されるわけではありません。

裁判では、運転者と同乗者の関係性や供述の具体性・一貫性、ドラレコや車両の損傷状況などの客観的な証拠と矛盾していないかを踏まえて信用性を判断します。

飲酒運転の発覚を免れるため現場から離れる

飲酒運転で交通事故を起こした人が、警察によるアルコール検査を避けるために現場から離れる行為も、広い意味で証拠隠滅を図る行為といえます。

時間が経てば体内のアルコール濃度は低下するため、事故直後の検査を避ければ、事故当時の飲酒状況を確認しにくくなるからです。

実際に、飲酒運転の発覚を恐れて事故現場から逃走した事案もあります。

さらに、アルコールの影響が発覚するのを免れる目的で事故現場から離れたり、事故後に酒を飲んで事故当時のアルコール濃度を分からなくしたりすると、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪に問われる可能性があります。

関連記事:飲酒運転の同乗者も処罰がある?知らなかった場合や違法になるケースを解説

交通事故で相手に証拠を隠滅された場合の影響

相手に証拠を隠滅されると、事故状況を確認できる材料が減り、過失割合や損害賠償の交渉に影響する場合があります。

一方で、証拠を故意に消した行為そのものが、相手の主張の信用性や悪質性を判断する材料になることもあります。

交通事故で証拠を隠滅された場合にどのような影響があるのか見ていきましょう。

  • 事故状況や自分に有利な事実を証明しにくくなる
  • 過失割合の交渉で不利になる可能性がある
  • 示談交渉が長引く可能性がある
  • 相手の主張の信用性を疑う材料になる
  • 故意に証拠を消した行為が裁判で相手に不利になる
  • 証拠隠滅の悪質性が慰謝料の増額につながる

事故状況や自分に有利な事実を証明しにくくなる

相手に証拠を隠滅されると、事故当時の状況や自分に有利な事実を証明しにくくなります。

たとえば、相手の信号無視や速度超過がドラレコに記録されていたとしても、その映像を削除されれば、事故当時の状況を直接確認できる証拠が失われます。

事故車両を修理され、衝突痕が消された場合も同様です。

特に、双方の説明が食い違っている事故では、客観的な証拠が失われると、どちらの主張が正しいのか判断する材料が少なくなります。

その結果、本来であれば証明できたはずの相手の過失や自分に有利な事情を主張しにくくなるでしょう。

過失割合の交渉で不利になる可能性がある

信号の色や速度、車両の動きなどについて双方の主張が食い違っている場合は、客観的な証拠の有無が重要です。

本来は相手の過失を示せる映像や痕跡があったとしても、それを失えば、自分の主張を裏付ける材料が減ってしまいます。

その結果、本来よりも自分の過失を大きく主張されたり、相手側から提示された過失割合を覆しにくくなったりする場合があります。

ただし、相手が意図的に証拠を消した事情が明らかになれば、その行為自体を相手の主張の信用性を争う材料として利用できるでしょう。

示談交渉が長引く可能性がある

自分側に事故状況を裏付ける十分な証拠が残っていれば、相手に一部の証拠を隠滅されても交渉を進められる場合があります。

一方、双方にドラレコなどの客観的な証拠がなく、お互いに自分の主張が正しいと譲らない場合は、事故状況を確認できず話し合いが進まなくなることも少なくありません。

相手によって重要な証拠を隠滅されれば、事故状況を判断する材料が一層少なくなります。

そのため、防犯カメラや目撃者など新たな証拠を探したり、警察が作成した資料を取り寄せたりして、事故状況を改めて調査しなければなりません。

それでも双方の主張がまとまらなければ、最終的に裁判で過失割合などを争うことになり、解決まで長期間かかる可能性があります。

相手の主張の信用性を疑う材料になる

自分に不利な証拠を意図的に消す行為は、相手に事実と異なる認識を与えようとする悪質な行為です。

そのような行為が確認されれば、相手が説明している事故状況についても、本当に信用してよいのか疑われる原因になります。

裁判では、当事者の供述だけではなく、客観的な証拠との整合性や供述の一貫性、事故後の行動なども踏まえて信用性を判断します。

そのため、相手が自分に不利な証拠を故意に消したことが分かれば、弁護士はその行為を指摘し、相手の供述には信用性がないことを主張するのが一般的です。

相手の主張の信用性が低いと判断されれば、事故状況について相手側の説明が採用されにくくなり、結果として過失割合の認定に影響する場合もあります。

故意に証拠を消した行為が裁判で相手に不利になる

民事訴訟法では、相手が裁判で証拠として使うのを妨げる目的で、提出すべき文書を故意に処分した場合、裁判所がその文書について相手側の主張を真実と認めることができると定めています。

つまり、自分に不利な内容が記録されているからという理由で証拠を消しても、証拠がなくなったから有利になるとは限りません。

むしろ、なぜ証拠を処分したのかを問題視され、不利な事実を隠そうとしたと判断される可能性があります。

そのため、ドラレコ映像や事故に関する資料が意図的に消された疑いがある場合は、証拠がいつまで存在していたのか、いつ消されたのかなどを整理して主張することが重要です。

証拠隠滅の悪質性が慰謝料の増額につながる

交通事故の慰謝料は、けがの程度や治療期間、後遺障害等級などをもとに算定するのが基本です。

ただし、事故後の加害者の対応が著しく悪質な場合は、その事情が慰謝料額を判断する材料になることがあります。

証拠隠滅もその一つです。

自分に不利なドラレコ映像を意図的に削除したり、事故の痕跡を消したうえで虚偽の説明を続けたりすれば、被害者は事故そのものに加えて、事実を隠されたことによる精神的苦痛も受けることになります。

裁判でも、慰謝料を算定する際には事故後の加害者側の態度を考慮できるとした例があります。

交通事故で相手に証拠を隠滅された場合の対処法

相手に証拠を消された場合でも、事故状況を立証する方法が完全になくなるわけではありません。

手元に残っている資料を整理したり、新たな証拠を探したりしながら、相手の説明に矛盾がないか確認することが重要です。

交通事故で相手に証拠を隠滅された場合の対処法を解説します。

  • 手元に残っている証拠をもとに事故状況を主張する
  • 新たな証拠を探す
  • 相手の説明に矛盾や変化がないか確認する
  • 交通事故鑑定の専門家に事故状況を分析してもらう
  • 弁護士に相談して証拠の収集や相手との交渉を進める

手元に残っている証拠をもとに事故状況を主張する

相手に一部の証拠を隠滅されたとしても、自分の手元に残っている資料から事故状況を立証できる場合があります。

交通事故の状況は、一つの証拠だけで判断するとは限りません。

事故直後の写真や車両の損傷状況、実況見分調書、供述調書など、複数の証拠を組み合わせて判断します。

そのため、相手がドラレコの映像を削除したとしても、ほかの証拠から信号の状況や車両の動き、衝突した位置などを明らかにできる可能性があります。

証拠隠滅が疑われる場合は、まず現在残っている証拠を整理し、これ以上失われないように保存しておくことが重要です。

関連記事:ドラレコなしでも過失割合は不利になるとは限らない|証拠の集め方と対処法を解説

新たな証拠を探す

相手に重要な証拠を隠滅された場合は、事故状況を裏付けられる別の証拠や手がかりを探しましょう。

事故直後の写真や車両の損傷、警察資料、スマートフォンや車両に残った記録など、後から確認できる情報が残っている場合があります。

また、事故当時の状況を改めて思い出すことで、新たな証拠につながる場合もあります。

事故直後に立ち寄った店舗や周囲を走っていた車、家族へ送ったメッセージなど、思い出した内容から確認できる資料がないか探してみましょう。

相手の説明に矛盾や変化がないか確認する

証拠隠滅が疑われる場合は、相手の説明に矛盾や変化がないか確認しましょう。

特に注意したいのが、自分に不利な証拠がなくなった後になって、それまでとは正反対の主張を始める場合です。

事故直後は信号が赤だったと認めていたのに、ドラレコの映像がなくなった後から青だったと主張するなど、証拠の消失を境に説明が変われば、その供述の信用性を疑う材料になります。

このような場合は、なぜ説明が変わったのか、以前の説明は何だったのか、新しい主張にはどのような根拠があるのかを確認することが重要です。

証拠が消されたから反論できないと諦めるのではなく、証拠がなくなった時期と相手の供述の変化を整理し、相手の主張に信用性がないことを示す材料として活用しましょう。

交通事故鑑定の専門家に事故状況を分析してもらう

相手に証拠を隠滅され、自分の主張を裏付ける材料がほとんど残っていない場合は、交通事故鑑定人へ依頼する方法もあります。

交通事故鑑定人は、事故直後に撮影された写真や車両に残った傷、破片の位置、道路の形状などを分析し、事故がどのように発生したのかを検証する専門家です。

必要に応じて実際に事故現場を確認し、見通しや道路状況などを調べることもあります。

相手にドラレコ映像を削除されたり、事故車を修理されたりしても、事故に関するすべての情報が失われるとは限りません。

残っている写真や痕跡を別の角度から分析することで、それまで気づかなかった事実や新たな立証材料が見つかる場合があります。

関連記事:交通事故鑑定人とは?できることや費用相場、依頼するタイミングを解説

弁護士に相談して証拠の収集や相手との交渉を進める

自分の保険会社でも、事故状況の確認や相手との示談交渉には対応してもらえます。

ただし、証拠隠滅によって立証が難しくなった場合は、残された証拠からどのように自分の主張を裏付けるかまで考えて対応することが大切です。

弁護士へ依頼すれば、事故直後の写真や警察資料、車両の損傷、相手の供述などを確認し、ほかに取得できる証拠がないか検討してもらえます。

証拠が消えた時期と相手の説明が変わった時期を整理し、相手の主張の信用性を争うことも可能です。

必要に応じて弁護士会照会や証拠保全などの手続きを検討でき、示談で解決しなければそのまま裁判まで対応してもらえます。

交通事故で証拠隠滅が問題になった事例

交通事故で証拠隠滅が問題になった事例を紹介します。

  • ドラレコのデータ消去を指摘して約3,700万円で和解した事例
  • 車両の衝突痕を削って隠ぺいし示談金が800万円増額した事例
  • 事故当日に車を修理して証拠隠滅を図り懲役5年となった事例

ドラレコのデータ消去を指摘して約3,700万円で和解した事例

バイク事故で左手を骨折した20代の大学生が、相手側によるドラレコ映像の消去を裁判で指摘し、最終的に約3,700万円で和解した事例です。

【事故の内容】

  • 20代の大学生がバイク事故に遭い、左手舟状骨を骨折した
  • 後遺障害等級10級が認定された
  • 相手側が当初とは異なる事故状況を主張し、裁判が長期化していた
  • 事故当時にはドラレコが存在していたものの、映像データが消去されて残っていなかった
  • 被害者側は弁護士を変更し、ドラレコ映像が消去された点についても裁判で主張した

【事故の結果】

  • 裁判所の和解案では、相手側が主張する事故状況は採用されなかった
  • ドラレコのデータ消去に関する事情も慰謝料を判断する材料となった
  • そのほかの慰謝料増額事由や逸失利益なども含めて検討された
  • 最終的に約3,700万円で和解が成立した

この事例で注目したいのは、ドラレコの映像がなくなった後に、相手側が当初とは異なる事故状況を主張していたことです。

被害者側は、単に相手の新しい主張へ反論するだけではなく、本来存在していたドラレコ映像が消去されていることや、相手の説明が途中で変化していることについても問題を指摘しました。

その結果、裁判所が示した和解案では相手側の事故状況に関する主張が採用されず、ドラレコのデータ消去に関する事情も慰謝料の判断で考慮されています。

車両の衝突痕を削って隠ぺいし示談金が800万円増額した事例

大型トラックにはねられた70代男性が死亡した事故で、加害者によるひき逃げや証拠隠滅などの悪質な行為を主張し、当初の提示額から800万円増額して示談が成立した事例です。

【事故の内容】

  • 70代男性が散歩中、側道から出てきた大型トラックにはねられた
  • 被害者は脳挫傷などの重傷を負い、意識不明となった
  • 加害者は事故現場から逃走した
  • 事故後、車両に残った衝突の痕跡を石で削るなどして事故の証拠を隠そうとしていた
  • 被害者は意識が戻らないまま、事故から約半年後に死亡した

【事故の結果】

  • 加害者側の保険会社から当初3,000万円の示談金が提示された
  • 弁護士が刑事裁判の記録を取り寄せ、ひき逃げや証拠隠滅など事故後の行動を確認した
  • 加害者側の悪質な対応が慰謝料に十分反映されていないとして増額を主張した
  • 当初の提示額から800万円増額して示談が成立した

この事例では、加害者が事故現場から逃げただけでなく、車両に残った衝突痕を削り、事故の証拠を隠そうとしていたことが問題になりました。

弁護士は刑事裁判の記録まで確認し、事故後にどのような隠ぺい工作が行われたのかを具体的に把握したうえで、加害者側の対応の悪質性を慰謝料へ反映するよう主張しています。

その結果、保険会社から当初提示されていた3,000万円に800万円が上乗せされました。

事故当日に車を修理して証拠隠滅を図り懲役5年となった事例

死亡ひき逃げ事故を起こした加害者が、事故当日に車両を修理して証拠隠滅を図り、最終的に懲役5年の実刑判決を受けた事例です。

【事故の内容】

  • 2008年8月、宇都宮市内の県道で16歳の女性が乗用車にはねられた
  • 被害者は搬送先の病院で死亡した
  • 加害者は事故当時、酒気を帯びた状態で80km/hを超える速度で走行していた
  • 事故後に現場から逃走し、事故当日のうちに車両を修理して事故の痕跡を隠そうとした
  • 加害者が特定されたのは事故から約1年後だった

【事故の結果】

  • 加害者は自動車運転過失致死と道路交通法違反の罪に問われた
  • 宇都宮地方裁判所は、事故後に車を修理して証拠隠滅を図ったことなどを厳しく評価した
  • 被告人が真摯に反省しているとは認めにくいとも判断された
  • 求刑6年に対し、懲役5年の実刑判決が言い渡された

この事例では、死亡事故を起こして逃走しただけでなく、その日のうちに事故車を修理し、事故との関係を分からなくしようとした行為が問題になりました。

裁判所は、事故時の運転状況やひき逃げに加えて、車両を修理して証拠隠滅を図ったことや、その後の被告人の態度についても厳しく評価しています。

その結果、自動車運転過失致死と道路交通法違反について懲役5年の実刑判決が言い渡されました。

交通事故で証拠を隠滅された場合に弁護士へ相談

交通事故で証拠を隠滅された場合に弁護士へ相談するメリットを解説します。

  • 証拠をもとに適切な過失割合を主張してもらえる
  • 証拠隠滅の悪質性を主張して損害賠償の増額を目指せる
  • 示談で解決できなければ裁判まで対応してもらえる
  • 相手や保険会社とのやり取りを任せて精神的負担を減らせる
  • 弁護士費用特約があれば費用負担を抑えて依頼できる

証拠をもとに適切な過失割合を主張してもらえる

交通事故の過失割合は、過去の裁判例などをもとにした基本的な割合に、実際の事故状況を踏まえて修正を加えながら判断します。

弁護士へ依頼すれば、事故直後の写真や警察資料、車両の損傷、残っている映像などを確認し、どのような事故だったのかを整理したうえで適切な過失割合を主張してもらえます。

また、相手が証拠を消した後に説明を変えている場合は、その経緯も含めて相手の主張の信用性を争うことが可能です。

相手から提示された過失割合をそのまま受け入れるのではなく、残された証拠や証拠隠滅の経緯まで含めて検討してもらうことで、自分に不当に大きな過失が付くのを防げる可能性があります。

証拠隠滅の悪質性を主張して損害賠償の増額を目指せる

証拠隠滅は、自分に不利な事実を隠そうとする悪質な行為です。

そのため、証拠がなくなったことだけでなく、事故後の加害者の行動や態度そのものが慰謝料を判断する際の材料になる場合があります。

弁護士へ依頼すれば、証拠を消した経緯や、その後に説明を変えていないかなどを整理し、加害者側の対応が悪質であることを具体的に主張してもらえます。

また、弁護士は自賠責基準や保険会社独自の基準ではなく、裁判例をもとにした弁護士基準で慰謝料を請求することが可能です。

証拠隠滅やひき逃げなど、通常より精神的苦痛が大きい事情があれば、それらも含めて慰謝料の増額を主張してもらえるでしょう。

示談で解決できなければ裁判まで対応してもらえる

証拠を隠滅するような相手は、自分に不利な事実を簡単には認めず、最後まで自分の主張を続けることがあります。

そのため、事故状況や証拠を消した経緯について双方の主張が食い違い、示談交渉が長引くことも少なくありません。

話し合いで解決できなければ、最終的には裁判で事故状況や過失割合、損害賠償額などを争うことになります。

保険会社の示談交渉サービスは、相手との話し合いによる解決をサポートするものです。

裁判まで進んだ場合に、自分の代理人として訴訟対応を任せるのであれば弁護士へ依頼する必要があります。

最初から弁護士へ依頼しておけば、示談交渉の段階から裁判を見据えて証拠や主張を整理してもらえます。

示談で解決できなかった場合も、そのまま訴訟対応を任せられるため、手続きをスムーズに進められるでしょう。

相手や保険会社とのやり取りを任せて精神的負担を減らせる

弁護士へ依頼すれば、相手本人や相手側の保険会社との連絡・交渉を任せることが可能です。

被害者自身が何度も同じ説明をしたり、相手の主張に直接対応したりする必要がなくなります。

治療や仕事、日常生活への影響が続いている中で、証拠隠滅まで含めた複雑な交渉を自分で進めるのは簡単ではありません。

弁護士に窓口を一本化することで、交渉による精神的な負担を減らしやすくなるでしょう。

弁護士費用特約があれば費用負担を抑えて依頼できる

弁護士へ依頼したくても、費用がどのくらいかかるのか不安に感じる人もいるでしょう。

自動車保険などに弁護士費用特約が付いていれば、示談交渉や裁判を依頼した際の弁護士費用、法律相談料などを補償してもらえます。

弁護士へ依頼したほうが、適切な過失割合や損害賠償額で解決できる可能性も高まるでしょう。

弁護士費用特約は利用するメリットが大きい特約なので、加入している場合は積極的に利用を検討してください。

関連記事:弁護士費用特約の使い方・利用の流れ|使うべきケースと弁護士の選び方を紹介

まとめ

交通事故で相手にドラレコ映像を削除されたり、事故車を修理されたりすると、事故状況の立証が難しくなる場合があります。

一方で、証拠を消した行為そのものが、相手の主張の信用性や事故後の悪質な対応を判断する材料になることもあります。

残っている証拠を整理し、新たな証拠や手がかりを探しながら、相手の説明に矛盾がないか確認することが重要です。

証拠隠滅が疑われる事故は、通常の交通事故より過失割合や損害賠償をめぐる争いが複雑になりやすい傾向があります。

自分だけで対応するのが難しい場合は、早めに交通事故に詳しい弁護士へ相談し、証拠の収集や示談交渉、必要に応じて裁判まで対応してもらいましょう。

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