交通事故が発生したとき、気が動転していて何をすれば良いのか、何から始めれば良いのかわからなくなることもあるでしょう。少し落ち着きを取り戻した頃「交通事故では、交渉などを弁護士に依頼したほうが良いのかな?」と思われる方も多いでしょう。
結論から言えば、交通事故発生時には弁護士へ依頼をしたほうが良いです。ただ「弁護士なら誰でも良い」わけではありません。弁護士の選び方を誤ってしまうと、弁護士費用という出費だけがあって、後に何も残りません。
そこで今回は、交通事故発生時に弁護士へ相談したいけどどうやって選べば良いの?と思われている方に向けて、下記のことをお伝えします。
- 弁護士を選ぶ際には「交通事故に強い弁護士を選ぶこと」「交渉力に長けた弁護士を選ぶこと」「実績豊富な弁護士を選ぶこと」の3つが大切
- 弁護士を選ぶときの注意点は「保険会社から紹介された弁護士には要注意」「実績のない弁護士への依頼は要注意」の2つ
- 交通事故発生時に弁護士へ依頼したほうが良いケースについて
交通事故が発生して弁護士を探している方、弁護士の選び方に悩んでいる方はぜひ、参考にしてください。
弁護士を選ぶ際の3つのポイントとは?
交通事故が発生したときに交渉や保険会社との連絡を依頼することで、安心かつ迅速に対応してくれます。しかし、突然の交通事故で気が動転し、適当に弁護士を選んでしまうことはおすすめしません。
交通事故発生時に弁護士を選ぶとき、下記3つのポイントをしっかり抑えておくだけで「弁護士へ依頼して良かった」と思えるでしょう。
- 交通事故に強い弁護士を選ぶ
- 弁護士の交渉力で選ぶ
- 実績豊富な弁護士を選ぶ
まずは、弁護士を選ぶ際の3つのポイントについてお伝えします。
選ぶポイント①:交通事故に強い弁護士を選ぶ
「交通事故発生時」に弁護士を選ぶときはかならず「交通事故に強い弁護士」へ依頼してください。
弁護士は法律の専門家であることは間違いありませんが、日本の法律を細かく分類すると2000弱あると言われています。すべての法律に特化した弁護士は基本的に存在しません。
弁護士それぞれが「得意分野」を持っています。交通事故のときに弁護士を依頼するのであれば「交通事故に強い弁護士」へ依頼するべきなのです。
もちろん、交通事故の示談交渉等を「離婚に強い弁護士」に依頼しても良いです。ただ、弁護士に相談することで得られるメリットを最大限に活かすことは難しいでしょう。
中には「過去にお世話になった弁護士へ相談したい」と思う方もいるかもしれませんが、得意分野が明らかにかけ離れているのであれば、おすすめはしません。弁護士が複数人在籍しているような事務所であれば話は別ですが、個人で行っている弁護士であれば事務所HPなどを参考にしてみると良いでしょう。
インターネット検索や紹介で探す
交通事故に強い弁護士はインターネットで簡単に見つけられます。もし、知人等が過去にお世話になった弁護士がいるのであれば、紹介していただいても良いでしょう。
とくに、知人等からの紹介であれば、実際に「良い体験」をした方からの紹介になるため、依頼しやすくなるでしょう。
インターンネットからの検索であっても、交通事故に強い弁護士は発見しやすいです。いくつかの弁護士事務所へ報酬の相談をされてみても良いですが、交通事故の場合は最短即日から交渉等が開始されます。いくつかの弁護士事務所をピックアップして、迅速に決定されたほうが良いでしょう。
選ぶポイント②:弁護士の交渉力で選ぶ
交通事故によって得られる示談金等は、依頼をする弁護士によって数十万円~数百万円程度の差が出ることもあります。一概に「交通事故に強い弁護士」と言っても、交渉力が劣ればその分得られる示談金等が少なくなるでしょう。
弁護士の交渉力を見極めるときに必要なポイントは下記の4つです。
- 決断力があるか?
- 柔軟性はあるか?
- 相手のことも考えているか?
- 話の聞き方が上手か?
上記はいずれも「交渉力」を判断するための材料になるでしょう。「依頼すべき弁護士がわからない」そう思うのであれば、上記のことを意識してみてください。それぞれの項目について「どうやって見極めるのか?」についてお伝えします。
【決断力】
交通事故はそう何度も発生するものではなく、当事者である自分自身がどうしたら良いのかわからなくなることもあります。そういったときに弁護士から「こうしたほうが良い」とか「こうした方向で行きましょう」と、決断・リードしてくれる弁護士を選びましょう。
つねに曖昧なことしか言わない弁護士では、交渉がうまくいかないこともあります。弁護士も人間なので、優柔不断な人も中にはいますが、自己の利益を優先するのであれば「決断力」を見極めてください。
【柔軟性】
すべての交通事故が同じではありませんし、当事者も全く同じであることはほぼありえません。10の交通事故があれば10通りのパターンの交渉手段があるでしょう。そのため「柔軟性」はとても大切です。
「このような事故であればこのように対応する」のように、テンプレ化された対応しかできない弁護士はおすすめできません。交通事故であれば、イレギュラーが発生することも多々あります。さまざまなパターンにも柔軟に対応できる知識量を持った弁護士が「交渉力のある弁護士」と言えるでしょう。
【相手のことも考えているか?】
交通事故は単独ではない限りかならず「相手」がいます。自分の利益や依頼者の利益のみを追求する弁護士は交渉力があるとは言えません。ただ「相手の利益を考える」わけではありません。
相手の話や相手の保険会社の話を聞いてまとめて、いかにして有利に交渉を持っていけるか?を考えられる弁護士を選ぶべきです。きっと、依頼を検討している弁護士との会話の中で「自分本位だな」とか「相手のことも考えているな」は気付けるはずです。
【聞き上手か?】
「人の話を聞ける人」は、交渉力がある人が多いです。とくに弁護士の場合は、依頼者の依頼内容をしっかりヒアリングしたうえで、どのような方法で解決を見出し、どう導いていけば良いのか?について考えます。
弁護士は敷居の高い資格、頭の良い人ばかりと思われている方も多いですが、弁護士も人です。当然、自己の利益を優先してしまう弁護士もいますし、依頼者の利益を追求する弁護士もいます。
どちらが良いとか悪いとかは言えませんが、少なくとも「人の話を聞ける弁護士」に依頼をすることで、交通事故の交渉もうまくいく可能性が高まるでしょう。
選ぶポイント③:実績豊富な弁護士を選ぶ
交通事故に強い弁護士を選ぶときはかならず「実績が豊富な弁護士」を選んでください。先にもお伝えした通り「交通事故に強い弁護士」であっても、交渉力等によって示談金等に差が出ます。
事務所HP等で実績を掲示している弁護士事務所も多いので、実際に確認されてから最終的に依頼する弁護士事務所を決定してください。
交通事故時に弁護士を選ぶ際に注意したいこと
交通事故発生時に弁護士を選ぶとき、注意すべきことがいくつかあります。突然の交通事故で気が動転していて「とにかく弁護士へ相談したい!」と焦る気持ちもわかります。
しかし、弁護士の選び方はもとより「弁護士選びの注意点」を把握していなければ、自分が損をしてしまうこともあります。次に、弁護士を選ぶときの注意点2つについて詳しくお伝えします。
【弁護士選びの注意点】
- 保険会社から紹介された弁護士は要注意
- 交通事故実績のない弁護士は要注意
保険会社に紹介された弁護士は要注意
自動車同士の事故が発生したとき、自分に過失がなくても弁護士へ依頼(弁護士特約の加入が条件)ができます。弁護士特約を利用しただけでは等級も下がらないので、積極的に利用される方は多いでしょう。
しかし、多くの方が勘違いされていることがあります。それは「弁護士特約は、保険会社から紹介された弁護士にしか依頼できないのではないか?」ということ。じつは、弁護士特約を利用するときは、自分で弁護士を見つけて依頼することもできるのです。
「保険会社から紹介された弁護士は悪い」とは言いませんが、紹介された弁護士よりも自分で「正しい選び方」をした弁護士の方が良いでしょう。保険会社から紹介された弁護士だとどうしても「保険会社よりの対応」になってしまうことが考えられます。
弁護士特約は、自分で見つけた弁護士への依頼も可能です。このことを念頭に置いて「こちら(保険会社)から弁護士を紹介しますよ」と言われても、断るべきときは断ってください
交通事故対応実績のない弁護士への依頼は要注意
弁護士の選び方でもお伝えした通り、弁護士へ依頼するときはかならず「交通事故対応実績が豊富」な弁護士へ依頼してください。「弁護士はみんな一緒」と思われる方もいるかもしれませんが、各弁護士で得意分野が異なります。
交通事故対応実績の豊富な弁護士へ依頼すれば、示談金や交渉等スムーズにことが進むはずです。一方で、一切の実績がない弁護士へ依頼をしてしまうと、交通事故の対応に慣れていないため、示談金額が少ないとか交渉成立までの期間が遅いとか、不満が出る恐れがあります。
先にお伝えした「弁護士の選び方」を参考に、交通事故に特化した弁護士へ依頼すると良いでしょう。
交通事故発生時、弁護士へ依頼したほうが良い?
交通事故が発生したときは、弁護士へ依頼したほうが良いの?と思う方も多いでしょう。とくに「弁護士費用は高い」という理由で、被害者側・加害者側どちらでも弁護士へ依頼しない方は多いです。
しかし、交通事故発生時にも「弁護士へ依頼したほうが良いとき」があります。たとえば、下記に示すようなことがあるとき。
- 弁護士特約を付けていたとき
- 示談金に納得がいかないとき
- 過失割合に争いがあるとき
上記いずれかに該当するときは、積極的に弁護士へ依頼したほうが良いでしょう。
自動車保険の「弁護士特約」を付けているなら積極的に利用すべき
自動車の運転をされる方が加入されている「任意保険」には、特約として「弁護士特約」を付けられます。弁護士特約は万が一、交通事故が発生したときに弁護士を付けられる特約で、最大300万円までの弁護士費用補償を行っている保険会社がほとんどです。
この弁護士特約を付けているのであれば、些細な事故であっても積極的に利用してください。中には、保険を使うことに抵抗を感じる方がいますが、弁護士特約は利用されることを強くおすすめします。その理由は下記のとおり。
- 自分に一切の過失がない「もらい事故」でも利用できる
- 弁護士特約は等級が下がらず、利用しても保険料が変わらないから
「弁護士特約を使うと等級が下がって保険料が上がってしまう」と思っている方も多いですが、それは勘違いなので安心してください。もし、弁護士特約に加入されているのであれば、使わないことこそが「損」です。
また、弁護士特約はもらい事故でも利用できるのが特徴です。たとえば、相手がセンターラインを超えて追突してきた交通事故、交差点で停車中に追突された交通事故など、過失割合が10:0になるような事故でも利用できます。
「使わなければ損」「もらい事故でも利用できる」この2点を鑑みれば、弁護士特約を利用しない理由がありません。ぜひ、積極的に利用しましょう。
弁護士特約は弁護士を自分で選べる
弁護士特約は、保険会社のオプションとして提供されているサービスですが、かならずしも保険会社の指定する弁護士へ依頼する必要はありません。自分で選んだ弁護士や、普段お付き合いしている弁護士、過去にお世話になった弁護士など、自由に決定できます。
先にお伝えした「弁護士の選び方」を参考にして、自分で選んだ弁護士へ依頼すると良いでしょう。
ただし、弁護士へ支払う報酬については、保険会社の約款で上限額をさだめられていることが多いです。そのため、自分で選んだ弁護士の報酬額と保険会社が支払う上限額に差が発生すれば、自己負担となるので注意してください。
弁護士特約の補償上限額は300万円としている保険会社が多いですが、すべての事故に300万円となるわけではありません。交通事故の状況等に応じて、上限額をさだめられているので、その範囲内で選ぶか自己負担をするか検討してください。
示談金等に納得ができないときは弁護士へ依頼したほうが良い
相手の保険会社等から提示された示談金に納得ができないときは、積極的に弁護士へ相談してください。
基本的に保険会社は、お金を必要以上に支払いたくはありません。治療費に関しては早期の症状固定を目指したり、相場より少ない示談金を提示したりします。
一般的な人であれば、示談金の相場等がわからないことも多いため「言われるがまま」とか「言いくるめられてしまった」といったことになりかねません。
交通事故発生後、示談金額に納得ができないとか本当にこれしかもらえないの?など、不明点があれば、交通事故のプロである弁護士へ相談してください。最終的に受け取れる示談金等の金額に大きな差が発生することも多くあります。
当然、弁護士へ報酬を支払わなければいけませんが、増額された示談金のうちから支払えば被害者に何の影響もありません。
過失割合に争いがあるときは積極的に弁護士へ依頼
交通事故が発生したときは「過失割合」によって、支払い損害賠償額が決定します。過失割合は通常、事故状況にもっとも近い過去の判例をもとに、保険会社の担当者で話し合って決定します。
たとえば過失割合が60:40となったときは、過失相殺した金額を相手に賠償しなければいけません。しかし、交通事故の判例をもとに過失割合を算定するとはいっても、全く同じ事故が起こるとは限りません。
現場ごとの状況等鑑みたときに、過失割合に納得ができないこともあるでしょう。もしも過失割合に納得ができないけど、相手や相手の保険会社が納得しないという事由が発生したときは、弁護士へ相談してください。
もちろん、弁護士へ相談したからと言ってかならず、過失割合が覆るとは言い切れません。ただ「明らかに相手の方が悪いのに自分の過失のほうが多い」とか「自分がほとんど悪いけど、相手が○○しなければ」など、納得できないことがあれば相談する価値はあるでしょう。
まとめ
今回は、交通事故発生時に弁護士を選ぶときのポイントについてお伝えしました。
「弁護士」を一括にしてしまう方も多いですが、各弁護士によって得意分野が全く違うとのことでした。交通事故で弁護士を選ぶなら、交通事故に強い弁護士を選ぶべきでしょう。
また、弁護士を選ぶときには「交渉力」や「実績」が大切です。交通事故に強い弁護士を自称しているケースでは、実際に思うような結果が出ないことも考えられます。
交通事故は一生のうちにそう何度も経験することではないですし、経験もしたくないことです。数少ない経験ですが、確実な対応・迅速な対応を求めるのであれば、弁護士へ相談されたほうが良いでしょう。今回お伝えした「弁護士の選び方」をぜひ参考にしてください。