交通事故を起こすとどんな責任が発生するか?
交通事故の加害者になると、法的には刑事上、行政上、民事上の3つの責任が問われます。
どの責任が問われるかは、事故の内容などによって異なります。
3つの責任が発生
交通事故を起こしてしまった加害者は、以下のような刑事上、行政上、民事上の3つの責任を負うことになります。
交通事故によって加害者が負う責任
刑事上の責任 | ●自動車の運転中に誤って人を死傷させた場合には自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条の過失運転致死傷罪となり、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金が処せられる。 ●死傷者の出ない物損事故には刑法上の処罰はない。ただし飲酒運転や無免許運転など重大な交通違反のある場合は、道交法により罰金、禁固刑、懲役刑の刑事罰が、他人の建造物などを損壊した場合は道交法第116条「過失建造物損壊罪」によって責任が問われる。 |
行政上の責任 | ●道交法に基づき、違反点数に応じて運転免許の停止・取り消し・交通反則金の納付などの行政処分が公安委員会により行われる。 |
民事上の責任 | ●自賠法第3条や民法第709条に基づき、被害者に対して損害賠償責任を負う。 |
責任の中味
刑事上の責任の中味
国は、交通犯罪の予防と制裁を目的に、加害者に対し刑罰を科します。
平成25年に制定(平成26年5月施行)された自動車運転処罰法には、刑法の危険運転致死傷罪が引き継がれました。そして悪質な道路交通法違反に対しては、自動車運転処罰法が併合されて重く処罰されることになります。
なお、刑罰は警察から検察庁へ、検察庁から裁判所に送られて確定します。
行政上の責任の中味
行政庁(公安委員会)は、対象となる違反点数ごとに免許停止・免許取り消しという行政処分を行います。
この処分は、運転者の過去3年以内の交通違反や死傷事故を起こしたときに課せられる違反点数の合計で決まります。交通事故を起こすと違反行為に関する基礎点数に付加点数を加えます。つまり、酒酔い運転で治療期間15日未満の人身事故を起こした場合、酒酔い運転の35点(基礎点)に加え、人身事故に対する3点(付加点数)が加算されるということです。
民事上の責任の中味
加害者は、損害を与えた被害者に対し金銭で賠償しなければなりません。
これが加害者の民事上の責任です。ただし、交通事故では自賠法が優先的に適用されますから、自賠責保険で補償を行なった後に民法による損害賠償を行います。なお、自賠法が補償するのは人身事故に限られるため、物損事故では民法による損害賠償請求のみとなります。
まとめ
今回は交通事故を起こすとどんな責任が発生するのか、についてまとめました。
もし、今回の記事で分からないことがあった場合は、「法律相談ナビの交通事故に関する記事」も参考にしてみてください。
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