駐車場で人身事故が発生した場合は、私有地であっても警察へ連絡しましょう。
駐車場は公道ではないため、警察を呼ばなくても問題ないのではと考える方もいます。
しかし、道路交通法が適用されない場合でも、加害者は民事責任や刑事責任を負う可能性があります。
また、保険を利用する場合は、警察へ事故を報告して事故証明書を取得しなければなりません。
自分が不利にならないためにも、事故発生後の適切な対応を理解しておくことが大切です。
本記事では、駐車場で人身事故が発生したときの対応や過失割合、加害者が負う責任、被害者が注意したいポイントなどをわかりやすく解説します。
・駐車場で人身事故が発生したときの対応は、けがの状態を確認する、警察へ報告する、連絡先を交換する、事故現場の状況を記録する、保険会社へ連絡する、早めに病院を受診する
・駐車場の人身事故で過失割合が修正される要素は、徐行せずに走行していた、安全確認を怠っていた、駐車場内のルールや標識を守っていなかった
・駐車場の人身事故で加害者が負う責任は、民事責任(損害賠償責任)、刑事責任(罰金や懲役)、行政責任(違反点数や免許停止)
・駐車場の人身事故で弁護士へ相談するメリットは、管理者に責任を問えるか判断してもらえる、道路交通法が適用されるか判断してもらえる、相手方との交渉を任せられる
駐車場の人身事故は私有地でも警察への報告が必要
駐車場は私有地であるため、公道ではないから警察を呼ばなくてもよいのではと考える方もいるかもしれません。
しかし、駐車場で人身事故が発生した場合も、基本的には警察へ報告する必要があります。
駐車場で人身事故が発生した場合に警察への報告が必要な理由を解説します。
- 駐車場(私有地)でも道路交通法が適用される場合がある
- 事故証明書を取得しないと保険が使えない
- 人身事故を警察へ報告しないと報告義務違反になる
駐車場(私有地)でも道路交通法が適用される場合がある
駐車場は私有地であるため、必ずしも道路交通法が適用されるわけではありません。
しかし、不特定多数の人や車が自由に出入りできる駐車場については、道路と判断されます。
例えば、ショッピングモールやスーパー、コンビニなどの駐車場が代表例です。
このような場所で発生した事故は、道路交通法が適用されます。
そのため、駐車場内の事故であっても安全運転義務違反などに問われます。
一方で、関係者以外が立ち入れない駐車場などでは、道路交通法が適用されない場合もあります。
関連記事:駐車場で車をぶつけたかもしれないときの対応|立ち去った場合のリスクと罰則
事故証明書を取得しないと保険が使えない
駐車場で人身事故が発生した場合は、保険を利用するためにも警察への報告が必要です。
保険会社へ保険金を請求する際は、交通事故証明書の提出を求められるのが一般的です。
そして、交通事故証明書は警察へ事故を届け出なければ発行されません。
そのため、当事者同士で話し合って警察を呼ばなかった場合、後から保険を利用できません。
人身事故では、治療費や慰謝料、休業損害などの損害賠償が発生します。
事故の内容によっては高額な賠償責任を負うこともあるため、自己負担で対応することは難しいでしょう。
人身事故を警察へ報告しないと報告義務違反になる
道路交通法が適用される駐車場で事故を起こした場合は、警察へ事故を報告する義務があります。
報告義務に違反した場合は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です。
また、人身事故ではけが人が発生しているため、運転者には救護義務もあります。
そのため、警察へ報告せずにその場を立ち去った場合は、単なる報告義務違反ではなく、ひき逃げとしてより重い責任を問われることになるでしょう。
当事者同士で話し合いがまとまっていたとしても、警察への報告義務や救護義務がなくなるわけではありません。
駐車場で人身事故が発生した場合も、必ず警察へ連絡しましょう。
関連記事:交通事故の報告(通報)義務とは?必要なケースや違反の点数・リスクを解説
駐車場で人身事故が発生したときの対応
駐車場で人身事故が発生した場合は、慌てずに適切な対応を取ることが重要です。
人身事故では法律上求められる義務もあるため、駐車場だから大丈夫と自己判断してはいけません。
駐車場で人身事故が発生した際に取るべき対応を順番に解説します。
- けが人の有無や状態を確認する
- 警察へ事故を報告する
- 相手方と連絡先を交換する
- 事故現場の状況を記録して証拠を残す
- 保険会社へ連絡する
- 早めに病院を受診する
けが人の有無や状態を確認する
駐車場で人身事故が発生した場合は、まずけが人の有無や状態を確認しましょう。
自分や相手だけでなく、同乗者がいる場合は他にけがをしている人がいないかも確認することが大切です。
けがの程度が深刻な場合は、何よりも優先して119番通報を行いましょう。
一方で、軽傷で済んでいる場合は、安全を確保したうえで車を移動させるなど、二次被害を防ぐための対応が必要です。
また、人身事故では運転者に救護義務があります。救護をせずにその場を立ち去ると、ひき逃げとして重い責任を問われますので注意しましょう。
警察へ事故を報告する
けが人の安全を確保した後は、速やかに警察へ事故を報告しましょう。
駐車場で発生した事故であっても、人身事故の場合は警察への報告が必要です。
当事者同士で解決できそうな事故でも、必ず110番通報をしてください。
警察へ連絡すると、事故の状況やけが人の有無、車両の状態などを確認されます。
落ち着いて事故の状況を説明しましょう。
また、後から保険を利用する場合は交通事故証明書が必要になります。
交通事故証明書は警察へ届け出なければ発行されないため、保険を利用するためにも警察への報告は欠かせません。
相手方と連絡先を交換する
警察への連絡が終わったら、相手方と連絡先を交換しましょう。
確認しておきたい主な情報は以下のとおりです。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 車両ナンバー
- 加入している保険会社
- 保険証券番号
後から保険会社とのやり取りや損害賠償の請求が必要になることもあるため、できるだけ正確に確認しておくことが大切です。
ただし、その場で過失割合や損害賠償額について話し合う必要はありません。
事故直後は状況が整理できていないことも多いため、連絡先の交換にとどめておきましょう。
後日のトラブルを避けるためにも、その場で示談しないことが重要です。
関連記事:交通事故で連絡先の交換は必要?交換する情報や教えたくないときの対処法を解説
事故現場の状況を記録して証拠を残す
事故後は、できるだけ早く現場の状況を記録しておきましょう。
駐車場の人身事故では、後から過失割合について争いになることがあります。
そのため、事故状況を客観的に示せる証拠を残しておくことが大切です。
例えば、以下のようなものを撮影しておくと役立ちます。
- 車両や自転車の損傷状況
- 衝突した位置
- 駐車場内の通路や駐車枠の状況
- 停止線や標識、注意看板
- 防犯カメラの設置場所
- けが人の負傷商況
また、ドライブレコーダーの映像がある場合は上書きされないように保存しておきましょう。
事故直後は記憶も鮮明なため、事故の状況をメモに残しておくのもおすすめです。
後から保険会社や警察へ説明する際に役立ちます。
関連記事:ドライブレコーダーは事故の証拠になる?役立つ場面や事例を解説
保険会社へ連絡する
警察への報告や現場での対応が終わったら、加入している保険会社へ連絡しましょう。
交通事故が発生したことを伝えると、今後の手続きや必要な対応について案内してもらえます。
また、相手方との連絡や示談交渉についてサポートを受けるためにも連絡が必要です。
事故直後は保険を使う予定がなくても、保険会社には事故が発生したことを報告しておきましょう。
後からケガの症状が悪化したり、新たな損害が発覚したりして、保険を利用する必要が生じることもあるためです。
そのため、軽い事故だから大丈夫と自己判断せず、保険を使わない場合でもその旨を保険会社へ伝えておくことをおすすめします。
なお、弁護士費用特約に加入している場合は、この段階で利用できるか確認しておくとよいでしょう。
過失割合でもめる可能性がある場合や人身事故で損害が大きい場合は、早い段階で弁護士へ相談した方がスムーズに対応できることがあります。
関連記事:保険会社の対応が悪いときの対処法|相談先やNG対応を実態とともに解説
早めに病院を受診する
加害者も被害者もけがの大きさに関わらず、ケガをしていたら病院に行きましょう。
交通事故によるケガは、事故直後には症状がなくても、数日後に痛みやしびれなどが現れることがあります。
特にむちうちや打撲などは、時間が経ってから症状が出るケースも少なくありません。
また、事故から長期間が経過してから受診すると、交通事故との因果関係を疑われる可能性があります。
その結果、治療費や慰謝料などの支払いでトラブルになることもあります。
そのため、大したことはないと自己判断せず、できるだけ早く医療機関を受診して診断を受けることが大切です。
【ケース別】駐車場の人身事故の過失割合
駐車場の人身事故では、事故の状況によって過失割合が大きく異なります。
一般道路とは異なり、駐車場内では歩行者や自転車、車両が複雑に行き交うため、一律の基準で判断できません。
駐車場で発生しやすい事故のケースごとに、過失割合の目安を紹介します。
- 駐車場内で自動車同士がぶつかった場合
- 駐車場内で歩行者とぶつかった場合
- 駐車場内で自転車とぶつかった場合
- 駐車場内でバイクとぶつかった場合
駐車場内で自動車同士がぶつかった場合
駐車場内では徐行が求められるため、自動車同士の事故が人身事故に発展するケースはそれほど多くありません。
ただし、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進や、後退中の衝突などによって大きな衝撃が発生した場合は、運転者や同乗者が負傷し、人身事故として扱われることがあります。
駐車場事故の過失割合は、どちらが動いていたのか、どのような状況で衝突したのかによって異なります。
主な過失割合の目安は以下のとおりです。
駐車枠へ後退している車と通路を走行している車が衝突した場合
| 過失割合 | |
|---|---|
| 駐車枠へ後退している車 | 20% |
| 通路を走行している車 | 80% |
後退している車には後方の安全確認義務があります。
一方で、通路を走行している車にも徐行義務があるため、双方に過失が認められるのが一般的です。
駐車枠から出庫する車と通路を走行している車が衝突した場合
| 過失割合 | |
|---|---|
| 駐車枠から出庫する車 | 70% |
| 通路を走行している車 | 30% |
駐車枠から出る際は、前方や左右の安全を確認しながら発進する必要があります。
そのため、通路を走行している車が見える状況で衝突した場合は、出庫車側の前方不注意が重く評価されます。
一方で、通路を走行している車からすると、駐車車両が並んでいる影響で出庫車を発見しにくいこともあるでしょう。
後退している車が駐車中の車に衝突した場合
| 過失割合 | |
|---|---|
| 後退していた車 | 100% |
| 駐車中の車 | 0% |
駐車中の車は走行しておらず、事故を回避する行動も取れません。
そのため、よほど特殊な事情がない限り、後退していた車の過失が100%になるのが一般的です。
後退する車には後方の安全確認義務があるため、駐車中の車へ衝突した場合は後退車側が責任を負うことになります。
双方が後退していた場合
| 過失割合 | |
|---|---|
| 車A | 50% |
| 車B | 50% |
双方とも後方確認義務があるため、基本的には同程度の過失が認められます。
なお、実際の過失割合は速度や安全確認の状況、駐車場内の標識の有無などによって修正されることがあります。
あくまでも目安として考えておきましょう。
駐車場内で歩行者とぶつかった場合
駐車場の人身事故では、自動車と歩行者の事故が特に多く発生しています。
駐車場内には買い物客や子ども、高齢者などさまざまな人が行き来しているためです。
そのため、運転者には一般道路以上に慎重な運転が求められます。
駐車場内で自動車と歩行者が衝突した場合は、自動車側の過失が大きくなります。
| 過失割合 | |
|---|---|
| 自動車 | 90% |
| 歩行者 | 10% |
駐車場では歩行者が通行することを前提に運転しなければなりません。
歩行者の存在を見落として衝突した場合は、自動車側の安全確認不足が重く評価されます。
一方で、歩行者が周囲を確認せずに飛び出した場合や、駐車場内のルールを守らずに歩いていた場合は、歩行者側にも一定の過失が認められることがあります。
駐車場内で自転車とぶつかった場合
自転車は車両の一種ですが、自動車と比べると車体が小さく、駐車車両の陰から現れることも少なくありません。
駐車場内の自転車事故について明確な過失割合の基準はありませんが、参考として駐車場から道路へ出る車と自転車が衝突した事故では、以下のような過失割合が用いられます。
| 過失割合 | |
|---|---|
| 自動車 | 90% |
| 自転車 | 10% |
駐車場から出る車には安全確認義務があるため、自転車よりも過失が大きく認定される傾向があります。
また、駐車場内でも、自動車は自転車より危険性が高い乗り物であるため、過失割合は自動車側が大きくなるケースが一般的です。
ただし、自転車の飛び出しや安全確認不足、スマートフォンを見ながらの運転などがあった場合は、自転車側の過失が大きくなります。
駐車場内でバイクとぶつかった場合
バイクは自転車よりも速度が出やすく、駐車場内でも通路を走行している最中に事故へ発展するケースがあります。
また、車体が小さいため、駐車車両の陰に隠れて発見が遅れることも少なくありません。
駐車場内のバイク事故について明確な過失割合の基準はありませんが、参考として駐車場から道路へ出る車とバイクが衝突した事故では、以下のような過失割合が用いられます。
| 過失割合 | |
|---|---|
| 自動車 | 90% |
| バイク | 10% |
バイクは自転車よりも速度が出やすいため、駐車場内で速度を出し過ぎていた場合や、安全確認を怠っていた場合は過失割合が修正されます。
実際の過失割合は事故状況によって異なるため、上記はあくまでも目安として考えておきましょう。
駐車場の人身事故で過失割合が修正される要素
駐車場事故の過失割合には一定の目安がありますが、実際には事故の状況に応じて修正されます。
駐車場の人身事故で過失割合の修正要素となりやすいポイントを紹介します。
- 徐行せずに走行していた
- 安全確認を怠っていた
- 駐車場内のルールや標識を守っていなかった
徐行せずに走行していた
駐車場では、歩行者や自転車、他の車両が頻繁に行き交います。
また、多くの車が駐車しているため見通しが悪く、死角から歩行者や自転車が現れることも少なくありません。
駐車場に一律の徐行義務があるわけではないものの、実際にはいつでも停止できる速度で走行することが求められます。
道路交通法上の徐行とは、直ちに停止できる速度を指します。
明確に時速何キロと定められているわけではありませんが、一般的には時速10km程度が一つの目安です。
事故発生時に速度を出し過ぎていた場合は、過失割合が修正されるでしょう。
特に、見通しの悪い場所で減速していなかった場合は、安全運転義務違反として過失が大きく評価されることもあります。
安全確認を怠っていた
駐車場での事故では、安全確認を十分に行っていたかどうかも重要な判断材料になります。
例えば、駐車枠から出庫する際に左右を確認しなかった場合や、後退する際に後方確認を怠っていた場合は、過失割合が不利に修正される可能性があります。
また、駐車場には歩行者や自転車が多く通行するため、車両だけでなく周囲の人の動きにも注意しなければなりません。
安全確認を十分に行っていれば事故を回避できたと判断される場合は、その分だけ過失割合が大きくなるでしょう。
駐車場内のルールや標識を守っていなかった
駐車場では、基本的に進行方向や出入口、駐車区画などのルールが定められています。
空いている駐車スペースを見つけたからといって逆走したり、軽自動車専用スペースに普通車や大型車を駐車したりすると、事故発生時に不利な事情として評価されます。
一方通行や出口専用といったルールを無視して走行した結果事故が発生した場合は、過失割合が不利に修正されるでしょう。
これらのルールは道路交通法上の標識ではない場合もありますが、安全確保のために設置されています。
そのため、事故の際には過失割合を判断する要素として考慮されます。
駐車場の人身事故で加害者が負う責任
駐車場で人身事故を起こした場合、加害者が負う責任は、大きく分けると民事責任・刑事責任・行政責任の3つです。
それぞれ内容が異なるため、順番に見ていきましょう。
- 民事責任(損害賠償責任)
- 刑事責任(罰金や懲役)
- 行政責任(違反点数や免許停止)
民事責任(損害賠償責任)
駐車場で人身事故を起こした場合、加害者は被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。
これを民事責任(損害賠償責任)といいます。
人身事故では、主に以下のような損害賠償が発生します。
- 治療費:診察費や入院費、手術費など治療にかかった費用
- 通院交通費:病院へ通院するために必要な交通費
- 休業損害:ケガによって仕事を休んだことで減少した収入
- 入通院慰謝料:入院や通院による精神的苦痛に対する補償
- 後遺障害慰謝料:後遺障害が残った精神的苦痛に対する補償
- 後遺障害逸失利益:後遺障害によって将来の収入が減少した損害
- 死亡慰謝料:被害者本人や遺族の精神的苦痛に対する補償
- 死亡逸失利益:被害者が生きていれば得られた将来の収入
事故の内容によっては、損害賠償額が数百万円から数千万円に及ぶことも少なくありません。
そのため、任意保険に加入している場合は、保険会社を通じて対応するのが一般的です。
一方で、保険に加入していない場合は、これらの損害賠償を自己負担しなければならない可能性があります。
刑事責任(罰金や懲役)
駐車場で人身事故を起こした場合は、刑事責任を問われる可能性があります。
例えば、相手にケガを負わせた場合は過失運転致傷罪、死亡させた場合は過失運転致死罪に問われることがあります。
ただし、人身事故を起こしたからといって必ず刑事罰を受けるわけではありません。
事故の状況や被害の程度、加害者の過失の大きさなどを踏まえて判断されます。
一方で、救護義務を怠ってその場から立ち去った場合は、ひき逃げとしてさらに重い責任を問われる可能性があります。
刑事責任は被害者への損害賠償とは別に発生するため、示談が成立したから処罰されないというわけではありません。
事故の内容によっては、罰金や懲役などの刑事処分を受けることがあります。
行政責任(違反点数や免許停止)
駐車場で人身事故を起こした場合は、行政責任を負う可能性もあります。
行政責任とは、違反点数の加算や免許停止、免許取消しなどの行政処分のことです。
例えば、道路交通法が適用される駐車場で安全確認を怠った結果、人身事故を起こした場合は、安全運転義務違反などが問題となることがあります。
また、人身事故では被害者のケガの程度や事故の内容に応じて付加点数も加算されます。
そのため、軽傷事故であれば違反点数の加算で済むこともありますが、重傷事故や死亡事故では免許停止や免許取消しになるでしょう。
行政責任は、被害者への損害賠償や刑事責任とは別に発生します。示談が成立していたとしても行政処分がなくなるわけではありません。
関連記事:免停を回避・軽減する方法|回避しやすいケースと弁護士に相談するメリット
駐車場の人身事故で被害者が注意するポイント
駐車場で人身事故の被害にあった場合は、加害者任せにせず適切に対応することが大切です。
駐車場の人身事故で被害者が特に注意したいポイントを解説します。
- 症状が軽くても病院を受診する
- その場で示談しない
- 保険会社の提示内容をすぐに受け入れない
症状が軽くても病院を受診する
事故直後に痛みや違和感がなくても、できるだけ早く病院を受診しましょう。
交通事故によるケガは、事故当日ではなく数日後に症状が現れることがあります。
特にむちうちや打撲などは、時間の経過とともに痛みが強くなるケースも少なくありません。
また、事故から長期間が経過してから受診すると、交通事故との因果関係を疑われる可能性があります。
そのため、大丈夫そうだからと自己判断せず、症状が軽くても早めに医療機関を受診し、必要な検査や治療を受けることが大切です。
関連記事:駐車場の交通事故で被害者がすべきこと|不利にならないポイントや過失割合の目安
その場で示談しない
駐車場での人身事故では、その場で示談しないようにしましょう。
事故直後は、正確なケガの程度や損害額が分からないためです。
その場で治療費としてお金を受け取ったとしても、後から症状が悪化し、実際の治療費が大幅に上回るケースもあります。
また、示談交渉は正式な示談書を作成しなくても成立します。
口頭での約束であっても、当事者同士が合意していれば示談が成立したとみなされるため、注意が必要です。
一度示談が成立すると、後から内容を変更することは原則としてできません。そのため、事故直後の状況が分からない段階で示談に応じるのは非常に危険です。
その場で示談するメリットはほとんどありません。
加害者から「警察は呼ばないでほしい」「今すぐお金を払うから解決にしてほしい」などと持ち掛けられた場合でも応じず、まずは警察へ連絡し、正式な手順で対応を進めましょう。
関連記事:交通事故でその場で示談(和解)するのは危険?示談された・してしまったときの対処法
保険会社の提示内容をすぐに受け入れない
交通事故では、保険会社同士が示談交渉を進め、途中経過や最終的な示談内容について報告を受けるのが一般的です。
そのため、保険会社に任せているから大丈夫だろうと考えて内容を確認せずに進めてしまう方もいます。
しかし、提示された過失割合や賠償額が必ずしも適切とは限りません。
特に慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあり、保険会社から提示される金額は最も低い基準で計算されていることもあります。
もっとも、提示された金額が適正なのかどうかを一般の方が判断するのは簡単ではありません。
そのため、提示内容に疑問がある場合はインターネットで相場を調べたり、弁護士へ相談したりすることをおすすめします。
内容を十分に確認しないまま示談に応じると、本来受け取れるはずだった賠償金を受け取れなくなる可能性があります。
駐車場の人身事故で弁護士へ相談するメリット
駐車場の人身事故で弁護士へ相談するメリットを紹介します。
- 駐車場の管理者に責任を問えるか判断してもらえる
- 道路交通法が適用されるか判断してもらえる
- 相手方との交渉を任せられる
- 弁護士費用特約が利用できる
駐車場の管理者に責任を問えるか判断してもらえる
駐車場で人身事故が発生した場合は、一般的に当事者同士の過失割合が問題になります。
保険会社も事故状況や証拠を確認しながら、どちらにどの程度の過失があるのかを判断するでしょう。
しかし、駐車場事故では相手方だけでなく、駐車場の管理者に責任が発生することもあります。
例えば、照明が故障していて周囲が極端に見えにくかった場合や、危険な設備が放置されていた場合などです。
もっとも、実際に管理者へ責任を問えるケースはそれほど多くありません。事故が発生したからといって、直ちに管理者の責任になるわけではないためです。
弁護士に相談すれば、事故状況や現場の設備状況などを踏まえ、駐車場の管理者にも責任を問える可能性があるのか判断してもらえます。
道路交通法が適用されるか判断してもらえる
駐車場は私有地であるため、すべての事故に道路交通法が適用されるわけではありません。
一方で、スーパーやショッピングモールなど、不特定多数の人や車が自由に出入りできる駐車場では、道路交通法が適用される可能性があります。
道路交通法が適用されるかどうかによって、違反点数や行政処分の有無、事故後の対応などが変わることもあります。
しかし、一般の方が自分で判断するのは簡単ではありません。
弁護士に相談すれば、事故が発生した場所や状況を踏まえて、道路交通法が適用されるかどうかを判断してもらえます。
相手方との交渉を任せられる
交通事故では、一般的に保険会社同士が示談交渉を進めます。
そのため、保険会社が対応してくれるなら弁護士は必要ないのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、保険会社はあくまでも保険会社であり、弁護士ではありません。そのため、裁判手続きや法的な代理行為はできません。
また、相手方が過失割合を争っていたり、証拠を示しても主張を変えなかったりする場合は、交渉が長引くこともあります。
弁護士に依頼すれば、事故状況や証拠、過去の判例などをもとに法的な観点から主張を組み立ててもらえます。
相手方との交渉だけでなく、必要に応じて訴訟などの法的手段を取ることも可能です。
中には最後まで過失を認めず、ゴネ得を狙う相手もいます。
しかし、弁護士であれば法的根拠を示しながら対応できるため、不当な主張にも適切に対処できます。
関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説
弁護士費用特約が利用できる
弁護士費用特約とは、交通事故で弁護士へ相談したり依頼したりする際の費用を保険会社が負担してくれる特約です。
一般的には、法律相談料10万円程度、弁護士費用300万円程度まで補償されます。
交通事故で300万円を超える弁護士費用が発生するケースはほとんどありません。
そのため、弁護士費用特約に加入している場合は、実質的に自己負担なく弁護士へ依頼できることがほとんどです。
また、弁護士費用特約を利用したことを理由に、保険の等級が下がったり保険料が高くなったりすることもありません。
利用者にとってデメリットはほとんどない制度といえるため、加入している場合は積極的に利用を検討するとよいでしょう。
関連記事:弁護士費用特約が使えないケースとは?対処法や実は使えるケースも解説
駐車場の人身事故に関するよくある質問
駐車場の人身事故に関するよくある質問を紹介します。
- 駐車場の人身事故で警察を呼ばなかった場合はどうなる?
- 駐車場でバック中に人身事故を起こした場合の過失割合は?
- 駐車場の事故で過失割合を10対0にしたい場合は?
- 駐車場の人身事故では違反点数がつく?
- 駐車場の人身事故の過失割合に納得できない場合は?
駐車場の人身事故で警察を呼ばなかった場合はどうなる?
道路交通法が適用される駐車場であれば、事故の報告義務違反になります。
警察へ届け出ていない場合は交通事故証明書を取得できません。
その結果、保険金の請求ができなくなるなど、保険を利用するうえで大きな支障が生じるでしょう。
また、人身事故では救護義務もあります。
けが人を救護せずにその場を立ち去った場合は、ひき逃げとして重い責任を問われます。
駐車場でバック中に人身事故を起こした場合の過失割合は?
駐車場でバック中に人身事故を起こした場合は、後退していた車の過失が大きくなるのが一般的です。
後退する際は後方の安全確認義務があるためです。
特に歩行者や自転車と衝突した場合は、後退車側が80~90%程度の過失を負うケースも少なくありません。
もっとも、実際の過失割合は事故状況によって異なります。
そのため、バック中の事故だから必ず同じ過失割合になるわけではありません。
駐車場の事故で過失割合を10対0にしたい場合は?
基本的に、過失割合が10対0になるケースは、自分の車が停車している場合に限られます。例えば、駐車中の車に衝突された場合などです。
一方で、双方の車が動いている状態では、相手に大きな過失があったとしても、自分にも一定の過失が認定されるケースがほとんどです。
事故状況によっては例外もありますが、自分も走行していた場合に過失割合を10対0にするのは極めて難しいと考えておきましょう。
関連記事:過失割合10対0は覆る?覆るケースや覆す方法をわかりやすく解説
駐車場の人身事故では違反点数がつく?
駐車場で人身事故を起こした場合でも、違反点数が付く可能性があります。
ただし、すべての駐車場事故で違反点数が付くわけではありません。
違反点数や行政処分の対象になるのは、道路交通法が適用される駐車場で事故が発生した場合です。
駐車場の人身事故の過失割合に納得できない場合は?
過失割合に納得できない場合は、まずドライブレコーダーの映像や防犯カメラ映像、現場写真、目撃者の証言などの証拠がないか確認しましょう。
客観的な証拠があれば、保険会社へ再検討を求められる可能性があります。
また、事故状況によっては過去の判例や過失割合の修正要素が適用されることもあります。
そのため、自分だけで判断せず、弁護士へ相談するのも有効です。
関連記事:交通事故の過失割合に納得いかないときは?対処法や決め方をわかりやすく紹介
まとめ
駐車場で人身事故が発生した場合でも、公道での事故と同様に適切な対応が必要です。
まずはけが人の救護を最優先に行い、警察への報告や保険会社への連絡を忘れないようにしましょう。
警察へ届け出なければ交通事故証明書を取得できず、保険を利用できなくなる可能性があります。
保険会社から提示された内容に納得できない場合は、そのまま示談せずに証拠を確認したり、弁護士へ相談したりすることをおすすめします。
特に人身事故では、治療費や慰謝料など高額な損害賠償が発生することもあります。
少しでも不安がある場合は、弁護士へ相談しながら対応を進めるとよいでしょう。