死亡事故で請求できる損害には、被害者が死亡するまでの治療費、葬儀関係費、死亡による逸失利益、慰謝料などがあり、中でも逸失利益は後遺障害の損害賠償と同様に割合が大きくなる。
交通事故により被害者が死亡した場合、被害者自身の損害賠償請求権は被害者遺族が相続します。
遺族が請求できる損害には、葬儀費用(積極損害)、逸失利益(消極損害)、死亡慰謝料があり、被害者が事故直後は生きていて、その後治療を受けたにもかかわらず死亡した場合、それまでの治療費や傷害による慰謝料は別途請求することができる。さらに、後遺障害に対する保険金が支払われたあと、被害者が死亡した場合は交通事故との因果関係がはっきりしていれば、死亡による保険金額との差額請求が認められる。
死亡事故による損害
積極損害 ▶︎ 葬儀関係費
消極損害 ▶︎ 死亡による逸失利益
慰謝料 ▶︎ 死亡した被害者本人の慰謝料・遺族への慰謝料
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事故後、治療のかいなく死亡した場合に加算される損害
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消極損害 ▶︎ 休業損害
慰謝料 ▶︎ 被害者本人に対する傷害慰謝料
葬儀関係費
通夜、告別式、祭壇、埋葬などに要した費用。自賠責保険、任意保険会社、弁護士会の3つの基準があり、定型化されています。被害者の年齢や職業、社会的地位などにより認められる金額に差があるが、裁判では弁護士会基準がおおよそ採用されています。なお、自賠責保険基準では60万円までなら領収書がなくても賠償金が支払われることになる。
葬儀関係費の基準額
自賠責保険基準 | 葬儀費は60万円まで。ただし、60万円を超えることが明らかな場合、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費が認められる。墓地の購入や香典返しなどの費用は認められない。 |
任意保険基準 | 各保険会社が独自に設定した基準内で支払われる。基本的には自賠責保険基準より若干高い金額。 |
弁護士会基準 | 原則として150万円。ただし、これを下回る場合は実際に支出した額となる。 |
治療関係費(被害者が死亡するまでの損害)
被害者が即死するような事故でなければ、死亡に至るまでの損害についても請求することができる。
自賠責保険基準によれば、被害者が死亡するまでの損害は傷害による損害の基準が採用され、治療関係費(死体検案書料および死亡後の処置料を含む)や休業損害、傷害慰謝料が認められる。
死亡事故の場合、後遺障害事故と同様に逸失利益が消極損害となる。ただし、死亡事故は休業損害がなく、被害者が生きていれば要したであろう年間生活費相当分を年収から控除して逸失利益を算出する点が異なります。被害者が死亡してしまった場合の逸失利益の計算式は下記の通り、
死亡事故の逸失利益算出方法
将来にわたる収入を現時点で得ることになるので、ここもライプニッツ係数を用いて中間利息を控除する。
年間生活費相当分は、死亡した被害者が一家の支柱であるか、性別によっても変わってくる。
生活費控除率として下記ようにほぼ定型化されている。
生活費控除率
一家の支柱の場合 | 30% 〜 40% |
女子(主婦、独身、幼児を含む) | 30% |
男子(独身、幼児を含む) | 50% |
- 年収の証明
算出の基礎となる年収の証明方法は、後遺障害事故の逸失利益と同様、職業によって異なる。サラリーマンや公務員などの給与所得者は事故前の給与を基礎とし、自営・自由業、農・漁業の事業所得者などは収入証明書を基礎とする。はっきりとした収入が確定できない家事従事者や、事故時にまだ収入のない学生・年少者は賃金センサスを基礎とする。 - 就労可能年数
就労可能年数は、原則として死亡時から67歳までの期間とされており、未就労の子供などは18歳から67歳までの49年間となる。また、大学生やすでに大学・短大進学が決まっている人の場合、大学卒業後の年齢から67歳までの期間となる。なお、68歳以上の高齢者が実際に収入を得ていた場合は、平均余命の2分の1を就労可能年数として採用する。 - 年金などの受給者の逸失利益
年金受給者の場合は、年金も基礎収入に算入して計算する。
年金などの受給者の逸失利益算定方法
➕
年金受給者の年間収入額または年相当額を算出する基準(自賠責保険基準)
有識者 | 幼児・学生・家事従事者 | その他働く意思と能力を有する者 |
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年金と事故の直前1年間の収入を合算した金額と、年齢別平均給与額の高い方。35歳未満の者は全年齢平均給与額の年相当額とも比較する | 年金もしくは全年齢平均給与額の高い方。ただし、58歳以上で年齢別平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額と年金額の高い方を採用する | 年金と年齢別平均給与額の高い方。ただし、年齢別平均給与額が、全年齢平均給与額年齢を上回る場合は、全年齢平均給与額とも比較する。 |
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