信号無視による交通事故では、信号無視をした側の過失割合が大きくなるのが一般的です。
しかし、必ずしも過失割合が10対0になるとは限りません。相手と事故状況の認識が異なり、過失割合でもめるケースも少なくありません。
そのため、事故直後から証拠を確保し、適切に対応することが重要です。
本記事では、信号無視による交通事故の過失割合や違反点数・罰則、請求できる損害賠償、相手が信号無視を認めない場合の対処法についてわかりやすく解説します。
・信号無視による交通事故の過失割合は、信号無視した側の過失が大きくなるのが一般的(信号の色などで過失割合が異なる)
・信号無視で交通事故を起こした場合の違反点数は2点、罰則は事故の状況によって異なる
・信号無視による交通事故で注意したいことは、過失割合が10対0になるとは限らない、自分が加害者の場合は保険が使えない場合もある、過失割合でもめやすい
・相手が信号無視を認めない場合の対処法は、ドライブレコーダーなどの映像を確保する、目撃者の証言を集める、信号が切り替わるタイミング(信号サイクル)を調べる、弁護士へ相談する
信号無視による交通事故の過失割合
信号無視による交通事故では、信号を守っていた側よりも信号無視をした側の過失割合が大きくなるのが一般的です。
ただし、事故の状況によって過失割合は変わります。
事故の類型ごとに信号無視による交通事故の過失割合の目安を見ていきましょう。
- 自動車同士の事故
- 自動車とバイクの事故
- 自動車と自転車の事故
- 自動車と歩行者の事故
- 自転車と歩行者の事故
自動車同士の事故
信号無視による交通事故の過失割合は、事故の態様によって異なります。
自動車同士の事故では、直進車同士の衝突や右折車と直進車の衝突などが代表的です。
また、双方の信号の状況や速度、交差点の形状などによっても過失割合は変動します。
自動車同士の事故における代表的な過失割合の目安を紹介します。
直進車同士の事故
直進車同士の事故では、それぞれの車がどの信号で交差点に進入したかによって過失割合が変わります。
代表的な過失割合の目安は以下のとおりです。
| 車A(信号無視側) | 車B | 車Aの過失割合 | 車Bの過失割合 |
|---|---|---|---|
| 赤信号 | 青信号 | 100% | 0% |
| 赤信号 | 黄信号 | 80% | 20% |
| 赤信号 | 青信号で交差点へ進入後、赤信号に変わった場合 | 70% | 30% |
| 赤信号 | 赤信号 | 50% | 50% |
車Aが赤信号を無視して交差点へ進入した場合でも、車Bが黄色信号で進入していたケースや、信号が切り替わるタイミングで事故が発生したケースでは、車Bにも一定の過失が認められます。
また、著しい速度超過や前方不注視などがある場合は、上記の過失割合から修正されます。
右折車と直進車の事故
右折車と直進車の事故では、信号の色だけでなく、どちらが右折車でどちらが直進車なのかによっても過失割合が変わります。
ここでは、車Aが信号無視をした直進車、車Bが右折車であることを前提に、代表的な過失割合の目安を紹介します。
| 車A(直進車) | 車B(右折車) | 車Aの過失割合 | 車Bの過失割合 |
|---|---|---|---|
| 赤信号 | 青信号 | 100% | 0% |
| 赤信号 | 青信号で交差点へ進入し、赤信号に変わった後に右折 | 90% | 10% |
| 赤信号 | 黄信号で交差点へ進入し、赤信号に変わった後に右折 | 70% | 30% |
| 黄信号 | 青信号 | 70% | 30% |
| 青信号 | 青信号 | 20% | 80% |
| 黄信号 | 黄信号 | 40% | 60% |
| 赤信号 | 赤信号 | 50% | 50% |
信号無視をした車Aの過失が大きくなるのが基本です。
車Bが右折のタイミングを誤った場合や、安全確認が不十分だった場合は過失割合が修正されます。
車A・車Bともに青信号の場合、右折車には直進車の進行を妨げてはいけません。
そのため、基本的には右折車である車Bの過失が大きくなります。
一方、双方が黄信号の場合は、どちらも停止すべき状況で交差点へ進入しているため、直進車側の過失も大きくなり、青信号同士の事故より過失割合の差が小さくなります。
自動車とバイクの事故
自動車とバイクの事故では、双方がどの信号で交差点へ進入したかによって過失割合が変わります。
信号無視をした自動車と直進バイクが衝突した場合の代表的な過失割合は以下のとおりです。
| 自動車 | バイク | 自動車の過失割合 | バイクの過失割合 |
|---|---|---|---|
| 赤信号 | 青信号 | 100% | 0% |
| 赤信号 | 黄信号 | 90% | 10% |
| 赤信号 | 赤信号 | 60% | 40% |
| 黄信号 | 赤信号 | 30% | 70% |
| 青信号 | 赤信号 | 0% | 100% |
自動車が赤信号、バイクが青信号で進行していた場合は、自動車の信号無視が事故の主な原因と考えられるため、自動車の過失割合が100%となるのが基本です。
双方が赤信号で交差点へ進入した場合は、どちらにも信号無視の落ち度があります。
ただし、自動車とバイクでは車体の大きさや危険性に差があるため、一般的には自動車側の過失が大きく評価されます。
そのため、自動車同士の事故では50対50が基本となるケースでも、自動車とバイクの事故では60対40になるのが一般的です。
自動車と自転車の事故
自動車と自転車の事故では、自動車とバイクの事故よりも自転車側が保護される傾向があります。
信号無視をした自動車と自転車が衝突した場合の代表的な過失割合は以下のとおりです。
| 自動車 | 自転車 | 自動車の過失割合 | 自転車の過失割合 |
|---|---|---|---|
| 赤信号 | 青信号 | 100% | 0% |
| 赤信号 | 黄信号 | 80% | 20% |
| 赤信号 | 赤信号 | 70% | 30% |
| 黄信号 | 赤信号 | 40% | 60% |
| 青信号 | 赤信号 | 20% | 80% |
双方が赤信号で交差点へ進入した場合でも、自転車は自動車に比べて事故による被害が大きくなりやすいため、自動車側の過失が重く評価されるのが一般的です。
そのため、自動車同士の事故では50対50となるケースでも、自動車と自転車の事故では70対30が基本となります。
また、自動車が青信号で自転車が赤信号だった場合でも、自転車は交通弱者として一定の保護を受けるため、自転車側の過失が100%になるとは限りません。
自動車と歩行者の事故
自動車と歩行者の事故では、歩行者が交通弱者として保護されるため、自動車側の過失が大きく認められる傾向があります。
まずは、直進車と歩行者の事故における代表的な過失割合を見ていきましょう。
| 直進車 | 歩行者 | 自動車の過失割合 | 歩行者の過失割合 |
|---|---|---|---|
| 赤信号 | 青信号 | 100% | 0% |
| 赤信号 | 赤信号 | 80% | 20% |
| 青信号 | 赤信号 | 30% | 70% |
| 青信号 | 青信号で横断中に赤信号へ変わった場合 | 80% | 20% |
歩行者が赤信号で横断していた場合でも、自動車には危険を回避する義務があるため、一定の過失が認められるのが一般的です。
次に、右左折車と歩行者の事故における過失割合を紹介します。
| 右左折車 | 歩行者 | 自動車の過失割合 | 歩行者の過失割合 |
|---|---|---|---|
| 青信号 | 赤信号 | 50% | 50% |
| 青信号 | 黄信号 | 70% | 30% |
| 黄信号 | 赤信号 | 70% | 30% |
| 黄信号 | 黄信号 | 80% | 20% |
| 赤信号 | 赤信号 | 80% | 20% |
| 青信号 | 青信号 | 100% | 0% |
右左折車には横断歩道上の歩行者の有無を確認する義務があります。
そのため、右左折車の信号が青であっても歩行者が青信号で横断している場合は、自動車側の過失が100%となるのが一般的です。
自転車と歩行者の事故
自転車と歩行者の事故では、歩行者が交通弱者として保護されるため、自転車側の過失が大きく認められる傾向があります。
信号無視をした自転車と歩行者が衝突した場合の代表的な過失割合は以下のとおりです。
| 自転車 | 歩行者 | 自転車の過失割合 | 歩行者の過失割合 |
|---|---|---|---|
| 赤信号 | 青信号 | 100% | 0% |
| 赤信号 | 黄信号 | 85% | 15% |
| 赤信号 | 赤信号 | 75% | 25% |
| 黄信号 | 赤信号 | 40% | 60% |
| 青信号 | 赤信号 | 20% | 80% |
双方が赤信号で進行した場合でも、歩行者は自転車よりも保護される傾向があります。
そのため、自転車にも信号無視の落ち度があるケースでは、自転車側の過失がより大きく認められるのが一般的です。
また、自転車が青信号で歩行者が赤信号だった場合でも、歩行者保護の観点から歩行者の過失が100%になるとは限りません。
自転車側にも周囲の安全を確認する義務があるため、一定の過失が認められます。
信号無視とは?意外と知らない信号のルール
信号無視というと赤信号を無視して進行することと思われがちです。
しかし、道路交通法上は赤信号だけでなく、状況によっては黄色信号で交差点へ進入した場合も信号無視と判断されることがあります。
また、自転車は歩行者とは異なるルールが適用されるため、どの信号に従うべきか迷う方も少なくありません。
意外と知られていない信号のルールについて解説します。
- 黄色信号は停止位置で止まることが原則
- 赤信号や黄色信号でも信号無視にならない場合がある
- 自転車は原則として車両用信号に従う
黄色信号は停止位置で止まることが原則
黄色信号は注意して通過してよいという意味ではありません。
道路交通法では、黄色信号になった場合は停止位置で停止しなければならないとされています。
例えば、停止線の前で黄色信号に変わったにもかかわらず、そのまま交差点へ進入した場合は信号無視と判断される可能性があります。
一方で、停止線に近く急ブレーキをかけるとかえって危険な場合は、そのまま交差点を通過しても問題ありません。
交通事故では、黄色信号だったから違反ではないと主張しても、停止できる状況だったと判断されれば過失割合に影響することがあります。
そのため、黄色信号は原則として停止するものと考えておきましょう。
赤信号や黄色信号でも信号無視にならない場合がある
赤信号や黄色信号で進行した場合でも、必ずしも信号無視になるとは限りません。
例えば、青信号で交差点へ進入した後に信号が赤へ変わった場合は、そのまま交差点を通過できます。この場合は信号無視にはなりません。
また、コンビニや店舗の駐車場から交差点付近の道路へ出るケースでは、進行方向の信号が赤でも信号無視にならない場合があります。
信号機は停止線を越えて進行する車両を規制するものであるため、駐車場から進入した車両は信号による規制を受けないことがあるためです。
ただし、信号無視にならないからといって自由に進行してよいわけではありません。
駐車場から道路へ出る車には周囲の安全を確認する義務があります。そのため、事故を起こした場合は信号無視ではなくても過失が認められる可能性があります。
自転車は原則として車両用信号に従う
自転車は道路交通法上、軽車両に分類されます。そのため、原則として自動車と同じ車両用信号に従わなければなりません。
歩行者用信号が青だったとしても、自転車が車道を走行している場合は車両用信号が赤であれば停止する必要があります。
ただし、「歩行者・自転車専用」と表示された信号機がある場合や、自転車横断帯を通行する場合などは、歩行者用信号に従うこともあります。
自転車利用者の中には歩行者と同じルールが適用されると考えている方もいますが、自転車は車両として扱われるのが原則です。
信号を守らずに交差点へ進入すると、交通事故の際に過失割合で不利になる可能性があります。
関連記事自転車同士の事故に遭ったら|過失割合・損害賠償・判例を徹底解説
信号無視で交通事故を起こした場合の違反点数や罰則
信号無視をすると、違反点数や反則金が科される可能性があります。
また、交通事故を起こした場合は、状況によって刑事責任を問われるケースもあります。
信号無視の違反点数や反則金、交通事故を起こした場合の罰則について見ていきましょう。
- 信号無視の違反点数と反則金
- 交通事故を起こした場合の刑事責任
信号無視の違反点数と反則金
信号無視をした場合は、違反点数と反則金が科されます。
信号無視には「赤色等」と「点滅信号」の2種類があり、それぞれ違反点数や反則金は以下のとおりです。
| 違反内容 | 違反点数 | 普通車の反則金 |
|---|---|---|
| 信号無視(赤色等) | 2点 | 9,000円 |
| 信号無視(点滅信号) | 2点 | 7,000円 |
赤色等には赤信号のほか、黄色信号で停止できるにもかかわらず進行したケースなども含まれます。
ただし、上記は交通事故を起こしていない場合の行政処分です。
信号無視によって人身事故を起こした場合は、事故の内容に応じた付加点数が加算されるため、より重い処分を受ける可能性があります。
交通事故を起こした場合の刑事責任
信号無視によって交通事故を起こした場合は、違反点数や反則金だけでなく刑事責任を問われる可能性があります。
例えば、信号無視によって相手にケガを負わせた場合は過失運転致傷罪、死亡させた場合は過失運転致死罪に問われます。
また、赤信号を無視して著しく危険な運転をした結果、重大な事故を起こした場合は、危険運転致死傷罪が適用されるでしょう。
実際にどの罪に問われるかは、事故の状況や被害の程度によって異なります。
ただし、信号無視は重大事故につながりやすい違反であるため、人身事故を起こした場合は刑事処分を受ける可能性があると理解しておきましょう。
信号無視の交通事故にあったときに請求できるもの
信号無視による交通事故の被害者になった場合は、加害者に対して損害賠償を請求できます。
主に請求できるものは以下のとおりです。
- 治療費:診察費や入院費、手術費、薬代など
- 入通院慰謝料:ケガによる精神的苦痛に対する補償
- 休業損害:事故によって仕事を休んだことで生じた収入の減少
- 後遺障害慰謝料:後遺障害が認定された場合の精神的苦痛に対する補償
- 逸失利益:後遺障害によって将来の収入が減少した場合の補償
- 車両修理費:車やバイク、自転車などの修理にかかる費用
- 代車費用:修理期間中に代車が必要になった場合の費用
ただし、実際に請求できる内容や金額は事故の状況や過失割合によって異なります。なお、物損事故のみの場合は慰謝料を請求できません。
信号無視による交通事故で注意したいこと
信号無視による交通事故では、相手が信号無視をしたから自分に責任はないと考えてしまう方も少なくありません。
しかし、実際には過失割合が10対0にならないケースもあります。
また、加害者になった場合は保険金が支払われないこともあるため注意が必要です。
信号無視による交通事故で特に注意したいポイントを解説します。
- 過失割合が10対0になるとは限らない
- 自分が加害者の場合は保険が使えない場合もある
- 過失割合でもめやすい
過失割合が10対0になるとは限らない
信号無視による交通事故では、信号無視をした側の過失が大きくなるのが一般的です。
しかし、必ずしも過失割合が10対0になるとは限りません。
例えば、相手が赤信号だったとしても、自分が著しい速度超過をしていた場合や前方不注視があった場合は、一定の過失が認められる可能性があります。
また、黄色信号や信号の切り替わりのタイミングで発生した事故では、双方に過失が認められるケースも少なくありません。
そのため、相手が信号無視をしたから100%相手が悪いと決めつけず、事故状況を客観的な証拠で確認することが重要です。
関連記事:過失割合10対0は覆る?覆るケースや覆す方法をわかりやすく解説
自分が加害者の場合は保険が使えない場合もある
信号無視による交通事故を起こした場合でも、基本的には任意保険を利用して損害賠償金や修理費などを補償できます。
ただし、事故の状況によっては保険金が支払われない可能性があります。
例えば、無免許運転や飲酒運転など重大な法令違反がある場合は、契約内容によって補償の対象外となるケースがあります。
また、故意に事故を起こした場合も保険は利用できません。
そのため、信号無視をした場合でも必ず保険会社がすべて補償してくれるとは限りません。
事故を起こした際は、加入している保険の補償内容を確認することが大切です。
過失割合でもめやすい
信号無視による交通事故では、どちらの信号が青だったのかを巡って争いになるケースが少なくありません。
交通事故は一瞬で発生するため、当事者同士の認識が食い違うこともあります。
特にドライブレコーダーが設置されていない場合や目撃者がいない場合は、双方の主張が対立しやすくなるでしょう。
また、「青信号だった」「黄色信号だった」「すでに赤信号だった」など、信号が切り替わるタイミングについて争いになるケースもあります。
過失割合でもめると示談交渉が長引き、損害賠償金の支払いにも影響する可能性があります。
そのため、事故直後からドライブレコーダーの映像や現場写真などの証拠を確保することが重要です。
関連記事:交通事故の過失割合に納得いかないときは?対処法や決め方をわかりやすく紹介
相手が信号無視を認めない場合の対処法
相手が信号無視をしたにもかかわらず、自分は青信号だったと主張するケースは少なくありません。
信号無視による交通事故では、どちらの信号が青だったのかによって過失割合が大きく変わるためです。
そのため、客観的な証拠をもとに事故状況を立証することが重要になります。
ここでは、相手が信号無視を認めない場合の主な対処法を紹介します。
- ドライブレコーダーや防犯カメラの映像を確保する
- 目撃者の証言を集める
- 実況見分調書などの資料を確認する
- 信号が切り替わるタイミング(信号サイクル)を調べる
- 弁護士へ相談する
ドライブレコーダーや防犯カメラの映像を確保する
相手が信号無視を認めない場合は、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像を確保しましょう。
映像は、どちらの信号が青だったのかを客観的に示せる重要な証拠です。
当事者の証言よりも証拠としての価値が高く、過失割合の判断にも大きな影響を与えます。
また、近くの店舗やマンション、防犯カメラなどに事故の様子が映っている可能性もあります。
ただし、防犯カメラの映像は一定期間で上書きされることが多いため、早めに管理者へ確認することが大切です。
ドライブレコーダーや防犯カメラの映像を確保できれば、信号無視の立証につながる可能性があります。
関連記事:ドライブレコーダーは事故の証拠になる?役立つ場面や事例を解説
目撃者の証言を集める
ドライブレコーダーなどの映像がない場合は、事故を目撃した人の証言が役立つことがあります。
第三者の証言は、どちらの信号が青だったのかを判断するための重要な資料の一つです。
当事者同士の主張が対立している場合でも、目撃者の証言によって事故状況が明らかになることがあります。
事故直後に目撃者がいる場合は、氏名や連絡先を聞いておくとよいでしょう。
後日、保険会社や裁判所などから事情を確認される場合があります。
ただし、目撃者の記憶は時間の経過とともに曖昧になることもあります。
そのため、目撃者を見つけた場合はできるだけ早く話を聞いておくことが大切です。
実況見分調書などの資料を確認する
人身事故の場合は、警察が作成する実況見分調書などの資料が参考になることがあります。
実況見分調書には、事故現場の状況や車両の位置、ブレーキ痕の有無などが記録されています。
そのため、事故当時の状況を客観的に把握するための資料として活用可能です。
また、信号機の位置や見通しの状況、衝突地点などから、どちらの主張が事故状況と整合しているのかを検討できる場合もあります。
ただし、実況見分調書にどちらが信号無視をしたのかが直接記載されているとは限りません。他の証拠とあわせて確認することが重要です。
関連記事:実況見分を有利に進める方法とは?ポイントや立ち会えない場合、基本的な流れを紹介
信号が切り替わるタイミング(信号サイクル)を調べる
ドライブレコーダーや目撃者がいない場合は、信号が切り替わるタイミングを調べることで事故状況を推測できます。
信号機は一定の周期で青・黄・赤へ切り替わっています。
そのため、事故発生時刻や車両の進行方向などから、どちらの信号が青だった可能性が高いのかを判断することが可能です。
双方が青信号だったと主張している場合でも、信号サイクルを調査した結果、そのような状況が発生しないことが判明するでしょう
ただし、信号サイクルの調査や分析には専門的な知識が必要です。
個人で判断するのが難しい場合は、弁護士や交通事故鑑定人へ相談することをおすすめします。
弁護士へ相談する
信号無視による交通事故で過失割合でもめている場合は、弁護士へ相談することも検討しましょう。
信号無視の有無によって過失割合は大きく変わるため、保険会社同士の交渉だけでは解決しないケースもあります。
弁護士に依頼すると、ドライブレコーダーや実況見分調書などの証拠をもとに事故状況を整理し、適切な過失割合を主張してもらえます。
また、必要に応じて交通事故鑑定人と連携し、信号無視の立証を進めることも可能です。
特に、相手が信号無視を認めない場合や過失割合に納得できない場合は、早めに相談したほうがよいでしょう。
弁護士費用特約に加入していれば、自己負担なく依頼できるケースもあります。
信号無視による交通事故では弁護士が役立つ
信号無視による交通事故では、どちらの信号が青だったのかを巡って争いになることがあります。
特に、ドライブレコーダーの映像がない場合や双方の主張が対立している場合は、過失割合の判断が難しくなるケースも少なくありません。
そのような場合は、交通事故に詳しい弁護士へ相談することで解決につながる可能性があります。
信号無視による交通事故で弁護士が役立つ理由を紹介します。
- 相手の信号無視を立証できる
- 信号無視以外の過失も指摘できる
- もめやすい過失割合や示談交渉を任せられる
- 弁護士費用特約を利用して依頼できる
相手の信号無視を立証できる
弁護士に依頼すると、相手の信号無視を立証するために必要な証拠を収集・分析してもらえます。
例えば、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像を確認したり、実況見分調書などの資料を精査したりしながら事故状況を整理します。
また、必要に応じて交通事故鑑定人と連携し、車両の損傷状況や信号サイクルなどを調査することもあります。
信号無視による交通事故では、相手が嘘をついているが証拠がないというケースも少なくありません。
弁護士へ依頼することで、客観的な証拠をもとに信号無視を立証できる可能性があります。
信号無視以外の過失も指摘できる
交通事故の過失割合は、信号無視の有無だけで決まるわけではありません。
相手に速度超過や前方不注視、安全確認不足などがあった場合は、その事情も過失割合の判断に影響します。
弁護士は信号無視があったかどうかだけを確認するのではなく、事故状況全体を分析します。
ドライブレコーダーの映像や実況見分調書などを確認し、過失割合を修正できる事情がないかを判断してもらえることがメリットです。
また、保険会社が提示した過失割合が判例に基づいていたとしても、それですべてが決まるわけではありません。
過去の裁判例を調査し、この事故も同じような状況だから過失割合を修正すべきではないかと主張できる場合があります。
そのため、保険会社から提示された過失割合に納得できない場合でも、弁護士へ相談することで過失割合が変わる可能性があります。
もめやすい過失割合や示談交渉を任せられる
信号無視による交通事故では、過失割合や損害賠償額を巡って示談交渉が長引くことがあります。
客観的な証拠やデータをもとに相手方の保険会社と交渉するのは簡単ではありません。
保険会社は交通事故対応の経験が豊富であるため、専門知識がないまま交渉すると不利な条件で示談してしまう可能性があります。
弁護士に依頼すると、相手方との連絡や示談交渉も任せられるため、被害者自身が対応する負担を減らせます。
特に、過失割合でもめているケースでは交渉が数か月以上続くことも少なくありません。
中には、根拠のない主張を繰り返したり、事故状況を認めなかったりして、いわゆる「ゴネ得」を狙うケースもあります。
弁護士に依頼すれば、そのような交渉も任せられます。
交渉で解決しない場合は訴訟などの法的手段も視野に入れて対応できるため、精神的な負担を大きく軽減できるでしょう。
関連記事:事故の示談交渉を弁護士に依頼するべき?メリットや判断基準、費用などを解説
弁護士費用特約を利用して依頼できる
自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合は、自己負担を抑えて弁護士へ依頼できる可能性があります。
弁護士費用特約とは、交通事故で弁護士へ相談したり依頼したりする際の費用を保険会社が負担してくれる特約です。
一般的には、法律相談料10万円程度、弁護士費用300万円程度まで補償されるケースが多くなっています。
実際には、弁護士費用が300万円を超える交通事故はそれほど多くありません。
そのため、弁護士費用特約を利用すれば、実質的に自己負担なく弁護士へ依頼できるケースがほとんどです。
また、弁護士費用特約を利用したことを理由に、保険の等級が下がったり保険料が上がったりすることもありません。
利用できる場合は積極的に活用するとよいでしょう。
関連記事:弁護士費用特約が使えないケースとは?対処法や実は使えるケースも解説
信号無視による交通事故に関するよくある質問
信号無視による交通事故に関するよくある質問を紹介します。
- 信号無視による交通事故で後日呼び出されることはある?
- 信号無視による交通事故で免許取消しになることはある?
- 信号無視による交通事故ではどのような罪(処罰)に問われる?
- 信号無視による交通事故でも保険はおりる?
- 信号無視の車にぶつかった場合はどうする?
- 信号無視による交通事故で慰謝料は請求できる?
信号無視による交通事故で後日呼び出されることはある?
交通事故を起こした場合、後日警察から呼び出されることがあります。
ただし、これは信号無視をしたから呼び出されるわけではありません。
人身事故や事故状況が複雑なケースなど、事故当日の現場では確認しきれなかった事項がある場合に呼び出されることがあります。
呼び出しを受けた場合は、警察署で事情聴取を受けたり、事故状況について詳しく説明を求められたりします。
警察から連絡があった場合は、日時や場所、持参するものなどを確認しておきましょう。
信号無視による交通事故で免許取消しになることはある?
信号無視をしたからといって、直ちに免許取消しになるわけではありません。
信号無視の違反点数は2点です。そのため、信号無視だけで免許取消しになることは通常ありません。
ただし、信号無視によって人身事故を起こした場合は、事故の内容に応じて付加点数が加算されます。
被害者が重傷を負った場合や死亡事故になった場合は、行政処分が重くなり、免許停止や免許取消しになる可能性があります。
過去の違反歴や累積点数によっては免許取消しになることもあるでしょう。
関連記事:免停を回避・軽減する方法|回避しやすいケースと弁護士に相談するメリット
信号無視による交通事故ではどのような罪(処罰)に問われる?
単なる信号無視だけであれば、基本的に刑事上の罪に問われるわけではありません。
物損事故のみで人にケガがない場合は、信号無視による違反点数や反則金などの行政処分、相手への損害賠償といった民事上の責任が問題となるのが一般的です。
一方で、人身事故を起こした場合は刑事責任を問われる可能性があります。
ただし、実際にどのような処分を受けるかは事故の状況や被害の程度によって大きく異なります。
そのため、一概に信号無視をしたらこの罪になるとは言えません。
一般的には、被害が大きい事故ほど重い刑事処分を受けることになるでしょう。
信号無視による交通事故でも保険はおりる?
信号無視による交通事故を起こした場合でも、基本的には保険を利用できます。
任意保険に加入していれば、相手への損害賠償金や車の修理費などが補償されるのが一般的です。
ただし、無免許運転や飲酒運転、故意による事故など、重大な法令違反がある場合は補償の対象外となることがあります。
信号無視の車にぶつかった場合はどうする?
信号無視の車にぶつかった場合は、まずケガ人の救護と警察への連絡を行いましょう。
その後は、相手の氏名や連絡先、加入している保険会社などを確認します。
また、事故現場や車両の損傷状況、信号機の位置などを写真や動画で記録しておくことも大切です。
信号無視による交通事故では、どちらの信号が青だったのかを巡って争いになるケースも少なくありません。
そのため、ドライブレコーダーの映像がある場合は保存し、目撃者がいる場合は連絡先を聞いておくとよいでしょう。
信号無視による交通事故で慰謝料は請求できる?
信号無視による交通事故でケガをした場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料とは、交通事故によって受けた精神的苦痛に対する補償です。
例えば、通院や入院を余儀なくされた場合は入通院慰謝料、後遺障害が残った場合は後遺障害慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、信号無視をされたからといって必ず慰謝料を受け取れるわけではありません。
原則として、物損事故のみの場合は慰謝料の請求は認められていません。
まとめ
信号無視による交通事故では、信号無視をした側の過失割合が大きくなるのが一般的です。
ただし、必ずしも10対0になるとは限らず、速度超過や前方不注視などの事情によって過失割合が修正されることもあります。
また、信号無視による交通事故では、どちらの信号が青だったのかを巡って争いになるケースも少なくありません。
ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、目撃者の証言などは重要な証拠になるため、事故直後から確保しておくことが大切です。
相手が信号無視を認めない場合や、保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、弁護士へ相談することも検討しましょう。