自転車同士の事故に遭ったら|過失割合・損害賠償・判例を徹底解説

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自転車同士の事故は身近で起きやすく、わずかな不注意でも大きなケガにつながります。歩行者や自動車が関わる事故とは異なり、双方が加害者にも被害者にもなり得るため、正しい対応や過失割合の理解が欠かせません。

事故直後に適切な行動を取れないと、示談交渉や損害賠償で不利になる可能性があります。本記事では、自転車同士の事故で押さえるべき初動対応、状況別の過失割合、請求できる損害賠償、参考となる裁判例を詳しく解説します。

本記事の結論

・自転車は道路交通法上の「軽車両」にあたる、事故後に警察へ報告しない場合は道路交通法違反になる
・自転車同士の事故に遭ったときの対処法は、安全な場所へ移動する、警察・保険会社に連絡する、ケガをしたら病院へ行く
・自転車同士の事故で請求できる損害賠償は、事故でケガをした費用、後遺障害が残った場合の費用、死亡した場合の費用

目次

自転車同士の事故に遭ったら?

自転車同士の事故とは、互いに自転車を運転している者同士が接触したり、回避行動によって転倒したりして負傷する事故を指します。

事故が起きた直後は混乱しやすいですが、まず状況を落ち着いて把握する姿勢が重要です。自転車は道路交通法上の「軽車両」にあたるため、交通ルールに従いながら適切な対応を進める必要があります。

  • 自転車は道路交通法上の「軽車両」に分類される
  • 事故をして警察を呼ばなかった場合は道路交通法違反になる

自転車は道路交通法上の「軽車両」に分類される

自転車は道路交通法で軽車両として扱われ、基本的には車道を走ることが求められます。歩道を通行できる場面もありますが例外的な扱いであり、歩行者を妨げない配慮が欠かせません。

さらに、走行時は「車両通行止め」や「車両進入禁止」など車両向けの交通規制にも従う必要があります。にもかかわらず、歩道を当然のように走り、歩行者の通行を妨げる自転車がいまだに多いのが実情です。

令和8年4月1日には、16歳以上の自転車運転者が交通反則通告制度(青切符)の対象になる規定が施行され、交通ルール違反への取り締まりが一段と強化されます。自転車は車両を運転しているという意識を持つことが重要です。

事故をして警察を呼ばなかった場合は道路交通法違反になる

自転車同士で衝突したり転倒させてしまったりした場合、軽いケガだからとそのまま立ち去る行為は認められません。

道路交通法72条は、事故を起こした運転者に対して「負傷者の救護」と「事故状況の報告」を義務づけています。この義務は軽車両である自転車も対象です。

通報を怠った場合は道路交通法119条に基づき、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、警察を呼ばないと事故証明書が作成されず、保険金請求が難しくなる恐れがあります。事故の大小にかかわらず、安全を確保したうえで速やかに110番通報し、状況を正確に伝えることが極めて重要です。

自転車同士の事故に遭ったときの対処法と流れ

自転車同士の事故では、初動対応の内容がその後の示談交渉や損害賠償へ大きく影響します。事故の直後は混乱しやすいですが、落ち着いて行動することが重要です。

自転車同士の交通事故で取るべき対応について紹介します。

  • 怪我の有無を確認し安全な場所へ移動する
  • 警察官に事故を連絡する
  • 相手の氏名・住所・連絡先を交換する
  • 目撃者がいれば協力を依頼して証言を確保する
  • 保険会社に事故を報告する
  • ケガをした場合は病院を受診する

怪我の有無を確認し安全な場所へ移動する

自転車同士の事故が起きたら、まず負傷者の状態を確認します。強い痛みや出血がある場合は、無理に動かさず救急車を呼ぶ判断が必要です。

周囲に車が通行している場所で事故が起きたときは、二次的な事故を避けるため、動ける範囲で安全な場所へ移動します。

自転車が壊れて路上に残っていると交通の妨げになる場合もあるため、可能であれば端へ寄せておきましょう。事故直後はパニックになりやすいものの、冷静に安全確保を優先することが、二次被害を避けることにつながります。

警察官に事故を連絡する

負傷者の安全を確保したら、次に警察へ事故の発生を知らせます。自転車同士の事故でも報告義務があり、通報を怠ると道路交通法違反として扱われる可能性がありますので、注意しましょう。

警察へ連絡すると、現場で状況確認が行われ、事故証明書の発行につながります。この書類は保険金請求や示談交渉で必要になるため、必ず通報しておくことが重要です。

通報時は、事故の場所やケガの程度、相手の特徴などを落ち着いて説明し、指示に従いながら対応を進めます。

相手の氏名・住所・連絡先を交換する

事故の報告を終えたら、相手の身元情報を教えてもらいましょう。氏名や住所、連絡先をその場で交換しておくと、後の示談交渉や保険手続きが円滑に進みます。

ただし、無理に聞き出そうとすると相手が驚いたり警戒したりすることがあります。特に事故経験がない人は、突然連絡先を求められると混乱しやすいため、落ち着いたタイミングで伝える姿勢が重要です。

警察が現場に到着すると、身元確認や事情聴取が行われ、その際に「お互いに連絡先を交換してください」と促されることが多いです。

相手が動揺している場合は、この警察官の指示を待ってから交換するとスムーズで安心です。記録に残すためにも、メモやスマートフォンで確実に控えておきましょう。

目撃者がいれば協力を依頼して証言を確保する

警察が到着するまでには少し時間があるため、その間に周囲に目撃者がいないか確認します。自転車同士の事故は双方の主張が食い違いやすく、第三者の証言があると過失割合の判断に役立ちます。

近くにいた人が事故を目撃していた場合は、可能な範囲で状況を聞き、協力をお願いする姿勢が重要です。

証言は示談交渉でも有効な材料になるため、自分に落ち度がない場合ほど、客観的な情報を集めておくほうが安心です。相手に明らかな過失があると判断できる場面では、自分の正当性を示す証拠として活用できます。

保険会社に事故を報告する

警察への通報と相手の情報確認が済んだら、自分が加入している保険会社へ事故の発生を知らせます。自転車保険や個人賠償責任保険に加入している場合は、早めの報告が重要です。

事故の内容やケガの程度、相手の連絡先などを正確に伝えると、手続きがスムーズに進みます。また、保険会社が示談交渉の対応を行ってくれる契約もあるため、トラブルや不当な請求を避けやすくなります。

報告が遅れると補償対象外になるおそれがあるため、事故後は速やかに連絡しておくことが大切です。

ケガをした場合は病院を受診する

事故直後は興奮して痛みに気づきにくい場合があるため、見た目に異常がなくても病院で診察を受けておく姿勢が大切です。

自転車同士の事故では、打撲やむち打ちのように遅れて症状が出るケースも少なくありません。早期に受診しておけば、治療が必要になった際に医師の診断書を保険手続きや慰謝料請求に利用できます。

受診を後回しにすると、事故との因果関係を証明しにくくなる恐れがあります。トラブルを避けるためにも、軽いケガだと思っても速やかに医療機関を受診し、診断を受けておくことが重要です。

自転車同士の事故における過失割合【状況別で紹介】

自転車同士の事故は、状況によって過失割合が大きく変わります。信号の有無、進行方向、速度、周囲の交通状況など、さまざまな要素が判断材料となります。

どちらがどの交通ルールを守らなかったのかが重要で、同じ自転車同士でも一方の過失が重くなるケースは多いです。

代表的な事故パターンごとの過失割合を紹介し、判断のポイントを解説します。

  • 赤信号車と青信号車の交差点事故
  • 黄信号車と赤信号車の交差点事故
  • 十字路交差点の事故
  • 丁字路交差点の事故
  • 歩道で対向する自転車の事故
  • 追い越し時の自転車の事故
  • 進路変更時の自転車の事故
  • 右左折時の自転車の事故

赤信号車と青信号車の交差点事故

基本過失割合
赤信号車 青信号車
100% 0%

信号機のある交差点では、赤信号を無視した自転車が原因となる事故が多く見られます。青信号で交差点に進入した側は交通ルールに従って走行しているため、基本的に過失は認められません。

一方、赤信号で進入した自転車は明確な信号無視となり、過失は100%と判断されます。信号の意味は自動車免許の有無に関係なく広く知られており、誰もが守るべき基本的なルールです。

自転車同士の事故でも例外的な取り扱いはなく、自動車事故と同じ基準で過失が判断されます。

黄信号車と赤信号車の交差点事故

基本過失割合
黄信号車 赤信号車
20% 80%

信号のある交差点では、黄信号で進入した自転車と赤信号を無視して進入した自転車が衝突する事故も発生します。この場合、黄信号で進入した側にも注意義務があるため、過失は20%です。

一方で、赤信号を無視した自転車の過失は80%とされ、信号規制に反した側の責任がより重く扱われます。

黄信号は青信号とは異なり、停止位置で安全に止まれる場合は停止すべきと定められており、完全に優先が認められるわけではありません。

十字路交差点の事故

基本過失割合
一時停止の規制なし 一時停止の規制あり
30% 70%

信号機のない十字路では、自転車同士の出会い頭事故が多く、一時停止の有無によって過失割合が大きく変わります。一時停止の標識がある側は道路交通法上、必ず停止して安全確認を行う義務があります。

この義務が守られなかった場合、過失は70%とされ、反対側の30%よりも責任は重いです。自転車運転者は一時停止を十分に意識していないことも多く、当事者の感覚と過失割合の差が大きくなる典型的な事故パターンです。

基本過失割合
左方車 右方車
45% 55%

一方で、一時停止がない同幅員の十字路では、左方優先の考え方が基本となり、左方車45%、右方車55%とする割合が一般的です。丁字路では左方車40%、右方車60%とされる見解もあります。

ただし、自転車は免許制ではなく左方優先を知らない運転者も多いことから、実務ではこの基準を必ずしも厳格に適用しない裁判例もあります。

保険会社の提示する割合が異なることもあるため、現場状況を踏まえた判断が必要です。

丁字路交差点の事故

基本過失割合
直進車(一時停止の規制なし) 右左折車(一時停止の規制あり)
25% 75%

信号機のない丁字路交差点では、直進車と右左折車の動きが交差するため、自転車同士の事故が起きやすい状況です。

まず、一方の道路に一時停止の規制がある場合、右左折する側の自転車には「一時停止義務」と「右左折時の安全確認義務」の二つが課されます。

このため、右左折側の過失は75%、直進側は25%とされ、過失割合に大きな差が生じます。

基本過失割合
直進車 右左折車
40% 60%

一方で、一時停止規制のない同幅員の丁字路では、右左折車の注意義務が重要な要素です。この場合、右左折自転車の過失を60%、直進自転車を40%とする考え方が一般的です。

右左折する側は進行方向を変える動作によって周囲の状況確認が必要になるため、直進車よりも過失が重く扱われます。丁字路は見通しが悪いことも多いため、特に慎重な確認が求められます。

歩道で対向する自転車の事故

基本過失割合
直進車A 直進車B
50% 50%

歩道上を対向して走行する自転車同士が接触した場合、基本的な過失割合は50%対50%とされています。

歩道は本来歩行者が優先される場所であり、自転車は歩行者の通行を妨げない範囲で徐行する義務があります。双方が同じ状況下で対向しているため、責任の重さは同じです。

ただし、ここから走行状況に応じて過失が修正されることがあります。たとえば、夜間の無灯火、スマートフォンの操作、スピードを出しすぎていたなど、安全配慮義務を欠いた行為が認められると一方の過失が重くなります。

歩道では自転車同士の見通しが悪くなることもあるため、常に周囲を確認しながら慎重に運転する姿勢が求められます。

追い越し時の自転車の事故

基本過失割合
先行車 後続車
0% 100%

後方の自転車が前を走る自転車を追い抜こうとした際、横を通過した後に進路上へ割り込む形で接触する事故が発生することがあります。

このような追い抜き時の事故では、基本的な過失割合は先行車0%、追い抜いた側100%とする考えるのが一般的です。

自転車には後方確認用のミラーが付いていないことも多く、後ろから追い抜いてくる自転車の存在に気付くことが難しいため後続車の責任が重くなっています。

また、事故後には前の自転車がふらついていたかどうかが争点になることが多いため、実況見分調書などで正確な事故状況を把握することが重要です。

進路変更時の自転車の事故

基本過失割合
先行車 後続車
60% 40%

前方を走る自転車が進路を変え、後方の自転車が直進したまま衝突するケースでは、双方の注意義務に基づいて過失割合が判断されます。

自転車は後方確認がしにくい構造である一方、後ろを走る側は前方の動きを把握しやすく衝突を避けやすいという事情があります。

こうした特性を踏まえ、一般的な過失割合は先行車60%、後行車40%となるのです。

ただし、先行車が後行車のすぐ近くで急に進路変更した場合は「側方間隔不十分」が争点となることが多く、過失割合が変動する可能性があります。

また、後方から走ってきた自転車が本来走行できない歩道を走っていたケースでは、後行車側の違反が評価されることもあります。

右左折時の自転車の事故

基本過失割合
先行車 後続車
65% 35%

前方を走る自転車が交差点で右折または左折し、後方の自転車が直進しているところへ接触する事故では、双方の注意義務に基づいて過失割合が判断されます。

自動車の右左折では詳細な規制がありますが、自転車の場合は同じ基準を厳格に当てはめることが難しいため、一般的な基準として先行車65%、後続車35%とされています。

進路を変える側には周囲を十分に確認して安全に右左折する義務があり、その義務を怠ったと評価されやすいからです。

この事故類型では、右左折した側が被害者となり重傷を負うケースが少なくありません。しかし、過失割合では先行車に大きな責任が認められるため、解決が難航することが多いのが特徴です。

自転車同士の事故で請求できる損害賠償(慰謝料)

自転車同士の事故でも、相手の不注意によってケガを負った場合は損害賠償を求められます。治療費や通院交通費などの実費だけでなく、精神的苦痛に対する慰謝料や、仕事ができなかった期間の休業損害なども請求の対象です。

自転車同士の事故で請求できる損害賠償について紹介します。

  • 治療費や薬代など事故でケガをした費用
  • 後遺障害が残った場合の費用
  • 死亡事故の場合の費用

治療費や薬代など事故でケガをした費用

自転車同士の事故でケガをした場合、治療に必要となった費用は相手へ請求できます。診察料やレントゲン、湿布・薬剤代のほか、通院のために利用した交通費も対象です。

事故直後は軽い痛みだと思っても、時間がたつと症状が悪化することがあります。そのため、早めに受診し、医師の診断書を取得しておくことが重要です。

支払いの根拠となるため、病院でもらう領収書や処方明細は必ず保管しましょう。

後遺障害が残った場合の費用

事故によって後遺障害が残った場合は、通常の治療費に加えて、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。後遺障害慰謝料は、事故によって将来にわたって心身の不調が残ったことへの精神的損害に対する補償です。

また、逸失利益は、後遺障害によって労働能力が低下し、将来の収入が減ると考えられる場合に認められます。

いずれも後遺障害等級の認定が重要となるため、医師の診断書や画像データなど、症状を裏付ける資料をそろえる必要があります。

事故後は継続的な通院やリハビリが求められることもあるため、記録を丁寧に残しておくことが大切です。

死亡事故の場合の費用

自転車同士の事故で死亡者が出た場合、遺族は加害者に対してさまざまな損害賠償を請求できます。

代表的なものとして、葬儀費用、精神的苦痛に対する死亡慰謝料、将来得られるはずだった収入を補う逸失利益などです。

逸失利益は被害者の年齢や収入、扶養の有無などをもとに計算されるため、金額が大きくなる傾向があります。また、事故状況が争われるケースも多いため、警察の記録や医療資料などを整理しておくことが重要です。

自転車同士の事故の裁判例

自転車同士の事故は一見単純に見えても、過失割合や事故状況の評価が難しく、裁判で争われることがあります。自転車同士の事故に関する裁判例を紹介し、どのような点が争点となったのかを解説します。

  • 出会い頭で衝突した判例
  • 左側通行違反などが重なった出会い頭の判例
  • 下り坂を高速度で走行した判例

出会い頭で衝突した判例

自転車同士がマンション敷地内の通路で出会い頭に衝突した事故です(大阪地方裁判所平成29年1月31日判決)。原告は右折進行、被告は直進進行で、過失割合は原告40%・被告60%と判断されました。

【事故の概要】

マンション敷地内の東西通路から原告自転車が右折で本件通路へ進入し、被告自転車が北進してきたところで衝突した事故です。被告側には、右折してくる原告の存在を早い段階で確認できたにもかかわらず十分に減速しなかった点が指摘されました。一方で、原告側にも一時停止の標識がある場所で停止を怠って進入した過失が認められています。

【過失割合の判断ポイント】

  • 被告は、右折車の存在を認識できる位置で十分な減速をしていなかった
  • 被告は、一時停止可能な速度で接近する注意義務を怠った
  • 原告は、右折進入の際に指示されていた一時停止を守らなかった
  • 被告の走行速度が原告より大幅に速かったと認定された

裁判所は、双方の過失を踏まえつつも、被告の速度超過を重視し、最終的な過失割合を原告40%・被告60%と決定しました。損害額は総額1057万2,765円と認められ、そのうち40%を過失相殺した結果、原告が受け取る金額は634万3,659円となりました。

左側通行違反などが重なった出会い頭の判例

T字路交差点で自転車同士が出会い頭に衝突した事故です(神戸地裁平成26年3月2日判決)。交差道路側の自転車に左側通行違反があったことから、過失割合は原告15%・被告85%と判断されました。

【事故の概要】

交差道路からT字路へ右左折する形で進入した自転車(原告)と、直線路を直進してきた自転車(被告)が衝突した事故です。交差道路側の原告は、本来守るべき左側通行義務に違反して進入しており、その結果、直進してきた被告の進路に入り込む形となりました。T字路は十字路に比べて対向車に注意を払う必要が少なく、直進車を視認しやすい構造であることも指摘されています。

【過失割合の判断ポイント】

  • 自転車にも左側通行義務があり、原告はこれに違反して進入した
  • T字路は直進車両への注意が行いやすく、原告には適切な確認義務があった
  • 自転車は速度が遅く制動距離も短いため、自動車事故ほど交差側を重く評価しない
  • ただし左側通行違反は直進車の回避可能性を大きく左右するため、重大な過失と扱われる

裁判所は、自転車の構造上の特性や交差道路側の左側通行違反を重視しつつも、直進車との関係性を丁寧に評価しました。

最終的に入通院慰謝料216万円、後遺障害慰謝料1,440万円が認められ、左側通行義務違反が過失判断に大きく影響した事例です。

下り坂を高速度で走行した判例

歩道上で自転車同士が出会い頭に衝突した事故です(東京地方裁判所平成29年10月31日判決)。加害者側が下り坂を高速度で走行していたことに加え、被害者が高齢者であった点が考慮され、過失割合は原告20%・被告80%と判断されました。

【事故の概要】

本件事故は、歩道上を走行していた高齢者の自転車(原告)と、下り坂を通常より速い速度で進行していた自転車(被告)が出会い頭に衝突したものです。被告は前方確認を十分に行わず、直前まで原告の存在に気付いていませんでした。原告にも周囲への注意義務があったものの、事故の発生に大きく影響したのは被告側の速度超過と安全確認不足と認定されました。

【過失割合の判断ポイント】

  • 被告は歩行者や自転車の多い歩道で安全確認を怠った
  • 下り坂を通常より速い速度で走行していた
  • 原告にも周囲への注意義務違反が認められた
  • 被害者が高齢者であり回避行動が困難だった事情が考慮された

裁判所は事故態様と双方の注意義務の程度を総合的に評価し、被告側の責任を大きく認めました。損害額は234万462円とされ、過失相殺後の支払額は187万2,369円となっています。

自転車同士の事故に関するよくある質問

自転車同士の事故に関するよくある質問を紹介します。

  • 自転車同士の事故で立ち去ったら後日警察から連絡が来る?
  • 自転車同士の事故で怪我なしの場合でも警察へ連絡する必要はある?
  • 自転車同士の事故で保険に入っていない場合は?
  • 自転車同士の事故の示談交渉の進め方は?
  • 自転車同士の事故で怪我した場合は治療費を払ってもらえるの?
  • 自転車同士の事故で適用される保険は?
  • 自転車同士の事故で弁護士に相談する必要はある?

自転車同士の事故で立ち去ったら後日警察から連絡が来る?

自転車同士の事故でも、当事者の一方がその場を立ち去った場合は、後日警察から連絡が入る可能性があります。

道路交通法では、事故を起こした運転者に救護措置と報告義務が課されており、これを怠ると違反行為として扱われます。

被害者側が通報していれば、警察が現場確認を行い、相手の身元を調べる流れになるでしょう。

自転車同士の事故で怪我なしの場合でも警察へ連絡する必要はある?

怪我がないように見えても、自転車同士の事故では必ず警察へ連絡する必要があります。道路交通法では、事故を起こした運転者に事故報告義務が定められており、自転車も軽車両としてこの義務の対象です。

通報しないまま示談を進めると、後から痛みが出た場合に事故として扱えないと判断され、治療費や慰謝料の請求が難しくなる恐れがあります。

事故の大小にかかわらず、必ず110番通報し、正しい手続きを踏むことが大切です。

自転車同士の事故で保険に入っていない場合は?

自転車保険に未加入でも、相手に過失がある事故であれば損害賠償を請求できます。

ただし、保険が使えない場合は加害者本人が自己負担で支払う必要があるため、示談が長期化したり、支払い能力の問題でトラブルになりやすい点に注意が必要です。

また、自分に過失がある場合は、治療費や慰謝料、物損などをすべて自費で負担しなければなりません。

自治体によっては自転車保険加入を義務化している地域も増えているため、万一に備えて保険の加入状況を確認しておくと安心です。

自転車同士の事故の示談交渉の進め方は?

自転車同士の事故では、警察への届出が済んだ後に示談交渉を進める流れになります。まず、双方の過失割合や損害額を整理し、治療費・慰謝料・物損などの請求内容を明確にします。

保険に加入している場合は、保険会社が相手方との交渉を代行してくれるため、早い段階で連絡しておくことが重要です。

保険を利用できない場合は、当事者同士でやり取りする必要があり、話がまとまりにくいケースもあります。

相手が過失を認めない、金額に折り合いがつかないなどのトラブルが生じた場合は、無理に話し合いを続けず、弁護士へ相談することで適切な解決を図れます。

自転車同士の事故で怪我した場合は治療費を払ってもらえるの?

相手の不注意が原因でケガをした場合は、治療費を相手へ請求できます。診察料、検査費、薬代、通院交通費などの実費は損害として認められる項目です。

ただし、自転車同士の事故は双方に過失があるケースも多く、その場合は過失割合に応じて請求額が調整されます。

自転車同士の事故で適用される保険は?

自転車同士の事故では、状況に応じて利用できる保険がいくつかあります。代表的なのは自転車保険や個人賠償責任保険で、相手にケガを負わせた場合の賠償金を補償する保険です。

また、自分がケガをしたときは人身傷害保険や傷害保険が使える場合があります。火災保険や自動車保険に付帯している個人賠償特約が利用できるケースも多いため、契約内容を確認することが大切です。

自転車同士の事故で弁護士に相談する必要はある?

弁護士へ相談するタイミングは、示談交渉が難航している場合や、相手が過失を認めない場合、治療費や慰謝料の金額で折り合いがつかない場合などです。

弁護士が介入すると、法律に基づいた適切な過失割合の主張ができ、相手からの不当な要求を防ぎやすくなります。また、保険会社との交渉も代わりに進めてもらえるため、精神的な負担を大幅に減らせます。

怪我が重い場合や後遺障害が残る可能性がある場合は、適正な賠償額を得るためにも早めの相談が望ましいです。

まとめ

自転車同士の事故は身近で起こりやすく、ちょっとした不注意でも大きなトラブルにつながります。

事故直後の対応としては、安全確保・警察への通報・相手情報の確認・証拠の収集などの基本手順を確実に行うことが重要です。

過失割合は事故の状況によって大きく変わり、信号の有無、一時停止、進路変更、速度などの要素が判断材料となります。

また、ケガをした場合は治療費や慰謝料の請求ができ、後遺障害や死亡事故ではさらに高額な賠償が認められることがあります。

示談交渉で問題が生じたときは、専門家である弁護士に相談してみましょう。

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