交通事故による損害の賠償を請求できる相手は、加害車両の運転者だけではなく、相手車両が会社の業務中であれば、その運転者の雇い主に対しても賠償請求を行うことができる。
加害者に損害賠償を請求する根拠となる法律に、民法の不法行為責任、使用者責任、自賠法の運行供用者責任の3種類があり、この3つの法律に基づき相手に対して損害賠償の請求を行うことができる。
被害者に対して賠償責任を負う者
事故を起こした 加害車両の運転者 (不法行為責任) |
①故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法第709条)
②数人が共同の不法行為によって他人に損害を与えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う(民法第719条) |
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事故を起こした 運転者の使用者 (使用者責任) |
①ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(民法第715条1項)
②使用者に代わって事業を監督する者も前項の責任を負う(民法第715条2項) |
運行供用者 (運行供用者責任) |
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる(自賠法第3条) |
運行供用者とは、自動車を所有している人や使用する権利を持っている人、運転を行わせることによって利益を得る人のこと。これは「運行支配」、「運行利益」という考え方で、このどちらかにそうとうする場合に損害を賠償する責任が生じる。
加害車両の運転者以外の人が賠償責任を負う特殊なケースとして、死亡した加害者の相続人が相続を行った、加害者が未成年であった場合などがあげられる。
死亡した加害者に相続人がいる場合
加害者の相続人が財産を相続すると、損害賠償責任もまとめて相続することになる。相続人が複数人いる場合は、相続割合に応じた損害賠償請求を相続人ごとに行う。
加害車両の運転者が未成年であった場合
①責任能力がある場合 → 法的判断ができると認められた場合は本人が責任を負う。ただし、現実には親権者が同義的な意味合いにおいて本人とともに賠償責任を負うことが多い。
②責任能力がない場合 → 法的判断ができないとされた場合、親や後見人(法定監督者)、学校長(代理監督者)が賠償責任を負う。