交通事故のケガによって本業だけでなく副業も休まざるを得なかった場合、副業で減った収入についても休業損害を請求できる可能性があります。
ただし、本業と副業の収入を単純に合算すればよいとは限りません。
給与所得か個人事業・フリーランスかによって基礎収入の考え方が異なるほか、本業と副業で休業した日数が違う場合は、それぞれ分けて計算する必要があります。
また、副業分を請求するには、実際の収入や事故による減収を資料で証明することも重要です。
本記事では、副業がある場合の休業損害の計算方法をはじめ、本業と副業の働き方別の計算方法や請求する流れ、保険会社の提示額に納得できない場合の対処法について解説します。
・休業損害の計算方法は、「1日あたりの基礎収入×休業日数」で計算する
・副業を含む休業損害を請求する流れは、本業と副業の収入・休業を証明する資料を用意する、必要書類を提出する、保険会社が休業損害額を算定する
・副業の休業損害を計算するときの注意点は、本業と副業で休業日数が異なる場合は別々に計算する、確定申告していない副業は収入を証明する資料が必要
副業がある場合の休業損害の計算方法
副業がある場合でも、休業損害の基本的な計算方法は、本業のみの場合と変わりません。
ただし、本業と副業の両方で収入を得ている場合は、それぞれの働き方や休業状況を考慮する必要があります。
また、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準によって、休業損害の算定方法や考え方が異なることにも注意が必要です。
まずは、休業損害の基本的な計算方法から確認していきましょう。
- 休業損害は1日あたりの基礎収入×休業日数で計算する
- 自賠責基準で計算する場合
- 任意保険基準で計算する場合
- 弁護士基準で計算する場合
休業損害は1日あたりの基礎収入×休業日数で計算する
休業損害は、基本的に次の計算式で算出します。
| 1日あたりの基礎収入 × 休業日数 = 休業損害 |
たとえば、本業と副業の両方を休んだ場合は、以下のように計算します。
| 仕事 | 1日あたりの基礎収入 | 休業日数 | 休業損害 |
|---|---|---|---|
| 本業 | 12,000円 | 10日 | 120,000円 |
| 副業 | 4,000円 | 6日 | 24,000円 |
| 合計 | - | - | 144,000円 |
この例では、本業の休業損害12万円と副業の休業損害2万4,000円を合わせた14万4,000円が休業損害です。
ただし、本業と副業の収入を単純に合算すれば必ず認められるわけではありません。
実際の計算では、それぞれの収入や働き方、事故によって何日休業したのかを確認する必要があります。
関連記事:自営業で交通事故をしても休業損害はもらえる?請求する流れや計算方法を解説
自賠責基準で計算する場合
自賠責基準は、自賠責保険から休業損害の支払いを受ける際に用いられる基準です。
自賠責保険は交通事故の被害者に最低限の補償を行うことを目的としているため、休業損害は原則として1日6,100円で計算されます。
たとえば、10日間休業した場合は、「6,100円×10日=61,000円」です。
実際の収入減が1日6,100円を超える場合は、収入を証明することで1日1万9,000円を上限として実額が認められます。
ただし、実際の1日あたりの収入が1万9,000円を超えていても、自賠責基準ではそれ以上の金額を休業損害として支払ってもらうことはできません。
そのため、収入が高い人や本業と副業の両方で大きな収入減が発生した人は、自賠責基準だけでは実際の損害を十分に補えないことがあります。
任意保険基準で計算する場合
任意保険基準とは、相手方の任意保険会社が休業損害を算定する際に用いる基準です。
ただし、自賠責基準のように全国共通の金額が定められているわけではありません。
保険会社が被害者の収入や休業状況、提出された資料などを確認し、実際に生じた収入減をもとに休業損害を算定します。
そのため、給与所得者であれば休業損害証明書や源泉徴収票、個人事業主・フリーランスであれば確定申告書などを提出し、事故によってどの程度収入が減ったのかを証明することが重要です。
自賠責基準のように1日6,100円という一律の金額で計算されるわけではないため、実際の収入が高い人は自賠責基準より高い休業損害が認められることもあります。
一方、保険会社が算定した金額が必ずしも被害者側の考える適正額と一致するとは限りません。
提示された休業損害が実際の収入減より低い場合は、計算根拠を確認したうえで、追加資料の提出や弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
弁護士基準で計算する場合
弁護士基準では、自賠責基準のように1日6,100円などの一律の日額を使うのではなく、事故によって実際に失った収入をもとに休業損害を算定します。
基本的な計算式は、「1日あたりの基礎収入 × 休業日数 = 休業損害」です。
給与所得者であれば事故前の収入、個人事業主やフリーランスであれば事故前の所得などをもとに、1日あたりの基礎収入を算出するのが基本です。
副業による収入減についても、事故との因果関係や実際の損害を証明できれば請求の対象になります。
自賠責基準には1日1万9,000円の上限がありますが、弁護士基準にはこのような一律の上限はありません。
そのため、本業と副業を合わせた収入が高い人ほど、自賠責基準との差が大きくなることがあります。
相手方の保険会社から提示された休業損害が実際の減収より低い場合は、弁護士に相談し、本業と副業を含めた適切な金額を算定してもらうとよいでしょう。
本業と副業の働き方別に休業損害を計算する
副業がある場合の休業損害は、本業と副業がそれぞれ給与所得なのか、個人事業・フリーランスによる所得なのかによって計算方法が異なります。
本業と副業の働き方の組み合わせごとに、休業損害の計算方法を見ていきましょう。
- 本業と副業の両方が給与所得
- 本業が給与所得で副業が個人事業・フリーランス
- 本業が個人事業・フリーランスで副業が給与所得
- 本業と副業の両方が個人事業・フリーランス
本業と副業の両方が給与所得
本業と副業の両方で給与を受け取っている場合は、それぞれの勤務先で発生した収入減をもとに休業損害を計算します。
たとえば、会社員として働きながらアルバイトをしており、交通事故のケガによって両方の仕事を休んだ場合は、本業と副業それぞれについて1日あたりの基礎収入と休業日数を確認します。
計算のイメージは以下のとおりです。
| 仕事 | 1日あたりの基礎収入 | 休業日数 | 休業損害 |
|---|---|---|---|
| 本業 | 12,000円 | 10日 | 120,000円 |
| 副業 | 5,000円 | 4日 | 20,000円 |
| 合計 | - | - | 140,000円 |
この場合、本業の12万円と副業の2万円を合わせた14万円が休業損害の目安になります。
ポイントは、本業と副業の休業日数が同じとは限らないことです。
本業は10日休んでも、副業は勤務予定だった4日だけ休んだのであれば、それぞれ実際に休業した日数をもとに計算します。
また、副業分についても実際に給与が減ったことを証明する必要があります。
複数の勤務先から給与を受け取っている場合は、それぞれの収入減を漏れなく申告することが大切です。
本業が給与所得で副業が個人事業・フリーランス
本業が会社員などの給与所得で、副業がWebライターやせどりなどの個人事業・フリーランスの場合は、本業と副業を分けて休業損害を計算します。
本業については、勤務先から発行される休業損害証明書や源泉徴収票などをもとに、事故によって減った給与を算定するのが一般的です。
一方、副業については、事故前年の確定申告書などから所得を確認し、1日あたりの基礎収入を算出します。
自営業・フリーランスでは、事故前年の確定申告書などを収入の立証資料として用いるのが原則です。
たとえば、副業の年間所得が180万円であれば、1日あたりの基礎収入を365日で割って計算すると約4,932円です。
事故によるケガで10日間仕事ができなかった場合は、「180万円÷365日×10日=約49,320円と」計算します。
ただし、個人事業・フリーランスは勤務日が固定されているとは限らないため、単純に事故後の日数すべてを休業日数として扱えるわけではありません。
ケガの程度や治療状況、事故前の稼働状況、受注予定などから、事故によって実際に仕事ができなかった期間を判断します。
また、事故前年の確定申告後に副業を始めたばかりだったり、直近で売上が大きく増えていたりすると、前年の所得だけでは事故当時の収入実態を正確に反映できないことがあります。
そのような場合は、事故直前の売上台帳や請求書、業務委託契約書、入金履歴などを提出し、事故当時の実際の収入を証明することが重要です。
本業が個人事業・フリーランスで副業が給与所得
休業損害の考え方は、先ほどの「本業が給与所得で副業が個人事業・フリーランス」の場合と同じです。
本業と副業のどちらが給与所得か、個人事業・フリーランスかが入れ替わるだけで、計算方法そのものが変わるわけではありません。
個人事業・フリーランスである本業については、事故前年の確定申告書や帳簿などから事故前の所得を確認し、基礎収入を算定します。
副業の給与所得については、給与明細や勤務予定などを確認し、事故によって実際に働けなかった日数と失った給与をもとに休業損害を求めます。
そのため、それぞれの働き方に応じた資料を用意し、本業と副業で発生した損害を分けて確認することが重要です。
本業と副業の両方が個人事業・フリーランス
本業と副業の両方が個人事業・フリーランスの場合も、基本的な計算方法は変わりません。
それぞれの基礎収入と休業日数を確認し、事故によって生じた収入減を算定します。
ただし、給与所得のように勤務先が作成する休業損害証明書がないため、本業と副業それぞれの収入や休業状況をどのように証明するかが重要になります。
特に注意したいのが、本業と副業の収入をまとめて確定申告している場合です。
確定申告書だけでは、それぞれの仕事からどの程度の所得を得ていたのか分からないことがあります。
その場合は、売上台帳や帳簿、請求書、入金履歴などを使い、本業と副業の収入を分けて示す必要があります。
また、本業と副業で働く曜日や稼働時間が異なる場合は、休業日数の考え方にも注意が必要です。
たとえば、本業は平日に行い、副業は土日のみであれば、同じ期間仕事ができなかったとしても、それぞれ同じ日数で休業損害を計算するとは限りません。
本業や副業の休業損害を証明するために必要な書類
休業損害を請求するには、事故によって仕事を休み、実際に収入が減ったことを証明する必要があります。
必要な書類は、給与所得者か個人事業・フリーランスかによって異なります。
また、副業がある場合は、本業だけでなく副業の収入や休業状況も確認できる資料を用意しなければなりません。
働き方別に必要となる主な書類を紹介します。
- 給与所得者の場合
- 個人事業・フリーランスの場合
給与所得者の場合
給与所得者が休業損害を請求する際は、主に以下の書類を用意します。
- 休業損害証明書
- 源泉徴収票
- 給与明細
- 勤務表・シフト表
中心となるのは、勤務先に作成してもらう休業損害証明書です。
事故前の給与額や欠勤した日、有給休暇を使用した日などを記載し、事故による休業状況を証明するために使用します。
事故前の収入を確認するためには、源泉徴収票も必要です。
勤務日数やシフトによって給与が変わる働き方であれば、給与明細や勤務表、シフト表なども用意しておくと、実際の収入減を説明しやすくなるでしょう。
本業と副業の両方が給与所得の場合は、それぞれの勤務先から必要な書類をそろえる必要があります。
副業先の資料を提出していないと、副業による収入減が休業損害に反映されない可能性があるため注意してください。
個人事業・フリーランスの場合
個人事業・フリーランスが休業損害を請求する場合は、主に以下の書類が必要です。
- 確定申告書
- 青色申告決算書・収支内訳書
- 売上台帳・帳簿
- 請求書
- 入金履歴
- 業務委託契約書・受注記録
基本となるのは、事故前年の確定申告書です。
青色申告をしている場合は青色申告決算書、白色申告であれば収支内訳書も提出し、事故前にどの程度の所得があったのかを示します。
ただし、確定申告書だけでは事故当時の収入状況や、本業と副業それぞれの収入を把握できないこともあります。
その場合は、売上台帳や請求書、入金履歴などを追加し、実際の収入を説明できるようにしておきましょう。
さらに、個人事業・フリーランスは勤務先が休業日を証明してくれるわけではありません。
事故によって予定していた仕事ができなかったことを示すため、業務委託契約書や受注記録、仕事のスケジュールなどが役立つこともあります。
副業を含む休業損害を請求する流れ
副業分の休業損害を請求する場合も、基本的な流れは通常の休業損害と大きく変わりません。
休業損害を請求する流れを見ていきましょう。
- 本業と副業の収入・休業を証明する資料を用意する
- 必要書類を相手の保険会社へ提出する
- 保険会社が休業損害額を算定する
- 提示された休業損害額が正しいか確認する
本業と副業の収入・休業を証明する資料を用意する
まずは、本業と副業それぞれについて、事故前の収入と休業状況を確認できる資料をそろえます。
給与所得であれば、休業損害証明書や源泉徴収票、給与明細などが基本です。
個人事業・フリーランスの場合は、確定申告書や売上台帳、請求書、入金履歴などを用意するとよいでしょう。
副業がある場合に注意したいのは、本業の資料だけで手続きを進めないことです。
副業による収入減も請求するのであれば、副業についても事故前の収入と、事故によって仕事ができなかったことを示す必要があります。
本業と副業で働き方が異なる場合は、それぞれに適した資料を準備してください。
必要書類を相手の保険会社へ提出する
事故後は保険会社の担当者から連絡があり、休業損害を請求するために必要な手続きや提出書類について案内されるのが一般的です。
基本的には、担当者の案内に従って用意した資料を提出すれば問題ありません。
休業損害の資料について、事故から何日以内に提出しなければならないという一律の期限が設けられているわけではありません。
ただし、提出が遅れれば休業損害の算定や支払いもその分遅くなる可能性があります。
特に給与所得者は、勤務先に休業損害証明書を作成してもらう必要があるため、すぐに用意できるとは限りません。
保険会社から案内を受けたら早めに勤務先へ作成を依頼し、資料がそろい次第提出するとよいでしょう。
保険会社が休業損害額を算定する
提出した資料をもとに、相手方の保険会社が休業損害額を算定します。
このとき保険会社は、申告された金額をそのまま認めるわけではありません。
事故によって本当に仕事を休む必要があったのか、申告した休業日数は妥当か、実際にどの程度の収入減が生じたのかなどを確認します。
そのため、被害者側では妥当な休業日数だと考えていても、保険会社からは休業期間が長すぎる、すべての日を休業として認めるのは難しいなどと判断されることがあります。
特に副業や個人事業・フリーランスは、勤務日や収入減が明確になりにくいため、双方の判断に差が出ることもあるでしょう。
提出した資料だけでは収入や休業状況を判断できない場合は、保険会社から追加資料を求められることもあります。
提示された休業損害額が正しいか確認する
保険会社から休業損害額が提示されたら、算定内容に誤りがないか確認します。
金額だけを見るのではなく、基礎収入はいくらで計算されているか、休業日数は正しく反映されているか、本業と副業の両方が算定対象になっているかなどをチェックすることが大切です。
自分で事前に計算した金額と大きな差がある場合は、どの部分で違いが生じているのかを確認しましょう。
保険会社が一部の休業日を認めていなかったり、副業分の収入を算定に含めていなかったりする可能性もあります。
内容に疑問がある場合は、保険会社に計算根拠を確認し、必要に応じて追加資料の提出や再計算を求めるとよいでしょう。
副業の休業損害を計算するときの注意点
副業がある場合は、本業だけの休業損害を計算するときよりも確認すべきことが増えます。
特に、本業と副業で働く日が異なる場合や、副業の収入を確定申告していない場合は注意が必要です。
副業分の休業損害を計算・請求する際に注意したいポイントを確認していきましょう。
- 本業と副業で休業日数が異なる場合は別々に計算する
- 確定申告していない副業は収入を証明する資料が必要
- 副業収入が減っていない場合は原則として認められにくい
本業と副業で休業日数が異なる場合は別々に計算する
本業と副業では、働いている日数や曜日が異なる人が多いため、休業日数も分けて考える必要があります。
本業と副業では1日あたりに得ている収入も異なれば、実際に働く日も同じとは限りません。
それにもかかわらず、両方に同じ休業日数を当てはめて過剰に計算すると、保険会社から減額されます。
また、どちらか一方しか休んでいない場合でも、事故によってその仕事ができず実際に収入が減っているのであれば、休業した仕事について休業損害を請求できる可能性があります。
本業と副業をまとめて考えるのではなく、それぞれについて実際に働けなかった日数と収入減を確認することが大切です。
確定申告していない副業は収入を証明する資料が必要
副業について確定申告をしていないからといって、休業損害を請求できないと決まるわけではありません。
ただし、確定申告書がない分、事故前にどの程度の収入を得ていたのかを客観的な資料で示す必要があります。
たとえば、以下のような資料を用意しましょう。
- 銀行口座への入金履歴
- 請求書や領収書
- 業務委託契約書
- 売上台帳
- 副業サービスや販売サイトの取引履歴
こうした資料から継続的に副業収入を得ていたことや、事故によって収入が減ったことを説明できれば、休業損害として認められる可能性があります。
一方、収入を裏付ける資料がほとんどなければ、本人が申告した金額だけで副業分の休業損害を認めてもらうのは難しくなるでしょう。
副業収入が減っていない場合は原則として認められにくい
休業損害は、交通事故によって仕事ができず、収入が減ったことに対する補償です。
そのため、副業を休んだとしても収入が変わっていなければ、原則として副業分の休業損害は認められにくくなります。
ただし、個人事業・フリーランスでは、事故直後の売上だけを見ても実際の損害が分からないことがあります。
事故前に完了していた仕事の報酬が事故後に入金されたり、継続契約による売上が残っていたりするためです。
その場合は、事故がなければ受けられた仕事を断った、納品できず報酬を得られなかったなど、事故によって生じた具体的な損失を資料で示す必要があります。
また、給与所得の副業で有給休暇を使用した場合は、給与そのものが減っていなくても、事故によって有給休暇を使わざるを得なかったことが損害として認められることがあります。
単純に事故後の収入額だけを見るのではなく、実際にどのような不利益が生じたのかを確認することが大切です。
副業の休業損害が納得できない場合の対処法
副業分を含めて休業損害を請求しても、保険会社から提示された金額が自分で計算した金額より低いことがあります。
提示額に納得できないときは、計算内容を確認したうえで、必要に応じて追加資料を提出するなどの対応を取りましょう。
- 保険会社の提示額に副業分が含まれているか確認する
- 保険会社に計算根拠を確認する
- 追加資料を提出する
保険会社の提示額に副業分が含まれているか確認する
休業損害の提示額が想定より低い場合は、副業分がどのように計算されているのか確認しましょう。
給与所得であれば、源泉徴収票や休業損害証明書などから事故前の収入や休業日数を比較的確認しやすい傾向があります。
一方、個人事業・フリーランスの副業は、収入や勤務日が明確に決まっているとは限りません。
そのため、どの収入を基礎にするのか、何日を休業日として扱うのかについて、被害者側と保険会社で判断が分かれることもあるでしょう。
自分で計算した金額と保険会社の提示額に差がある場合は、本業と副業がそれぞれいくらで算定されているのかを確認してください。
保険会社に計算根拠を確認する
提示された休業損害額に疑問がある場合は、保険会社にどのような計算をしたのか確認しましょう。
確認したいのは、単に最終的な金額だけではありません。
1日あたりの基礎収入をいくらとしたのか、休業日数を何日と認定したのか、副業分についてどの収入を基準にしたのかなど、算定の内訳まで確認することが重要です。
特に、自分で計算した金額より低い場合は、どこで差が生じているのかを明確にしましょう。
たとえば、申告した休業日の一部が認められていない、前年の確定申告だけを基準にして直近の収入増が反映されていないなどの理由が考えられます。
計算根拠が分かれば、保険会社の判断に納得できるのか、それとも追加の資料を提出して再検討を求めるべきなのか判断しやすくなります。
追加資料を提出する
保険会社の提示額に納得できない場合は、追加の資料を提出して再検討を求めることができます。
ただし、やみくもに資料を追加すればよいわけではありません。
保険会社がどの部分を認めていないのか確認してから、その判断を覆すために必要な資料をそろえることが重要です。
追加資料を提出できる回数に明確な制限はありません。
示談が成立する前であれば、新たな根拠となる資料を提出し、保険会社に再検討を求めることが可能です。
ただし、同じ資料や主張を繰り返しても判断が変わらないことがあります。
追加できる資料がなく、それでも提示額に納得できない場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
副業の休業損害は弁護士に相談しよう
追加資料を提出しても提示額が変わらない場合や、保険会社の計算が適切なのか自分では判断できない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
休業損害の算定から保険会社との交渉まで任せることができます。
- 適切な休業損害を計算してもらえる
- 保険会社との交渉を任せられる
- 弁護士費用特約は積極的に使おう
適切な休業損害を計算してもらえる
休業損害の計算式自体は、基礎収入と休業日数が分かればそれほど複雑ではありません。
難しいのは、事故前の収入をいくらと評価するのか、何日間の休業が必要だったのかなど、計算に使う数字を適切に判断することです。
特に個人事業・フリーランスの副業では、勤務先が収入や休業日数を証明してくれるわけではありません。
副業収入が継続していたことや、事故がなければ仕事を続けられていたこと、ケガによって実際に仕事ができず収入が減ったことなどを自分で示す必要があります。
弁護士に依頼すれば、売上台帳や受注記録、過去の取引状況、請求書、入金履歴などから、どの資料を使えば事故前の収入や減収を適切に証明できるか検討してもらえます。
さらに、休業日数について保険会社と判断が分かれている場合も、ケガの程度や仕事の内容などを踏まえ、事故によって休業が必要だったことを主張してもらうことが可能です。
保険会社との交渉を任せられる
保険会社から休業損害額を提示された場合は、基礎収入や休業日数、副業分がどのように計算されているのかを確認し、納得できない部分があれば再検討を求めなければなりません。
追加資料が必要になったときも、どの資料を用意すればよいのか考えたり、提出後に保険会社と再びやり取りしたりする必要があります。
仕事への復帰や治療を続けながら、こうした対応を自分でするのは負担になるでしょう。
弁護士に依頼すれば、保険会社の算定内容を確認し、どの部分を争うべきか、どの資料を追加すべきかを判断したうえで交渉を進めてもらえます。
被害者自身が必要な資料を用意することはありますが、その後の対応を一つひとつ自分で考える負担を減らせることは大きなメリットです。
特に、被害者に過失がない10:0の事故では、自分が加入している保険会社に示談交渉を任せることができません。
相手方の保険会社と自分で交渉する必要があるため、弁護士に依頼するメリットはより大きくなります。
弁護士費用特約は積極的に使おう
弁護士への依頼を検討する場合は、自動車保険などに弁護士費用特約が付いていないか確認しましょう。
弁護士費用特約を利用できれば、法律相談料や着手金、報酬金などについて、契約で定められた範囲内で保険金が支払われます。
弁護士費用の負担を抑えながら、休業損害の算定や保険会社との交渉を任せられることがメリットです。
特に、副業分の休業損害がそれほど高額ではない場合、弁護士費用を自己負担すると、増額できた金額より費用の方が高くなる可能性もあります。
弁護士費用特約を利用できれば、このような費用面の心配を減らして相談・依頼しやすくなるでしょう。
関連記事:弁護士費用特約の使い方・利用の流れ|使うべきケースと弁護士の選び方を紹介
副業の休業損害に関するよくある質問
副業の休業損害に関するよくある質問を紹介します。
- 交通事故の休業損害計算ツールは使える?
- 休業損害の日額の計算方法は?
- 休業損害証明書の給与計算基礎は月給で書く?
- 休業損害証明書の計算根拠の記入例は?
交通事故の休業損害計算ツールは使える?
休業損害計算ツールは、請求できる金額の目安を把握するためには利用できます。
ただし、副業がある場合は、本業と副業で基礎収入や休業日数が異なることも多いため、ツールの計算結果がそのまま認められるとは限りません。
計算ツールはあくまで目安として利用し、実際の請求額は収入や休業状況をもとに確認しましょう。
休業損害の日額の計算方法は?
休業損害の日額は、事故前の収入をもとに1日あたりの基礎収入を算出して求めます。
給与所得者であれば、事故前の給与額をもとに計算するのが基本です。
個人事業・フリーランスの場合は、前年の確定申告書などから所得を確認し、1日あたりの金額を算定します。
副業がある場合は、本業と副業で収入の種類や働き方が異なることもあるため、それぞれの日額を分けて計算してください。
休業損害証明書の給与計算基礎は月給で書く?
給与計算基礎は、必ず月給で記載するわけではありません。
実際の給与体系に合わせて、月給・日給・時給のいずれかを記載します。
たとえば、月給制であれば月給額、アルバイトなどの時給制であれば時給額を記載する形です。
休業損害証明書は基本的に勤務先が作成する書類なので、自分で判断して記入するのではなく、会社の給与担当者などに作成を依頼しましょう。
休業損害証明書の計算根拠の記入例は?
休業損害証明書では、休業期間中に給与の一部を支給したり、欠勤分を減給したりした場合に、その金額の計算根拠を記載することがあります。
たとえば、月給30万円で所定労働日数が20日、3日間の欠勤分を減給した場合は、「30万円÷20日×3日=45,000円」です。
ここで記載するのは、休業損害そのものの計算式ではなく、勤務先が休業中の給与をどのように計算したのかを示す内容です。
なお、休業損害証明書は勤務先が作成する書類なので、被害者本人が計算して記入する必要はありません。
給与規定や実際の支給状況に基づき、勤務先の担当者に記載してもらいましょう。
まとめ
副業がある場合でも、休業損害は基本的に1日あたりの基礎収入と休業日数をもとに算定します。
ただし、本業と副業では収入の種類や働く日数が異なることも多いため、それぞれ分けて考えることが重要です。
特に個人事業・フリーランスの副業は、給与所得と比べて収入や休業日数が明確になりにくく、確定申告書や売上台帳、受注記録などを使って事故による減収を証明する必要があります。
保険会社から提示された金額が自分で計算した金額より低い場合は、副業分が反映されているか、基礎収入や休業日数がどのように算定されているかを確認しましょう。
副業分の収入や休業との関係を自分だけで証明するのが難しい場合は、弁護士への相談も検討してください。
適切な休業損害の算定や立証、保険会社との交渉を任せることで、請求にかかる負担を減らせます。
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