交通事故を起こした場合、保険会社が被害者との交渉などをすべて対応してくれると思っている方も多いのではないでしょうか。
実際、任意保険に加入していれば、保険会社が示談交渉や損害賠償への対応を代行するのが一般的です。
しかし、保険会社は刑事事件には対応できないため、死亡事故や重傷事故を起こした場合などは、加害者自身が刑事手続きへの対応を考える必要があります。
そのような場合、「弁護士に相談したほうがよいのでは?」と悩む方もいるでしょう。
弁護士に依頼すれば、警察の取り調べへの対応について助言を受けられるほか、不起訴や刑の軽減に向けた弁護活動、被害者との示談交渉なども任せられます。
本記事では、交通事故の加害者が弁護士に相談したほうがよいケースや依頼するメリット・デメリット、費用相場などを解説します。
保険会社との違いや弁護士の選び方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
・交通事故の加害者が弁護士に相談したほうがよいケースは、死亡事故を起こした、被害者との示談交渉が進まない、保険が使えない、個別の希望がある場合
・交通事故の加害者が弁護士に依頼するメリットは、刑事手続きについて助言を受けられる、刑の軽減に向けた弁護活動を依頼できる、行政処分の軽減を目指せる
・交通事故の加害者が弁護士に依頼するデメリットは、弁護士費用が自己負担になる場合がある、依頼しても希望どおりの結果になるとは限らない
・交通事故の加害者が弁護士を選ぶときのポイントは、加害者側の弁護実績が豊富か、自分の希望や事情を踏まえて対応方針を提案してくれるか、弁護士費用や依頼できる業務の範囲が明確か
交通事故の加害者が弁護士に相談したほうがよいケース
交通事故の加害者になったからといって、必ずしも弁護士に依頼する必要があるわけではありません。
ただし、事故の内容や被害者との交渉状況などによっては、早めに弁護士へ相談したほうがよい場合もあります。
交通事故の加害者が弁護士に相談したほうがよいケースを紹介します。
- 死亡事故や重傷事故を起こした場合
- 逮捕や警察の取り調べに不安がある場合
- 被害者との示談交渉が進まない場合
- 任意保険に加入していない・保険が使えない場合
- 事故の原因や過失の有無について争いがある場合
- 事故後の対応について個別の希望がある場合
死亡事故や重傷事故を起こした場合
死亡事故や重傷事故を起こした場合は、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
こうした重大な人身事故では、過失運転致死傷罪などに問われ、刑事裁判に発展する可能性があるためです。
事故の状況によっては、罰金刑だけでなく拘禁刑が科されるおそれもあります。
また、被害者や遺族への謝罪、損害賠償などについても、慎重な対応が求められます。
弁護士に相談すれば、刑事処分の見通しや今後の対応について助言を受けられるため、早い段階で相談しておくとよいでしょう。
逮捕や警察の取り調べに不安がある場合
逮捕されるのではないかと不安を感じている場合や、警察の取り調べを控えている場合も、弁護士への相談を検討しましょう。
交通事故を起こしたからといって必ず逮捕されるわけではありませんが、事故の内容によっては刑事事件として捜査が進められます。
また、取り調べで話した内容は供述調書にまとめられる場合があり、その後の捜査や刑事裁判に影響する可能性があるため注意が必要です。
特に、取り調べにどう対応すればよいかわからない方や、逮捕による仕事・生活への影響が心配な方は、早めに弁護士へ相談しておくとよいでしょう。
関連記事:交通刑務所に入る基準とは?実刑になる交通事故や収容条件を解説
被害者との示談交渉が進まない場合
保険会社に示談交渉を任せていても、被害者が賠償額や過失割合に納得せず、交渉が停滞するケースがあります。
話し合いで折り合いがつかなければ、民事調停や訴訟といった別の手続きに進む可能性もあるため、注意が必要です。
裁判に発展すると、解決までの期間が長くなり、時間的・経済的な負担も増えるおそれがあります。
また、人身事故で刑事責任を問われる可能性がある場合は、被害者との示談の成立や被害回復の状況が、刑事処分の判断で考慮される場合もあります。
そのため、裁判を避けて早期解決を目指したい方や、刑事手続きが進んでいる方は、交渉が行き詰まった段階で弁護士への相談を検討しましょう。
関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説
任意保険に加入していない・保険が使えない場合
任意保険に加入していない場合や、加入していても保険が使えない場合は、保険会社に示談交渉を任せられず、原則として加害者自身で対応しなければなりません。
被害者との連絡や謝罪、損害賠償額の確認、支払い条件の調整など、事故後に必要な対応は多岐にわたります。
こうした対応を仕事や日常生活と並行して進めるのは負担が大きく、法律知識がないまま交渉すると、不利な条件で合意してしまうおそれもあります。
特に、被害者から高額な賠償金を請求されている場合や、相手が弁護士を立てている場合は、自分だけで対処するのは難しいでしょう。
そのため、保険会社のサポートを受けられない場合は、早めに弁護士への依頼を検討し、被害者対応や示談交渉などを任せることをおすすめします。
関連記事:交通事故の示談交渉を自分一人で行う方法|テクニックや進め方を解説
事故の原因や過失の有無について争いがある場合
交通事故では、信号の色や車の進行方向、相手の飛び出しの有無などについて、当事者同士の説明が食い違う場合があります。
過失の有無や割合によって損害賠償の負担額が変わるため、納得できない点があれば、安易に相手の主張を受け入れず、きちんと反論することが大切です。
ただし、自分の主張を認めてもらうには、ドライブレコーダーの映像などの客観的な証拠や、過去の裁判例に基づく法的な根拠が求められます。
単に「自分は悪くない」と主張するだけでは、相手方の理解を得られず、交渉が難航するおそれもあるでしょう。
保険会社も過失割合の交渉に対応していますが、双方の主張が大きく対立している場合は、法律の専門家である弁護士に相談し、適切な責任割合を主張していくことをおすすめします。
事故後の対応について個別の希望がある場合
交通事故を起こした後、「できるだけ裁判は避けたい」「仕事や家庭への影響を最小限に抑えたい」など、加害者によって優先したいことは異なります。
しかし、保険会社が主に対応するのは損害賠償に関する交渉であり、こうした個別の希望まで十分に対応してもらえるとは限りません。
保険会社と弁護士では役割が異なり、弁護士であれば依頼者の希望や事情を踏まえたうえで、どのような法的対応が考えられるか検討できます。
そのため、事故後の対応について譲れない希望がある場合は、保険会社とは別に弁護士へ相談し、希望を実現するための選択肢を確認しておくとよいでしょう。
交通事故の加害者にとって保険会社と弁護士は何が違う?
交通事故の加害者にとって、保険会社と弁護士の大きな違いは、対応できる業務の範囲や役割です。
具体的な違いは、以下のとおりです。
| 比較項目 | 保険会社 | 弁護士 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 保険金の支払いや損害賠償への対応 | 依頼者の権利・利益を守るための法的サポート |
| 示談交渉 | 保険契約の範囲内で代行する | 依頼された範囲で被害者との交渉を代理する |
| 刑事事件への対応 | 対応できない | 取り調べへの助言や刑事弁護が可能 |
| 行政処分への対応 | 原則として対応できない | 免許停止・取消しなどについて法的な助言や手続き上の支援が可能 |
| 個別の希望への対応 | 保険契約やサービスの範囲内で対応する | 依頼者の希望や事情を踏まえて対応方針を検討する |
| 費用 | 原則として保険契約に含まれる | 基本的に弁護士費用が発生する |
表からもわかるように、任意保険に加入していても、保険会社が事故後の対応をすべて引き受けてくれるわけではありません。
また、「被害者との示談交渉なら、保険会社に任せても弁護士に依頼しても同じでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、保険会社と弁護士では立場が異なるため、同じ示談交渉でも対応方針やサポートの内容に違いがあります。
保険会社は保険契約に基づく損害賠償の解決を中心に対応しますが、弁護士は依頼者の希望や法律上の利益を踏まえて交渉を進めます。
そのため、保険会社と弁護士の違いを理解したうえで、自分の状況や希望に合った相談先を選ぶことが大切です。
交通事故の加害者が弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼すると、警察の取り調べへの対応から被害者との示談交渉まで、事故後のさまざまな場面で法的なサポートを受けられます。
交通事故の加害者が弁護士に依頼する主なメリットを解説します。
- 警察の取り調べや刑事手続きについて助言を受けられる
- 不起訴や刑の軽減に向けた弁護活動を依頼できる
- 被害者への謝罪や示談交渉を任せられる
- 損害賠償の内容や請求額が適切か確認してもらえる
- 行政処分の軽減を目指せる
警察の取り調べや刑事手続きについて助言を受けられる
初めて人身事故を起こした場合、警察の取り調べで何を聞かれるのか、どう答えればよいのか不安に感じる方も多いでしょう。
実際に、取り調べでの威圧的な言動などが問題になった事例もあり、警察への対応には注意が必要です。
緊張や焦りから事実と異なる説明をしたり、内容を十分に確認せず調書に署名したりすると、後の刑事手続きで不利益につながるおそれがあります。
弁護士に依頼すれば、取り調べでの受け答えや黙秘権の行使、供述調書を確認する際の注意点などについて、具体的な助言を受けられます。
また、不当な取り調べを受けた場合には、弁護士を通じて捜査機関に抗議するなどの対応も可能です。
弁護士がついていれば不適切な取り調べを必ず防げるわけではありませんが、万が一問題が生じた際にも、法律の専門家に頼れる点は大きな安心材料となるでしょう。
不起訴や刑の軽減に向けた弁護活動を依頼できる
交通事故を起こして刑事事件として捜査されても、必ずしも起訴されるわけではありません。
検察官は事故の内容や被害の程度だけでなく、加害者の反省の姿勢や被害回復の状況なども考慮して、起訴・不起訴を判断します。
弁護士に依頼すれば、被害者への謝罪や損害賠償の状況、再発防止に向けた取り組みなどを整理し、検察官に意見書を提出するなどして不起訴を求める弁護活動を任せられます。
また、起訴された場合も、刑事裁判で加害者にとって有利な事情を適切に主張し、刑の軽減を目指してもらえます。
自分では十分に伝えられない事情を法律の専門家に整理・主張してもらえることは、大きなメリットといえるでしょう。
特に不起訴を目指す場合は、検察官が処分を決める前から弁護活動を進める必要があるため、早めの相談が重要です。
被害者への謝罪や示談交渉を任せられる
交通事故の被害者に謝罪したいと思っても、加害者本人から直接連絡すると、かえって相手の感情を悪化させてしまう可能性があります。
特に、被害者が加害者との接触を望んでいない場合は、謝罪の方法やタイミングについても慎重な判断が必要です。
弁護士に依頼すれば、被害者の意向に配慮しながら謝罪文の送付や面会の調整を行い、本人に代わって示談交渉を進めてもらえます。
また、損害賠償額や支払い条件などの調整に加え、示談書の作成まで任せられるため、合意内容をめぐる後々のトラブルを防ぐことにもつながります。
加害者本人が被害者と直接やり取りする負担を減らしつつ、誠意を伝えながら解決を目指せることがメリットです。
損害賠償の内容や請求額が適切か確認してもらえる
任意保険が使えず賠償金を自己負担する場合や、被害者から直接高額な請求を受けている場合は、弁護士に請求内容を確認してもらうとよいでしょう。
被害者から請求された金額が、必ずしも適正とは限らないためです。
損害賠償の対象となる範囲や金額は、事故との因果関係や過失割合などによって変わるため、法律知識のない方が自分で判断するのは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、診断書や請求明細、修理費用の見積書などを確認し、過去の裁判例や損害賠償の算定基準に照らして請求内容が妥当か判断してもらえます。
過大な請求や賠償の対象とならない項目が含まれている場合は、法的な根拠を示して交渉してもらえるため、不必要な金銭的負担を避けることにもつながります。
行政処分の軽減を目指せる
交通事故を起こすと、刑事処分や損害賠償とは別に、運転免許の停止・取消しといった行政処分を受ける場合があります。
特に、仕事で車を使っている方にとって、免許の停止や取消しは収入や日常生活に大きな影響を及ぼす問題です。
免許の取消しや90日以上の停止処分を受ける場合は、原則として「意見の聴取」という手続きが設けられており、処分の対象者は自分に有利な事情を主張したり、証拠を提出したりする機会が与えられます。
弁護士に依頼すれば、事故状況や違反の認定に誤りがないかを確認し、証拠の整理や意見書の作成、意見の聴取への同席などを通じて、処分の軽減に向けたサポートを受けられます。
処分の内容に納得できない場合や、免許の停止・取消しによる影響が大きい場合は、弁護士に相談して対応を検討する価値があるでしょう。
関連記事:免停を回避・軽減する方法|回避しやすいケースと弁護士に相談するメリット
交通事故の加害者が弁護士に依頼するデメリット
弁護士への依頼にはさまざまなメリットがありますが、費用面や結果の不確実性など、注意すべきこともあります。
依頼してから後悔しないように、事前に把握しておきたいデメリットを解説します。
- 弁護士費用が自己負担になる場合がある
- 依頼しても希望どおりの結果になるとは限らない
弁護士費用が自己負担になる場合がある
交通事故の加害者が自分で弁護士に依頼する場合、弁護士費用は原則として自己負担になります。
特に、警察の取り調べや刑事裁判への対応を依頼する場合は、保険会社が費用を負担してくれるとは限りません。
また、弁護士費用には相談料や着手金、報酬金などがあり、事件が長期化したり、刑事事件と民事事件の両方を依頼したりすると、費用が高額になる可能性もあります。
一般的な弁護士費用特約は被害者側の損害賠償請求を対象としているため、加害者側の弁護には使えないケースも少なくありません。
ただし、一部の保険商品では、対人加害事故に関する刑事弁護士費用も補償対象となっています。
費用負担を理由に依頼をためらっている場合は、まず加入している保険の補償内容を確認し、弁護士にも費用の見積もりを提示してもらうとよいでしょう。
関連記事:弁護士費用特約が使えないケースとは?対処法や実は使えるケースも解説
依頼しても希望どおりの結果になるとは限らない
「不起訴にしてほしい」「被害者との示談を成立させたい」「免許の取消しを避けたい」など、弁護士に求める結果は人によって異なります。
しかし、弁護士に依頼したからといって、必ずしも希望どおりの結果が得られるわけではありません。
例えば、弁護士が被害者との示談交渉を進めても、被害者が応じなければ示談は成立しません。
また、刑事事件の起訴・不起訴は検察官が判断し、刑事裁判での刑罰は裁判所が決めるため、弁護士が結果を保証するのは不可能です。
特に、死亡事故や重大な過失がある事故では、十分な弁護活動を行っても、厳しい処分を避けられない可能性があります。
そのため、依頼する前に事故の状況や希望を詳しく伝え、どのような結果が見込まれるのか、希望が実現しなかった場合にどう対応するのかまで確認しておくとよいでしょう。
交通事故の加害者が弁護士を選ぶときのポイント
弁護士によって得意とする分野や対応方針は異なるため、交通事故の加害者側の弁護に適した弁護士を選ぶことが大切です。
依頼後のミスマッチを防ぐためにも、4つのポイントを確認しておきましょう。
- 交通事故の加害者側の弁護実績が豊富か
- 刑事事件と民事事件の両方に対応しているか
- 自分の希望や事情を踏まえて対応方針を提案してくれるか
- 弁護士費用や依頼できる業務の範囲が明確か
交通事故の加害者側の弁護実績が豊富か
交通事故の加害者側では、刑事責任への対応や被害者との示談交渉など、被害者側とは異なる知識や経験が求められるため、加害者側の弁護実績を確認することが大切です。
まずは法律事務所のホームページで解決事例を調べ、過失運転致死傷事件や死亡事故など、加害者側の弁護をどの程度担当しているか確認しましょう。
また、相談時に「自分と似た事故を担当した経験があるか」「過去にどのような対応を行ったか」などを質問すると、具体的な経験や対応力を判断する材料になります。
ただし、過去に不起訴や刑の軽減を実現した実績があっても、自分の事故で同じ結果が得られるとは限りません。
実績の多さだけで判断せず、今回の事故についても具体的な見通しや対応方針を説明してくれる弁護士を選びましょう。
関連記事:交通事故に強い弁護士の選び方・探し方|悩みやすいポイントをわかりやすく紹介
刑事事件と民事事件の両方に対応しているか
交通事故では、警察や検察への対応が必要になる一方で、被害者から損害賠償を請求される場合もあります。
そのため、刑事事件と民事事件の両方に対応している弁護士を選ぶことも重要です。
刑事事件と民事事件を別々の弁護士に依頼すると、情報共有や対応方針の調整に手間がかかるほか、弁護士費用が増える可能性もあります。
一方、両方に対応している弁護士であれば、刑事手続きの進行状況も踏まえながら示談交渉を進めるなど、一貫した方針で対応してもらえます。
ただし、民事上の示談交渉を保険会社に任せている場合は、必ずしも両方を依頼する必要はありません。
その場合は、刑事弁護を依頼する弁護士が保険会社と連携し、事故後の対応を進めてくれるか確認するとよいでしょう。
自分の希望や事情を踏まえて対応方針を提案してくれるか
どれだけ実績が豊富な弁護士でも、自分の希望や事情を十分に理解してくれなければ、納得のいく解決につながらない可能性があります。
例えば、刑事事件をできるだけ早く終わらせたい方もいれば、時間がかかっても過失の有無について徹底的に争いたい方もいるでしょう。
こうした希望によって適切な対応方針は変わるため、初回相談では自分が何を重視しているのかを具体的に伝えることが大切です。
その際は、希望を丁寧に聞いたうえで、実現に向けた具体的な対応策や必要な期間、想定されるリスクまで説明してくれるか確認しましょう。
また、依頼者の希望を何でも受け入れるのではなく、実現が難しい場合にはその理由を説明し、別の選択肢を提案してくれる弁護士が理想的です。
弁護士費用や依頼できる業務の範囲が明確か
同じ交通事故でも、弁護士事務所によって料金体系や依頼できる業務の範囲は異なります。
着手金以外に報酬金や日当、交通費などが必要になるケースもあるため、最初に提示された金額だけで判断しないようにしましょう。
相談時には、以下の点を確認しておくと安心です。
- 提示された費用には、どこまでの業務が含まれているか
- 追加費用が発生するのはどのような場合か
- 事件が長期化した場合、費用は増えるのか
- 途中で契約を終了した場合、費用はどのように精算されるか
これらの内容が見積書や委任契約書に明記されているかも、必ず確認してください。
交通事故の加害者が弁護士に依頼する場合の費用相場
交通事故の加害者が弁護士に依頼する場合、刑事事件か民事事件か、また依頼する業務の範囲によって費用は大きく異なります。
弁護士費用の相場を紹介するとともに、弁護士費用特約の利用や費用負担を抑えるためのポイントについて解説します。
- 相談料・着手金・報酬金の相場
- 弁護士費用特約が使えるか確認する
- 弁護士費用を抑えるためのポイント
相談料・着手金・報酬金の相場
弁護士費用は法律事務所ごとに設定されており、全国共通の料金表はありません。
また、刑事事件と民事事件では費用の決め方も異なるため、それぞれの相場を把握しておくことが大切です。
費用の目安は以下のとおりです。
| 費用の種類 | 刑事事件の目安 | 民事事件の目安 |
|---|---|---|
| 相談料 | 無料〜30分5,500円程度 | 無料〜30分5,500円程度 |
| 着手金 | 20万〜50万円程度 | 20万〜40万円程度(示談交渉の場合) |
| 報酬金 | 不起訴などの成果に応じて10万〜50万円程度 | 減額できた賠償金の10〜20%程度 |
相談料は弁護士に法律相談をする際に支払う費用で、初回相談を無料としている法律事務所もあります。
着手金は正式に依頼する際に支払う費用で、原則として希望する結果が得られなかった場合でも返金されません。
一方、報酬金は事件の結果に応じて発生する費用です。
刑事事件では不起訴処分や刑の軽減など、民事事件では被害者から請求された賠償金の減額などを基準に設定される場合があります。
なお、上記以外にも、弁護士が警察署へ面会に行く際の費用や交通費、書類の取得費用などが別途発生するケースがあります。
弁護士費用特約が使えるか確認する
弁護士費用特約には、被害者として損害賠償を請求する場合だけでなく、対人事故の加害者になった際の刑事弁護費用を補償する商品もあります。
ただし、保険会社や契約内容によって補償範囲は異なり、事故の状況によっては特約を利用できない場合もあります。
また、補償限度額が設けられているほか、弁護士への依頼前に保険会社の承認が必要になるケースもあるため注意が必要です。
関連記事:弁護士費用特約の使い方・利用の流れ|使うべきケースと弁護士の選び方を紹介
弁護士費用を抑えるためのポイント
弁護士費用をできるだけ抑えたい場合は、相談前の準備や法律事務所の選び方を工夫することが大切です。
具体的には、以下の方法が挙げられます。
- 初回無料相談を実施している法律事務所を利用する
- 複数の法律事務所から見積もりを取り、費用の総額を比較する
- 事故の経緯や相談したい内容を事前にメモにまとめておく
- 法律事務所のホームページで必要書類を確認し、事故に関する資料を準備する
- 事故後は早めに相談し、問題が複雑化する前に解決を目指す
- 法テラスなどで利用できる支援制度がないか確認する
特に、無料相談は時間が限られている場合が多いため、事故の状況や質問したい内容を整理しておくと、相談時間を有効に使えます。
交通事故の加害者が弁護士に相談・依頼するまでの流れ
初めて弁護士に相談する場合、どのように相談先を探せばよいのか、何を準備すればよいのか迷う方もいるでしょう。
弁護士を探してから正式に依頼するまでの流れを解説します。
- 相談したい弁護士を探す
- 相談に必要な資料を準備する
- 弁護士に事故の状況や希望する対応を伝える
- 相談内容を踏まえて依頼するか検討する
- 委任契約を結んで正式に依頼する
相談したい弁護士を探す
まずは、交通事故の加害者側の弁護に対応している弁護士を探しましょう。
気になる弁護士が見つかったら、法律事務所のホームページで取扱分野や解決実績、相談料などを確認してください。
交通事故を扱っていても、被害者側の依頼を中心としている法律事務所もあるため、加害者側の弁護に対応しているか確認することが大切です。
相談先が決まったら、電話や問い合わせフォームから連絡し、相談日時を予約しましょう。
相談に必要な資料を準備する
相談日時が決まったら、事故の状況やこれまでの対応がわかる資料を準備しましょう。
具体的には、以下のような資料があると、弁護士に詳しい状況を伝えられます。
- 交通事故証明書
- 事故現場や車両の写真、ドライブレコーダーの映像
- 事故の日時・場所・発生状況を時系列でまとめたメモ
- 自動車保険の保険証券や保険会社とのやり取りがわかる書類
- 被害者から届いた損害賠償の請求書や示談に関する資料
- 警察・検察からの呼出状や通知書、診断書など
必要な資料は相談内容によって異なるため、事前に法律事務所へ確認しておくとよいでしょう。
なお、すべての資料がそろっていなくても相談は可能です。
特に刑事事件では早期の対応が重要になるため、資料が不足している場合でも、まずは手元にあるものを持参して相談しましょう。
弁護士に事故の状況や希望する対応を伝える
相談当日は、準備した資料やメモをもとに、事故が発生してから現在までの経緯を時系列で説明しましょう。
事故の原因や警察の取り調べ状況、被害者・保険会社とのやり取りなどを詳しく伝えると、弁護士も今後の対応方針を検討しやすくなります。
その際、自分に不利な事情があっても、隠さず正直に伝えることが大切です。
事実と異なる説明をすると、弁護士が状況を正確に把握できず、適切な対応を検討する妨げになるおそれがあります。
また、「不起訴を目指したい」「できるだけ早く示談を成立させたい」など、希望する結果や優先したい事項も具体的に伝えてください。
わからない点や不安に感じている点があれば遠慮せず質問し、今後どのような対応が必要になるのか確認しておきましょう。
相談内容を踏まえて依頼するか検討する
弁護士への相談が終わったら、提案された対応方針や解決の見通しを踏まえて、正式に依頼するか検討しましょう。
法律相談を受けたからといって、必ずその弁護士に依頼しなければならないわけではありません。
自分の希望に沿った対応をしてもらえるか、説明されたリスクや費用に納得できるかなどを慎重に判断することが大切です。
疑問や不安が残っている場合は、別の弁護士にも相談し、対応方針や費用を比較してみるとよいでしょう。
ただし、警察の取り調べや刑事裁判などが控えている場合は、対応が遅れると不利益につながるおそれもあります。
十分に検討することは大切ですが、必要以上に判断を先延ばしにしないよう注意してください。
委任契約を結んで正式に依頼する
依頼する弁護士が決まったら、委任契約書を取り交わして正式に依頼します。
委任契約書には、弁護士が担当する業務の範囲や費用、支払い時期、契約を途中で終了する場合の取り扱いなどが記載されています。
内容を十分に確認し、不明な点があれば契約前に質問しておきましょう。
契約内容に納得できたら、委任契約書に署名し、必要に応じて委任状の作成や着手金の支払いなどを行います。
正式に依頼した後は、弁護士が契約内容に沿って警察・検察への対応や被害者との示談交渉などを進めます。
今後の連絡方法や進捗報告の頻度についても確認し、弁護士と情報を共有しながら解決を目指しましょう。
交通事故の加害者が弁護士に相談するときによくある質問
交通事故の加害者が弁護士に相談するときによくある質問を紹介します。
- 交通事故の加害者が弁護士に依頼する場合の費用相場は?
- 交通事故の加害者に強いおすすめの弁護士は?
- 交通事故の弁護士事務所は無料相談できるの?
- 交通事故の加害者でも弁護士費用特約は使える?
- 交通事故の加害者は民事事件でも弁護士に依頼したほうがいい?
交通事故の加害者が弁護士に依頼する場合の費用相場は?
刑事事件の場合、着手金は20万〜50万円程度、報酬金は10万〜50万円程度が目安です。
民事事件の示談交渉では、着手金が20万〜40万円程度、報酬金は減額できた賠償金の10〜20%程度に設定される場合があります。
また、相談料は無料〜30分5,500円程度が一般的です。
ただし、実際の費用は事故の内容や依頼する業務によって異なるため、事前に見積もりを取って確認しましょう。
交通事故の加害者に強いおすすめの弁護士は?
交通事故の加害者側の弁護実績が豊富で、自分と似た事故を担当した経験がある弁護士がおすすめです。
特に、死亡事故や重傷事故を起こした場合は、刑事事件の弁護だけでなく、被害者との示談交渉や行政処分への対応についても相談できる弁護士を選ぶとよいでしょう。
ただし、適した弁護士は事故の状況や希望する対応によって異なるため、実績だけでなく、対応方針や費用なども比較することが大切です。
交通事故の弁護士事務所は無料相談できるの?
交通事故について、初回無料相談を実施している法律事務所はあります。
ただし、無料相談の対象を被害者側に限定している法律事務所もあり、加害者側の相談は有料になる場合があるため注意が必要です。
また、無料相談には30分や60分などの時間制限が設けられているケースもあります。
相談を予約する際は、加害者側の刑事事件にも対応しているか、無料相談の対象になるか、延長料金が発生するかなどを確認しておきましょう。
交通事故の加害者でも弁護士費用特約は使える?
交通事故の加害者でも、保険の契約内容によっては弁護士費用特約を利用できます。
一般的な弁護士費用特約は被害者側の損害賠償請求を対象としていますが、加害者側の刑事弁護費用まで補償する商品もあります。
ただし、利用できる条件や補償限度額は保険会社や契約内容によって異なり、すべての加害事故が対象になるわけではありません。
交通事故の加害者は民事事件でも弁護士に依頼したほうがいい?
任意保険の示談交渉サービスを利用でき、保険会社が問題なく対応している場合は、必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。
一方、任意保険に加入していない場合や、過失割合・損害賠償額について大きな争いがある場合は、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
まとめ
交通事故の加害者になった場合、任意保険に加入していれば、被害者との示談交渉や損害賠償への対応は保険会社に任せるのが一般的です。
しかし、保険会社は刑事事件や行政処分には対応できないため、事故の状況によっては弁護士のサポートが必要になります。
特に、死亡事故や重傷事故を起こした場合、逮捕や刑事裁判への不安がある場合などは、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。
弁護士に依頼すれば、警察の取り調べへの対応について助言を受けられるほか、不起訴や刑の軽減に向けた弁護活動、被害者との示談交渉なども任せられます。
加害者側の弁護実績や対応方針、費用などを比較し、自分の事情に合った弁護士を選ぶことが大切です。
事故後の対応に不安を感じている方は、一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談して今後の対応を検討してみてください。