
タイヤが脱落して交通事故が発生した場合、誰が責任を負うのか気になる方もいるでしょう。
タイヤ交換を整備業者に任せていたのであれば、運転者には責任がないと考えるかもしれません。
タイヤ脱落事故では、必ずしも運転者だけが責任を負うわけではありません。
脱落した原因によっては、タイヤ交換をした整備業者や車両の使用者、部品・車両のメーカーなどに責任が認められることもあります。
タイヤが外れて人を死傷させた場合は、損害賠償責任だけでなく、刑事責任や行政責任を問われる可能性もあります。
そのため、事故後はタイヤやホイールなどを保管し、脱落した原因と責任の所在を明らかにすることが重要です。
本記事では、タイヤが脱落する主な原因と責任者の考え方、事故原因を特定する方法、自分に責任がないと考える場合の対応などについて解説します。
・タイヤが脱落した場合の責任は、整備業者、車両の使用者・運転者、メーカーのいずれかになる
・タイヤの脱落事故で自分に責任がないと考える場合は、脱落したタイヤやホイールなどを処分せずに保管する、タイヤ交換や整備の記録を保存する、タイヤ交換後の点検・管理状況がわかる証拠を残す
・タイヤの脱落事故で自分に責任がある場合に問われる責任は、被害者に対する損害賠償責任、人を死傷させた場合の刑事責任、違反点数や免許停止などの行政責任
タイヤが脱落する原因と交通事故の責任者
走行中にタイヤが脱落する原因は、タイヤ交換時の作業ミスだけではありません。
交換後の点検不足や部品の劣化、タイヤやホイールなどの欠陥が原因となることもあります。
そのため、タイヤの脱落事故では、原因に応じて整備業者、車両の使用者・運転者、メーカーなどが責任を負います。
タイヤが脱落する主な原因と、事故が発生した場合に誰が責任を負うのかを見ていきましょう。
- 整備業者
- 車両の使用者・運転者
- メーカー
整備業者
タイヤ交換は、整備工場やディーラー、カー用品店などの業者に依頼することが一般的です。
そのため、タイヤ交換後に脱落事故が発生した場合、まず交換作業をした整備業者にミスがなかったかを確認しましょう。
整備業者にタイヤ交換を依頼し、作業上のミスが原因でタイヤが脱落した場合は、整備業者が責任を負います。
ただし、整備業者へ依頼していた場合でも、その後の車両の使用・管理状況などが脱落に影響していれば、車両の使用者や運転者にも責任が認められることがあります。
まずは、整備業者に責任が発生する場合について見ていきましょう。
ホイールナットを適切なトルクで締め付けていなかった
タイヤ交換では、ホイールナットを車両メーカーが指定するトルクで締め付ける必要があります。
締め付ける力が不足していると、走行中の振動などによってナットが徐々に緩み、最終的にタイヤが脱落する原因になります。
一方、強く締め付ければ安全というわけでもありません。
過度に締め付けると、ホイールボルトやナットが損傷し、破損につながるおそれがあります。
整備業者が適切なトルクで締め付けなかったことが原因でタイヤが脱落したのであれば、交換作業をした整備業者の責任です。
ホイールやボルト・ナットの錆や汚れを十分に清掃していなかった
タイヤを取り付ける際は、ホイールやボルト・ナットの接触部分に付着した錆や汚れを取り除く必要があります。
錆や泥などが付着したまま取り付けると、ホイールと車体が適切に密着しません。
走行中の振動によって錆や汚れが剥がれると接触部分に隙間が生じ、ホイールナットが緩んでタイヤの脱落につながることがあります。
そのため、整備業者が必要な清掃をせずにタイヤを取り付け、その作業が原因で脱落事故が発生した場合は、整備業者の責任です。
タイヤ交換時に必要な作業を適切に行っていなかった
国土交通省によると、大型車の車輪脱落事故は冬用タイヤへの交換時期に集中しており、交換してから1か月以内に発生する事故が多くなっています。
特に11月頃は冬用タイヤへの交換依頼が集中するため、1台あたりの作業時間が限られ、本来必要な確認や作業が十分に行われないことが事故の要因になっていると考えられています。
そのため、繁忙期であっても必要な工程を省略せず、正しい手順でタイヤを取り付けることが重要です。
整備業者が必要な作業を適切に行わなかったことが原因でタイヤが脱落したのであれば、整備業者の責任です。
ホイールに適合しないボルトやナットを取り付けていた
ホイールに適合しないボルトやナットを使用すると、タイヤを正しく固定できず、走行中に緩みや破損が生じて脱落する原因になります。
ホイールボルトやナットには、サイズや形状などの違いがあります。
そのため、タイヤ交換では、取り付けるホイールや車両に適合した部品を使用しなければなりません。
特に、純正ホイールから社外ホイールへ交換する場合などは、これまで使用していたナットをそのまま使用できないことがあります。
整備業者が適合しないボルトやナットを取り付けたことが原因でタイヤが脱落したのであれば、整備業者の作業ミスとして責任を問われます。
車両の使用者・運転者
道路運送車両法第47条では、自動車の使用者に対して、車両を点検し、必要な整備をすることで、保安基準に適合する状態を維持することを義務付けています。
また、同法第47条の2では日常点検、第48条では定期点検について定められています。
つまり、タイヤ交換を業者に任せていたという理由だけで、使用者の責任がなくなるわけではありません。
交換後の増し締めや必要な点検を怠り、それが原因でタイヤが脱落したのであれば、使用者側にも責任が認められます。
次は、車両の使用者・運転者に責任が認められる主な原因を見ていきましょう。
タイヤ交換後の増し締めを適切に行っていなかった
タイヤ交換後は、一定の距離を走行したあとにホイールナットの増し締めをすることが重要です。
タイヤ交換時に適切なトルクでナットを締め付けていても、走行によってホイールとナットなどの接触部分がなじむことで、締め付け力が低下することがあります。
特に大型車については、国土交通省がタイヤ交換後50~100km走行した時点を目安に、規定のトルクで増し締めすることを求めています。
増し締めを行わなかったり、実施する時期が遅れたりしたことがタイヤ脱落の原因となった場合は、交換作業を整備業者に依頼していても、車両の使用者側の責任が認められるでしょう。
日常点検や定期点検を怠っていた
車両の使用者には、道路運送車両法に基づいて日常点検や定期点検を行う義務があります。
日常点検では、タイヤの空気圧や亀裂・損傷、異常な摩耗などを確認します。
大型車では、ホイールナットの脱落やホイールボルトの折損などがないかについても確認が必要です。
また、定期点検では、ホイールナットやホイールボルトの緩み・損傷など、日常点検よりも詳しく車輪周辺の状態を確認します。
必要な点検をしていればナットの緩みや部品の異常を発見できたにもかかわらず、点検を怠ってタイヤの脱落につながった場合は、車両の使用者側の責任が認められることがあります。
タイヤの異常に気づきながら運転を続けていた
走行中にタイヤ周辺の異常に気づいた場合は、安全な場所に停車して状態を確認することが必要です。
道路交通法第70条では、運転者に対して、車両の状態や道路・交通の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転することを義務付けています。
タイヤが脱落する前には、車体の異常な振動やタイヤ周辺からの異音などが発生することがありますが、このような異常を認識しながら走行を続け、タイヤが脱落して事故を起こした場合は、運転者の責任です。
自分でタイヤを交換した際に作業ミスがあった
タイヤ交換は整備工場やディーラー、カー用品店などに依頼するのが一般的ですが、自分で交換することもあります。
たとえば、夏用タイヤから冬用タイヤへ履き替える際に、タイヤとホイールをセットで交換する作業であれば、自宅で行う人もいます。
タイヤ交換自体に特別な資格は必要ないため、必要な知識や工具があれば自分で作業することが可能です。
ただし、自分で交換した場合は、締め付けトルクの不足やナットの取り付け間違いなど、自分の作業ミスが原因でタイヤが脱落すれば、基本的に自分が責任を負います。
メーカー
製造上・設計上の欠陥が原因でタイヤが脱落して事故が発生した場合は、製造物責任法(PL法)に基づいてメーカーが損害賠償責任を負うことがあります。
ただし、タイヤ脱落事故でメーカーの欠陥が原因となることは比較的まれです。
実際には、タイヤ交換時の作業ミスや交換後の点検・管理不足が原因となる事故が多くを占めています。
最後に、メーカーが責任を負う主な原因について解説します。
タイヤやホイールなどの部品に欠陥があった
タイヤやホイール、ホイールボルト・ナットなどの部品そのものに欠陥があり、それが原因でタイヤが脱落した場合は、部品のメーカーが責任を負うことになります。
たとえば、製造工程の問題によってホイールボルトの強度が不足しており、通常の使用で破損したことがタイヤ脱落の原因となった場合などです。
製造物責任法では、製品の欠陥によって他人の生命・身体または財産に損害が生じた場合、製造業者などに損害賠償を請求できます。
車両の設計や製造に欠陥があった
車両そのものの設計・製造上の欠陥によってタイヤが脱落した場合は、自動車メーカーが責任を負うことがあります。
イメージしやすいのは、リコールの対象になるような車両の不具合です。
たとえば、車輪を固定する部分の強度が不足しており、通常どおり使用していてもホイールボルトが破損するなどの不具合が考えられます。
このような欠陥が原因でタイヤが脱落し、人身事故や物損事故が発生した場合は、製造物責任法に基づいて自動車メーカーへ損害賠償を請求できます。
ただし、リコールの対象となっている車両だからといって、事故について必ずメーカーが責任を負うわけではありません。
タイヤの脱落事故ではどのように責任者を特定するのか
タイヤの脱落事故では、事故を起こした車の運転者が必ずすべての責任を負うわけではありません。
タイヤが脱落した原因を調べたうえで、整備業者や車両の使用者・運転者、メーカーなどのうち誰に責任があるのかを判断します。
タイヤの脱落事故で責任者を特定するために確認される主なポイントを解説します。
- 警察が事故原因を捜査する
- タイヤやホイールなどの状態を調査する
- タイヤ交換や整備の記録を確認する
- 運転者・使用者の点検や管理状況を確認する
警察が事故原因を捜査する
タイヤの脱落によって交通事故が発生した場合は、警察が事故現場の状況を確認し、その後の原因究明につながる情報を集めます。
事故現場では、事故車両や脱落したタイヤの位置、路面に残った痕跡、車両の損傷状況など、現場で確認できる状態を記録します。
また、運転者から事故が発生したときの状況や、タイヤが脱落する前に異音・振動などがなかったかについて話を聞かれるのが一般的です。
現場の状況から明らかな原因がわかることもありますが、タイヤがなぜ脱落したのかまでその場で特定できるとは限りません。
そのため、必要に応じて事故車両や脱落した部品、整備状況などを後から詳しく調べ、事故原因と責任の所在を明らかにしていきます。
タイヤやホイールなどの状態を調査する
事故現場での確認だけではタイヤが脱落した原因を特定できない場合、事故車両や脱落した部品などを詳しく調べます。
たとえば、ホイールボルトやナットに緩み・折損がないか、ホイールの取付部分に錆や摩耗がないかなどを確認し、タイヤがどのような状態で脱落したのかを調査します。
ただし、ボルトが折れていたとしても、事故前から破損していたのか、事故の衝撃によって破損したのかは見た目だけでは判断できるとは限りません。
死亡事故など詳しい原因究明が必要な場合には、警察による捜査の一環として、車両や部品について専門的な鑑定が行われることもあります。
タイヤ交換や整備の記録を確認する
タイヤ交換時の作業ミスが疑われる場合は、交換や整備を担当した業者の記録などを確認します。
いつタイヤを交換したのか、どの整備業者が作業したのか、どのような点検・整備を行ったのかなどを調べ、タイヤ脱落との関係を確認します。
また、必要に応じてタイヤ交換を担当した整備士などから事情を聴き、ホイールナットを適切なトルクで締め付けたか、必要な清掃や確認を行ったかなど、実際の作業内容についても調査するでしょう。
こうした記録や関係者への聞き取りから整備作業に問題があったと認められれば、整備業者の責任を判断するための重要な材料になります。
運転者・使用者の点検や管理状況を確認する
整備業者の作業だけでなく、タイヤ交換後に運転者や車両の使用者が適切に点検・管理していたかも確認されます。
たとえば、タイヤ交換後に必要な増し締めを行っていたか、日常点検や定期点検を実施していたか、タイヤ周辺の異音や振動などの異常を認識していなかったかなどです。
点検・整備の記録があれば、その内容や実施時期も確認し、タイヤの脱落を事前に防げる状況ではなかったかを判断します。
必要な点検を怠っていたり、異常に気づきながら運転を続けていたりしたことが脱落事故につながったと認められれば、運転者や使用者の責任を判断する材料になります。
タイヤの脱落事故で自分に責任がないと考える場合の対応
タイヤの脱落事故を起こしても、整備業者の作業ミスや部品の欠陥などが原因であれば、運転者・使用者だけが責任を負うとは限りません。
ただし、自分に責任がないと主張するためには、タイヤが脱落した原因を明らかにするための証拠が必要です。
自分に責任がないと考えている場合に取るべき対応を解説します。
- 脱落したタイヤやホイールなどを処分せずに保管する
- タイヤ交換や整備の記録を保存する
- タイヤ交換後の点検・管理状況がわかる証拠を残す
- 保険会社とタイヤ交換を依頼した整備業者に連絡する
脱落したタイヤやホイールなどを処分せずに保管する
事故の状況によっては、警察がタイヤやホイールなどを証拠として確保し、脱落原因を詳しく調べることがあります。
警察が確保しない場合でも、これらの部品は整備業者の作業ミスや部品の欠陥を証明する重要な証拠になるかもしれません。
そのため、脱落したタイヤやホイール、ボルト・ナットなどを自己判断で処分しないようにしましょう。
修理のために部品を交換する場合も、原因や責任の所在が明らかになるまでは、交換した部品を処分せずに保管してもらうよう整備業者へ伝えておくことが重要です。
タイヤ交換や整備の記録を保存する
タイヤ交換や整備を業者へ依頼していた場合は、作業内容がわかる記録を処分せずに保存しておきましょう。
たとえば、タイヤ交換・整備の請求書や納品書、点検整備記録簿などがあれば、いつ、どの業者に、どのような作業を依頼したのかを確認できます。
こうした記録は、事故の直前に整備業者がタイヤを取り付けていたことや、実施した作業内容を明らかにするための証拠になります。
整備業者の作業ミスが疑われる場合は、事故後の交渉や損害賠償請求に必要になることがあるため、関係する書類やデータをまとめて残しておきましょう。
タイヤ交換後の点検・管理状況がわかる証拠を残す
タイヤ交換後の点検や管理について記録を残していなかった場合は、事故後できるだけ早いうちに、覚えている内容を書き留めておきましょう。
具体的には、いつタイヤを交換したのか、交換後にどのくらい走行したのか、増し締めをしたか、誰が増し締めをしたのか、その後に点検をしたか、事故前に異音や振動がなかったかなどを整理します。
時間が経つほど当時の状況を正確に思い出すのが難しくなるため、事故後の早い段階で整理しておくことが重要です。
また、整備業者に増し締めや点検を依頼していた場合は、伝票や整備記録などが残っていないか確認しておきましょう。
こうした情報は、自分の点検・管理に問題がなかったことや、タイヤが脱落した原因を判断する材料になります。
保険会社とタイヤ交換を依頼した整備業者に連絡する
タイヤの脱落事故が発生したら、自分が加入している保険会社へ連絡し、事故の状況を伝えましょう。
また、事故前に整備工場やディーラー、カー用品店などへタイヤ交換を依頼していた場合は、その整備業者にも事故が発生したことを連絡します。
整備業者には、タイヤ交換を実施した日時や作業内容、使用した部品などを確認し、当時の整備記録を保存してもらうことも重要です。
ただし、事故直後の段階ではタイヤが脱落した原因が明らかになっていないこともあります。
整備業者の責任だと決めつけるのではなく、まず事故が発生した事実を伝え、原因調査に必要な情報や記録の提供を求めましょう。
タイヤの脱落事故で自分に責任がある場合に問われる責任
タイヤの脱落事故で問われる責任は、主に民事責任・刑事責任・行政責任の3つです。
それぞれどのような責任を問われるのかを解説します。
- 被害者に対する損害賠償責任
- 人を死傷させた場合の刑事責任
- 違反点数や免許停止などの行政責任
被害者に対する損害賠償責任
自分の過失によってタイヤが脱落し、他人にけがをさせたり物を壊したりした場合は、被害者に生じた損害を賠償する責任を負います。
主な損害賠償の項目は以下のとおりです。
| 被害の内容 | 主な損害賠償の項目 |
|---|---|
| けがをさせた | 治療費・通院交通費・休業損害・入通院慰謝料など |
| 後遺障害が残った | 後遺障害慰謝料・逸失利益など |
| 死亡させた | 死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀費用など |
| 車や建物などを壊した | 修理費・買替差額・代車費用・休車損害など |
タイヤの脱落事故では物損事故が比較的多いため、相手の車などを損傷させた場合は修理費が損害賠償の中心になります。
ただし、修理費がいくら高額になっても、その全額を必ず賠償するわけではありません。
修理費が事故当時の車両の時価額と買替諸費用を上回る場合は経済的全損となり、原則として車両の時価額と買替諸費用の範囲で賠償額が算定されます。
一方、タイヤが人に衝突するなどして人身事故になれば、治療費や休業損害、慰謝料なども賠償の対象です。
人を死傷させた場合の刑事責任
タイヤの脱落事故によって人を死傷させた場合は、過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
被害者がけがをした事故では過失運転致傷罪、死亡した事故では過失運転致死罪として扱われます。
ただし、実際に科される刑罰は、被害の程度や過失の大きさ、事故後の対応、被害者との示談状況などを踏まえて判断されます。
なお、被害者のけがが軽い場合は、情状によって刑が免除されることも少なくありません。
違反点数や免許停止などの行政責任
タイヤの整備不良が原因で脱落事故を起こした場合は、整備不良(制動装置等)として基礎点数2点が加算されます。
道路交通法では、タイヤやホイールなどの走行装置に不具合があり、交通の危険を生じさせるおそれがある車両を運転することは禁止されています。
そのため、必要な点検や整備を怠ったことでタイヤが脱落した場合は、整備不良として行政処分の対象です。
整備不良の2点だけであれば、過去の違反や行政処分がない人が直ちに免許停止になるわけではありません。
ただし、人身事故を起こした場合は事故の程度などに応じた付加点数が加算されます。
また、速度違反や信号無視など別の交通違反もしていれば、その違反点数も加わるため、累積点数によっては免許停止や免許取消しになることがあるでしょう。
タイヤの脱落による交通事故は弁護士に相談したほうがいい理由
タイヤの脱落による交通事故は弁護士に相談したほうがいい理由を見ていきましょう。
- タイヤが脱落した原因や責任の所在をめぐってトラブルになりやすい
- 自分に責任がないことを証明するためのサポートを受けられる
- 自分に過失がない場合は保険会社に示談交渉を任せられない
- 弁護士費用特約に加入していれば費用の負担を抑えられる
タイヤが脱落した原因や責任の所在をめぐってトラブルになりやすい
タイヤの脱落事故では、運転者とタイヤ交換をした整備業者との間で、責任の所在をめぐってトラブルになることがあります。
たとえば、整備業者は交換後の増し締めや点検をしていなかったことが原因だと主張する一方、運転者側はタイヤ交換時の締め付け不足など、整備作業に問題があったと考えることもあるでしょう。
その場合は、誰に責任があるのかだけでなく、双方がどの程度の責任を負うのかについても争いになりやすいです。
責任の所在や負担割合を判断するには、脱落したタイヤやホイールの状態、整備記録、タイヤ交換から事故までの走行距離、交換後の点検状況などを確認しなければなりません。
弁護士に相談すれば、事故原因や証拠を整理したうえで、自分が負うべき責任の範囲や整備業者へ責任を追及できるかについて判断してもらえます。
自分に責任がないことを証明するためのサポートを受けられる
タイヤの脱落事故で自分に責任がないと主張するには、整備業者の作業ミスや部品の欠陥など、タイヤが脱落した原因を証拠によって明らかにする必要があります。
しかし、脱落したタイヤやホイールを見ただけで、締め付け不足や部品の不具合などを判断するのは簡単ではありません。
整備記録や事故車両の状態など、複数の証拠をもとに原因を検討する必要があるでしょう。
弁護士に相談すれば、責任の所在を明らかにするために必要な証拠や、どのような調査が必要なのかについてアドバイスを受けられます。
また、整備業者などが自らの責任を否定している場合には、証拠をもとに相手方と交渉してもらうことも可能です。
自分に過失がない場合は保険会社に示談交渉を任せられない
任意保険の示談交渉サービスは、保険会社が被害者へ保険金を支払う可能性があることを前提としたものです。
自分の過失が0で保険会社に支払い義務がなければ、保険会社は示談交渉を代行できません。
このような状況で事故による損害を受けていれば、自分で整備業者や相手方の保険会社などと損害賠償について交渉しなければならないことがあります。
弁護士へ依頼すれば、相手方との連絡や損害賠償の交渉を任せられるため、自分に過失がない事故でも適切な賠償を求めやすくなるでしょう。
弁護士費用特約に加入していれば費用の負担を抑えられる
弁護士費用特約に加入している場合は、ぜひ活用を検討してください。
一般的な弁護士費用特約では、法律相談費用は10万円、弁護士費用は300万円程度を上限として補償されます。
そのため、多くの交通事故では弁護士費用を実質的な自己負担なしでまかなえます。
また、弁護士費用特約だけを利用しても、自動車保険の等級が下がったり、翌年の保険料が上がったりすることはありません。
費用を理由に弁護士への相談をためらっているのであれば、利用するメリットの大きい特約です。
自分の自動車保険に弁護士費用特約が付いているかを確認し、加入している場合は、今回のタイヤの脱落事故で利用できるか保険会社へ問い合わせてみましょう。
タイヤの脱落事故に関するよくある質問
タイヤの脱落事故に関するよくある質問を紹介します。
- 走行中にタイヤが外れた場合は誰が責任を負う?
- 走行中にタイヤが外れる原因は?
- タイヤ脱落による死亡事故は実際に起きている?
- タイヤ脱落事故ではどのような行政処分を受ける?
- 普通車でもタイヤ脱落事故は起こる?
- タイヤ脱落事故がトラックで多いのはなぜ?
走行中にタイヤが外れた場合は誰が責任を負う?
タイヤ交換時の作業ミスが原因であれば整備業者、交換後の点検不足や自分で行った交換作業に問題があれば車両の使用者・運転者が責任を負う可能性があります。
また、タイヤやホイール、車両そのものに欠陥があった場合は、メーカーが責任を負うこともあるでしょう。
走行中にタイヤが外れる原因は?
走行中にタイヤが外れる主な原因は、ホイールナットの締め付け不足や過度な締め付け、ボルト・ナットの錆や汚れ、タイヤ交換後の増し締め不足などです。
また、ホイールに適合しないボルト・ナットの使用や、部品の劣化・破損などによって脱落することもあります。
タイヤ脱落による死亡事故は実際に起きている?
タイヤの脱落による死亡事故は実際に発生しています。
たとえば、2002年には横浜市で大型トラックから脱落したタイヤが歩行者に衝突し、母親が死亡、子ども2人が負傷する事故が発生しました。
近年でもタイヤの脱落による人身事故は発生しているため、死亡事故が過去だけの問題というわけではありません。
タイヤ脱落事故ではどのような行政処分を受ける?
タイヤの整備不良が原因で脱落事故を起こした場合は、整備不良(制動装置等)として基礎点数2点が加算されます。
ただし、人身事故では被害の程度などに応じた付加点数が加わります。
ほかの交通違反があればその点数も加算されるため、累積点数によっては免許停止や免許取消しになるでしょう。
普通車でもタイヤ脱落事故は起こる?
普通車でもタイヤの脱落事故は起こります。
タイヤの脱落は大型トラック特有の事故ではなく、普通車でもホイールナットの締め付け不足やタイヤ交換後の増し締め不足、部品の劣化などによって発生する可能性があります。
タイヤ脱落事故がトラックで多いのはなぜ?
トラックなどの大型車でタイヤの脱落事故が多いのは、車輪にかかる負荷が大きく、走行距離も長くなりやすいためです。
大型トラックは車体や積載物の重量が大きいため、ホイールボルトやナットなどには大きな負荷がかかります。
また、業務で長距離を走行する車両も多く、部品の摩耗や劣化が進みやすいことも要因の一つです。
さらに、冬用タイヤへの交換が必要な地域では、一定の時期にタイヤ交換が集中します。
交換作業や交換後の増し締め、日常点検などが適切に行われなければ、ナットの緩みなどからタイヤが脱落する危険性が高まるでしょう。
まとめ
タイヤの脱落事故では、脱落した原因によって責任を負う人が異なります。
タイヤ交換時の作業ミスが原因であれば整備業者、交換後の点検不足や自分で行った交換作業に問題があれば車両の使用者・運転者が責任を負うことになるでしょう。
タイヤの脱落事故は、運転者と整備業者のどちらに原因があるのか、双方に原因がある場合はどの程度の責任を負うのかなどでトラブルになりやすい事故です。
責任の所在について争いがある場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。