交通事故ではどんな刑事処分を受ける?罰金や処分が決まるまでの流れを解説

交通事故ではどんな刑事処分を受ける?罰金や処分が決まるまでの流れを解説
交通事故ではどんな刑事処分を受ける?罰金や処分が決まるまでの流れを解説

交通事故を起こした場合、自分がどのような刑事処分を受けるのか気になる方も多いでしょう。

人身事故を起こして相手にケガをさせたり、死亡させたりした場合は、過失運転致死傷罪などに問われ、罰金や拘禁刑を科される可能性があります。

ただし、人身事故を起こしたからといって、必ず刑事処分を受けるわけではありません。

また、交通事故では刑事責任だけでなく、違反点数による免許停止・取消などの行政責任や、被害者への損害賠償といった民事責任を負うこともあります。

本記事では、交通事故で問われる主な罪や刑罰、刑事処分が決まるまでの流れ、違反点数による行政処分について解説します。

本記事の結論

・交通事故を起こした場合に問われる責任は、刑事責任(罰金や拘禁刑などの刑罰を受ける)、行政責任(違反点数に応じて免許停止・取消処分を受ける)民事責任(被害者に対して損害賠償責任を負う)

・交通事故で問われる主な罪は、過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪、道路交通法違反(ひき逃げ・酒気帯び運転など)

・交通事故の刑事処分が決まるまでの流れは、人身事故発生、警察による捜査・実況見分、検察への送致、検察官による取調べ、起訴・不起訴の決定、起訴された場合は刑事裁判

・交通事故の刑事処分の重さを左右する要素は、被害者のケガの程度、事故の態様や過失の大きさ、悪質な事情、被害者との示談の成立状況、事故後の対応や反省の程度

 無料相談

交通事故のお悩みを無料で弁護士に相談できます!

当サイトでは交通事故に強い弁護士のみを掲載! 無料相談・土日祝日・オンライン面談可能など、あなたの希望に合った弁護士事務所を探せます。まずはお気軽にご相談ください。

目次

交通事故を起こした場合に問われる3つの責任

交通事故を起こすと、事故の状況に応じて刑事・行政・民事の3つの責任を問われる可能性があります。

それぞれの責任は別のものであり、刑事処分を受けなかったとしても、免許停止などの行政処分や被害者への損害賠償責任がなくなるわけではありません。

交通事故を起こした場合に問われる3つの責任について、それぞれ解説します。

  • 刑事責任|罰金や拘禁刑などの刑罰を受ける
  • 行政責任|違反点数に応じて免許停止・取消処分を受ける
  • 民事責任|被害者に対して損害賠償責任を負う

刑事責任|罰金や拘禁刑などの刑罰を受ける

刑事責任とは、交通事故によって犯罪が成立した場合に、国から刑罰を科される責任です。

人身事故で相手にケガをさせたり死亡させたりすると、過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。

また、飲酒運転や著しい速度超過などの危険な運転によって事故を起こした場合は、危険運転致死傷罪が成立することもあります。

一方、交通事故を起こしても、検察官が不起訴と判断すれば刑事裁判にはならず、刑罰も科されません。

関連記事:飲酒運転で事故を起こしたらどうなる?罰則と仕事や生活への影響を解説

行政責任|違反点数に応じて免許停止・取消処分を受ける

行政責任とは、交通違反や交通事故に対して、公安委員会から運転免許に関する処分を受ける責任です。

交通違反にはそれぞれ基礎点数が定められており、人身事故を起こした場合は、事故の責任や被害者のケガの程度などに応じた付加点数が加算されます。

累積した点数が一定の基準に達すると、免許停止や免許取消などの行政処分を受けます。

処分の基準は過去の違反歴や行政処分歴によっても異なるため、同じ事故でも受ける処分が同じになるとは限りません。

なお、行政処分は刑事処分とは別に行われるため、不起訴になって刑罰を受けなかった場合でも、違反点数が加算されます。

関連記事:交通事故の報告(通報)義務とは?必要なケースや違反の点数・リスクを解説

民事責任|被害者に対して損害賠償責任を負う

民事責任とは、交通事故によって被害者に生じた損害を賠償する責任です。

人身事故では、治療費や休業損害、慰謝料などが主な賠償の対象になります。

後遺障害が残れば後遺障害慰謝料や逸失利益、被害者が死亡した場合は死亡慰謝料や死亡逸失利益なども請求される可能性があります。

民事上の損害賠償は、加害者本人がすべて負担するとは限りません。

自賠責保険や任意保険から支払われることも多く、任意保険に加入していれば保険会社が示談交渉を代行するのが一般的です。

また、刑事責任や行政責任とは別に判断されるため、不起訴になった場合でも、被害者に対する損害賠償責任を負うことがあります。

交通事故で問われる主な罪|罰金や拘禁刑

交通事故で刑事責任を問われる場合、事故の状況によって成立する犯罪や刑罰の重さが異なります。

一般的な不注意によって人を死傷させた事故では過失運転致死傷罪、特に危険な運転による事故では危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。

また、ひき逃げや飲酒運転などは道路交通法違反として処罰の対象です。

交通事故で問われる主な罪と刑罰について解説します。

  • 過失運転致死傷罪
  • 危険運転致死傷罪
  • 道路交通法違反(ひき逃げ・酒気帯び運転など)

過失運転致死傷罪

運転中の不注意によって人にケガをさせたり、死亡させたりした場合は、過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。

たとえば、前方不注意や安全確認不足、一時停止の見落としなどによって人身事故を起こした場合です。

交通事故で刑事責任を問われる際の代表的な犯罪といえるでしょう。

過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

ただし、人をケガさせた場合で、その傷害が軽いときは、情状により刑が免除されることもあります。

危険運転致死傷罪

飲酒や著しい速度超過など、特に危険性の高い運転によって人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。

危険運転致死傷罪の対象となるのは、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転、進行を制御することが困難な高速度での運転、赤信号を殊更に無視した運転などです。

危険運転によって人にケガをさせた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑が科されます。

過失運転致死傷罪よりも法定刑が重く、罰金刑はありません。

関連記事:飲酒運転で逮捕される基準とは?逮捕後の流れ・罰則・会社への影響を解説

道路交通法違反(ひき逃げ・酒気帯び運転など)

交通事故では、人を死傷させた行為とは別に、ひき逃げや飲酒運転などによって道路交通法違反に問われることがあります。

代表的な道路交通法違反と刑罰は、以下のとおりです。

違反 主な刑罰
ひき逃げ(救護義務違反) 10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金※
酒酔い運転 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
無免許運転 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

※事故を起こした運転者の運転が原因で人が死傷した場合の救護義務違反。

人身事故を起こしたうえでひき逃げをした場合などは、道路交通法違反だけでなく、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪なども成立する可能性があります。

人身事故による違反点数と行政処分

人身事故では、被害者のケガの程度や事故についての責任の重さに応じて付加点数も加算されます。

人身事故で加算される違反点数と行政処分の仕組みについて解説します。

  • 交通違反の基礎点数一覧
  • 被害者のケガや死亡によって加算される付加点数
  • 免許停止・免許取消になる違反点数
  • 違反点数がリセットされるまでの期間

交通違反の基礎点数一覧

交通違反には、違反の種類や程度に応じて基礎点数が定められています。

代表的な交通違反の基礎点数は、以下のとおりです。

交通違反 基礎点数
信号無視 2点
指定場所一時不停止等 2点
携帯電話使用等(保持) 3点
携帯電話使用等(交通の危険) 6点
酒気帯び運転(0.15mg以上0.25mg未満) 13点
酒気帯び運転(0.25mg以上) 25点
無免許運転 25点
酒酔い運転 35点

たとえば、信号無視によって人身事故を起こした場合は、信号無視の基礎点数2点に加えて、人身事故による付加点数が加算されます。

そのため、人身事故では事故の原因となった交通違反だけでなく、次に解説する被害者のケガの程度なども行政処分に大きく影響します。

被害者のケガや死亡によって加算される付加点数

人身事故を起こした場合は、事故の原因となった交通違反の基礎点数に加えて、被害者のケガの程度や事故についての責任の重さに応じた付加点数が加算されます。

人身事故の付加点数は、以下のとおりです。

被害の程度 専ら運転者の不注意による場合 それ以外の場合
死亡事故 20点 13点
治療期間3か月以上または後遺障害 13点 9点
治療期間30日以上3か月未満 9点 6点
治療期間15日以上30日未満 6点 4点
治療期間15日未満・建造物損壊 3点 2点

たとえば、信号無視の基礎点数が2点で、専ら運転者の不注意によって相手に全治30日以上3か月未満のケガを負わせた場合は、付加点数9点が加わり、合計11点となります。

免許停止・免許取消になる違反点数

交通違反や人身事故によって累積した点数が一定の基準に達すると、免許停止または免許取消の行政処分を受けます。

過去3年間に行政処分を受けていない場合の主な基準は、以下のとおりです。

累積点数 行政処分
6~8点 免許停止30日
9~11点 免許停止60日
12~14点 免許停止90日
15~24点 免許取消・欠格期間1年
25~34点 免許取消・欠格期間2年
35~39点 免許取消・欠格期間3年
40~44点 免許取消・欠格期間4年
45点以上 免許取消・欠格期間5年

たとえば、前述した信号無視2点と人身事故の付加点数9点で合計11点になれば、前歴がない場合でも60日間の免許停止処分の対象になります。

ただし、免許停止・取消の基準は過去の行政処分歴によって変わります。

関連記事:免停を回避・軽減する方法|回避しやすいケースと弁護士に相談するメリット

違反点数がリセットされるまでの期間

交通違反の点数は、原則として過去3年間の累積で計算されます。

ただし、3年が経過するまで必ず点数が残り続けるわけではありません。

最後の違反や事故から1年以上、無事故・無違反で過ごした場合、それ以前の点数はその後の違反点数と累積されません。

また、2年以上無事故・無違反だった人が1~3点の軽微な違反をした場合、その後3か月以上無事故・無違反であれば、その軽微な違反の点数を以後の違反と累積しない特例もあります。

ただし、これは違反や事故の記録そのものが消えるという意味ではありません。

あくまで、その後の行政処分を判断する際に点数を累積しない仕組みです。

そのため、一般に点数がリセットされると表現されることがありますが、正確には一定期間の無事故・無違反によって、それ以前の点数が累積対象から外れると考えるとよいでしょう。

交通事故の刑事処分が決まるまでの流れ

人身事故を起こしても、その場ですぐに罰金や拘禁刑などの刑事処分が決まるわけではありません。

交通事故の発生から刑事処分が決まるまでの流れを順番に解説します。

  • 人身事故発生
  • 警察による捜査・実況見分
  • 検察への送致
  • 検察官による取調べ
  • 起訴・不起訴の決定
  • 起訴された場合は刑事裁判

人身事故発生

人身事故が発生した場合、運転者は直ちに車両を停止し、負傷者の救護や道路上の危険を防止するために必要な措置を取らなければなりません。

また、警察への報告も必要です。

事故後は警察官が現場に到着し、当事者から事故状況を確認します。負傷者がいる場合は救急搬送されることもあり、実況見分などが後日行われる場合もあるでしょう。

なお、事故現場から立ち去ったり、必要な救護をせずにその場を離れたりすると、救護義務違反などに問わますので注意しましょう

人身事故を起こした直後は、まず負傷者の救護と警察への報告を優先しましょう。

警察による捜査・実況見分

人身事故が発生すると、警察は事故原因や刑事責任を明らかにするための捜査を行います。

事故現場では実況見分が行われ、道路の状況や車両の位置、衝突地点などを確認するのが一般的です。

また、当事者や目撃者から事故当時の状況を聞き取り、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像なども収集します。

実況見分の結果は実況見分調書として記録され、その後の刑事手続で事故状況を判断するための重要な資料です。

関連記事:実況見分を有利に進める方法とは?ポイントや立ち会えない場合、基本的な流れを紹介

検察への送致

警察による捜査が進むと、交通事故の事件は原則として検察へ送致されます。

一般に送検と呼ばれる手続です。

送致されるのは、被疑者の供述調書や実況見分調書、ドライブレコーダーの映像など、警察が捜査によって集めた資料です。

検察官はこれらの資料を確認し、さらに捜査が必要か、起訴するかなどを判断します。

なお、検察へ送致されたからといって、有罪になったり刑罰を科されたりすることが決まったわけではありません。

送致は警察から検察へ事件を引き継ぐ手続であり、この段階では刑事処分はまだ決まっていません。

検察官による取調べ

検察へ送致されたあとは、必要に応じて検察官による取調べが行われます。

取調べでは、事故が発生した経緯や運転状況、事故後の対応などについて確認されます。

警察で話した内容と食い違いがある場合は、その理由について説明を求められることもあるでしょう。

検察官は、警察から送られた実況見分調書などの捜査資料や取調べの内容を確認し、犯罪を立証できる証拠があるか、起訴する必要があるかを判断します。

なお、検察庁から呼び出されたからといって、罰金などの刑事処分を受けることが決まったわけではありません。

取調べを経たうえで、不起訴になることもあります。

起訴・不起訴の決定

犯罪を立証する十分な証拠があり、刑事処分を科す必要があると判断されれば起訴されます。

一方、犯罪を立証する証拠が不十分な場合だけでなく、犯罪が成立していても事情を考慮して不起訴となることがあります。

不起訴の主な種類は、嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予です。

交通事故では、被害の程度や事故の態様、被害者との示談、反省の状況などを考慮して起訴猶予となることもあります。

不起訴になれば刑事裁判には進まないため、罰金や拘禁刑などの刑罰を科されることもなく、前科もつきません。

起訴された場合は刑事裁判

検察官が起訴すると、裁判所が有罪・無罪や刑罰の内容を判断する手続に進みます。

起訴には、法廷で審理を行う公判請求と、書面審査によって罰金などを科す略式命令請求があります。

そのため、起訴されたからといって、必ず法廷に出廷して正式な刑事裁判を受けるわけではありません。

公判請求された場合は、裁判所で証拠や当事者の主張を確認し、有罪であれば罰金や拘禁刑などの刑罰が言い渡されます。

一方、比較的軽微な事件で罰金刑が相当と判断された場合は、略式手続によって処理されることがあります。

略式命令では原則として法廷での審理は行われず、書面をもとに罰金額などが決められます。

交通事故の刑事処分の重さを左右する要素

交通事故で刑事責任を問われる場合でも、すべての事故で同じ刑罰が科されるわけではありません。

刑事処分の重さは、被害者のケガの程度や事故の態様、飲酒運転などの悪質な事情、示談の成立状況などを踏まえて判断されます。

交通事故の刑事処分の重さを左右する主な要素について解説します。

  • 被害者のケガの程度
  • 事故の態様や過失の大きさ
  • 飲酒運転や無免許運転などの悪質な事情
  • 被害者との示談の成立状況
  • 事故後の対応や反省の程度
  • 前科・前歴の有無

被害者のケガの程度

被害者が負ったケガの程度は、交通事故の刑事処分の重さを判断する重要な要素です。

同じ過失運転致傷罪でも、軽いケガで短期間の治療で済んだ事故と、長期の入院や治療が必要になった事故では、結果の重大性が異なります。

また、被害者が死亡した場合は過失運転致死罪となり、傷害事故よりも重大な結果が生じているため、重い処分が下されるでしょう。

そのため、被害者の治療期間やケガの内容、後遺障害の有無、死亡に至ったかどうかなどが、刑事処分を判断する材料になります。

事故の態様や過失の大きさ

どのような運転によって事故を起こしたのか、運転者の過失がどの程度大きかったのかも、刑事処分を左右する重要な要素です。

一瞬の不注意によって事故を起こした場合と、前方を長時間確認していなかった場合や、一時停止をせずに交差点へ進入した場合などでは、運転者に求められる注意義務に違反した程度が異なります。

また、事故を回避できる状況だったにもかかわらず必要な安全確認を怠っていたなど、過失が大きいと判断されれば、より重い刑事処分につながるでしょう。

反対に、運転者の過失が比較的小さく、事故を予測・回避することが難しかった事情があれば、刑事処分を判断する際に考慮されることがあります。

飲酒運転や無免許運転などの悪質な事情

飲酒運転や無免許運転などの事情がある事故は、通常の不注意による交通事故よりも刑事処分が重くなります。

飲酒した状態での運転や無免許運転は、それ自体が重大な交通違反です。

その状態で人身事故まで起こせば、単なる前方不注意や安全確認不足による事故よりも悪質性は高くなります。

ほかにも、大幅な速度超過や信号無視、事故後に被害者を救護せず立ち去ったといった事情があれば、刑事処分を判断する際に不利な要素となるでしょう。

関連記事:無免許運転の交通事故はどうなる?罰則・賠償責任・保険の適用をわかりやすく解説

被害者との示談の成立状況

被害者との示談が成立しているかどうかも、刑事処分を判断する際の重要な要素です。

示談が成立していれば、被害者への損害賠償が進んでいることや、加害者が事故後の責任を果たそうとしていることを示す事情になります。

被害者から許しを得ている場合は、さらに有利な事情として考慮されることがあります。

一方、示談が成立していないからといって、それだけで必ず重い刑事処分になるわけではありません。

相手側との交渉状況や、加害者がどのように賠償へ対応しているかも含めて判断されます。

特に、比較的軽い人身事故では、示談の成立状況が不起訴や刑の軽減につながることもあります。

関連記事:交通事故の示談の進め方は?流れや注意点、知っておくべきポイントを解説

事故後の対応や反省の程度

事故を起こしたあとの対応や反省の程度も、刑事処分を判断する際に考慮されます。

事故直後に負傷者を救護し、警察へ通報するなど適切に対応しているかは重要です。

その後も捜査に協力し、被害者への謝罪や損害賠償に誠実に取り組んでいれば、事故後の事情として考慮されることがあります。

また、自分の行為をどのように受け止めているか、同じ事故を起こさないために具体的な対策を取っているかも判断材料のひとつです。

反対に、事故現場から逃げたり、証拠を隠そうとしたりする行為があれば、事故後の対応が悪質とみられ、刑事処分にも悪影響を及ぼす可能性があります。

前科・前歴の有無

以前にも交通事故や飲酒運転、無免許運転などで刑事処分を受けている場合は、再び同様の行為をしたとして不利に評価される可能性があります。

短期間に同じような違反や事故を繰り返していれば、再犯防止の観点から処分が重くなることもあるでしょう。

一方、これまで前科がなく、初めて刑事責任を問われる事故であれば、その事情が処分を決める際に考慮されることがあります。

ただし、前科・前歴だけで処分が決まるわけではありません。

被害の程度や事故の態様、示談の状況など、ほかの事情とあわせて総合的に判断されます。

関連記事:交通事故で前科がつくケースは?前科になる影響や回避方法を解説

交通事故の刑事処分を軽くするためにできること

交通事故を起こしたあとでも、刑事処分を軽くするためにできる対応はあります。

刑事処分を軽くするために事故後から取り組める主な対応を解説します。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 取調べに適切に対応する
  • 再発防止に取り組む
  • 弁護士に相談する

被害者との示談を成立させる

刑事処分を軽くしたい場合は、被害者との示談成立を目指すことが重要です。

示談では、治療費や慰謝料などの損害賠償について話し合い、合意した内容を書面に残します。

すでに任意保険会社が対応している場合でも、刑事事件への影響を考えるなら、示談の進み具合を確認しておくとよいでしょう。

また、被害者が加害者を許す意思を示している場合は、その内容を示談書に盛り込めることもあります。

こうした事情は刑事処分を判断する際の材料になりますが、示談成立によって必ず不起訴になるわけではありません。

被害者が直接の連絡を望んでいない場合もあるため、無理に本人へ接触するのは避けましょう。

示談を刑事手続でも適切に活用したい場合は、弁護士を通じて進めることも検討してください。

取調べに適切に対応する

警察や検察の取調べでは、事故当時の状況について正確に説明することが重要です。

記憶が曖昧な部分を推測で答えたり、実際とは異なる内容に合わせたりすると、供述の信用性を損なう原因になります。

覚えていないことは無理に答えず、そのまま伝えましょう。

また、供述調書を作成する際は、署名・押印する前に内容を十分確認する必要があります。

自分が話した内容と違う部分があれば、その場で訂正を求めることが大切です。

事故状況について警察と認識が食い違っている場合や、自分の発言が刑事処分にどう影響するかわからない場合は、取調べを受ける前に弁護士へ相談しておくと安心です。

再発防止に取り組む

刑事処分を軽くするためには、反省の言葉だけでなく、同じ事故を繰り返さないための具体的な行動を取ることも大切です。

再発防止の方法は事故原因によって異なります。

たとえば、安全運転講習を受講する、一定期間は運転を控える、家族に車の鍵を管理してもらうなどの方法が考えられるでしょう。

飲酒が原因であれば、飲酒後に運転できない環境を整えるなど、原因に応じた対策が必要です。

こうした取り組みを始めた場合は、講習の受講証明書や再発防止策をまとめた書面など、実際に行動していることがわかる資料を残しておくとよいでしょう。

単に二度と事故を起こさないと伝えるだけではなく、事故の原因を踏まえて具体的な対策を実行していることが重要です。

弁護士に相談する

刑事処分が決まる前の段階で弁護士へ相談し、今後どのような対応が必要か確認しておくことも重要です。

交通事故では、事故の内容や被害者のケガの程度によって、優先すべき対応が変わります。

示談を急いだほうがよいのか、取調べに備える必要があるのか、自分だけでは判断しにくいこともあるでしょう。

弁護士であれば、事故状況や現在の捜査状況を確認したうえで、刑事処分を見据えて何を優先すべきか整理してもらえます。

特に、死亡・重傷事故や飲酒運転など、重い刑事処分が予想される事故では、処分が決まってからではなく早い段階で相談しておくことが大切です。

交通事故で刑事処分を受けそうなときに弁護士へ相談したほうがいい理由

刑事処分を受ける可能性があるときに弁護士へ相談する主なメリットを見ていきましょう。

  • 保険会社は刑事処分への対応ができない
  • 取調べや刑事手続についてアドバイスを受けられる
  • 被害者との示談交渉を任せられる

保険会社は刑事処分への対応ができない

交通事故を起こしても、加入している保険会社が対応してくれると考えている方は多いのではないでしょうか。

実際、相手方との示談交渉や損害賠償などは、基本的に任意保険会社へ任せられます。

ただし、保険会社が対応するのは主に民事上の問題であり、刑事手続は担当外です。

警察や検察による取調べへの対応、起訴・不起訴を見据えた活動、刑事裁判での弁護などは保険会社に任せられません。

そのため、刑事責任を問われる可能性がある場合は、民事上の事故対応とは別に自分で対応する必要があります。

慣れない刑事手続に一人で対応するのは大きな負担になるでしょう。

弁護士へ依頼すれば、保険会社では対応できない刑事面についてもサポートを受けられます。

取調べや刑事手続についてアドバイスを受けられる

警察や検察から取調べを受けることになっても、初めて刑事手続を経験する人にとって、どのように対応すればよいのか判断するのは簡単ではありません。

弁護士に相談すれば、取調べで確認されやすい内容や供述調書を確認する際の注意点、今後どのような手続が進むのかについて具体的なアドバイスを受けられます。

また、被疑者には黙秘権があり、弁護士から助言を受ける権利も認められています。

刑事手続の流れを理解しないまま一人で対応するのではなく、早い段階から弁護士の助言を受けておくことで、状況に応じた対応を取りやすくなるでしょう。

被害者との示談交渉を任せられる

刑事処分を受ける可能性がある場合、被害者との示談をどのように進めるかも重要です。

任意保険会社が損害賠償の交渉を進めていても、刑事処分を見据えた対応まで任せられるとは限りません。

弁護士であれば、被害者への謝罪や賠償について話し合い、必要に応じて被害者の処罰感情についても確認しながら示談を進めてもらえます。

被害者が加害者との直接のやり取りを望んでいない場合でも、弁護士を通じて交渉できる可能性があります。

示談が成立すれば、その事実や被害者の意向を検察官や裁判所へ示すことも可能です。

刑事処分への影響を考えながら示談を進められることは、弁護士へ依頼するメリットといえるでしょう。

関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説

交通事故の刑事処分に関するよくある質問

交通事故の刑事処分に関するよくある質問を紹介します。

  • 交通事故の刑事処分と行政処分の違いは?
  • 交通事故の刑事処分の通知はいつ届く?
  • 交通事故で刑事処分なしになることはある?
  • 交通事故で検察庁に呼び出されても罰金なしになることはある?
  • 交通事故の刑事処分や行政処分は誰が決める?

交通事故の刑事処分と行政処分の違いは?

刑事処分は、交通事故によって犯罪が成立した場合に科される罰金や拘禁刑などの刑罰です。

検察官が起訴するかを判断し、起訴された場合は裁判所が刑罰を決めます。

一方、行政処分は運転免許に対する処分で、違反点数などに応じて公安委員会が免許停止や免許取消を行います。

交通事故の刑事処分の通知はいつ届く?

交通事故の刑事処分について、事故から何日後に通知されるという決まりはありません。

捜査にかかる期間や事故の内容によって、処分が決まる時期は異なります。

起訴された場合は、その後の刑事手続に応じて裁判所から呼出状や略式命令などが届きます。

略式命令によって罰金が科される場合は、裁判所から略式命令が告知される仕組みです。

処分がどうなったのかわからない場合は、事件を担当している検察庁へ確認するとよいでしょう。

交通事故で刑事処分なしになることはある?

交通事故を起こしても、必ず刑事処分を受けるわけではありません。

検察官が不起訴と判断すれば、刑事裁判には進まず、罰金や拘禁刑も科されません。

不起訴には、犯罪を立証する証拠が足りない嫌疑不十分のほか、犯罪が成立していても処罰する必要性が低いと判断される起訴猶予などがあります。

交通事故で検察庁に呼び出されても罰金なしになることはある?

検察庁に呼び出されたからといって、罰金刑を受けることが決まったわけではありません。

検察官は、警察から送られた捜査資料だけでなく、本人からも事故状況や事故後の対応などを確認したうえで、起訴・不起訴を判断します。

そのため、取調べを受けた結果、不起訴となって罰金を科されないこともあります。

交通事故の刑事処分や行政処分は誰が決める?

刑事事件では、まず検察官が捜査内容を確認し、起訴するか不起訴にするかを決めます。

起訴された場合、有罪・無罪や罰金、拘禁刑などの刑罰を決めるのは裁判所です。

一方、免許停止や免許取消などの行政処分は、違反点数や過去の処分歴などをもとに、原則として都道府県公安委員会が行います。

つまり、警察が事故を捜査していても、警察官が罰金や拘禁刑を決めるわけではありません。

まとめ

交通事故を起こした場合は、罰金や拘禁刑などの刑事責任だけでなく、免許停止・取消などの行政責任、被害者への損害賠償という民事責任を負う可能性があります。

人身事故を起こしても必ず起訴されるわけではなく、不起訴となれば罰金や拘禁刑は科されません。

保険会社に事故対応を任せている場合でも、取調べや起訴・不起訴などの刑事手続は対応の対象外です。

刑事処分を受ける可能性があり、今後の対応に不安がある場合は、早い段階で交通事故に詳しい弁護士へ相談しましょう。

あなたを笑顔にする慰謝料請求に強い弁護士

交通事故に巻き込まれてしまったら不安ですよね。
相手とどう対峙すればいいか。ケガをしてても自動車保険会社からは一方的な対応をされる。弁護士とかに相談したくても知り合いにいない。そんな時頼りになるのが交通事故相談|弁護士ほっとラインです!事故に遭った時の対応から、示談金交渉や慰謝料など賠償金の算定など、役に立つ情報満載な上、交通事故に強い優秀な弁護士を数多く紹介しています。

交通事故の慰謝料についてお困りのことはありますか?

交通事故の慰謝料は弁護士に依頼して賠償金UP
・あなたの保険に弁護士特約はついていますか?
弁護士特約付きなら交通事故の弁護士費用は保険会社が負担してくれますよ。

交通事故の基礎知識カテゴリの最新記事

PAGE TOP