
修理歴と修復歴は名前が似ていますが、意味はまったく異なります。
この2つを混同すると、告知義務の有無や法的なリスクを誤って理解してしまうため、正しく区別することが重要です。
結論からいうと、一般的な修理歴を隠して売却しても違法にはなりません。
一方で、車の骨格部分を修復した「修復歴」には告知義務があり、隠して売却すると契約解除や損害賠償などのトラブルにつながる可能性があります。
本記事では、修理歴と修復歴の違いや査定への影響、修復歴を隠して売却した場合のリスク、修復歴を隠された場合の対処法についてわかりやすく解説します。
・修理歴とは、車に生じた傷やへこみ、不具合などを修理・交換した履歴のこと(修理歴には告知義務がない)
・修復歴は、事故などによって車の骨格部分に損傷が生じ、その部分を修理・交換した履歴のこと(修復歴には告知義務がある)
・修復歴を隠して売却した場合のリスクは、契約を解除される可能性がある、損害賠償を請求される可能性がある、契約不適合責任を問われる可能性がある、詐欺罪に問われる可能性がある
・修復歴を隠して売却してもバレる理由は、プロの査定士が車両を確認するため、修理・整備記録から判明することがある、購入後の点検や修理で判明することがある
修理歴とは?
修理歴とは、車に生じた傷やへこみ、不具合などを修理・交換した履歴のことです。
例えば、バンパーやドア、フェンダーの交換、ドアミラーの修理、板金塗装などは修理歴に該当します。
事故だけでなく、飛び石やいたずら、経年劣化による部品交換なども修理歴に含まれるケースがあります。
なお、修理歴という言葉には法律上や業界で統一された定義はありません。
- 修理歴と修復歴との違い
- 修理歴と事故歴との違い
修理歴と修復歴との違い
修理歴と修復歴の違いは、車の骨格部分(フレーム)を修理・交換したかどうかです。
修復歴は、事故などによって車の骨格部分に損傷が生じ、その部分を修理・交換した履歴を指します。
修復歴に該当する骨格部分は、以下のとおりです。
- フレーム
- クロスメンバー
- インサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- フロア
- トランクフロア
これらの骨格部分を修理・交換した車は、一般的に修復歴車として扱われます。
また、修復歴は売却時に申告する義務があるため、隠して売却すると契約解除や損害賠償などのトラブルにつながる可能性があります。
修理歴と事故歴との違い
事故歴とは、過去に交通事故を起こした経歴のことです。
事故に遭った車であっても、修理をしていなければ修理歴はありません。
また、事故による損傷が軽く、骨格部分を修理・交換していなければ修復歴にも該当しません。
一方で、事故以外の原因で修理した場合でも修理歴が付くことがあります。
例えば、飛び石による傷やいたずら、自然災害、経年劣化による部品交換などです。
つまり、事故歴がある車でも修復歴がない場合があり、事故歴がなくても修理歴がある場合もあります。
それぞれ意味が異なるため、混同しないように注意しましょう。
修理歴を隠して売却しても違法にはならない
一般的な修理歴を隠して車を売却しても、それだけで違法になるわけではありません。
では、なぜ修理歴を隠しても違反にならないのか見ていきましょう。
修理歴には告知義務がない
修復歴とは異なり、修理歴には告知義務がありません。
そのため、売却時に修理歴があることを自ら申告しなかったとしても、それだけで違法になることはありません。
ただし、買主や買取業者から修理歴の有無を尋ねられた場合は、正直に伝えることをおすすめします。
修理歴について虚偽の説明をすると、違法とまではいえない場合でも、相手との信頼関係を損ない、トラブルに発展する可能性があります。
修理歴は自分から積極的に伝える必要はありませんが、質問を受けた際は事実に基づいて説明することが大切です。
修理歴は査定に大きく影響しない
修理歴があるからといって、査定額が大きく下がるとは限りません。
一般的な修理歴は、車の安全性や走行性能に大きな影響を与えないケースが多いためです。
実際の査定では、修理した箇所や修理内容、仕上がりの状態などを総合的に判断して評価されます。
- 車の骨格部分にダメージがない
- 板金修理や部品交換で元の状態に戻せる
- 修復歴が査定に与える影響
車の骨格部分にダメージがない
修理歴が査定に大きく影響しにくい理由は、車の骨格部分にダメージがないためです。
車の骨格部分は、走行性能や安全性に大きく関わる重要な部分です。
この部分に損傷や修理歴があると、事故車としての評価につながりやすく、査定額も下がる傾向があります。
一方、修理歴はバンパーやドア、フェンダーなど骨格部分以外の修理を指します。
そのため、修理歴があるだけで車の性能や安全性に大きな影響があるとは判断されず、査定額への影響も比較的小さいとされています。
板金修理や部品交換で元の状態に戻せる
修理歴が査定に大きく影響しにくい理由の一つは、適切に修理すれば元の状態に戻せるケースが多いためです。
例えば、バンパーやドアの交換、板金塗装による傷やへこみの修理は、車の骨格部分に影響しないため、修理後の安全性や走行性能が大きく損なわれることはほとんどありません。
もちろん、修理の品質が低く仕上がりに問題がある場合は、査定でマイナス評価となる可能性があります。
しかし、適切な修理が行われていれば、修理歴だけを理由に査定額が大幅に下がるケースは少ないでしょう。
修復歴が査定に与える影響
修復歴がある車は、査定額が大きく下がる傾向があります。
車の骨格部分を修理・交換した車は、安全性や走行性能、耐久性に影響している可能性があると判断されるためです。
また、中古車として再販する際に購入希望者が敬遠するケースも多く、買取業者はその点も考慮して査定額を決定します。
査定額の下落幅は、車種や年式、損傷の程度、修理内容などによって異なりますが、一般的には数十万円程度下がることも珍しくありません。
そのため、修理歴は査定に大きな影響を与えないことが多い一方で、修復歴がある場合は査定額が大幅に下がる可能性があることを理解しておきましょう。
修復歴を隠して売却した場合のリスク
修復歴を隠して車を売却すると、契約解除や損害賠償請求などのトラブルに発展する可能性があります。
修復歴を隠して売却した場合に考えられる主なリスクについて解説します。
- 契約を解除される可能性がある
- 損害賠償を請求される可能性がある
- 契約不適合責任を問われる可能性がある
- 悪質なケースでは詐欺罪に問われる可能性がある
契約を解除される可能性がある
修復歴を隠したまま車を売却すると、契約を解除される可能性があります。
修復歴は車の価値や査定額に大きく影響する重要な情報です。
そのため、修復歴がないと信じて契約したにもかかわらず、あとから修復歴が判明した場合は、購入者や買取業者が契約を解除することがあります。
契約が解除されると、売却代金の返還を求められるだけでなく、車を引き取る必要が生じることもあります。
修復歴がある場合は、トラブルを避けるためにも事前に正しく申告することが大切です。
損害賠償を請求される可能性がある
修復歴を隠して車を売却した場合、買主から損害賠償を請求される可能性があります。
修復歴がある車は、修復歴がない車よりも市場価値が低く評価されることが一般的です。
そのため、修復歴を隠したことで買主が本来より高い価格で購入した場合、その差額や修理費用などの損害について賠償を求められることがあります。
実際に損害賠償が認められるかどうかは、修復歴を故意に隠していたか、買主にどのような損害が発生したかなど、個別の事情によって判断されます。
後々のトラブルを防ぐためにも、修復歴は正しく申告して売却することが大切です。
契約不適合責任を問われる可能性がある
契約不適合責任とは、契約内容に適合しない商品を引き渡した場合に、売主が負う責任です。
修復歴がない車として売却したにもかかわらず、実際には修復歴があった場合は、契約内容と異なる車を引き渡したと判断されることがあります。
その結果、買主から修理費用や代金の減額を求められたり、状況によっては契約解除や損害賠償を請求されたりする可能性があります。
修復歴を隠して売却すると、売却後に法的な責任を問われるおそれがあるため、事実を正しく申告することが重要です。
悪質なケースでは詐欺罪に問われる可能性がある
修復歴があることを知りながら故意に隠し、相手をだまして車を売却した場合は、悪質なケースとして詐欺罪に問われる可能性があります。
例えば、修復歴はありませんと虚偽の説明をして契約を成立させ、その結果として相手に財産的な損害を与えた場合は、詐欺に当たると判断されることがあります。
もっとも、修復歴を申告しなかったからといって、直ちに詐欺罪が成立するわけではありません。
実際に詐欺罪が成立するかどうかは、故意にだました事実や契約の経緯などを踏まえ、個別の事情に応じて判断されます。
修復歴を隠して売却してもバレる理由
意図的であっても、修復歴に気付かず申告していなかった場合であっても、修復歴はあとから判明するケースが少なくありません。
車を売却する際は、査定士による車両の確認が行われます。
また、売却後も修理・整備記録や購入後の点検などから修復歴が判明することがあります。
修復歴を隠してもバレる主な理由を見ていきましょう。
- プロの査定士が車両を確認するため
- 修理・整備記録から判明することがある
- 購入後の点検や修理で判明することがある
プロの査定士が車両を確認するため
修復歴を隠して売却しても、プロの査定士によって見抜かれるケースがほとんどです。
査定士は、車の骨格部分の修理跡や交換跡、溶接跡、塗装の違いなどを細かく確認し、修復歴の有無を判断します。
一般の方では気付かないような修理跡でも、専門的な知識や経験から判明することは珍しくありません。
また、買取業者が修復歴に気付かないまま別の購入者へ販売し、あとから修復歴が判明すると、契約トラブルだけでなく店舗の信用にも大きく影響します。
そのため、査定士は修復歴の有無を慎重に確認しています。
修理・整備記録から判明することがある
修理工場やディーラーで修理を行った場合は、整備記録簿や修理明細、保険会社の事故記録などに修理内容が残っているケースがあります。
そのため、査定時に記録を確認することで、修復歴が判明することがあります。
記録がすべて残っているとは限りませんが、車両の状態と修理・整備記録を照らし合わせることで、修復歴が明らかになるケースは少なくありません。
購入後の点検や修理で判明することがある
修復歴は、購入後の点検や修理をきっかけに判明することもあります。
例えば、ディーラーや整備工場で点検を受けた際に、車の骨格部分に修理跡や交換跡が見つかるケースがあります。
また、部品交換や板金修理を行う過程で、過去の修復歴が明らかになることも少なくありません。
購入後に修復歴が発覚すると、売主とのトラブルに発展する可能性があります。そのため、修復歴がある場合は隠さずに申告したうえで売却することが大切です。
修復歴を隠して売却された場合の対処法
購入後に修復歴があることが判明した場合は、そのまま泣き寝入りする必要はありません。
修復歴を隠して売却されていたのであれば、契約解除や損害賠償を請求できる可能性があります。
どのように対応すればいいか見ていきましょう。
- 契約書や修理・整備記録を確認する
- 売主へ連絡して話し合う
- 契約解除や損害賠償請求を検討する
- 弁護士へ相談する
契約書や修理・整備記録を確認する
修復歴を隠して売却された疑いがある場合は、まず契約書や修理・整備記録を確認しましょう。
契約書に「修復歴なし」と記載されていたか、売却時にどのような説明を受けたかは、後の交渉や請求を進めるうえで重要な証拠です。
また、整備記録簿や修理明細を確認することで、過去に骨格部分の修理・交換が行われていたか判断できる場合があります。
売主へ連絡する前に、契約書や記録を整理しておくことで、事実関係を確認しながら冷静に対応しやすくなるでしょう。
売主へ連絡して話し合う
契約書や修理・整備記録を確認したら、まずは売主へ連絡して話し合いましょう。
修復歴を申告しなかった理由や売却時の説明を確認することで、誤解や認識の違いが判明し、話し合いで解決できるケースもあります。
話し合う際は、感情的にならず、契約書や修理・整備記録などの証拠をもとに事実関係を整理しながら進めることが大切です。
話し合いで解決しない場合は、契約解除や損害賠償請求などの法的な対応も検討しましょう。
契約解除や損害賠償請求を検討する
話し合いで解決しない場合は、契約解除や損害賠償請求を検討しましょう。
修復歴があるにもかかわらず「修復歴なし」と説明して売却された場合は、契約解除や損害賠償が認められる可能性があります。
また、契約不適合責任に基づき、代金の減額などを請求できるケースもあります。
ただし、必ず請求が認められるわけではありません。
契約内容や修復歴の内容、売却時の説明などによって判断が異なるため、証拠を整理したうえで適切に対応することが重要です。
弁護士へ相談する
売主との話し合いで解決しない場合や、契約解除や損害賠償請求を検討している場合は、弁護士へ相談しましょう。
弁護士に相談すれば、契約書や修理・整備記録などをもとに法的な請求が可能か判断してもらえます。
また、売主との交渉を代理で進めてもらえるため、自分でやり取りする精神的な負担も軽減できます。
適切な解決を目指すためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
復歴・修理歴に関するよくある質問
復歴・修理歴に関するよくある質問を紹介します。
- 修復歴はバレなかったというケースもある?
- 修理歴は査定に影響する?
- 修復歴があると査定額はどのくらい下がる?
- 修理歴は隠してもバレる?
- 車の修理歴の調べ方は?
- 車の修理歴に告知義務はある?
修復歴はバレなかったというケースもある?
修復歴がバレずに売却できたというケースもありますが、それを前提に考えるべきではありません。
買取業者や中古車販売店では、プロの査定士が車両の状態や修理・整備記録を確認します。
また、購入後の点検や修理をきっかけに修復歴が判明するケースもあります。
仮に売却時に発覚しなかったとしても、あとから修復歴が判明すれば契約解除や損害賠償などのトラブルに発展することもあるので、注意しましょう。
修理歴は査定に影響する?
修理歴が査定に与える影響はゼロではありませんが、大きく査定額が下がるケースは多くありません。
修理歴は、バンパーやドアの交換、板金塗装など比較的軽微な修理が中心であり、適切に修理されていれば元の状態に戻ることがほとんどです。
そのため、査定への影響は比較的小さい傾向があります。
ただし、修理の仕上がりが悪い場合や修理箇所が多い場合は、査定額に影響することがあります。
修復歴があると査定額はどのくらい下がる?
修復歴がある車は、数十万円程度査定額が下がることも珍しくありません。
ただし、査定額の下落幅は一律ではなく、車種や年式、走行距離、損傷の程度、修理内容などによって異なります。
人気車種や高年式の車でも、修復歴があることで査定額に大きな差が生じることがあります。
また、修復歴があっても適切に修理されていれば買取自体を断られることは少なく、多くの買取業者で査定を受けることが可能です。
修理歴は隠してもバレる?
修理歴は、必ずバレるわけではありません。
小さな傷やへこみなどがきれいに修理されており、塗装や外装の仕上がりに問題がなければ、査定時に修理歴が判別されないケースもあります。
一方で、塗装のムラや板金の跡、部品を交換した形跡などが残っていれば、査定士に修理歴を見抜かれる可能性があります。
そのため、軽微な修理であっても、必ず分からなくなるとは限りません。
車の修理歴の調べ方は?
車の修理歴は、修理・整備記録や点検記録簿を確認することで調べられる場合があります。
ディーラーや整備工場で修理を行っていれば、整備記録簿や修理明細に修理内容が記録されていることがあります。
また、中古車を購入する場合は、販売店へ修理歴の有無を確認するのも一つの方法です。
ただし、すべての修理が記録として残っているとは限りません。
車の修理歴に告知義務はある?
一般的な修理歴に告知義務はありません。
修理歴は、バンパーやドアの交換、板金塗装など、車の骨格部分に影響しない修理を指します。
そのため、売却時に修理歴を申告しなかったとしても、それだけで法律違反になるわけではありません。
まとめ
修理歴を隠して車を売却しても、一般的には違法にはなりません。
修理歴には法律上の告知義務がなく、査定への影響も比較的小さいケースが多いためです。
一方で、修復歴は修理歴とは異なります。
車の骨格部分を修理・交換した修復歴には告知義務があり、隠して売却すると契約解除や損害賠償、契約不適合責任を問われます。
悪質なケースでは、詐欺罪に問われる可能性もありますので、注意が必要です。
車を売却する際は、修理歴と修復歴の違いを正しく理解し、修復歴がある場合は隠さず申告することが大切です。
正しく情報を伝えることで、売却後のトラブルを未然に防げるでしょう。
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