交通事故の過失割合は、損害賠償額や保険金の支払いに直結する重要な要素です。割合がわずかに変わるだけでも、最終的に受け取れる金額や自己負担額は大きく変わります。
そのため、提示された過失割合に納得がいかない場合は、そのまま受け入れず、根拠を確認したり弁護士に相談したりする姿勢が重要です。
対応を誤ると、本来受け取れるはずの賠償額が減ってしまうおそれもあります。
本記事では、交通事故の過失割合の意味からどのように決められているのか、納得いかないときに取るべき対応までをわかりやすく解説します。
・過失割合を判断する際に考慮される要素は、別冊判例タイムズ38に示された基準や過去の裁判例、事故当時の客観的な状況など
・交通事故の過失割合の基本的な決め方は、「基本過失割合」を出発点として検討され、修正要素が加味される
・交通事故の過失割合に納得いかないときに弁護士に相談するメリットは、第三者の視点で判断してもらえる、精神的な負担が軽減できるなど
交通事故の過失割合とは?
交通事故の過失割合とは、事故に対する当事者それぞれの責任の度合いを割合で示したものです。
一般的には「8対2」「7対3」といった形で表され、どちらにどの程度の落ち度があったかを数値で整理します。
この過失割合は、損害賠償額の計算に直接影響します。自分の過失割合が大きいほど、相手に請求できる賠償額は減り、反対に自己負担が増える仕組みです。
なお、過失割合は感覚や印象で決まるものではありません。事故の状況や当事者の行動をもとに、一定の基準や考え方に沿って判断されます。
- 過失割合を判断する際に考慮される主な要素
- 交通事故において過失割合が重要とされる理由
- 交通事故の過失割合は誰が決めるのか
過失割合を判断する際に考慮される主な要素
過失割合を判断する際に考慮される主な要素は、別冊判例タイムズ38に示された基準や過去の裁判例、事故当時の客観的な状況など、複数の観点を総合して検討されます。どれか一つだけで決まるわけではありません。
別冊判例タイムズ38とは、交通事故に関する裁判例をもとに、事故類型ごとの基本的な過失割合や考え方を整理した資料です。
信号の有無や道路の形状、優先関係などに応じた基準が示されており、実務では過失割合を検討する際の重要な指針として用いられています。
実際の過失割合は、この基準をそのまま当てはめるのではなく、事故現場の状況と照らし合わせながら判断されます。
具体的には、道路の形状や信号・標識の有無、双方の進行方向や速度、事故直前の運転操作などです。
当事者同士や保険会社の間で過失割合について納得がいかない場合は、ドライブレコーダーの映像や目撃証言といった証拠をもとに話し合いが行われます。
それでも合意に至らないときは、最終的に裁判などの手続きで判断されることになります。
交通事故において過失割合が重要とされる理由
交通事故において過失割合が重要とされる理由は、損害賠償額の算定に直接影響するからです。過失割合は、治療費や慰謝料、修理費など、ほぼすべての賠償項目に反映されます。
例えば、損害額の合計が100万円だった場合、過失割合が7対3であれば70万円を受け取る計算になります。
しかし、過失割合が8対2に変わるだけで、受け取れる金額は80万円となり、10万円も増えるのです。
もちろん、実際の事故では損害額や賠償項目の内容によって金額は異なります。
それでも、過失割合がわずかに変わるだけで、最終的な賠償額に大きな差が出ることは変わりません。このことから、過失割合は慎重に確認すべき重要なポイントといえます。
交通事故の過失割合は誰が決めるのか
交通事故の過失割合は、警察が決めるものではありません。実務では、当事者側の保険会社同士が、事故状況をもとに協議して決めるのが一般的です。
警察は、事故の実況見分や事故証明書の作成を行いますが、過失割合そのものを判断する立場にはありません。
警察の資料は、あくまで事故状況を客観的に示す資料として活用されます。
保険会社は、別冊判例タイムズ38などの基準や過去の裁判例、警察資料、証拠を踏まえて過失割合を提示します。
ただし、この提示は確定ではなく、当事者が必ず従わなければならないものでもありません。
当事者間で意見が食い違う場合は、話し合いを重ねて修正が行われることもあります。
それでも合意に至らない場合は、最終的に裁判などの法的手続きで過失割合が判断されることになります。
交通事故の過失割合の基本的な決め方(基本過失割合)
交通事故の過失割合は、事故の種類ごとに想定された「基本過失割合」を出発点として検討されます。
基本過失割合とは、典型的な事故状況を前提に設定された、いわば目安となる割合です。
実務では、まず事故の形態がどの類型に当てはまるかを整理し、その類型に対応する基本過失割合を確認します。
そのうえで、事故当時の具体的な状況を踏まえ、修正が加えられていきます。自分の交通事故と照らし合わせながら参考にしてください。
- 交差点で直進車同士が衝突した交通事故
- 交差点での右折車と直進車の交通事故
- 道路外から進入した車と直進車の交通事故
- 追突事故の過失割合
- 対向車同士の交通事故(センターラインオーバー)
- 進路変更した車と後続の直進車の交通事故
- 駐車場内で発生した交通事故
- 丁字路交差点で発生する交通事故
- 自動車と二輪車の交通事故における過失割合
- 自動車と歩行者の交通事故における過失割合
交差点で直進車同士が衝突した交通事故
交差点で直進車同士が衝突した事故では、信号の有無や道路の条件によって過失割合が大きく異なります。
基本的な考え方は、どちらの車に注意義務違反があったかを軸に判断されます。いくつかのパターンを見ていきましょう。
信号機が設置されている交差点で発生した交通事故
| 赤信号で進入した車A | 青信号で進行している車B |
|---|---|
| 100% | 0% |
信号機の設置されている交差点で、信号無視をしたA車が青信号で進行しているB車に追突した事例です。
この場合は、赤信号を無視して進入したA車には強い注意義務違反があると評価され、原則として過失割合は全面的に認められます。
信号機のない交差点で発生した交通事故
| 左方車A | 右方車B |
|---|---|
| 40% | 60% |
直進する左方車Aと右方車Bが、同程度のスピードで交差点に進入し、衝突した場合の事例です。
この事故では、道路交通法上の左方優先の考え方が過失割合に影響します。左方優先とは、交差点においては左側から進行してくる車を優先すべきというルールです。
一方通行における違反事故
| 一方通行を順守していた車A | 一方通行違反で進入した車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
一方通行の道路において、直進していた無違反車Aに対し、車Bが一方通行違反をして進入し、衝突した場合の事例です。
一方通行違反をして逆走して進入した車Bには強い注意義務違反があると評価され、過失割合は大きくなります。
もっとも、規制を守って走行していた車Aであっても、前方を十分に確認していれば衝突を回避できた可能性がある場合には、前方不注視などを理由に一定の過失が認められます。
道幅に差がある交差点で発生した交通事故
| 道幅が広い道路を進行していた車A | 道幅が狭い道路を進行していた車B |
|---|---|
| 30% | 70% |
交差する道路のうち、一方の道路が明らかに広く、車Aと車Bがほぼ同じ速度で交差点に進入し、衝突した場合の事例です。
道幅に明確な差がある交差点では、一般的に広い道路を走行している車のほうが優先的な立場になります。
一方で、広い道路を走行していた車Aであっても、交差点進入時の注意義務が免除されるわけではありません。
一時停止規制の有無が異なる交差点で発生した交通事故
| 一時停止規制のない道路を進行していた車A | 一時停止規制のある道路から進入した車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
交差点において、車Aが一時停止規制のない道路を直進していた一方、車Bの進行方向には一時停止の標識が設置されており、双方がほぼ同じ速度で交差点に進入して衝突した場合の事例です。
一時停止の標識がある道路から進入する車には、交差点に入る前に確実な停止と安全確認が求められます。
そのため、この義務を果たさずに進入した車Bの過失は大きく評価されます。
優先道路と非優先道路が交差する地点での交通事故
| 優先道路を走行していた車A | 非優先道路から進入した車B |
|---|---|
| 10% | 90% |
交差する道路のうち、車Aが優先道路を走行しており、車Bが非優先道路から進入して衝突した場合の事例です。
優先道路を走行している車Aは、原則として通行が優先される立場にあります。
そのため、非優先道路から進入した車Bには、交差点に入る前に十分な安全確認を行う義務があり、過失は大きく評価されます。
交差点での右折車と直進車の交通事故
交差点における右折車と直進車の交通事故では、原則として直進車が優先されます。そのため、基本的には右折車の過失が大きく評価される傾向があります。
いくつかのパターンを見ていきましょう。
同一道路を対向方向から進行していた場合の交通事故
| 直進していた車A | 対向から右折していた車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
同じ道路を対向方向から進行していた直進車Aと、右折しようとした対向右折車Bが、いずれも青信号で交差点に進入し、衝突した場合の事例です。
右折する車は、対向直進車の進行を妨げないよう安全を確認したうえで進行する必要があります。そのため、基本的には右折車側の注意義務が重く評価されます。
信号機が設置されていない交差点での交通事故
| 直進していた車A | 対向から右折していた車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
信号機のない交差点において、直進していた車Aと、対向方向から右折しようとした車Bが衝突した場合の事例です。
信号機のない交差点であっても、右折車と直進車の基本的な考え方は、信号機がある場合と大きく変わりません。
信号機が設置されていない分、直進車側にもより高い注意義務が求められます。
信号機のない交差点で横方向から進入した場合の交通事故
| 優先道路を直進していた車A | 非優先側から右折進入した車B |
|---|---|
| 10% | 90% |
信号機のない交差点において、優先道路を直進していた車Aに対し、横方向から右折して進入してきた車Bが衝突した場合の事例です。
優先道路を走行している車Aは、原則として通行が優先される立場にあります。
そのため、非優先側から右折して進入した車Bには、交差点に入る前に十分な安全確認を行う義務があり、過失は大きく評価されます。
一時停止規制がある交差点で発生した交通事故
| 一時停止規制を無視して進入した直進車A | 右折していた車B |
|---|---|
| 70% | 30% |
交差点において、一時停止の標識が設置されている道路を直進していた車Aが停止せずに進入し、右折していた車Bと衝突した場合の事例です。
一時停止の標識がある場合、交差点に入る前に確実に停止し、安全確認を行う義務があります。この義務を怠って進入した車Aには、強い注意義務違反があると評価されます。
道路外から進入した車と直進車の交通事故
道路外から進入した車と、道路上を直進していた車との事故では、道路外から進入した側の過失が大きく評価されるのが一般的です。
駐車場や私有地などから道路に出る際には、より慎重な安全確認が求められるためです。2つのパターンを見ていきましょう。
道路外から左折して進入した際に起きた交通事故
| 道路を走行していた車A | 道路外から左折進入した車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
道路を走行していた車Aに対し、駐車場や私有地などの道路外から左折して進入してきた車Bが衝突した場合の事例です。
道路外から進入する車には、道路を通行している車両の進行を妨げないよう、十分な安全確認を行う義務があります。そのため、道路外から進入した車Bの過失が大きく評価されます。
道路外へ出るために右折した際に発生した交通事故
| 直進していた車A | 道路外へ出るため右折した車B |
|---|---|
| 10% | 90% |
道路を直進していた車Aに対し、駐車場や私有地などの道路外へ出るため、対向方向から右折して進行してきた車Bが衝突した場合の事例です。
道路外へ出るために右折する車には、対向直進車の進行を妨げないよう、特に慎重な安全確認が求められます。そのため、右折して道路外へ出ようとした車Bの過失は大きく評価されます。
追突事故の過失割合
| 後続車A | 停車していた車B |
|---|---|
| 100% | 0% |
赤信号で停止していた車Bに、後続車Aが追突した場合の事例です。停車中の車Bは交通ルールを守っており、通常は過失が認められません。
一方、後続車Aには前方不注視や車間距離不足があると評価され、過失割合は100%と判断されるのが一般的です。
追突事故では、原則として後続車の過失が大きく評価されます。前方の安全確認や車間距離の保持は後続車の基本的な義務とされているためです。
対向車同士の交通事故(センターラインオーバー)
| センターラインを越えて走行した車A | 自車線を走行していた車B |
|---|---|
| 100% | 0% |
2車線道路において、センターラインをオーバーした車Aが、対向車線を正常に走行していた車Bと衝突した場合の事例です。
対向車同士の事故で、センターラインを越えて走行した車がある場合は、その車の過失が大きく評価されます。自車線を守って走行する義務は、対向車線との接触を防ぐための基本的なルールとされているためです。
そのため、自車線を守っていた車Bには落ち度がなく、センターラインを越えた車Aの過失が全面的に認められるのが一般的です。
進路変更した車と後続の直進車の交通事故
| 後続の直進車A | 進路変更した車B |
|---|---|
| 30% | 70% |
走行中の車線へ進路変更した車Bに対し、後続を直進していた車Aが衝突した場合の事例です。
進路変更に伴う交通事故では、進路を変更した側の過失が大きく評価されるのが一般的です。進路変更時には、後続車の有無や距離、速度を十分に確認しなければなりません。
そのため、進路変更した車Bには、安全確認が不十分だったと評価され、過失割合は大きくなります。
駐車場内で発生した交通事故
駐車場内で発生する交通事故では、道路上の事故とは異なり、明確な優先関係が分かりにくいケースが多く見られます。
そのため、双方により高い注意義務が求められることが特徴です。2つのパターンを見ていきましょう。
通路を走行する車と駐車区画から出ようとした車の交通事故
| 通路を進行していた車A | 駐車区画から退出しようとした車B |
|---|---|
| 30% | 70% |
駐車場内の通路を走行していた車Aに対し、駐車区画から通路へ出ようとした車Bが衝突した場合の事例です。
駐車区画から通路へ進入する車には、通路を走行している車両の進行を妨げないよう、十分な安全確認が求められます。
そのため、退出しようとした車Bの過失が大きく評価されます。
通路を走行する車と通路から駐車区画へ入ろうとした車の交通事故
| 通路を進行していた車A | 駐車区画へ進入しようとした車B |
|---|---|
| 80% | 20% |
駐車場内の通路を走行していた車Aに対し、通路から駐車区画へ進入しようとした車Bが衝突した場合の事例です。
このケースでは、駐車区画へ入ろうとする車Bの動きは比較的予測しやすく、周囲を走行する車には減速や停止による回避行動が求められます。
そのため、進行中であった車Aが十分に注意していれば衝突を避けられたと評価され、過失が大きく認められます。
丁字路交差点で発生する交通事故
丁字路交差点で発生する交通事故では、直進車と右折・左折車の関係性を踏まえて過失割合が判断されます。
基本的には、進路を変更する右折車や左折車のほうが、より慎重な安全確認を求められる立場になります。いくつかのパターンを見ていきましょう。
道路の幅が同程度の丁字路交差点で交通事故
| 直進していた車A | 右折・左折していた車B |
|---|---|
| 30% | 70% |
丁字路交差点において、直進していた車Aと、右折または左折しようとした車Bが、ほぼ同じ幅の道路から進入して衝突した場合の事例です。
道路の幅が同程度の場合、直進車と右左折車の優劣は明確ではありませんが、進路を変更する右折車・左折車には、直進車の進行を妨げないよう注意する義務があります。
一方の道路が明らかに広い丁字路交差点での交通事故
| 道幅が広い道路を直進していた車A | 道幅が狭い道路から右折・左折した車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
丁字路交差点において、道幅が明らかに広い道路を直進していた車Aと、道幅の狭い道路から右折または左折しようとした車Bが衝突した場合の事例です。
道路の幅に明確な差がある場合、広い道路を走行している車が優先的な立場にあると評価されます。
そのため、狭い道路から進入した車Bには、より慎重な安全確認が求められ、過失が大きく認められます。
一方の道路に一時停止規制がある丁字路交差点での交通事故
| 一時停止規制のない道路を直進していた車A | 一時停止規制のある道路から右折・左折した車B |
|---|---|
| 15% | 85% |
丁字路交差点において、直進していた車Aには一時停止の規制がなく、右折または左折しようとした車Bの進行方向には一時停止の標識が設置されていた場合の事例です。
一時停止の標識がある道路から進入する車には、交差点に入る前に確実に停止し、安全確認を行う義務があります。この義務を怠って進入した場合、過失は大きく評価されます。
優先道路がある丁字路交差点での事故
| 優先道路を走行していた車A | 非優先道路から右折・左折した車B |
|---|---|
| 10% | 90% |
丁字路交差点において、車Aが優先道路を直進しており、車Bが非優先道路から右折または左折して進入し、衝突した場合の事例です。
優先道路を走行している車Aは、原則として通行が優先される立場にあります。
そのため、非優先道路から進入した車Bには、交差点に入る前に十分な安全確認を行う義務があり、過失は大きく評価されます。
自動車と二輪車の交通事故における過失割合
自動車と二輪車が関係する交通事故では、車両の大きさや機動性の違いを踏まえて過失割合が判断されます。
特に、進路変更や右左折の場面では、四輪車側により慎重な安全確認が求められる傾向があります。2つのパターンを見ていきましょう。
交差点で左折する四輪車と直進する二輪車の事故
| 直進していた二輪車A | 左折していた四輪車B |
|---|---|
| 20% | 80% |
交差点において、直進していた二輪車Aと、その前方で左折しようとした四輪車Bが衝突した場合の事例です。
左折する四輪車には、後方や側方を走行する二輪車の有無を十分に確認したうえで進路変更を行う義務があります。
そのため、左折時の安全確認が不十分だった車Bの過失が大きく評価されます。
道路の出入口を出入りする四輪車と直進する二輪車の交通事故
| 直進していた二輪車A | 道路を出入りしていた四輪車B |
|---|---|
| 30% | 70% |
道路の出入口から進入または退出しようとした四輪車Bと、道路を直進していた二輪車Aが衝突した場合の事例です。
道路から出入りする四輪車には、通行中の車両や二輪車の進行を妨げないよう、十分な安全確認を行う義務があります。そのため、四輪車Bの過失が大きく評価されます。
自動車と歩行者の交通事故における過失割合
自動車と歩行者の交通事故では、基本的に自動車側の過失割合が大きく評価される傾向があります。
歩行者は交通弱者と位置づけられており、自動車にはより高度な注意義務が課されているためです。
横断歩道の有無や信号の状況にかかわらず、歩行者の存在を予測し、安全に配慮した運転が求められます。
そのため、歩行者側に一定の不注意があった場合でも、自動車側の過失が重く認められるケースが少なくありません。
ただし、歩行者が明らかな信号無視をしていた場合や、急な飛び出しがあった場合など、状況によっては歩行者側の過失が加算されることもあります。
交通事故の過失割合に納得いかないと感じやすい理由
交通事故の過失割合について、保険会社から提示された内容に納得できないと感じる人は少なくありません。
これは、過失割合の決まり方や評価の基準が分かりにくく、当事者の認識と結果にズレが生じやすいためです。
- 相手の過失が正しく評価されていない
- 事故当時の状況が十分に反映されていない
- 過失割合が賠償額に直結するため不満が強くなりやすい
相手の過失が正しく評価されていない
過失割合に納得いかない理由として多いのが、「相手の過失が十分に反映されていない」と感じるケースです。
実際の事故状況では相手の運転が危険に見えたとしても、書面や証拠上ではその点が評価されていないことがあります。
特に、スピード超過や安全確認不足などは、客観的な証拠がなければ過失割合に反映されにくいです。
その結果、当事者の体感と提示された割合との間に大きなギャップが生じやすくなります。
事故当時の状況が十分に反映されていない
自分としては「相手が急に出てきた」「こちらは避けようがなかった」と思っていても、その認識が過失割合に反映されていないことがあります。
実務では、過失割合は事故後に作成された資料や証拠をもとに判断されます。
そのため、天候や視界の悪さ、相手車両の動き方など、当事者が強く印象に残っている事情が、評価の対象になっていないことも少なくありません。
過失割合が賠償額に直結するため不満が強くなりやすい
過失割合は、最終的に受け取れる損害賠償額を大きく左右します。そのため、割合の数字そのもの以上に、金額面への影響を意識して不満を感じやすくなるものです
わずかな割合の違いであっても、治療費や慰謝料、修理費などを合算すると、実際の差額が大きくなることがあります。
この結果、「少しの違いなのに損をしている」と感じやすくなります。
交通事故の過失割合に納得いかないときの対応
交通事故の過失割合に納得いかないときは、感情的に反論するのではなく、どのような点が根拠になっているのかを整理して向き合うことが重要です。過失割合に納得できないときに考えたい対応を解説します。
まずは過失割合の根拠を具体的に確認する
過失割合に納得できないと感じたときは、まず、その割合がどのような根拠で算出されているのかを確認することが重要です。
過失割合は、事故類型や過去の裁判例を前提に決められているのが一般的です。
そのため、どの事故類型が前提とされているのか、修正要素が考慮されているのかを一つずつ確認する必要があります。
例えば、実際には停車していたにもかかわらず、走行中として扱われている場合、過失割合は大きく変わります。
このように、事故状況の整理や認識にズレがないかを確認することが、過失割合の妥当性を判断するうえで重要です。
事故状況を裏付ける証拠を集める
過失割合の判断では、事故当時の状況を客観的に示す証拠が重視されます。当事者の記憶や主張だけでは、評価に反映されにくいことも少なくありません。
例えば、ドライブレコーダーの映像や現場写真、目撃者の証言など、事故の状況を具体的に示す材料が必要です。
どちらが先に進入したのか、停止していたのかといったことは、証拠の有無によって判断が大きく変わることがあります。
このような証拠がそろっていれば、過失割合の前提となる事故状況がより正確に評価されやすくなります。
保険会社に対して修正要素を主張する
過失割合は、基本となる事故類型に、事故当時の具体的な事情を加味して調整されます。そのため、前提となる状況と実際の事故内容にズレがある場合は、修正が必要です。
前述のとおり、事故状況を裏付ける証拠があれば、事故類型の前提や評価のズレを修正しやすくなります。
ドライブレコーダーの映像や現場写真などをもとに、実際の状況と異なる点を整理したうえで、保険会社に対して修正を主張することが重要です。
このように、感覚的な反論ではなく、事故状況と証拠を踏まえて具体的に伝えることで、過失割合の見直しが検討される可能性があります。
示談にすぐ応じず、いったん保留にする
過失割合に納得できない状態で示談に応じてしまうと、その後に内容を争うことは難しくなります。
示談は、過失割合を含めた条件について双方が合意したことを意味するためです。
そのため、過失割合に疑問が残っている段階では、示談を急がず、いったん保留にする判断も必要になります。
保険会社の説明に少しでも疑問や不安がある場合は、その場で結論を出さず、検討する時間をもらいましょう。
不利な条件を受け入れないためにも、弁護士などの専門家に相談し、第三者の視点からアドバイスを受けることも重要です。
話し合いで解決が難しい場合は弁護士に相談する
保険会社との話し合いを重ねても過失割合に折り合いがつかない場合は、弁護士に相談することも検討しましょう。
当事者同士や保険会社との交渉では、実務上の基準や裁判例を前提とした主張が通りにくいこともあります。
弁護士に相談すれば、提示されている過失割合が実務上妥当なのか、修正の余地があるのかを客観的に確認できます。
また、交渉を任せることで、当事者が直接やり取りする負担を軽減できることも特徴です。
過失割合をめぐる問題が長期化しそうな場合や、判断に迷いがある場合は、早い段階で専門家の意見を聞くことが有効です。
交通事故の過失割合に納得いかないまま進めてしまうデメリット
過失割合に疑問や不満があるにもかかわらず、そのまま手続きを進めてしまうと、後から修正することは難しくなります。
結果として、本来よりも不利な条件で解決してしまうおそれがあります。交通事故の過失割合に納得いかないまま進めてしまうデメリット見ていきましょう。
- 示談成立後は原則として過失割合を争えなくなる
- 本来受け取れるはずの賠償額が減ってしまう
- 精神的な不満や後悔が長く残りやすい
示談成立後は原則として過失割合を争えなくなる
示談が成立すると、過失割合を含む賠償条件について双方が合意したものと扱われます。
そのため、あとから「やはり納得できない」と感じても、原則として内容を見直すことはできません。
特に、示談書や合意書に署名・押印をしている場合は、過失割合を前提に賠償額が確定しているため、再交渉は難しくなります。
結果として、本来より不利な割合を受け入れたまま解決してしまうおそれがあります。
本来受け取れるはずの賠償額が減ってしまう
過失割合に納得できないまま手続きを進めてしまうと、本来受け取れるはずだった賠償額が減ってしまう可能性があります。
過失割合は、治療費や慰謝料、修理費など、ほぼすべての損害賠償項目に影響するためです。
例えば、過失割合がわずかに変わるだけでも、最終的な受取額に数十万円単位の差が生じることもあります。
納得できない割合を前提に示談が成立すると、その差額を取り戻すことは困難です。
精神的な不満や後悔が長く残りやすい
過失割合に納得できないまま事故処理を終えてしまうと、金銭面だけでなく精神的な負担が残りやすくなります。
「本当はもっと争えたのではないか」「相手の責任が軽く扱われたのではないか」といった思いが、あとから強くなるケースも少なくありません。
特に、事故そのものが大きなストレスになっている場合、過失割合への不満が解消されないままだと、事故体験を引きずってしまうことがあります。
結果として、日常生活や気持ちの切り替えに影響を及ぼすこともあります。
交通事故の過失割合に納得いかないときに弁護士に相談するメリット
過失割合に納得できない場合、弁護士に相談することで状況を客観的に整理しやすくなります。
過失割合は専門的な基準や裁判例を踏まえて判断されるため、第三者の視点が入ることで判断の妥当性を確認しやすくなります。
- 過失割合の妥当性を第三者の視点で判断してもらえる
- 保険会社の提示内容や説明を検証してもらえる
- 交渉を任せることで精神的な負担が軽減される
- 裁判になった場合でも一貫して対応を任せられる
過失割合の妥当性を第三者の視点で判断してもらえる
弁護士に相談すると、提示されている過失割合が実務上妥当かどうかを、第三者の立場から確認することが可能です。
当事者自身は感情や記憶に影響されやすく、冷静な判断が難しいこともあります。
弁護士は、事故類型や過去の裁判例、証拠の内容などを踏まえて評価するため、「修正の余地があるのか」「受け入れるべき割合なのか」を客観的に整理できます。
その結果、今後の対応方針を判断しやすくなるでしょう。
保険会社の提示内容や説明を検証してもらえる
保険会社から提示される過失割合や説明は、必ずしも事故状況のすべてが十分に反映されているとは限りません。
事故類型の当てはめ方や、修正要素の評価に疑問が残るケースもあります。
弁護士に相談すれば、保険会社がどの基準を前提に過失割合を算定しているのか、その説明が妥当かどうかを専門的な視点で検証することが可能です。
説明の不足や評価の偏りがあれば、どこに問題があるのかを整理できます。
交渉を任せることで精神的な負担が軽減される
過失割合をめぐるやり取りは、保険会社との連絡や説明の確認が続き、精神的な負担になりやすいものです。
特に、事故直後で気持ちが落ち着かない時期に交渉を続けることは、大きなストレスにつながります。
弁護士に依頼すれば、過失割合に関する主張ややり取りを任せることができ、当事者が直接対応する場面を減らせすことができるのがメリットです。
その結果、事故対応に追われる負担が軽くなり、日常生活に集中しやすくなります。
裁判になった場合でも一貫して対応を任せられる
過失割合について話し合いで解決できず、裁判に発展する場合でも、弁護士に依頼していれば一貫した対応を任せられます。
交渉段階から事故状況や争点を把握しているため、途中で方針がぶれる心配が少なくなります。
裁判では、事故状況をどのように主張し、どの証拠を提出するかが重要です。弁護士が継続して関与していれば、これまでの経緯を踏まえた主張が可能になります。
交通事故の過失割合に納得いかないときに関するよくある質問
交通事故の過失割合に納得いかないときに関するよくある質問を紹介します。
- 交通事故の過失割合が8対2と提示されましたが、納得できないときは?
- 交通事故における過失割合のゴネ得とは何?
- 交通事故の過失割合について相手が納得しない場合は?
- 交通事故で相手が過失をまったく認めない場合は?
- 交通事故の過失割合が決まらない場合は?
- 交通事故の過失割合はいつ決まる?
交通事故の過失割合が8対2と提示されましたが、納得できないときは?
過失割合が8対2と提示された場合でも、その内容を必ず受け入れなければならないわけではありません。
過失割合は、事故類型や過去の裁判例をもとに算定されますが、事故当時の具体的な状況が十分に反映されていないこともあります。
例えば、実際には停止していた、相手に速度超過があった、視界が著しく悪かったといった事情がある場合、過失割合が修正される余地があります。
そのため、どの事故類型が前提とされているのかを確認し、実際の状況とズレがないかを見極めることが重要です。
交通事故における過失割合のゴネ得とは何?
過失割合の「ゴネ得」とは、明確な根拠がないにもかかわらず、相手が強く主張し続けることで、過失割合が相手に有利に調整されてしまうのではないかと感じる状況を指して使われる言葉です。
実務では、過失割合は事故類型や裁判例、客観的な証拠をもとに判断されるため、単に主張を続けただけで有利になることは基本的にありません。
ただし、証拠が乏しく事故状況の評価が難しい場合、話し合いの結果として中間的な割合に落ち着くことがあります。
このような経緯から、「強く言ったほうが得をしたように見える」と感じられ、ゴネ得という表現が使われることがあります。
関連記事:過失割合のゴネ得とは?被害者が行う対処法とゴネ得する理由を徹底解説
交通事故の過失割合について相手が納得しない場合は?
過失割合について相手が納得せず、話し合いが進まないケースもあります。
過失割合は当事者の合意によって確定するため、どちらか一方が受け入れなければ、示談は成立しません。
このような場合でも、過失割合そのものが自動的に相手の主張どおりになることはありません。
事故類型や証拠、過去の裁判例をもとに、どの割合が妥当かを整理したうえで判断されます。
話し合いが長期化すると精神的な負担も大きくなるため、状況に応じて弁護士に相談するのが良いでしょう。
交通事故で相手が過失をまったく認めない場合は?
交通事故では、相手が自分の過失を一切認めず、「こちらは悪くない」と主張するケースも少なくありません。
しかし、当事者の主張だけで過失割合が決まるわけではありません。
双方の認識が大きく食い違っている場合は、事故状況の整理が難しくなり、話し合いが長期化することもあります。
このようなケースでは、弁護士に相談し、専門的な立場の第三者から伝えてもらうことで妥当であることを示しやすくなります。
交通事故の過失割合が決まらない場合は?
過失割合について当事者同士の合意が得られない場合、示談は成立せず、話し合いが長期化することがあります。
このような状態でも、どちらか一方の主張だけで過失割合が確定することはありません。
折り合いがつかない場合は、裁判などの法的手続きによって判断が示されることもあります。
交通事故の過失割合はいつ決まる?
交通事故の過失割合は、事故直後に確定するものではありません。多くの場合、事故状況の確認や資料の収集が進んだあと、保険会社同士の協議を経て示されます。
そのため、事故から一定期間が経過してから過失割合が提示されるケースも珍しくありません。
治療状況や修理内容がある程度固まってから、示談交渉とあわせて過失割合が本格的に話し合われることもあります。
まとめ
交通事故の過失割合は、損害賠償額や示談条件に大きな影響を与える重要な要素です。
事故類型や過去の裁判例をもとに判断されますが、実際の事故状況が正確に反映されていないと、納得できない結果になることもあります。
過失割合に疑問がある場合は、前提となる事故状況や評価の根拠を冷静に確認することが大切です。
納得できないまま示談を進めてしまうと、後から修正することは難しくなります。
過失割合はケースごとに判断が分かれるため、不安や迷いがある場合は、弁護士など専門的な視点から状況を整理することも一つの選択肢といえるでしょう。
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