示談を行う場合、請求する側に必要な準備としての4点、①損害額を確定させる、②必要な書類をそろえる、③過失の割合を納得するまで検討する、④加害者の支払い能力をチェックする。
損害額を確定する
示談交渉において、損害額を確定させることが最も重要である。加害者には、法律上認められた損害に対し賠償を行う義務があるため、被害者は正当な金額よりも低く提示し損をすることを防がなければならない。また、死亡事故などは、被害者側が感情的になってしまい法外な金額を請求することにより、示談が思うように進まない場合もあり、このようなことを防ぐためにも被害者側は常に冷静な対応を心がけ、正当な損害額を請求しなければならない。
必要な書類は必ず示談前に準備する
示談交渉の場では、事故の発生を証明する事故証明、身体に受けた損害を証明する診断書、損害賠償額を証明する書類、身分を証明する書類が必要となる。また、示談が不成立となり民事訴訟を起こす場合でも、これら書類は必要。
加害者は、請求された金額が法律上正当なものであれば、これを支払う義務を負う。しかし、請求されなかった損害に関しては加害者は自ら進んで支払う必要はない。なので、被害者側は必要な書類をすべてそろえ、請求漏れがないよう準備する必要がある。
正確な過失割合を知る
示談交渉の場において、損害額の算定とともに問題となるのが過失割合。後遺障害事故や死亡事故の場合、損害額が非常に大きな額となり、過失の割合によっては賠償金額に大きな差が出てしまうため、過失割合は非常に重要である。
過失割合の交渉で、被害者が納得しないまま譲歩してしまうと、賠償額が大幅に減額されてしまうこともあり、こういった事態を避けるためにも被害者側は事前に過失割合を研究し、示談交渉の際正確な割合を加害者側に認めさせなければならない。なお、交通事故における過失割合は、日弁連作成の「損害賠償額算定基準(赤本)」によってある程度の定型化がなされており、これを参照するとよい。(一般書店で手に入らないので弁護士などに相談することが望まれます)
加害者側の支払い能力をチェックする
示談交渉を行う際、基本となるのが相手側の支払い能力。加害者が任意保険に加入していた場合は、その保険金が損害賠償金の資金として想定することができる。ただし、加害者の加入する任意保険に対人賠償保険が含まれている場合は、示談交渉の相手が保険会社担当者ということがある。この場合、たとえ相手の加入する対人賠償保険の限度額が無制限であっても、その保険会社から提示される金額は弁護士会基準よりも下回ることがほとんどなので、相手側に押し切られることなく冷静に対応交渉することが大切である。