
高齢者は交通事故の損害賠償額が低くなると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
実際、休業損害や逸失利益、将来介護費などは、事故前の収入や就労状況、年齢、平均余命などが影響するため、若い人と比べて金額が低くなる場合があります。
一方、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などは、基本的に治療期間や後遺障害等級などをもとに算定するため、高齢であるという理由だけで金額が低くなるわけではありません。
そのため、高齢者の交通事故では、どの損害が年齢の影響を受けるのかを分けて考える必要があります。
本記事では、高齢者の交通事故で損害賠償額が変わりやすい項目と変わらない項目、慰謝料の相場、賠償額が争われやすいポイント、実際の事例について解説します。
・高齢者の交通事故で損害賠償額が変わりやすい項目は、休業損害、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益、将来介護費
・高齢者でも損害賠償額が変わらない主な項目は、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、治療費、通院交通費・入院雑費・文書料、葬儀費、車両修理費などの物的損害
・高齢者の交通事故で弁護士に相談するメリットは、高齢者特有の損害を適切に算定してもらえる、弁護士基準で慰謝料の増額を目指せる、高齢者本人や家族の負担を減らせる
高齢者は交通事故の損害賠償額が低くなる?
高齢者が交通事故の被害に遭った場合、若い人と比べて損害賠償額が低くなりやすい傾向があります。
ただし、年齢だけを理由にすべての損害が減額されるわけではありません。
交通事故の損害賠償には、治療費や慰謝料、休業損害、逸失利益、将来介護費など複数の項目があります。
このうち、逸失利益は事故前の収入や将来の就労期間などをもとに算定するため、年齢が高いほど金額に影響が出ます。
死亡逸失利益についても、収入や就労可能期間などを考慮して算定される仕組みです。
一方、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、治療期間や後遺障害等級などを基準として算定します。
そのため、80歳だからという理由だけで、25歳より慰謝料が低くなるわけではありません。
自賠責保険でも、後遺障害慰謝料は障害等級に応じた金額が定められています。
つまり、高齢者の損害賠償では、年齢の影響を受ける項目と、基本的に年齢の影響を受けない項目を分けて考える必要があります。
高齢者の交通事故で損害賠償額が変わりやすい項目
高齢者の場合に損害賠償額が変わりやすい4つの項目を解説します。
- 休業損害|就労状況や収入によって金額が変わる
- 後遺障害逸失利益|年齢や労働可能期間が影響する
- 死亡逸失利益|収入や年金の種類によって算定が異なる
- 将来介護費|平均余命が金額に影響する
休業損害|就労状況や収入によって金額が変わる
休業損害とは、交通事故によるけがで仕事を休み、収入が減った場合に請求できる損害です。
高齢者でも会社員や自営業者として働き、事故によって実際に収入が減少したのであれば、その減収分を休業損害として請求できます。
ただし、高齢者はすでに仕事を退職している場合もあります。
事故当時に働いておらず給与収入がなければ、原則として給与収入を前提とした休業損害は発生しません。
一方、仕事をしていなくても、家族のために炊事や洗濯、掃除などの家事を日常的に担っている場合は、家事従事者として休業損害が認められることがあります。
このように、高齢者でも休業損害を請求できる場合はありますが、すでに退職しているなどの事情から、現役で働く若い世代と比べて金額が低くなったり、休業損害自体が発生しなかったりする場合があります。
後遺障害逸失利益|年齢や労働可能期間が影響する
後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害が原因で労働能力が低下し、将来得られるはずだった収入が減少した場合に請求できる損害です。
一般的には、以下の計算式で算定します。
| 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
労働能力喪失期間は、被害者の年齢や職業、後遺障害の内容などを考慮して判断されます。
自賠責保険の支払基準でも、後遺障害確定時の年齢に応じた就労可能年数を用いて逸失利益を算定する仕組みです。
そのため、高齢者は若い人と比べて将来働ける期間が短くなり、同じ収入・同じ後遺障害等級であっても、後遺障害逸失利益が低くなる傾向があります。
ただし、高齢者でも事故当時に仕事を続けていた場合や、今後も働く予定だったと認められる場合には、その就労状況などを踏まえて逸失利益が算定されます。
死亡逸失利益|収入や年金の種類によって算定が異なる
死亡逸失利益とは、交通事故で死亡しなければ将来得られたはずの収入を補償するものです。
一般的には、以下の計算式で算定します。
| 基礎収入 ×(1-生活費控除率)× 就労可能期間に対応するライプニッツ係数 |
高齢者でも事故当時に働いていれば、その収入をもとに死亡逸失利益を請求可能です。
ただし、若い人と比べると将来の就労可能期間が短くなるため、同じ年収であっても死亡逸失利益は低くなります。
また、すでに退職して年金を受給していた高齢者では、年金が死亡逸失利益の対象になる場合があります。
たとえば老齢年金の将来分が逸失利益として認められた裁判例がある一方、遺族厚生年金や遺族共済年金は原則として対象になりません。
このように、高齢者の死亡逸失利益は、事故前の収入や就労状況だけでなく、受給していた年金の種類によっても金額が変わります。
将来介護費|平均余命が金額に影響する
将来介護費とは、交通事故によって重い後遺障害が残り、症状固定後も介護が必要になった場合に請求する費用です。
一般的には、以下の計算式で算定します。
| 1日あたりの介護費 × 365日 × 平均余命に対応するライプニッツ係数 |
将来介護費は、原則として被害者の平均余命まで介護が続くことを前提に算定します。
そのため、同じ程度の介護が必要になった場合でも、高齢者は若い人より平均余命が短いため、将来介護費の総額は低くなります。
ただし、1日あたりの介護費が年齢だけを理由に減額されるわけではありません。
介護の必要性や内容、家族が介護するのか、職業介護人を利用するのかなどをもとに金額が決まります。
つまり、高齢者の将来介護費が低くなりやすい主な理由は、介護費の日額ではなく、将来の介護期間が短くなるためです。
高齢者でも損害賠償額が変わらない主な項目
交通事故の損害賠償は、高齢者だからという理由だけですべての損害賠償額が低くなるわけではありません。
年齢による影響を基本的に受けない主な損害について解説します。
- 入通院慰謝料|年齢だけを理由に減額されない
- 後遺障害慰謝料|後遺障害等級をもとに算定する
- 死亡慰謝料|高齢者だから一律に低くなるわけではない
- 治療費|必要かつ相当な治療費を請求する
- 通院交通費・入院雑費・文書料|実際に生じた費用を請求する
- 葬儀費|死亡事故では葬儀にかかった費用も対象になる
- 車両修理費などの物的損害|年齢による違いはない
入通院慰謝料|年齢だけを理由に減額されない
入通院慰謝料とは、交通事故によるけがで入院や通院を余儀なくされた精神的・肉体的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。
入通院慰謝料は、基本的に治療期間や実際に治療を受けた日数、けがの程度などをもとに算定します。
たとえば、自賠責保険では1日4,300円を基準とし、傷害の状態や実治療日数などを考慮して対象日数を決めます。
そのため、同じけがを負い、入通院期間などの条件も同じであれば、25歳と80歳という年齢の違いだけで入通院慰謝料に差が生じるものではありません。
後遺障害慰謝料|後遺障害等級をもとに算定する
後遺障害慰謝料とは、交通事故によって後遺障害が残った精神的・肉体的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。
後遺障害慰謝料は、基本的に認定された後遺障害等級をもとに算定します。
自賠責保険でも、後遺障害に対する慰謝料は第1級から第14級まで等級ごとに金額が定められており、年齢そのものは算定基準になっていません。
そのため、25歳と80歳で同じ後遺障害等級が認定された場合、高齢であるという理由だけで後遺障害慰謝料が低くなるわけではありません。
ただし、後遺障害慰謝料とは別に請求する後遺障害逸失利益は、年齢や就労可能期間などの影響を受けます。
高齢者の交通事故では、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を分けて考える必要があります。
死亡慰謝料|高齢者だから一律に低くなるわけではない
死亡慰謝料は、交通事故によって被害者が死亡した場合に、被害者本人や遺族の精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
死亡逸失利益とは異なり、被害者の年齢や将来の就労可能期間を使って算定するものではありません。
そのため、高齢者だからという理由だけで死亡慰謝料が低くなるわけではありません。
たとえば、自賠責保険では死亡した本人の慰謝料は400万円と定められており、遺族の慰謝料は請求権者の人数や被扶養者の有無によって金額が決まります。
被害者の年齢による区分は設けられていません。
したがって、高齢者の死亡事故で若い人より損害賠償総額が低くなる場合でも、主な要因は死亡慰謝料ではなく、死亡逸失利益など年齢の影響を受ける損害です。
治療費|必要かつ相当な治療費を請求する
交通事故によるけがの治療費は、事故との因果関係があり、必要かつ相当と認められる範囲で損害賠償の対象になります。
治療費は実際に必要となった費用をもとに判断するため、被害者の年齢だけを理由に金額が減額されるものではありません。
高齢者でも、事故によって入院や手術、リハビリなどが必要になれば、その治療にかかった費用を請求できます。
ただし、事故前からあった持病の治療費や、医学的に必要性が認められない治療まで相手に請求できるわけではありません。
また、高齢者は既往症や加齢による症状がある場合もあるため、どこまでが交通事故による治療なのか争われることがあります。
通院交通費・入院雑費・文書料|実際に生じた費用を請求する
交通事故の治療に伴って発生した通院交通費や入院雑費、診断書などの文書料も損害賠償の対象になります。
自賠責保険では、通院交通費は必要かつ妥当な実費、入院中の諸雑費は原則として1日1,100円、文書料は発行に必要な実費が支払対象です。
交通費や入院日数、文書発行費用が発生したのであれば、高齢者だからという理由で減額されるわけではありません。
葬儀費|死亡事故では葬儀にかかった費用も対象になる
交通事故によって被害者が死亡した場合は、葬儀にかかった費用も損害賠償の対象になります。
葬儀費は、実際に支出した金額をそのまま全額請求できるとは限りません。
裁判では、葬儀の内容や社会通念上の相当性などを踏まえて認定されます。
被害者の年齢によって算定する項目ではないため、高齢者だからという理由で葬儀費が低くなるわけではありません。
なお、裁判実務で用いられる弁護士基準では、葬儀費は原則として150万円が目安とされています。
実際の支出額がこれを下回る場合は、その支出額を基準に判断されるのが一般的です。
車両修理費などの物的損害|年齢による違いはない
交通事故で車両が損傷した場合は、修理費や買い替えに必要な費用などの物的損害も請求の対象になります。
物的損害は車両の損傷状況や時価額などをもとに算定するため、被害者の年齢は基本的に関係ありません。
同じ車両が同じ程度に損傷したのであれば、25歳と80歳であるという理由だけで修理費が変わるわけではありません。
ただし、修理費が事故当時の車両の時価額を上回る場合は、原則として時価額を基準に賠償額が判断されます。
また、代車費用やレッカー費用なども、事故との因果関係があり必要かつ相当な範囲で請求できます。
関連記事:経済的全損とは?請求できる費用や納得できないときの対処法を解説
高齢者の交通事故で損害賠償が争われやすいポイント
高齢者の交通事故では、既往症や加齢による症状、事故前の就労状況などを理由に、損害賠償額について相手側の保険会社と意見が分かれる場合があります。
高齢者の交通事故で特に争点になりやすいポイントを解説します。
- 既往症や持病による素因減額
- 事故による症状と加齢による症状の区別
- 事故前の収入や就労状況
- 家事従事者としての休業損害・逸失利益
- 将来介護の必要性や介護期間
既往症や持病による素因減額
高齢者は高血圧や糖尿病、脊柱管狭窄症などの既往症や持病がある場合も多く、事故後の症状にどこまで影響したのかが争点になることがあります。
事故前からあった疾患が、事故によるけがの発生や症状の悪化、治療期間の長期化などに影響している場合は、素因減額によって損害賠償額が減額される可能性があります。
ただし、既往症や持病があるだけで当然に減額されるわけではありません。
裁判所は、事故前からの疾患が損害の発生・拡大に影響し、損害のすべてを加害者に負担させるのが公平ではないと判断した場合に、素因減額を認めています。
また、加齢による一般的な身体の変化まで、直ちに減額の理由になるわけではありません。
裁判例でも、一般的な経年性変化の範囲を超えていないとして、素因減額を認めなかった例があります。
そのため、高齢者の交通事故では、事故前の診療記録や事故後の検査結果などから、既往症と事故による症状を区別して判断する必要があります。
事故による症状と加齢による症状の区別
高齢者の交通事故では、事故後に現れた症状が交通事故によるものなのか、加齢による身体の変化によるものなのかが争われる場合があります。
たとえば、頸椎や腰椎は年齢とともに変形する場合があります。
事故後に首や腰の痛みが続いていても、相手側の保険会社から加齢による変化が原因ではないかと主張されることもあるでしょう。
ただし、画像検査で加齢による変化が確認されたからといって、事故との因果関係が直ちに否定されるわけではありません。
事故前には症状がなかったのか、事故直後から症状が続いているのか、診療記録や検査結果と症状が一致しているのかなどを踏まえて判断します。
そのため、高齢者の交通事故では、事故前後の身体の状態を比較し、事故によって生じた症状であると示せる資料をそろえることが重要です。
事故前の収入や就労状況
高齢者の休業損害や逸失利益では、事故前にどの程度の収入を得ていたのか、今後も働く予定だったのかが争点になる場合があります。
特に、定年後の再雇用や自営業、アルバイトなどで働いていた場合は、今後の就労期間や収入について相手側の保険会社と意見が分かれることもあります。
給与明細や源泉徴収票、確定申告書などから事故前の収入を示すだけでなく、雇用契約書などを用いて今後も就労を続ける予定だったと示すことが重要です。
家事従事者としての休業損害・逸失利益
仕事をしていない高齢者でも、家族のために炊事や洗濯、掃除などの家事を日常的に担っていた場合は、家事従事者として休業損害や逸失利益が認められます。
ただし、事故前にどの程度家事を担っていたのかが重要です。
家族と同居していても、実際にはほとんど家事をしていなかった場合は、家事従事者としての損害が認められません。
そのため、高齢者の家事従事者としての損害では、年齢だけではなく、事故前にどのような家事をどの程度担っていたのかを具体的に示せるかがポイントです。
将来介護の必要性や介護期
高齢者の交通事故では、事故によって新たに介護が必要になったのか、もともと必要だった介護の負担が事故によってどの程度増えたのかが争点になる場合があります。
事故前から介護を受けていた場合は、事故後の介護費のすべてが交通事故による損害として認められるとは限りません。
事故前の介護内容と事故後の状態を比較し、事故によって新たに必要になった介助や増加した負担を区別して判断します。
また、事故前には介護を必要としていなかった場合でも、年齢や既往症などから、事故がなくても将来的に介護が必要になった可能性が問題になることがあります。
そのため、高齢者の将来介護費では、事故前の身体状態や介護状況、事故後に必要となった介護の内容などをもとに、交通事故によって生じた介護費の範囲を明確にすることが重要です。
高齢者の交通事故の慰謝料相場
高齢者が交通事故でけがをしたり、後遺障害が残ったり、死亡したりした場合は、それぞれ慰謝料を請求できます。
慰謝料は、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つに分けて考えるのが基本です。
それぞれの慰謝料がどのように決まり、どの程度の金額になるのかを解説します。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
入通院慰謝料
入通院慰謝料の金額は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどれを用いるかによって異なります。
たとえば、他覚所見のないむち打ち症で3か月通院した場合の目安は、以下のとおりです。
| 算定基準 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 自賠責基準 | 4,300円×対象日数 |
| 任意保険基準 | 保険会社ごとに異なる |
| 弁護士基準 | 53万円程度 |
自賠責基準では1日4,300円を基準とし、治療期間の範囲内で、実際に治療を受けた日数などを考慮して対象日数を決めます。
たとえば、3か月の治療期間中に30日通院した場合は、実通院日数30日×2=60日が対象となり、25万8,000円が目安です。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級によって金額が大きく変わります。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級 | 1,150万円 | 2,800万円 |
| 5級 | 618万円 | 1,400万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 10級 | 190万円 | 550万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
自賠責基準の1級は、介護を要する後遺障害を除く金額です。
常時介護が必要な1級では慰謝料等が1,650万円、随時介護が必要な2級では1,203万円となります。
たとえば、むち打ちなどで後遺障害14級が認定された場合、自賠責基準では32万円、弁護士基準では110万円が目安です。
任意保険基準は各保険会社が独自に設定しているため、統一された金額はありません。
実際に14級で70万円を提示された事例もありますが、弁護士基準よりも高くなることはないでしょう。
死亡慰謝料
死亡慰謝料も、どの算定基準を用いるかによって金額が異なります。
| 算定基準 | 死亡慰謝料の目安 |
|---|---|
| 自賠責基準 | 本人400万円+遺族慰謝料 |
| 任意保険基準 | 保険会社によって異なる |
| 弁護士基準 | 2,000万~2,800万円程度 |
自賠責基準の遺族慰謝料は、請求できる遺族が1人なら550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円です。
被害者に扶養されていた人がいる場合は、さらに200万円が加算されます。
弁護士基準では、被害者の家庭内での立場などによって金額が異なり、一家の支柱は2,800万円程度、母親・配偶者は2,500万円程度、その他は2,000万~2,500万円程度が目安です。
これらは裁判例をもとにした算定基準であり、個別の事情によって金額が変わります。
高齢者の交通事故の事例
高齢者の交通事故では、年齢だけで賠償額が決まるわけではなく、事故前の収入や生活状況、後遺障害の程度、介護の必要性などによって金額が大きく変わります。
高齢者が交通事故の被害に遭い、実際に損害賠償を獲得した3つの事例を紹介します。
- 85歳女性|後遺障害が残り720万円の賠償金を獲得した事例
- 80歳男性|死亡事故で約2,600万円の賠償金を獲得した事例
- 80歳男性|介護が必要な後遺障害が残り約4,448万円を獲得した事例
85歳女性|後遺障害が残り720万円の賠償金を獲得した事例
85歳の女性が横断歩道を歩いていたところ、右折してきた普通自動車に衝突され、右膝関節痛の後遺障害が残った事例です。
相手側の保険会社から当初280万円の賠償金が提示されていましたが、弁護士が家事労働への支障や後遺障害逸失利益などを主張した結果、最終的に720万円まで増額されました。
【事故の内容】
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【事故の結果】
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この事例では、85歳という年齢から、後遺障害逸失利益の基礎収入や労働能力喪失期間が大きな争点です。
弁護士は、家事労働には一般的な会社員のような定年がないことや、事故当時も実際に家事を担っていたことなどを主張しています。
その結果、基礎収入には賃金センサスの金額が採用され、労働能力喪失期間についても当初の想定より長い期間が認められました。
80歳男性|死亡事故で約2,600万円の賠償金を獲得した事例
80歳の男性が自宅近くを散歩中、道路を横断しようとした際に自動車と衝突し、その後、対向車にもはねられて死亡した事例です。
相手側の保険会社は、被害者が高齢の年金生活者だったことなどを理由に死亡慰謝料を1,800万円以上支払えないと主張しました。
弁護士が被害者の生活状況などを具体的に主張して交渉した結果、最終的に既払い金を含めて約2,600万円の賠償金を獲得しています。
【事故の内容】
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【事故の結果】
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高齢者の死亡事故では逸失利益が若い人より低くなる場合がありますが、死亡慰謝料まで年齢だけを理由に低くなるわけではありません。
被害者の生活状況や家族との関係などを具体的に主張することで、適正な慰謝料を獲得できる場合があります。
80歳男性|介護が必要な後遺障害が残り約4,448万円を獲得した事例
80歳の男性が自転車で走行中に四輪車にはねられ、脳挫傷の重傷を負った事例です。
事故後は神経系統の機能に著しい障害が残り、随時介護が必要な状態として後遺障害等級別表第1の2級1号が認定されました。
弁護士が逸失利益や将来介護費、慰謝料などについて交渉した結果、最終的な支払額は約4,448万円となり、当初の提示額から1,200万円以上増額されています。
【事故の内容】
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【事故の結果】
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高齢者の場合、若い人と比べて就労可能期間や平均余命が短いため、逸失利益や将来介護費は低くなりやすい傾向があります。
ただし、年齢だけを理由にこれらの損害が認められなくなるわけではありません。
重い後遺障害が残り、事故後も介護が必要な状態が続く場合には、事故前の生活状況や収入、介護の必要性などを踏まえて損害額が算定されます。
高齢者の交通事故で弁護士に相談するメリット
高齢者の交通事故で弁護士に相談する主なメリットを解説します。
- 高齢者特有の損害を適切に算定してもらえる
- 弁護士基準で慰謝料の増額を目指せる
- 高齢者本人や家族の負担を減らせる
高齢者特有の損害を適切に算定してもらえる
弁護士に相談すれば、事故前の収入や家事への従事状況、既往症、介護状況などを確認したうえで、請求できる損害を整理してもらえます。
実際、交通事故の損害賠償では、休業損害・後遺障害逸失利益・死亡逸失利益・素因減額など複数の項目を個別に検討する必要があります。
高齢だから仕方がないと相手側の提示額をそのまま受け入れるのではなく、適正な損害額になっているか確認してもらうことが大切です。
弁護士基準で慰謝料の増額を目指せる
交通事故の慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準があり、一般的には弁護士基準が最も高額です。
弁護士へ依頼すると、過去の裁判例などをもとにした弁護士基準で慰謝料を算定し、相手側の保険会社と交渉してもらえます。
実際に先ほど紹介した80歳男性の死亡事故でも、相手側の保険会社は死亡慰謝料を1,800万円以上支払えないと主張していましたが、弁護士の交渉によって本人と遺族を合わせて2,400万円の死亡慰謝料を獲得しています。
保険会社から賠償額を提示された場合は、示談する前に弁護士基準と比べて適正な金額になっているか確認してもらうとよいでしょう。
高齢者本人や家族の負担を減らせる
交通事故後は、治療や通院を続けながら、相手側の保険会社との連絡や必要書類の準備、損害賠償額の確認なども進めなければなりません。
高齢者の場合、けがによって外出や手続きが難しくなったり、家族が通院の付き添いや介護を担ったりする場合もあります。
こうした状況で保険会社との交渉まで本人や家族だけで進めるのは、大きな負担になりかねません。
弁護士へ依頼すれば、保険会社との連絡や示談交渉、損害額の算定などを任せられます。
本人は治療に専念しやすくなり、家族の負担も軽減できるでしょう。
高齢者の交通事故に関するよくある質問
高齢者の交通事故に関するよくある質問を紹介します。
- 高齢者の交通死亡事故の賠償金相場はいくら?
- 高齢者の損害賠償額はどう決まる?
- 70・80・90歳で交通事故により死亡した場合、保険金はいくら?
高齢者の交通死亡事故の賠償金相場はいくら?
高齢者の交通死亡事故では、年齢だけで賠償金の相場を決めることはできません。
死亡慰謝料に加えて、死亡逸失利益や葬儀費などを合計して損害賠償額を算定します。
弁護士基準による死亡慰謝料の目安は、被害者の家庭内での立場によって2,000万~2,800万円程度です。
高齢者の損害賠償額はどう決まる?
高齢者の交通事故における損害賠償額は、事故によって生じた損害を項目ごとに計算し、合計して決まります。
主な損害項目は、以下のとおりです。
- 治療費
- 入通院慰謝料
- 休業損害
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
- 将来介護費
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
- 葬儀費
- 車両修理費などの物的損害
これらを合計したうえで、被害者にも過失がある場合は過失相殺を行い、すでに受け取った保険金などがあれば差し引いて、最終的な賠償額を算定します。
70・80・90歳で交通事故により死亡した場合、保険金はいくら?
70歳・80歳・90歳など、年齢だけで死亡事故の保険金額が決まるわけではありません。
死亡事故では、主に以下の損害を合計して賠償額を算定します。
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
- 葬儀費
- 死亡するまでに発生した治療費など
このうち、死亡逸失利益は事故前の収入や年金、就労可能期間などによって変わるため、70歳・80歳・90歳でも金額に差が生じます。
なお、自賠責保険から支払われる死亡による損害の限度額は、年齢にかかわらず被害者1人につき3,000万円です。
3,000万円を超える損害が認められた場合は、加害者本人や加害者が加入する任意保険などに請求します。
まとめ
高齢者の交通事故では、年齢が高いという理由だけですべての損害賠償額が低くなるわけではありません。
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などは、基本的に治療期間や後遺障害等級などをもとに算定します。
一方、休業損害や逸失利益、将来介護費は、事故前の収入や就労状況、年齢、平均余命などが影響するため、若い人より低くなる場合があります。
また、高齢者の場合は、既往症や加齢による症状、事故前からの介護状況などが原因で、相手側の保険会社と賠償額について争いになることもあります。
提示された賠償額が適正かわからない場合や、高齢を理由に低い金額を提示されていると感じる場合は、示談する前に交通事故に詳しい弁護士へ相談しましょう。
