
逆走車との交通事故では、基本的に逆走した側の過失が大きくなります。
しかし、事故の状況によっては、正しく走行していた被害者側にも過失が認められる場合があるため注意が必要です。
また、一方通行の逆走やセンターラインを越えた対向車との衝突、高速道路での逆走など、事故の状況によって過失割合の考え方は異なります。
逆走車を避けようとして別の車やガードレールに衝突した場合など、直接接触していない事故では責任関係が複雑になる場合もあるでしょう。
本記事では、逆走車との交通事故の過失割合を事故状況別に解説します。
逆走事故の事例や罰則・違反点数、過失割合に納得できない場合の対処法も紹介するので、逆走車との事故でお困りの方は参考にしてください。
・逆走した場合の罰則・違反点数は、大型車は12,000円、普通車は9,000円、二輪車は7,000円、原付は6,000円、違反点数2点
・逆走車と交通事故を起こした場合の過失割合は、一方通行を逆走した車との事故(8:2)、センターラインを越えてきた逆走車との事故(10:0)、高速道路を逆走した車との事故(10:0)
・逆走車を避けて事故を起こした場合は、逆走車と接触していなくても損害賠償を請求できる場合がある、逆走車が原因で事故が起きたことを証明することが重要
・逆走車との交通事故の過失割合に納得できない場合の対処法は、ドライブレコーダーなどの証拠を集め直す、類似する事故の判例や過失割合を確認する、弁護士に相談する
逆走事故とは?定義や罰則・違反点数
逆走事故とは、本来走行すべき方向とは反対方向に車両が進行し、ほかの車や歩行者などと衝突する事故です。
逆走は重大事故につながる危険性があるだけでなく、道路交通法違反として罰則や違反点数の対象になります。
まずは、逆走事故の定義や発生しやすい状況、逆走した場合の罰則・違反点数について見ていきましょう。
- 逆走事故の定義
- 逆走事故が起こりやすいケース
- 逆走した場合の罰則・違反点数
逆走事故の定義
逆走事故とは、道路で定められた進行方向に反して走行し、ほかの車両や歩行者などと衝突する交通事故です。
高速道路では、分合流部や出入口部などで進行方向を誤り、そのまま本線を逆走する事故が多く発生しています。
また、逆走は高齢になるほど発生する割合が高く、特に75歳以上の運転者による逆走が多い傾向にあります。
一般道では、一方通行の道路を反対方向へ走行するほか、センターラインを越えて対向車線へ進入し、そのまま対向車と衝突する事故などが多いでしょう。
逆走事故は正面衝突につながる危険性が高く、双方の車両が走行している場合は衝突時の被害も大きくなりがちです。
特に高速道路では走行速度が高いため、死亡事故などの重大事故につながるおそれがあります。
逆走事故が起こりやすいケース
逆走事故は、高速道路の出入口やインターチェンジ、一般道の一方通行など、進行方向を間違える可能性がある場所で発生します。
逆走が起こる主な原因や状況は以下のとおりです。
- 高速道路のインターチェンジやジャンクションで進行方向を間違える
- サービスエリアやパーキングエリアから本線へ戻る際に進行方向を間違える
- 高速道路の出口から誤って進入する
- 一方通行の標識を見落として進入する
- 道に迷い、誤った方向へ進んでしまう
- 認知機能や判断能力の低下によって進行方向を誤る
- 飲酒により正常な判断ができない状態で運転する
逆走は運転者本人が進行方向を間違えていると認識していない場合もあります。
そのまま長い距離を走行すると複数の車両を巻き込むおそれがあるため、非常に危険な行為です。
逆走した場合の罰則・違反点数
逆走した場合は、道路交通法違反として罰則や違反点数の対象です。
逆走する行為は、道路交通法上の通行区分違反に該当します。
通行区分違反の違反点数と反則金は以下のとおりです。
| 車両の種類 | 違反点数 | 反則金 |
|---|---|---|
| 大型車 | 2点 | 12,000円 |
| 普通車 | 2点 | 9,000円 |
| 二輪車 | 2点 | 7,000円 |
| 原付 | 2点 | 6,000円 |
逆走事故を起こしたからといって、必ず通行区分違反だけが適用されるわけではありません。
逆走に至った状況や事故時の運転によっては、安全運転義務違反や酒気帯び運転など、別の違反が成立する可能性もあります。
逆走車と交通事故を起こした場合の過失割合
逆走車と交通事故を起こした場合は、基本的に逆走した側の過失が大きくなります。
ただし、逆走していたからといって、必ずしも相手側の過失が100%になるとは限りません。
過失割合は、道路の状況や双方の走行方法、事故を回避できる可能性があったかなどを考慮して判断されます。
また、一方通行や高速道路、バイク・自転車との事故など、事故の状況によっても考え方が異なります。
逆走車との交通事故の過失割合を事故状況別に見ていきましょう。
- 一方通行を逆走した車との事故
- センターラインを越えてきた逆走車との事故
- 高速道路を逆走した車との事故
- バイクが逆走してきた場合の事故
- 自転車が逆走してきた場合の事故
一方通行を逆走した車との事故
一方通行の道路を逆走した車と、正しい方向に走行している車が衝突した場合、基本過失割合は「逆走車:非逆走車=8:2」です。
一方通行では、車両は道路標識などで指定された方向へ走行しなければなりません。
そのため、通行方向に違反している逆走車側の過失が大きくなります。
ただし、相手が逆走していたとしても、原則として10:0になるわけではありません。
正しい方向に走行している車にも、前方の安全を確認しながら運転する義務があるためです。
一方通行だから対向車は来ないだろうと過信し、前方を十分に確認していなかった場合や速度超過があった場合には、非逆走車側の過失が増える可能性があります。
センターラインを越えてきた逆走車との事故
センターラインを越えて対向車線に進入してきた車と衝突した場合は、基本的にセンターラインを越えた車側の過失が100%となります。
道路交通法では、車両は原則として道路の中央から左側を通行しなければなりません。
対向車が突然センターラインを越えてきた場合、正しく走行していた車が事故を予測して回避するのは困難です。
そのため、「センターラインを越えた車:対向車=10:0」となるのが基本的な考え方です。
高速道路を逆走した車との事故
高速道路を逆走してきた車と正面衝突した場合は、原則として逆走車側の過失が100%となり、基本過失割合は「逆走車:非逆走車=10:0」です。
高速道路は車両の進行方向が明確に分けられており、通常の走行をしている運転者が対向車の存在を想定する必要はありません。
また、一般道よりも走行速度が高いため、逆走車を発見してから衝突するまでの時間が短く、回避が困難な場合も多いでしょう。
そのため、正しい方向に走行していた車に速度超過や著しい前方不注視などの事情がなければ、基本的に過失は認められません。
ただし、逆走車をかなり手前から確認していたにもかかわらず減速や回避をしなかった場合など、非逆走車側にも事故の発生につながる運転があれば、一定の過失が認められる可能性があります。
バイクが逆走してきた場合の事故
一方通行の道路を逆走してきたバイクと、正しい方向に走行している車が衝突した場合、基本過失割合は「バイク:車=7:3」です。
同じ一方通行の逆走でも、車同士の事故では基本過失割合が8:2となるのに対し、バイクと車の事故では7:3となります。
バイクは車と比べて事故時に大きな被害を受ける可能性が高く、交通事故の過失割合では車よりも保護される傾向があるためです。
ただし、バイクがセンターラインを越えて対向車線を逆走し、正しく走行していた車と衝突した場合は、原則としてバイク:車=10:0となります。
このように、バイクが逆走していた場合でも、事故が発生した道路や衝突時の状況によって基本過失割合は異なります。
自転車が逆走してきた場合の事故
自転車が逆走してきた場合の過失割合は、事故が発生した場所や自動車と自転車のどちらが逆走していたかによって異なります。
代表的な過失割合は以下のとおりです。
| 事故の状況 | 基本過失割合 |
|---|---|
| 信号のない交差点で自転車が逆走してきた | 逆走自転車:自動車=5:5 |
| 自転車がセンターラインを越えて逆走してきた | 逆走自転車:自動車=5:5 |
| 自動車が逆走して自転車と衝突した | 逆走車:自転車=9:1 |
自転車も車両に該当するため、原則として車道の左側を通行しなければなりません。
そのため、右側を逆走して事故を起こした場合は、自転車側にも一定の過失が認められます。
ただし、自転車がセンターラインを越えて逆走してきた場合でも、自動車との事故では基本過失割合が5:5となる点に注意が必要です。
自動車同士であれば、センターラインを越えた側の過失が原則100%となるため、大きな違いがあります。
これは、自転車が自動車と比べて事故による被害を受けやすく、過失割合を決める際に保護される傾向があるためです。
反対に、自動車側が逆走して自転車と衝突した場合は、逆走車側の過失が大きくなり、基本過失割合は9:1となります。
逆走車との交通事故でも被害者側に過失がつく場合がある
逆走車との交通事故では、交通ルールに違反している逆走車側の過失が大きくなるのが基本です。
しかし、相手が逆走していたからといって、必ず被害者側の過失が0%になるとは限りません。
被害者側の運転にも事故の発生や被害の拡大につながる問題があれば、基本過失割合から修正され、被害者側の過失が増える場合があります。
逆走事故で被害者側にも過失が認められる主な状況を解説します。
- 被害者側が速度超過していた場合
- 被害者側に前方不注視があった場合
- 被害者側が酒気帯び運転をしていた場合
- 逆走車を発見してから回避する余地があった場合
被害者側が速度超過していた場合
逆走車との交通事故でも、被害者側が制限速度を超えて走行していた場合は、過失割合が加算される可能性があります。
速度が高くなるほど危険を発見してから停止するまでに必要な距離が長くなり、事故を回避するのが難しくなるためです。
一般的な過失割合の基準では、時速15km以上30km未満の速度超過で10%程度、時速30km以上の速度超過では20%程度が修正要素として加算される場合があります。
たとえば、基本過失割合が逆走車:被害者=8:2の事故でも、被害者側に速度超過があれば7:3や6:4などに修正される可能性があります。
ただし、速度超過があれば必ず一定割合が加算されるわけではありません。
事故の態様や道路状況なども含めて判断されるため、ドライブレコーダーや防犯カメラなどから事故当時の速度を確認することが重要です。
被害者側に前方不注視があった場合
運転者には、進行方向の安全を確認し、危険があれば減速や停止などによって事故を回避する義務があります。
そのため、相手が逆走していたとしても、被害者側が前方を十分に確認していなかったと判明すれば、過失が認められます。
たとえば、スマートフォンを操作しながら運転していた、カーナビを長時間見ていた、脇見運転をしていたなどが代表的です。
前方を確認していれば逆走車を早い段階で発見でき、事故を回避できたかもしれません。
ただし、逆走車が突然目の前に現れたなど、前方を確認していても事故を避けるのが困難だった場合は、前方不注視を理由に過失が加算されるとは限りません。
前方不注視の有無は、ドライブレコーダーの映像や目撃者の証言、事故現場の見通しなどをもとに判断されます。
被害者側が酒気帯び運転をしていた場合
逆走車との交通事故でも、被害者側が酒気帯び運転をしていた場合は、過失割合が増える可能性があります。
飲酒すると注意力や判断力、反応速度などが低下するため、通常であれば回避できた事故を避けられなかったと判断される場合があるためです。
交通事故の過失割合では、酒気帯び運転は著しい過失、酒酔い運転は重過失として扱われるのが一般的です。
ただし、被害者側が飲酒運転をしていたという事実だけで、必ず過失割合が増えるわけではありません。
逆走車が突然センターラインを越えてきたなど、飲酒の有無にかかわらず事故を回避できなかったと考えられる状況では、過失割合に影響しない場合もあります。
なお、事故の過失割合とは別に、酒気帯び運転や酒酔い運転が認められれば、被害者側も道路交通法に基づく行政処分や刑事処分を受けます。
関連記事:飲酒運転で事故を起こしたらどうなる?罰則と仕事や生活への影響を解説
逆走車を発見してから回避する余地があった場合
逆走車を事前に発見し、十分に事故を回避できる状況だったにもかかわらず、そのまま走行を続けた場合は、被害者側にも過失が認められる可能性があります。
運転者には、危険を発見した際に減速や停止、進路変更などによって事故を回避する義務があるためです。
相手が交通ルールに違反して逆走していても、衝突を避けられる状況で何も対応しなければ、被害者側の過失が0%になるとは限りません。
たとえば、見通しのよい直線道路で遠くから逆走車を確認できたにもかかわらず、速度を落とさずに走行を続けた場合などが考えられます。
一方、カーブを曲がった直後に逆走車が現れた場合や、高速道路で逆走車を発見してから衝突するまでの時間がほとんどなかった場合などは、回避する余地がなかったと判断されるでしょう。
逆走が原因で発生した交通事故の事例
逆走事故の過失割合や損害賠償責任は、事故当時の道路状況や双方の運転方法などによって判断されます。
そのため、実際の裁判でどのような判断が下されているのかを参考にすると良いでしょう。
逆走が原因で発生した交通事故の裁判例を3つ紹介します。
- 一方通行を逆走した車との事故でバイク側にも1割の過失が認められた事例
- 一方通行を逆走する形でバックした車に100%の過失が認められた事例
- 泥酔状態で高速道路を逆走して4人を死傷させ約8,894万円の賠償が命じられた事例
一方通行を逆走した車との事故でバイク側にも1割の過失が認められた事例
一方通行の側道を逆走して国道へ出てきた車と、国道を直進していたバイクが衝突した事故で、バイク側にも1割の過失が認められた事例です。
【事故の内容】
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【事故の結果】
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この事例では、一方通行を逆走していた加害車両だけでなく、正しく走行していたバイク側にも過失が認められたことがポイントです。
裁判所は、バイク側にも前方の安全確認が不十分だった面があるとして、10%の過失相殺を認めています。
相手が一方通行を逆走していたとしても、被害者側の過失が必ず0%になるわけではありません。
被害者側に前方不注視などがあれば、事故状況に応じて一定の過失が認められる可能性があります。
一方通行を逆走する形でバックした車に100%の過失が認められた事例
一方通行の道路をバックしていた自動車と、正しい方向に進行していた自転車が衝突し、自動車側に100%の過失が認められた事例です。
【事故の内容】
|
【事故の結果】
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この事例では、自転車側がバックしてくる自動車に気付いていたにもかかわらず、自転車側の過失が0%と判断されたことがポイントです。
裁判所は、自動車が一方通行に違反する形で道路の右寄りを後退していたことを重く評価しました。
そのため、自転車側が衝突を回避しなかった事情があっても、自動車側の違反と比べれば過失相殺するほどではないと判断されています。
泥酔状態で高速道路を逆走して4人を死傷させ約8,894万円の賠償が命じられた事例
泥酔状態で高速道路を逆走して複数の車と正面衝突し、4人を死傷させた事故で、加害者本人に約8,894万円の損害賠償が命じられた事例です。
【事故の内容】
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【事故の結果】
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この事例では、泥酔状態で高速道路を逆走する行為の悪質性が、慰謝料の金額にも大きく影響したことがポイントです。
裁判所は加害者の行為を極めて悪質なものと評価し、交通事故の損害賠償としては異例となる3,600万円の慰謝料を認めました。
一方、事故前の忘年会を開催した勤務先や、加害者の飲酒運転を止めなかった元上司については、法的な責任までは認められていません。
逆走事故では運転者本人が責任を負うのが基本ですが、飲酒運転などの悪質な事情が重なると、高額な損害賠償や重い刑事責任につながる可能性があります。
逆走車を避けて事故を起こした場合はどうなる?
逆走車を避けようとして急ハンドルを切り、ほかの車やガードレールに衝突するなど、逆走車とは直接接触せずに交通事故が発生する場合があります。
このような事故は、非接触事故と呼ばれます。
逆走車を避けて事故を起こした場合の過失割合や損害賠償、相手が逃げた場合の対応について、見ていきましょう。
- 逆走車を避けて事故を起こした場合の過失割合
- 逆走車と接触していなくても損害賠償を請求できる場合がある
- 逆走車が原因で事故が起きたことを証明することが重要
- 逆走車が逃げた場合は相手の特定が必要になる
逆走車を避けて事故を起こした場合の過失割合
逆走車を避けようとしてガードレールやほかの車に衝突した場合でも、逆走車側に過失が認められる可能性があります。
このような非接触事故でも、基本的には同じ状況で接触事故が起きた場合の過失割合をもとに判断します。
たとえば、本来であれば逆走車:非逆走車=8:2となる状況で、非逆走車が衝突を避けるためにハンドルを切って単独事故を起こしたとしても、接触していないという理由だけで逆走車の過失がなくなるわけではありません。
被害者が取った回避行動が適切だったかどうかも過失割合を決める重要なポイントです。
必要以上に大きくハンドルを切ったなど、回避方法に問題があったと判断されれば、被害者側の過失が増える場合があります。
関連記事:非接触事故で過失割合を有利に進める方法|争点のポイントや事例を紹介
逆走車と接触していなくても損害賠償を請求できる場合がある
逆走車と直接接触していなくても、相手の逆走が原因で事故が発生したと認められれば、損害賠償を請求できます。
非接触事故では、車両同士がぶつかったかどうかではなく、相手の運転と発生した損害との因果関係が重要です。
たとえば、逆走車との正面衝突を避けるために急ハンドルを切り、ガードレールに衝突して車が壊れたり、ケガをしたりした場合などです。
一方で、逆走車との距離が十分にあり、急ハンドルを切らなくても衝突する危険がなかった場合などは、損害賠償が認められない可能性があります。
実際に非接触事故では、客観的に衝突の危険があったのか、被害者の回避行動が必要かつ適切だったのかなどが重視されます。
そのため、逆走車と接触していないからといって、すぐに自損事故だと諦める必要はありません。
相手の逆走と事故との因果関係を証明できるかどうかが、損害賠償を請求するうえで重要になります。
逆走車が原因で事故が起きたことを証明することが重要
逆走車との非接触事故で損害賠償を請求するには、相手の逆走が原因で事故が発生したと証明することが重要です。
車同士が衝突していれば、車体の損傷箇所などから事故状況を確認できます。
一方、非接触事故では逆走車に衝突した痕跡が残らないため、相手から自分の逆走とは関係なく起きた事故だと主張される可能性があります。
そのため、事故後は以下のような証拠を確保しておきましょう。
- ドライブレコーダーの映像
- 周辺の防犯カメラの映像
- 事故現場やタイヤ痕などの写真
- 目撃者の証言
- 警察が作成した実況見分調書など
特にドライブレコーダーには、逆走車の走行位置や事故直前の状況、自分が回避行動を取った経緯などが記録されている可能性があります。
国土交通省も、ドライブレコーダーの映像は交通事故の客観的な証拠として有効としています。
逆走車が逃げた場合は相手の特定が必要になる
非接触事故では車両同士がぶつからないため、逆走車の運転者が事故を起こしたと気づかないまま走り去ってしまう場合があります。
そのまま相手が立ち去った場合、損害賠償を請求するには逆走車や運転者の特定が必要です。
また、非接触事故であっても、相手の運転が原因で事故が発生していれば交通事故として扱われます。
事故の発生を認識しながら必要な対応をせずに立ち去った場合は、ひき逃げや当て逃げに該当する可能性もあります。
相手が逃げた場合は、警察に事故の状況を伝えたうえで、被害届の提出について相談しましょう。
ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、目撃情報などから、逆走車の特定につながる可能性があります。
相手を特定できなければ、逆走車本人への損害賠償請求は困難です。
ナンバーや車種、色などを覚えている場合は、警察へできる限り詳しく伝えてください。
関連記事:ひき逃げされた場合にまず行うべき対応|重要な証拠や検挙率、見つからない場合の対処法
逆走車との交通事故の過失割合に納得できない場合の対処法
逆走車との交通事故では、相手が明らかに交通ルールへ違反していても、保険会社から提示された過失割合が10:0になるとは限りません。
そのため、提示された過失割合に納得できない場合もあるでしょう。
保険会社から提示された割合をそのまま受け入れる必要はなく、根拠を確認したうえで交渉するのも選択肢の一つです。
逆走事故の過失割合に納得できない場合の対処法を紹介します。
- ドライブレコーダーなどの証拠を集め直す
- 類似する事故の判例や過失割合を確認する
- 保険会社に過失割合の根拠を確認・交渉する
- 弁護士に相談する
ドライブレコーダーなどの証拠を集め直す
提示された過失割合に納得できない場合は、まず事故状況を証明できる証拠を集め直しましょう。
過失割合を変更してもらうには、単に納得できないと主張するだけではなく、相手の逆走や事故直前の状況を客観的に示す証拠が重要です。
たとえば、以下のような証拠が役立ちます。
- ドライブレコーダーの映像
- 事故現場や車両の損傷箇所を撮影した写真
- 周辺店舗や住宅などの防犯カメラ映像
- 目撃者の証言
- 実況見分調書などの刑事記録
特にドライブレコーダーの映像が残っていれば、相手がどこから逆走してきたのか、双方がどの程度の速度で走行していたのかなどを確認する材料になります。
保険会社から過失割合を提示された段階で諦めず、事故状況を裏付けられる証拠がほかにないか確認してみましょう。
関連記事:ドライブレコーダーは事故の証拠になる?役立つ場面や事例を解説
類似する事故の判例や過失割合を確認する
保険会社は基本的に、別冊判例タイムズの民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準などを参考に過失割合を判断します。
そのため、事故類型に応じて設定されている基本過失割合そのものを大きく変えるのは簡単ではありません。
過失割合について争う場合に重要になるのが、基本過失割合に加える修正要素です。
速度超過や前方不注視、著しい過失などを事故状況に当てはめ、自分の過失を減らしたり、相手の過失を増やしたりできないか検討します。
そこで参考になるのが、自分の事故と類似する過去の判例です。
同じような逆走事故でも、道路状況や双方の運転方法によって裁判所の判断は異なります。
たとえば、保険会社が参考にした判例とは別の判例を示したり、事故状況を違う角度から捉えたりすると、自分に有利な修正要素を主張できる場合があります。
ただし、どの判例が自分の事故に当てはまるのか、どの事情を修正要素として主張できるのかを判断するには専門知識が必要です。
自分で判断するのが難しい場合は、交通事故に詳しい弁護士へ相談するのも一つの方法です。
保険会社に過失割合の根拠を確認・交渉する
保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、なぜその割合になったのか根拠を確認したうえで交渉しましょう。
まず確認したいのは、どの事故類型をもとに基本過失割合を決め、どのような修正要素を加えているのかです。
たとえば、自分では前方不注視はなかったと考えているにもかかわらず、それを理由に過失が加算されている可能性もあります。
根拠を確認して疑問があれば、ドライブレコーダーの映像や事故現場の写真、類似する事故の判例などを示して反論しましょう。
相手側に速度超過などの修正要素があれば、その点を指摘して過失割合の変更を求める方法もあります。
弁護士に相談する
過失割合の交渉には、判例や基本過失割合、修正要素などの専門知識が必要になるため、交通事故に詳しい弁護士へ任せたほうが安心です。
弁護士は交通事故に関する法律や判例を把握しており、保険会社との交渉経験もあります。
自分で対応する場合と比べて知識量や経験に差があるため、事故状況に応じた主張を組み立てやすく、過失割合を変更できる可能性も高まるでしょう。
また、自分で類似する判例や資料を探そうとすると、多くの時間がかかります。
どの資料が自分の事故に使えるのか判断するのも簡単ではありません。弁護士であれば、必要な判例や資料を効率よく調査し、交渉に活用してもらえます。
関連記事:交通事故の過失割合に納得いかないときは?対処法や決め方をわかりやすく紹介
逆走車との交通事故を弁護士に相談するメリット
逆走車との交通事故では、過失割合の交渉だけでなく、証拠の収集や損害賠償額の計算、保険会社との示談交渉など、さまざまな対応が必要になります。
交通事故に詳しい弁護士へ依頼すれば、専門知識が必要な手続きを任せられるほか、慰謝料を増額できる可能性もあります。
逆走車との交通事故を弁護士に相談するメリットを見ていきましょう。
- 適切な過失割合になるよう交渉してもらえる
- 逆走事故の証拠収集をサポートしてもらえる
- 弁護士基準で慰謝料を請求できる
- 保険会社との示談交渉を任せられる
- 弁護士費用特約を利用すれば費用の負担を抑えられる
適切な過失割合になるよう交渉してもらえる
逆走事故の被害者としては、相手が交通ルールに違反している以上、自分の過失を0%にしたいと考えるでしょう。
しかし、一方通行を逆走してきた車との事故では、正しい方向に走行していた被害者側にも20%程度の過失が認められるのが基本です。
さらに、相手側の保険会社から、被害者にも速度超過や前方不注視があったなどと主張され、過失割合を増やされる場合もあります。
相手が逆走してきたにもかかわらず、自分の過失まで増やされれば納得できない方も多いでしょう。
このような場面で頼りになるのが弁護士です。
事故当時の状況やドライブレコーダーなどの証拠を確認し、相手側が主張する修正要素が本当に妥当なのかを検討してもらえます。
根拠のない過失加算には反論し、自分に有利な修正要素があれば相手側へ主張してもらうことも可能です。
関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説
逆走事故の証拠収集をサポートしてもらえる
ドライブレコーダーに事故の様子が残っていればわかりやすいものの、すべての事故で十分な映像が残っているとは限りません。
映像が不鮮明だったり、事故の瞬間が映っていなかったりする場合もあります。
弁護士へ依頼すれば、ドライブレコーダーだけでなく、防犯カメラの映像や目撃者の証言、実況見分調書など、事故状況を証明するために何が必要なのか判断してもらえます。
自分では気付かなかった証拠が見つかる可能性もあるでしょう。
また、防犯カメラの映像は一定期間が経過すると上書きされる場合があります。
刑事記録についても、一般の方には取得方法がわかりにくいものです。
事故後の早い段階で弁護士へ相談すれば、必要な証拠を判断してもらい、過失割合の交渉に向けて効率よく準備を進められます。
弁護士基準で慰謝料を請求できる
逆走事故でケガをした場合は、相手側に入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などを請求できます。
弁護士へ依頼すれば、弁護士基準を使って慰謝料を請求できるのが大きなメリットです。
交通事故の慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。
このうち、一般的に最も高額になるのが弁護士基準です。
相手側の保険会社は、自社の任意保険基準をもとに慰謝料を提示してきます。
そのまま示談すると、本来請求できた金額よりも低い慰謝料で解決してしまう可能性もあるでしょう。
弁護士へ依頼すれば、過去の裁判例などをもとにした弁護士基準で慰謝料を計算し、相手側の保険会社と増額交渉してもらえます。
過失割合が改善され、さらに弁護士基準で慰謝料を請求できれば、最終的に受け取れる損害賠償額が大きく増える可能性があります。
保険会社との示談交渉を任せられる
高速道路の逆走やセンターラインを越えてきた車との事故では、基本過失割合が逆走車:被害者=10:0になります。
被害者に過失がありませんので、自分が加入している保険会社に示談交渉を代行してもらえません。
そのため、被害者自身が相手側の保険会社と過失割合や損害賠償額について交渉する必要があります。
交通事故の知識がない状態で、示談交渉を日常的に扱っている保険会社の担当者とやり取りするのは大きな負担になるでしょう。
弁護士へ依頼すれば、相手側の保険会社との連絡や示談交渉をまとめて任せられます。
また、保険会社とのやり取りを弁護士に任せれば、精神的な負担も軽減できます。
弁護士費用特約を利用すれば費用の負担を抑えられる
弁護士に依頼したいと思っていても、弁護士費用が気になって相談をためらう方もいるでしょう。
そのような場合は、自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いていないか確認してください。
弁護士費用特約を利用すれば、交通事故について弁護士へ相談・依頼した際にかかる費用を保険会社が補償してくれます。
一般的には、法律相談料は10万円程度、弁護士費用は300万円程度まで補償される契約が多いです。
逆走事故では、過失割合が10:0となり、自分の保険会社に示談交渉を任せられない場合があります。
このような事故でも、弁護士費用特約を利用して弁護士に示談交渉を依頼できます。
また、自分の自動車保険に特約がなくても、家族の自動車保険や火災保険などに付帯している弁護士費用特約を利用できる場合がありますので、確認してみてください。
関連記事:弁護士費用特約の使い方・利用の流れ|使うべきケースと弁護士の選び方を紹介
逆走車との交通事故に関するよくある質問
逆走車との交通事故に関するよくある質問を紹介します。
- 一般道で起きた逆走事故の過失割合は?
- 逆走車を避けて事故を起こした場合は誰が責任を負う?
- 一方通行を逆走した車と正面衝突した場合の過失割合は?
- 逆走した自転車同士で事故を起こした場合の過失割合は?
- 逆走事故を起こした場合の違反点数は?
一般道で起きた逆走事故の過失割合は?
一般道で起きた逆走事故の過失割合は、事故の状況によって異なります。
一方通行を逆走した車と正しい方向に走行していた車が衝突した場合は、逆走車:非逆走車=8:2が基本です。
一方、センターラインを越えてきた車と正面衝突した場合は、原則として逆走車:非逆走車=10:0になります。
ただし、速度超過や前方不注視などがあれば、基本過失割合から修正される場合があります。
逆走車を避けて事故を起こした場合は誰が責任を負う?
逆走車を避けてガードレールやほかの車に衝突した場合でも、逆走が事故の原因であれば、逆走車側に損害賠償責任が生じる可能性があります。
ただし、逆走車との接触がないため、相手の逆走と事故との因果関係を証明する必要があります。
ドライブレコーダーや防犯カメラなどの証拠を確保しておきましょう。
一方通行を逆走した車と正面衝突した場合の過失割合は?
一方通行を逆走した車と正しい方向に走行していた車が正面衝突した場合は、逆走車:非逆走車=8:2が基本です。
相手が逆走していても、正しく走行していた側にも前方を確認する義務があるため、必ず10:0になるわけではありません。
ただし、事故状況や双方の速度などによって過失割合が修正される場合があります。
逆走した自転車同士で事故を起こした場合の過失割合は?
自転車同士で一方が逆走して事故を起こした場合、基本的な過失割合は逆走自転車:非逆走自転車=5:5です。
車道だけでなく、歩道上で事故が起きた場合も基本的には5:5となります。
ただし、双方の速度や前方不注視など、事故当時の状況によって過失割合が修正されます。
逆走事故を起こした場合の違反点数は?
車で逆走した場合は、通行区分違反として違反点数2点が科されます。
反則金は車種によって異なり、大型車は12,000円、普通車は9,000円、二輪車は7,000円、原付は6,000円です。
なお、逆走時に飲酒運転など別の交通違反があった場合や、人身事故を起こした場合は、さらに重い処分を受ける可能性があります。
まとめ
逆走車との交通事故では、事故が発生した場所や車両の種類によって過失割合が異なります。
一方通行を逆走した車との事故では8:2、センターラインを越えてきた車や高速道路を逆走した車との事故では10:0になるのが基本です。
ただし、被害者側に速度超過や前方不注視などがあれば、過失割合が修正される場合もあります。
相手が逆走していたという理由だけで、自分の過失が必ず0%になるわけではありません。
保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、ドライブレコーダーなどの証拠や類似する判例を確認し、交渉する必要があります。
自分で対応するのが難しい場合は、交通事故に詳しい弁護士への相談も検討してみてください。