
車を運転していると、前方の車から荷物が落ちてきたり、すでに道路上に落ちていた物を踏んだりして事故になることがあります。
このような落下物による事故では、誰に修理費などを請求できるのか気になる方も多いでしょう。
基本的には、落下物を道路上に落とした側が損害賠償責任を負います。
ただし、事故の状況によっては落下物に衝突した側にも過失が認められるほか、落とし主を特定できず損害賠償を請求できないこともあります。
また、相手を特定できない場合でも、自分の車両保険は利用可能です。
ケガをした事故では、利用できる補償について別途確認しましょう。
本記事では、車の落下物による事故の責任や過失割合、請求できる損害賠償、落とし主を特定できない場合の対処法について解説します。
・落下物による事故は基本的に落とした側が責任を負う(落下物に衝突した側の責任が常に0になるとは限らない)
・車の落下物による事故で請求できる損害賠償は、車の修理費、代車費用、レッカー代などの事故対応費用、ケガをした場合の治療費や慰謝料
・落下物を落とした相手に損害賠償を請求する流れは、相手の連絡先や加入している保険を確認する、損害額を確認する、示談交渉する、損害賠償金を受け取る
・落下物を落とした相手を特定するには、ドライブレコーダーの映像を確認する、警察に事故を届け出る、目撃者を探す、落下物そのものから落とし主につながる情報を探す
落下物による事故は落とした側が責任を負う
車から荷物や部品などが道路上に落下し、それが原因で事故が発生した場合は、原則として落下物を落とした側が責任を負います。
道路交通法では、運転者に対して、積載物が転落・飛散しないよう必要な措置を取ることを義務付けています。
そのため、荷物の固定が不十分だったことなどが原因で落下物による事故を起こせば、損害賠償責任を負うことになるでしょう。
ただし、落下物に衝突した側の責任が常に0になるとは限りません。
すでに道路上に落ちている物を発見できる状況だったにもかかわらず衝突した場合などは、前方不注意として一定の過失が認められることもあります。
実際の責任や過失割合は、落下したタイミングや落下物との距離、道路状況などを踏まえて判断されます。
車の落下物による事故の責任と過失割合
落下物による事故では、落とした側だけでなく、落下物に衝突した側にも一定の過失が認められることがあります。
過失割合は、落下物が目の前で落ちてきたのか、すでに道路上にあったのか、避ける時間や距離があったのかなど、事故の状況によって変わります。
交通事故の過失割合は、当事者双方の責任の程度をもとに判断されるものです。
落下物による事故の状況ごとに、責任の考え方や過失割合について解説します。
- 前方の車から落ちてきた物に衝突した場合
- すでに道路上に落ちていた物に衝突した場合
- 落下物を避けて別の車に衝突した場合
- 落下物を避けて自損事故を起こした場合
- 高速道路で落下物による事故が発生した場合
前方の車から落ちてきた物に衝突した場合
前方を走る車から荷物などが突然落下し、そのまま衝突した場合は、基本的に落下物を落とした側の責任です。
特に、落下してから衝突するまでの時間が短く、後続車がブレーキや車線変更をしても回避するのが難しかった場合は、後続車に過失が認められないこともあります。
一般道路でも、予測できないタイミングで大量の積載物が落下したような状況では、落とした側100:後続車0となるでしょう。
一方、十分な車間距離があり、落下物を早い段階で確認できたにもかかわらず衝突した場合は、後続車にも前方不注意などの過失が認められる可能性があります。
そのため、前方車から落下したという事実だけで過失割合が決まるわけではありません。
落下してから衝突するまでの時間や距離、落下物の大きさ・見え方、回避できる状況だったかなどが重要になります。
すでに道路上に落ちていた物に衝突した場合
落下物がすでに道路上にあり、落下してからある程度時間が経過していた場合は、衝突した側にも過失が認められやすくなります。
運転者には前方を確認し、道路上の障害物を発見した場合に減速や停止などによって事故を回避する義務があるためです。
落下物を十分手前から確認できたにもかかわらず、そのまま衝突した場合は、前方不注意などを理由に過失が加算される可能性があります。
実際、深夜の一般道でトラックから脱落したスペアタイヤに約15分後の車が乗り上げた事故では、裁判所が落とした側60:衝突した側40の過失割合を認定した事例があります。
ただし、一般道路の落下物事故に一律の過失割合があるわけではありません。
落下物の大きさや色、夜間かどうか、道路の明るさ、発見してから衝突するまでの距離などを踏まえて判断されます。
落下物を避けて別の車に衝突した場合
落下物を避けるために急な車線変更やハンドル操作を行い、別の車に衝突した場合は、落下物を落とした側だけでなく、回避行動を取った運転者にも責任が生じる可能性があります。
運転者には、障害物を避ける際にも周囲の安全を確認する義務があるためです。
隣の車線を十分に確認せず進路変更した場合などは、その点について過失を問われることがあります。
一方、落下物が突然現れ、衝突を避けるためにとっさの回避行動を取らざるを得なかった場合は、落とした側の責任が重くなることもあるでしょう。
落下物を避けて自損事故を起こした場合
落下物を避けて自損事故を起こした場合の責任は、事故の状況によって異なります。
直接落下物に衝突していなくても、落下物を落とした側の過失と、自損事故との因果関係が認められれば、落とした側は損害賠償責任を負います。
一方、落下物を避ける際の運転にも問題があれば、自損事故を起こした側にも一定の過失が認められ、受け取れる損害賠償額が減額されるでしょう。
そのため、落下物との距離や発見したタイミング、速度、周囲の交通状況などをもとに、落とした側と事故を起こした側それぞれの責任が判断されます。
高速道路で落下物による事故が発生した場合
高速道路の落下物事故では、一般道路よりも落下物を落とした側の責任が重く評価される傾向があります。
高速道路は走行速度が高く、後続車が落下物を発見してから衝突するまでの時間が短いためです。
高速道路で先行車から落下した物に後続車が衝突した事故では、後続車40:落とした側60が基本的な過失割合です。
また、落下物が見えにくかった場合や、落とした側に積載方法などの著しい過失があった場合は、落とした側の過失が加算されることもあります。
一方、後続車が速度超過をしていた場合や、十分手前から落下物を発見できたにもかかわらず回避しなかった場合は、後続車の過失が増える可能性があります。
関連記事:高速道路で交通事故が起きたときの対応|待機場所やしてはいけない行動を解説
車の落下物による事故で請求できる損害賠償
落下物による事故で車が壊れたり、運転者や同乗者がケガをしたりした場合は、事故によって生じた損害を落とした側へ請求できます。
請求できるのは車の修理費だけではありません。
修理中に必要となった代車費用やレッカー代、ケガをした場合の治療費・慰謝料なども対象になります。
落下物による事故で請求できる主な損害賠償について解説します。
- 車の修理費
- 代車費用
- レッカー代などの事故対応費用
- ケガをした場合の治療費や慰謝料
車の修理費
落下物との衝突によって車が壊れた場合は、事故によって必要となった修理費を落とした側へ請求できます。
対象になるのは、バンパーやボディ、フロントガラス、タイヤ、ホイールなど、落下物との衝突によって損傷した部分の修理費です。
修理工場の見積書や請求書が、損害額を確認するための資料になります。
ただし、修理費であれば無制限に請求できるわけではありません。
修理費が事故当時の車両時価額を大きく上回る場合は、経済的全損として、原則として車両時価額などを基準に賠償額が判断されます。
関連記事:経済的全損とは?請求できる費用や納得できないときの対処法を解説
代車費用
落下物による事故で車を修理に出し、その間に代車が必要になった場合は、代車費用も損害として請求できることがあります。
ただし、代車費用が認められるのは、通勤や仕事、日常生活などで車を使用する必要性がある場合です。
公共交通機関で代替できる、普段ほとんど車を使っていないといった事情があれば、全額が認められないこともあります。
また、代車を利用できる期間は、基本的に修理に必要な相当期間です。
必要以上に長期間借りたり、自分の車より大幅に高級な車種を選んだりすると、その費用すべてを請求できるとは限りません。
関連記事:交通事故の代車費用を請求する方法|認められる条件や注意点を解説
レッカー代などの事故対応費用
落下物との衝突によって車が自走できなくなった場合は、レッカー移動にかかった費用も損害として請求できます。
また、修理工場などへ運ぶまでに必要となった車両の保管費用など、事故がなければ発生しなかった費用についても、必要性や金額が相当であれば賠償の対象になることがあります。
交通事故との相当因果関係があるレッカー代や駐車場代を損害として認めた裁判例もあります。
損害賠償の対象となるのは、基本的に事故との相当因果関係が認められる損害です。
ケガをした場合の治療費や慰謝料
落下物による事故でケガをした場合は、車の修理費などの物損だけでなく、人身損害についても賠償を請求できます。
主な対象は、治療費や通院交通費、休業損害、入通院慰謝料などです。
ケガが原因で仕事を休み収入が減った場合は、その減収分も休業損害として請求できる可能性があります。
自賠責保険でも、傷害による損害として治療関係費・休業損害・慰謝料などが補償対象です。
さらに、治療後も後遺症が残り、後遺障害として認定された場合は、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
落下物を落とした相手に損害賠償を請求する流れ
落下物を落とした相手を特定できている場合は、事故によって生じた損害を確認したうえで、相手本人や加入している保険会社と損害賠償について話し合います。
基本的な流れは、相手の連絡先や保険を確認し、修理費などの損害額を確定させたあと、過失割合や賠償額について示談交渉する形です。
落下物事故で相手に損害賠償を請求する流れを順番に解説します。
- 相手の連絡先や加入している保険を確認する
- 車の修理費などの損害額を確認する
- 過失割合や損害賠償額について示談交渉する
- 示談成立後に損害賠償金を受け取る
相手の連絡先や加入している保険を確認する
落下物を落とした相手を特定できた場合は、まず氏名や住所、電話番号などの連絡先を確認しましょう。
あわせて、相手が任意保険に加入しているか、どの保険会社を利用しているかも確認します。
任意保険に加入していれば、実際の損害賠償交渉は相手側の保険会社と進めることが一般的です。
また、相手の車のナンバーや車種も控えておくと、あとから本人確認や事故状況の確認をする際に役立ちます。
その場で相手が落下物を落としたことを認めていても、後日主張が変わることはあります。
相手の情報だけでなく、ドライブレコーダーの映像や落下物、事故現場の写真などもあわせて残しておきましょう。
関連記事:交通事故で連絡先の交換は必要?交換する情報や教えたくないときの対処法を解説
車の修理費などの損害額を確認する
車が損傷している場合は修理工場で見積もりを取り、修理費を確認しましょう。
代車を利用した場合の費用やレッカー代、ケガをしていれば治療費や休業損害なども損害額に含まれます。
この段階では、事故によって発生した費用を漏れなく把握することが重要です。
修理見積書や領収書、診療明細など、金額を証明できる資料も保管しておきましょう。
損害額が確認できたら、次に過失割合を踏まえて実際に相手へ請求する金額を決めていきます。
過失割合や損害賠償額について示談交渉する
相手側の保険会社から過失割合や賠償額を提示されても、その内容が必ず正しいとは限りません。
あくまで相手側からの提示であるため、納得できない場合は根拠を確認し、必要に応じて交渉することが大切です。
また、一度示談が成立すると、原則としてあとから内容を変更できません。
提示された金額だけを見てすぐに合意せず、修理費やそのほかの損害が漏れていないか確認してから判断しましょう。
なお、自分に過失がない事故では、自分が加入している保険会社に示談交渉を代行してもらえません。
その場合は、自分で相手側と交渉するか、弁護士へ依頼する必要があります。
関連記事:交通事故の示談交渉を自分一人で行う方法|テクニックや進め方を解説
示談成立後に損害賠償金を受け取る
過失割合や損害賠償額について双方が合意したら、示談書や免責証書などを取り交わして示談を成立させます。
相手が任意保険に加入している場合は、その後、相手側の保険会社から指定した口座へ損害賠償金が振り込まれるのが一般的です。
振込までにかかる期間は保険会社や事故の内容によって異なります。
支払いを受けたら、示談で合意した金額と実際の振込額に相違がないか確認しましょう。
相手が任意保険に加入しておらず、本人と直接示談した場合は、示談書で定めた期限や方法に従って支払いを受けます。
落下物を落とした相手を特定できない場合は損害賠償の請求が難しい
損害賠償を請求するためには、責任を負う相手を特定する必要があります。
落下物事故の損害賠償責任を負うのは、基本的に落下物を落とした本人です。
相手が任意保険に加入していれば保険会社が交渉や支払いを担当することはありますが、損害賠償責任そのものを負う相手が保険会社になるわけではありません。
そのため、どの車が落下物を落としたのかわからなければ、そもそも損害賠償を請求する相手を特定できず、請求を進めることが難しくなります。
落下物そのものが残っていても、所有者につながる情報があるとは限りません。前方車から落ちた瞬間を確認できていなければ、どの車が落としたのかを証明することも難しいでしょう。
落とし主を特定する方法や、最後まで相手がわからなかった場合の対処法については、後ほど詳しく解説します。
落下物を落とした相手を特定するためにできること
落下物を落とした相手を特定するためにできることを紹介します。
- ドライブレコーダーの映像を確認する
- 警察に事故を届け出る
- 目撃者がいないか確認する
- 周辺の防犯カメラや道路上のカメラを確認する
- 落下物そのものから落とし主につながる情報を探す
ドライブレコーダーの映像を確認する
落下物を落とした車を特定するうえで、最も有力な手がかりのひとつがドライブレコーダーの映像です。
前方車から物が落ちる瞬間や車のナンバー、車種などが映っていれば、落とし主の特定につながる可能性があります。
ナンバー全体が鮮明に映っていなくても、車種や色、一部の数字などが手がかりになることもあるでしょう。
ただし、ドライブレコーダーは古い映像から自動的に上書きされる機種が一般的です。
事故後は映像が残っているか早めに確認し、必要なデータを別の媒体などに保存しておきましょう。
関連記事:ドライブレコーダーは事故の証拠になる?役立つ場面や事例を解説
警察に事故を届け出る
落下物による事故が発生したら、相手がその場にいなくても警察へ届け出ましょう。
交通事故の当事者には、事故の日時や場所、物の損壊状況などを警察へ報告する義務があります。
警察へ連絡する際は、落下物を発見した場所や時間に加えて、前方を走っていた車のナンバー・車種・色など、覚えている情報をできるだけ具体的に伝えることが大切です。
ドライブレコーダーに落下する瞬間が残っていれば、その映像も確認してもらいます。
警察への届出によって必ず落とし主が特定されるわけではありませんが、事故として届け出ておくことで、相手につながる情報を捜査してもらえる可能性があります。
関連記事:交通事故の報告(通報)義務とは?必要なケースや違反の点数・リスクを解説
目撃者がいないか確認する
事故現場の近くに目撃者がいた場合は、落下物を落とした車の特定につながる情報を持っていないか確認しましょう。
目撃者が前方車から物が落ちる瞬間を見ているとは限りません。事故が起きる少し前に道路上の落下物を確認していた人や、同じような荷物を積んだ車が付近を走っているのを見た人がいる可能性もあります。
また、自分からは確認できなかった車種や色、ナンバーの一部などを目撃者が覚えていれば、落とし主を探すための手がかりになります。
目撃者が見つかった場合は氏名や連絡先を確認し、後から警察などが話を聞けるようにしておくことが大切です。
周辺の防犯カメラや道路上のカメラを確認する
店舗や駐車場、住宅などの防犯カメラに、落下物を積んだ車や事故前後に現場を通過した車が映っている可能性があります。
落下した瞬間が記録されていなくても、車種やナンバー、積載物の特徴などから落とし主の特定につながることもあるでしょう。
また、道路上のカメラ映像については、一般の人が自由に確認できるとは限りません。
警察が事故を捜査するなかで、必要に応じて管理者などから映像を収集することがあります。
防犯カメラの映像は一定期間が経過すると上書きされることもあるため、事故後はできるだけ早く警察へ相談し、周辺に利用できそうなカメラがないか確認することが大切です。
落下物そのものから落とし主につながる情報を探す
荷物に会社名や店舗名、配送業者の伝票、管理番号などが残っていれば、所有者や運搬していた事業者につながる可能性があります。
また、車両部品が落下していた場合は、部品の種類や型番などから対象となる車種を絞り込めることもあるでしょう。
ただし、落下物に情報が残っているからといって、その所有者が事故当時に落とした本人とは限りません。
ほかの証拠とあわせて確認する必要があります。
落下物は勝手に処分せず、まず写真を撮影し、事故現場や発見場所とあわせて警察へ伝えましょう。
落とし主を特定できない場合は自分の車両保険を利用できる
落とし主を特定できない場合に利用できる保険や、利用する際の注意点について解説します。
- 落下物による車の損害は車両保険で補償される
- 車両保険を利用すると等級が下がる
- 修理費によっては車両保険を使わないほうがいい
- ケガをした場合は政府保障事業を利用できる可能性がある
落下物による車の損害は車両保険で補償される
落下物によって自分の車が破損した場合は、車両保険から修理費などの補償を受けられることがあります。
車両保険では、物の飛来・落下による損害も一般的に補償対象です。
ただし、加入している車両保険のタイプによって補償範囲は異なります。
一般型であれば、自動車以外の物との衝突や自損事故まで幅広く補償されます。
一方、補償範囲を限定したタイプでは、飛来中・落下中の物との衝突は対象でも、すでに道路上に落ちている物への衝突や、避けた結果の自損事故が対象外になることも少なくありません。
そのため、落とし主を特定できない場合は、自分の車両保険に加入しているかだけでなく、今回の落下物事故が契約している補償範囲に含まれるかを保険会社へ確認しましょう。
車両保険を利用すると等級が下がる
落下物による損害で車両保険を利用すると、翌年の等級が下がり、保険料が高くなる可能性があります。
飛来中・落下中の物と衝突して車両保険を利用した場合は、一般的に1等級ダウン事故として扱われます。
翌年は等級が1つ下がり、事故有係数が1年間適用される仕組みです。
一方、すでに道路上に落ちていた物へ衝突した場合や、落下物を避けて自損事故を起こした場合は、事故内容によって3等級ダウン事故として扱われることもあります。
保険会社や契約内容によって取扱いが異なるため、利用前に確認しておきましょう。
修理費によっては車両保険を使わないほうがいい
落下物による修理費が少額であれば、車両保険を使わず自己負担で修理したほうが結果的に安くなることも少なくありません。
車両保険を利用すると、契約内容に応じて免責金額を自己負担する場合があります。
さらに、翌年以降の等級が下がれば、数年間の保険料負担も増える可能性があります。
そのため、修理費だけを見て保険を利用するか決めるのではなく、免責金額と将来増える保険料を含めて比較することが大切です。
関連記事:交通事故で保険を使う基準は?保険の種類や等級制度、使わない場合の費用を解説
ケガをした場合は政府保障事業を利用できる可能性がある
政府保障事業は、ひき逃げなど加害車両が不明な人身事故について、国が自賠責保険と同程度の範囲で損害を補償する制度です。
治療費や休業損害、慰謝料などが対象になります。
ただし、道路上に落ちていた物に衝突しただけで、自動的に利用できるわけではありません。
ほかの車から落ちた物が事故の原因になったことなど、他車の存在と事故との因果関係を確認できる必要があります。
他車との因果関係が認められない自損事故は、政府保障事業の対象外です。
なお、政府保障事業が補償するのは人身損害に限られます。車の修理費などの物損は対象にならないため、車両保険などで対応する必要があります。
道路上の落下物による事故で道路管理者に損害賠償を請求するのは難しい
道路管理者へ損害賠償を請求するには、道路が通常備えるべき安全性を欠いていたなど、道路の設置・管理に瑕疵があったことが必要です。
道路の管理に瑕疵があるかは、道路の状況や利用状況、危険を予測できたかなどを踏まえて個別に判断されます。
そのため、走行中の車から荷物が突然落ち、道路管理者が把握する間もなく事故が発生したような場合は、道路管理者に責任を問うのは難しいでしょう。
- 木や岩など自然の落下物は道路管理者が責任を負うこともある
- 看板や道路標識などの落下物は管理者が責任を負うことがある
木や岩など自然の落下物は道路管理者が責任を負うこともある
ポイントになるのは、落下の危険を予測できたにもかかわらず、必要な安全対策を取っていなかったかどうかです。
過去には、落石の危険がある道路で注意標識を設置するだけで、防護柵の設置や危険な岩石の除去などを行っていなかったとして、道路管理者の責任が認められた最高裁判例もあります。
倒れそうな木を長期間放置していた、落石が繰り返し発生していたにもかかわらず対策していなかったといった事情があれば、道路の管理に問題があったと判断される可能性があります。
一方、予測できない自然災害によって突然木や岩が落下したなど、事前の対策が困難だった場合まで道路管理者が必ず責任を負うわけではありません。
看板や道路標識などの落下物は管理者が責任を負うことがある
国や自治体が管理する道路標識などについては、設置や管理に瑕疵があり、それが原因で事故が発生した場合、国家賠償法に基づいて国や自治体が責任を負います。
一方、店舗の看板など民間が管理する工作物では、設置や保存に問題があれば、民法717条に基づいて占有者や所有者が責任を負うことがあります。
そのため、車から落ちた荷物とは異なり、看板や道路標識が原因の事故では、誰がその設備を設置・管理していたのかを確認することが重要です。
落下物による車の事故で弁護士に相談したほうがいいケース
落下物による事故で弁護士への相談を検討したほうがよい主なケースを紹介します。
- 相手側から提示された過失割合に納得できない
- 車の修理費などの損害賠償額で揉めている
- 落下物を避けたことで別の車との事故や自損事故が発生した
相手側から提示された過失割合に納得できない
保険会社が提示する過失割合は、必ずしも確定したものではありません。
事故状況やドライブレコーダーの映像、落下物を発見できた距離などを踏まえて、修正できる余地が残っていることもあります。
ただし、自分だけで事故状況に適した過失割合を判断し、相手側の保険会社へ反論するのは簡単ではありません。
弁護士に相談すれば、証拠や事故状況を確認したうえで、提示された過失割合が妥当か判断してもらえます。
妥当でない場合は、根拠を示しながら相手側と交渉してもらうことも可能です。
関連記事:交通事故の過失割合に納得いかないときは?対処法や決め方をわかりやすく紹介
車の修理費などの損害賠償額で揉めている
落下物事故では、修理費の全額がそのまま認められるとは限りません。
車両の時価額や修理の必要性、代車を利用した期間などを理由に、相手側から減額を主張されることがあります。
特に、修理費が高額になった場合や経済的全損が問題になる場合は、適正な賠償額を自分だけで判断するのは簡単ではありません。
弁護士に相談すれば、見積書や事故状況などを確認したうえで、請求できる損害を整理し、相手側と賠償額について交渉してもらえます。
関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説
落下物を避けたことで別の車との事故や自損事故が発生した
落下物を避けた結果、別の車と衝突したり自損事故を起こしたりした場合は、責任関係が複雑になりやすいため、弁護士への相談を検討しましょう。
このような事故では、落下物を落とした側だけでなく、回避行動を取った運転者や衝突した別の車など、複数の当事者が関係することがあります。
また、落下物には直接接触していないため、落下物と事故との因果関係が争われることもあるでしょう。
誰がどの程度の責任を負うのかによって、損害賠償を請求する相手や受け取れる金額も変わります。
弁護士に相談すれば、事故の経緯やドライブレコーダーなどの証拠を確認し、誰にどのような請求ができるのか整理してもらえます。
車の落下物による事故に関するよくある質問
車の落下物による事故に関するよくある質問を紹介します。
- 高速道路の落下物で車が破損した場合は誰に賠償を請求する?
- 道路の落下物を踏んで車が壊れた場合は誰の責任?
- 一般道路の落下物を踏んだ場合は警察に連絡する?
- 車から落下物を落とすと違反になる?
高速道路の落下物で車が破損した場合は誰に賠償を請求する?
高速道路の落下物で車が破損した場合は、原則として落下物を落とした相手に修理費などを請求します。
高速道路を管理するNEXCOなどに、当然に修理費を請求できるわけではありません。
ただし、道路の設置・管理に問題があり、それが事故の原因となった場合は、道路管理者の責任が認められることがあります。
道路の落下物を踏んで車が壊れた場合は誰の責任?
道路上の落下物を踏んで車が壊れた場合は、基本的にその落下物を落とした人の責任です。
ただし、すでに道路上に落ちていた物であれば、運転者にも前方を確認して回避することが求められます。
十分に発見・回避できる状況だった場合は、落下物を踏んだ側にも一定の過失が認められることがあります。
一般道路の落下物を踏んだ場合は警察に連絡する?
事故が発生した場合は、警察へ連絡しましょう。
警察へ届け出ておけば、事故が発生した記録が残り、落とし主を特定するための捜査につながる可能性もあります。
また、保険を利用する際に交通事故証明書が必要になることもあるため、軽い物損だからと自己判断で済ませないほうがよいでしょう。
車から落下物を落とすと違反になる?
車から荷物などを落下させた場合は、道路交通法違反になる可能性があります。
運転者には、積載物が道路上に転落・飛散しないよう必要な措置を取る義務があります。
固定が不十分なまま走行して荷物を落とした場合などは、転落等防止措置義務違反に問われるでしょう。
違反点数は1点です。
また、実際に荷物が道路へ落ちた場合は、そのまま放置してよいわけではありません。
運転者には、落下物を速やかに除去するなど、道路上の危険を防止する措置を取る義務もあります。
まとめ
車の落下物による事故では、原則として落下物を落とした側が損害賠償責任を負います。
ただし、すでに道路上に落ちていた物へ衝突した場合などは、回避できた状況だったかによって衝突した側にも過失が認められることがあります。
落とし主がわからなければ、損害賠償を請求する相手を特定できません。
事故後はドライブレコーダーの映像を保存し、警察への届出や目撃者・防犯カメラの確認などから、落とし主につながる情報を集めることが重要です。
また、過失割合や修理費などをめぐって相手側と揉めている場合は、交通事故に詳しい弁護士への相談も検討しましょう。
大切な人を守りたい。交通事故慰謝料に強い弁護士を探す
事故後の対応、示談交渉や慰謝料など賠償金の算定など、役に立つ情報満載。交通事故に強い優秀な弁護士を数多く紹介しています。