「交通事故に慣れている人」はそう多くないはずです。もしも交通事故が発生したとき「こんなときはどうすれば良いの?」「だれに相談をすれば良いの?「これは泣き寝入りするしかないの?」など、いくつもの悩みや心配が生まれてくるでしょう。
今回は交通事故に見舞われてしまった方がお困りのときに、相談できる相談先について詳しくお伝えします。
状況 | 相談先 |
交通事故全般に関する相談先 | 交通事故相談所
日弁連交通事故相談センター |
ひき逃げ・当て逃げ等の相談先 | 警察
医療安全支援センター 必要に応じて政府保障事業(損害保険会社もしくは共済組合) |
交通事故の当事者間トラブル相談先 | 弁護士 |
保険会社とのトラブル相談先 | そんぽADRセンター
金融庁 自賠責保険・共済紛争処理機構 |
交通事故で起こり得るパターンごとに相談先をまとめています。ぜひ参考にしてください。
交通事故全般に関する相談先
「交通事故に遭ったけどどうしたら良いかわからない」
「損害賠償や示談金の金額はこれが相場なの?」
など、交通事故に関するあらゆる悩みや疑問を解決してくれる相談先は下記の2か所です。
- 交通事故相談所
- 日弁連交通事故相談センター
交通事故相談センターも日弁連交通事故相談センターも「交通事故全般に関すること」を相談できるところですが、運営団体が異なります。
相談先 | 運営団体 |
交通事故相談センター | 地方自治体 |
日弁連交通事故相談センター | 日本弁護士連合会 |
単に「相談をしたい」ということであれば、交通事故相談センターへ相談すれば解決できることがほとんどでしょう。相談をしてさらに解決も目指すのであれば、日弁連交通事故相談センターへ相談してください。
どちらも無料で利用できるサービスになっていますが、目的等によって使い分けると良いでしょう。まずは、交通事故全般に関することを相談できる2つの相談先について詳しくお伝えします。
交通事故や保険に関する相談は「交通事故相談所」
交通事故相談所は地方自治体で運営する団体であって、示談や賠償金、過失割合や保険などあらゆることについて相談に乗ってくれます。その中で、相談者の利益を考え、さらに先の相談先等へ紹介してくれることもあります。
交通事故等に関する専門知識を持った方が相談員として在籍しており、公正・中立的な立場から無料でアドバイスや助言、解決を目指してくれるでしょう。
交通事故相談所は各地域にあります。「交通事故相談所 ○○(都道府県名)」で検索をすれば出てきます。
損害賠償に関する相談等、総合的な相談は「日弁連交通事故相談センター」
損害賠償や示談金等、交通事故に関する相談を「弁護士」へ無料相談したい方は、日弁連交通事故相談センターへ相談してください。
とくに、車との接触事故によって負傷した人は、交通事故のプロである「保険会社の担当者」と自分で交渉をしなければいけません。実際には、足元を見られたり示談金が少なかったりするケースも多いため、積極的に日弁連交通事故相談センターを利用されると良いでしょう。
「相手とどのように交渉すれば良いかわからない」
「過失割合に納得がいかない」
「事故の相手が任意保険に加入していなかった」
など、あらゆるトラブル等の相談先として、活用してください。
【日弁連交通事故相談センターの特徴】
- 電話相談が無料
- 原則5回までの面談が無料(1回あたり30分)
- 全国に相談窓口がある
交通事故でお困りの方、悩まれている方はまず電話で相談されてみてはどうでしょうか。
ひき逃げ・当て逃げ等の交通事故発生時の相談先
ひき逃げや当て逃げによる被害を受けた方の相談先は下記のとおり。
- 警察
- 医療安全支援支援センター
交通事故発生時にはかならず警察へ届け出る義務があります。ひき逃げや当て逃げによって、相手がわからない状況でもかならず警察へ届け出るようにしてください。また、医療関連に関する相談は「医療安全支援センター」へしてください。
交通事故後はかならず「警察」へ相談
ひき逃げ等の被害に遭われた方は、たとえ軽症であったとしてもかならず警察へ相談してください。些細な事故であっても警察へ届け出る「義務」があり、違反すれば処罰対象になり得ます。
また、警察に相談しなければ「交通事故証明書」が発行されず、治療費等がおりない恐れがあります。後に相手が見つかったとしても、交通事故証明書がなければ治療費等を実費で支払わなければいけなくなるので、かならず警察への届け出をするようにしましょう。
相手がわからない交通事故による医療相談は「医療安全支援センター」
医療安全支援センターは医療全般に関する相談窓口です。治療費に関する相談から苦情まで一括して相談できるので、医療に関する心配事などがあれば、積極的に相談してください。
また、交通事故による治療費は原則として保険適用外ですが、ひき逃げ等で相手がわからないときは保険適用が可能となることがあります。
病院によっては「交通事故で健康保険は使えません」と言われることがあるかもしれませんが、病院側の認識不足です。相手がわからないときや相手が無保険だったときなどは健康保険が適用されるので安心してください。
参考:厚労省|犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて
治療費等について、加害者側からの保障が見込めないときは「政府保障事業」を利用できます。自賠責保険と同等の保障内容となり、決して十分と言える内容ではありませんが、利用しないよりはマシでしょう。
事故の結果 | 支払い限度額 |
死亡時 | 3,000万円 |
後遺障害時 | 75万円~4,000万円 |
障害事故 | 120万円 |
※請求先はお近くの損害保険会社もしくは共済組合です。
交通事故相手とトラブルが発生したときの相談先
交通事故が発生した「相手」と話がまとまらないとか、示談交渉がうまくいかない、トラブルが発生して埒が明かないなどのことは起こり得るでしょう。「相手とのトラブル」が発生したときは「弁護士」へ相談するのがおすすめです。
交通事故では一般的に保険会社の担当者同士もしくは、保険会社担当者と個人でやりとりをします。保険会社の担当者は、いわゆる「交通事故のプロ」です。
交通事故の当事者間トラブルのみならず、保険会社担当者とのトラブル発生時にも積極的に弁護士へ相談してください。
相手とのトラブル・話がまとまらないときは「弁護士」へ相談
交通事故の相手とのトラブルはよくある話です。とくに、相手側の代理人でもある「保険会社の担当者」とは、トラブルが発生することは頻繁にあります。
本来は、保険会社の担当者同士で話し合ってくれれば良いのですが、車対人の事故や自分に過失のない事故であれば、自分の自動車保険は利用できません。
もしも相手と「示談金に納得ができない」とか「早期の症状固定を迫られている」などのトラブルが発生したときは、積極的に弁護士へ相談してください。「目には目を歯には歯を」という考えで良いでしょう。
とくに、交通事故に強い弁護士へ依頼することで、自分の意見が受け入れられたり納得のいく結果が出たりするでしょう。
弁護士費用が心配なら「法テラス」
弁護士費用が心配なら「法テラス」へ相談してください。法テラスとは、国が設立した法律総合センターで、交通事故関連の相談も無料で受け付けています。
また、必要に応じて「民事法律扶助制度」を利用し、弁護士への依頼も可能です。収入要件等、いくつかのクリアしなければいけないことはありますが、ぜひ検討してください。
自動車同士の事故で弁護士特約に加入しているなら自己負担0
弁護士特約に加入されている方は、積極的に利用してください。弁護士特約は、自動車運転中の事故であれば自分に過失がなくても利用できます。
本来、自分に過失がないときは保険を利用できませんが、弁護士特約だけは利用できるので覚えておくと良いでしょう。また、弁護士特約を利用したところで等級が下がることもありません。
中には、一般の「弁護士保険」に加入されている方もいるでしょう。弁護士保険であれば、自動車運転有無に関係なく利用できます。気軽に弁護士へ相談できる環境が整っているのであれば、積極的に利用されたほうが良いです。
相手が任意保険に入っていないときも「弁護士」への相談がおすすめ
事故を起こした相手が「任意保険に入っていなかった」とか「自賠責保険にすら加入していなかった」ということも起こり得ます。とくに自賠責については、絶対にあってはいけないことです。
しかし、わずかな可能性の中で起こり得るのが現状です。万が一、無保険もしくは任意保険に加入していない車両に事故を見舞われたときは、満足な保障を受けられないため、状況に応じて弁護士へ相談されることをおすすめします。
ただし、相手の財力次第では、弁護士に依頼をしたところで賠償金等を受け取れない恐れもあります。そのため「保険に未加入=弁護士へ依頼」が正しいとは一概に言えません。満足のいく保障が受けられなければ、弁護士費用の負担が重くのしかかるためです。
もしも相手からの保障が見込めないのであれば、弁護士ではなく政府保障事業への相談をおすすめします。自賠責保険と同等の範囲内で保障を行います。お近くの損害保険会社か共済組合へ相談してください。
保険会社の対応等に関する相談先
交通事故が発生すれば「保険会社」との関わりは避けて通れません。保険会社とのやりとりの中で「対応が悪い」とか「納得がいかない」といったことはよくある話です。もしも、保険会社に対する苦情や相談をしたいのであれば、下記に相談してください。
- そんぽADRセンター
- 金融庁
- 弁護士
- 自賠責保険・共済紛争処理機構
事例ごとに、どこに相談をすれば良いのか?について詳しくお伝えします。
保険会社とのトラブルは「そんぽADRセンター」や「金融庁」
保険会社とのトラブルや保険会社に対する苦情は、そんぽADRセンターもしくは金融庁で受け付けています。この2つの大きな違いは「解決を目的としているか否か」です。
相談先 | 目的 |
そんぽADRセンター | 相談・紛争解決 |
金融庁 | 苦情の受付・質問・相談 |
たとえば「〇〇の保険会社の対応が悪かった!」という苦情を言いたいのであれば、金融庁でも受け付けています。しかし「〇〇保険の対応に納得がいかないから、もっとこうしてほしい」と、紛争解決を目的とするのであれば、そんぽADRセンターへ相談してください。
そんぽADRセンターでは、保険会社とトラブル当事者との間で行われている問題の和解案等を中立的立場から提案してくれます。どうしても納得のいかない事由があるときは積極的に相談してください。
示談交渉がうまくまとまらないなら「弁護士」に相談しても良い
保険会社との示談交渉がうまくいかないのであれば、弁護士へ相談してください。保険会社の担当者は「交通事故のプロ」です。個人相手に「絶対に折れない」といった確固たる意志を持っている人も中にはいるでしょう。
上記のような人とずっと揉めていても埒が明きません。積極的に弁護士へ相談して、交通事故の専門家同士で交渉を行ってもらうと良いでしょう。もちろん、弁護士費用は発生しますが、示談金がアップすれば費用をまかなえるでしょう。
自賠責保険に関する相談先は「自賠責保険・共済紛争処理機構」
「自賠責保険(政府保障事業)が支払われなかった」とか「賠償金額に納得ができない」といったトラブルが発生したときは「自賠責保険・共済紛争処理機構」へ相談してください。
こちらはそんぽADRセンターと同じようなところであって、中立的な立場から紛争解決等目指すところです。被害者の保護を目的としている機構であり、他にも下記のような相談も可能です。
- 保険金の支払いに関するこ
- 賠償責任や過失について
- 後遺障害に関すること
上記はあくまでも一例に過ぎません。交通事故に関するあらゆる紛争解決に対応していますので、積極的に相談をしてください。
もちろん、相談費用や紛争解決費用は一切発生しません。状況に応じて弁護士や医師、学職経験者等、各分野の専門家が中立公正な立場から判断をします。
まとめ
今回は、交通事故発生時の相談先についてお伝えしました。まとめると下記のとおり。
- 交通事故全般に関する相談先は「交通事故相談所」「日弁連交通事故相談センター」
- ひき逃げ・当て逃げ等の相談先は「警察」「医療安全支援センター」必要に応じて「政府保障事業(損害保険会社もしくは共済組合)」
- 交通事故の当事者間トラブルは「弁護士」
- 保険会社とのトラブルは「そんぽADRセンター」「金融庁」「自賠責保険・共済紛争処理機構」
交通事故が発生すれば、思いもよらず怪我をしてしまったり車などを傷つけられてしまったりするでしょう。怪我の容態によっては、休職をせざるを得ないときもあるでしょう。
そんなとき、満足のできる治療費や慰謝料、賠償金や休業補償金などが支払われれば良いですが、現実では満足できないことが多々あります。「納得がいかない」と伝えたところで、相手が折れなければ話は平行線のまま。
生活もかかっている方からすれば、早期にでも解決したいという思いから「妥協」をしてしまう方も多いでしょう。もしまだ時間的に余裕があるのであれば、今回お伝えした相談先を参考に、問題の根本解決を目指してください。
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